木と対話する家具屋さん
青山にある「家具蔵」は、無垢家具の制作販売をしている家具屋さんです。
今リフォームしようと考えているI邸のキッチンを、無垢材のキッチンにしたいという要望があり、クライアントと一緒に家具蔵のショールームに行って打ち合わせをしてきました。
さて、ここの営業部長さんの三上氏は、とてもユニークな方です。無垢の木には、さまざまな樹種がありますが、ひとつひとつの木の性格を、「個性的な人」のように擬人化して紹介してくれます。彼の木に対しての、並々なら愛情のこもった語り口は、ちょっと不思議な世界に引き込まれる体験です。
「サクラは、とてもお茶目な女の子なんですよ。AKBみたいな感じですかね。ちょっとおっちょこちょいだけれど、さびしがり屋でちやほやされたい。あわてもののところもあって、キュッてのどをつまらせるから導管にこうやって黒いスジが入るんです。」とか。「ナラは昔の日本のお母さん、という感じですかね。すべてを抱擁して動じないですよ。」とか・・。
厚く挽いた無垢の板材を見ていると、本当に木の細かい肌理の違い、模様の豊かさを実感するのと、生き物としての個性を感じるのも、楽しいことです。
木と対話することは、より深く自分の世界の身近にし、愛情が深まることで仕事をより深く楽しむこともでき、良い仕事をすることにもつながるのだと思います。家具蔵の家具は、無垢木の特長を生かしたナチュラルで落ち着いたデザインで、そのクオリティのわりに価格も抑えれられているので「職人気質の良心的なお店ね」と、クライアントのIさんも感心しておられました。
本質的な部分を大切にする仕事、というのは、働く人もお客様も、両方を幸せにするなあ、と感じました。
「キッズタウン東十条」が「作品選集2013」に掲載されました。
日本建築学会が主催する、「作品選集2013」に私たちの設計した「キッズタウン東十条保育園」が選抜されました。
初めて応募しましたが、選抜にあたって審査員の建築家の方が候補作品を現地で確認し、とても丁寧に審査してくだいました。雑誌の紙面や写真だけでは伝わらない、建物のニュアンスは、使われてから1年以上建ったものとして現地を見ることで、その建築の質は確実に評価できるレベルになるのだと思います。そのような選考方法を取る学会の審査の方法に信頼を覚えました。
選抜されて掲載された100作品を見ると、どれもオリジナリティや造形性、建築的な感性度においてレベルの高い作品で、自分のものがその中に選ばれたことは光栄な気持ちがします。
モノとしての建築の新しさや完成度の高さと、人や社会に影響を与え、幸せにする力、そのどちらの軸を持つかというと、後者のほうに興味が偏っている感がありますが、作品としての建築を作ろうとするクリエイティブな情熱も素晴らしいことだし、自分にはまだまだ足りない部分として鍛錬しなくてはと思います。
そして、伊東豊雄氏が先週の日経アーキで語っておられた、「作品という概念はもう消えたほうがよい」という言葉にも深く共感すしました。プロセスを重視しつつ、真に社会のニーズをくみ取って対話しつつ、未来に必要とされる建築を作ることのできる建築家というのは、とても興味深いテーマです。作品性への情熱は逆にマイナスに働くかもしれない、ということも受け取めて、考えてみたいと思いました。





