建築家 田口知子の日常をつづったブログ

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多摩産材の杉材を使うこと

私達が設計監理を進めております「みみみの森プロジェクト」に建つ集合住宅は、昨日、工事会社と建て主様とで、無事工事請負契約を締結されました。600㎡程度の木造集合住宅ですが、今回、構造部に可能な限り、多摩産材の杉製材を使うことにしました。

敷地の現状:母屋解体がほぼ完了

 

「みみみの森プロジェクト」は「地域へ貢献する、まちをつくる建築」、というテーマで進められているプロジェクトです。

その地域で生産される森林資源、農産物などを積極的に使って、それに付加価値をつけていくことは、地域の文化をはぐくみ、さまざまな技術、資源を存続させることになります。外材に比べてコストが高いと言われる県産材ですが、製材として使える杉材は、植林から50年以上たち、製材として十分なサイズになっているにもかかわらず、使われずに日本にあふれています。

秩父の金子製材の金子氏いわく「大きく育った木を製材として使うことは、そこまでの大きな木を育て、伐採して使うという、山の文化を守ることになる。」とおっしゃっていました。その土地にあった森の育て方、伐採方法、乾燥方法など、木造の建材をうまく利用する深い知恵をお聞きすることができました。

どんな地域にも、その地域の宝ともいえる地域産材があります。そのような材木が50年も経って巨木になって日本に大量に余っています。安い外材との価格競争というハードルがありますが、国連の提唱するSDGs「持続可能な開発目標」としても提唱されていますが、地域の資源を守る、資源を維持し、循環させる産業を守る、ということは、人も自然も幸せにする未来をつくります。

建築を設計する川下の私たちが、川上の生産者の人たちとつながることができれば、大切な大きな目標に向かって進んでいける可能性があると感じます。

 実際「みみみの森プロジェクト」で、構造材の大部分を多摩産材に変更したところ、コストの差はそれほど大きくはなく、十分に実現可能なレベルだということを知りました。  材料の選定において、生産者の方の声を聴き山の持続可能性まで含め、材料を選択していくことができれば、建築は新たな役割を担うことができるのだな、とあらためて感じています。

桑の木保育園見学報告 ~県産材・地域産木材をふんだんに使った保育園

昨日、アトリエフルカワさんが設計された「桑の木保育園」見学会に参加させていただきました。

県産材の木材を、構造から建具、仕上げまで、ふんだんに使った保育園です。

 

 見学会には、設計者の古川泰司氏をはじめ、構造設計の桜設計集団大沢さん、工務店さん、製材所の金子製材所の社長さん、造作材の木村さんなど、木材の生産者サイド、加工、施工まで、いろいろな立場でかかわった方がおられ、それぞれの方の意見を聞くことができるという、とても楽しく、有意義な見学会でした。

 

 そのことは、この建築の成り立ちを象徴していました。建築家が図面を描き、それを粛々と施工する、という設計と施工の関係性ではなく、材料の調達や流通をコーディネートする製材所の方が設計の初期から協力していて、設計内容にも強い影響を与える存在であり、木の生産者が一緒になって建物を作り上げている、という関係性が、うらやましいなあと思いました。地域産の木材を使う、ということは地域の林業を支援することであり、山を守ることにつながり、環境的に大きな意味を持っていると、最近強く感じています。

 空間は無塗装の杉材をふんだんに利用し、肌触りと木の香りに満ちていました。現代の私たちの住む空間で、こんなに無塗装の木を使うことは、汚れを気にすると難しいと思うかもしれません。

 

 空間も、木の内装を実現する(内装制限をかけない)ために、構造を準耐火構造にされていましたが、屋根の構造に工夫があり、斜め材(トラス材)をかけた天井は、燃え代なしで成り立っていて、全体として、燃え代とは思えない軽やかさで大空間を覆っていました。さすが木質耐火構造のプロ集団、桜設計集団の大沢さんにお話しを聞きながら、木造の奥深さ、面白さをふたたび強く意識する機会となりました!

子供たちには、やはり本物の自然素材の中で育ってほしいものです。汚れやシミ、傷があっても、自然の木材は、不思議と良い味になって長く愛される気がします。自然素材の欠点を、おおらかに受け入れる心を大切にする環境がもっと広がると良いなあ、と思いました。

 

 

 

「みみみの森 プロジェクト」 現場が始まりました。

 

例年よりずっと早く桜のつぼみがふくらんでいます新型コロナの影響が想像以上の拡大を見せ、これから何が起きようとしているのかと不安を感じるこの頃ですが、毎日の仕事を淡々と続け、平常心で日常を過ごしたいと思っています。

 

さて、昨年から私たちが設計を進めてきました「みみみの森プロジェクト」、今週母屋の解体工事が始まりました。工事会社は木造住宅での定評のある内田産業さんです。営業も監督さんも皆丁寧な物腰で、安心して任せられる工務店だな、とあらためて感じます。

 

 

 このプロジェクトは木造低層賃貸住宅の集合住宅です。古くからここに住まわれてきたオーナーご家族が、地域に開いた賃貸住宅として計画しています。敷地は三鷹市の保存樹林を取得し、樹齢は50年を超すシラカシをはじめ、竹林や梅の木、カキやハナミズキなど、今ある樹木をそのまま残し、新しい庭を再生する計画です。

 

植栽デザインは、ふるうち設計室 古内時子さん。どんな庭に生まれ変わるのか、楽しみです。

 保存樹木の説明をする古内さん

 

樹齢60年のシラカシ

母屋と庭

 

建築は、そんな樹木の間にそっと忍び込むようにデザインしたいと思いました。

前庭は、地域の方に開かれた庭として開放し、住宅の一階部分にはみんなで使えるキッチン、ちょっとしたお店を開ける賃貸など、多様な住まい方を提案しています。

 

ゆったりと流れる時間、暮らしの中に自然があり、まちにつながる「みみみの森」、このまちに生まれてどんな風に成長していくのか、楽しみです。

 

 

 

 

 

 

 

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