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雪谷大塚の集合住宅~コーポラティブハウスの設計を開始しました。

昨年の9月に説明会を開いたコーポラティブハウス「雪谷大塚の集合住宅」 は、今年に入って1月に組合を設立し、本格的に設計を稼働しはじめました。


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9月の建築家説明会の時にはたくさんの方が来てくださいました。プロヂュース担当者はアーキネットの澁谷氏。


建物は、大田区雪谷に位置し、6戸の長屋形式のコーポラティブハウスです。3階建てで重層長屋という形式。すべての家が角部屋でメゾネットになっています。

旗竿敷地の落ち着いた住環境を生かして、家にいることが楽しくなるような生活空間のあり方をデザインしたいと思っています。

 


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 建物の断面模型

事業主体は、それぞれの住戸を買われたご家族が集まってつくる「建設組合」です。住民が主体になって、みんなで共用部のあり方を考えたり、管理方法を決めていったり、個人の空間は、戸建てのように個性にあわせて自由に設計していったり、というプロセスは、コーポラティブハウスの醍醐味です。


 設計プロセスは少しエネルギーがかかりますが、そういうエネルギーは、自分にとっては大歓迎です。



 自分の作る集合住宅は、賃貸なのにコーポラティブハウスのようだ、とよく言われてきました。住み手も決まっていないのに、すべての住戸に名前をつけて架空の住民の個性を表現した設計をしたりして・・(@°▽°@)ノ。



しかし、今度こそ本当のコーポラティブハウス。本物の住み手がいるということは、なんと幸せな。。



みなさんが、一緒につくっていくというプロセスで何が生まれていくのか、とても楽しみです。






戸塚のリフォーム工事 現場レポート~コミュニケーションギャップを埋める

戸塚で行っている2世帯リフォーム工事の現場は、来週竣工で、大詰めを迎えています。


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先日、リビングの珪藻土塗りの仕上げ具合を、クライアントのNさんに確認いただきました。ここで、ちょっとしたコミュニケーションの擦れ違いが発生したのは、勉強になりました。


 現場監督「珪藻土の仕上げは、模様付でないとできないそうです。扇、ヒキヅリ、ランダム模様から選んでください。」

 Nさん「うーん、サンプルはフラット仕上げだし、室内だからフラットがいいなあ」

 現場監督「いや~。左官屋がこれしかできないと言うもんですから」

 Nさん「そうですか。それでは模様付きのサンプルを出してください。」

 ごく普通に交わされるこういう会話の中に、実は大変なコミュニケーションギャップが存在していることに気づきました。

 現場監督が「左官屋ができないと言っている」という意味がどういう意味か、施主のNさんは、「もしかしたら価格の問題か?」と想像され、自分たちの希望をあきらめようと思ったそうです。しかし、しばらくたって横で聞いていた私は「リフォームの珪藻土は下地の処理を平滑にするのが難しい。模様があったほうが不陸が目立たないから左官屋さんが模様付が良い」と監督さんに言ったのかもしれないと。そのことを現場監督に聞いたところ、確かにそのようだとのこと

 

 私は、本当にNさんが欲しい仕上げは、わずかな不陸があってもフラットな仕上げなのではないか、と想像し「それでは現場で塗ってもらっているところをNさんに見てもらいましょう。」

 ということで、現場にお集まりいただき、左官屋さんの難しいといわれる「フラット」を作ってもらいました。その仕上げは平滑でとても美しく、Nさんの望み通りのものでした。みなさん「全く問題ないですよ~。美しい」の一言!


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 左官屋さんの意識では、ちょっとしたコテの跡や小さな凹凸が気になるらしいのですが、素人目には全く気付きません。


 こんなふうに、現場の職人さんの意識と、発する言葉の意味は、その裏側を理解して伝えなければ、今回のように、本当にほしいものが得られず、残念なことになります。建て主さんは、職人さんのレベルで気にする小さなキズや不陸より、全体のイメージのほうが大切なことは多いのです。

 今の建築業界は、大量生産とクレームを恐れるあまり手の後を残さな工業製品を貼り合わせる潮流があります。


 熟練職人の手の技は人に温かい印象を与え、0.1mmの不陸を気にする職人気質は建築の世界の大切な財産です。Nさんのように、建築はすべて人の手によって作られていることを理解し、その技術や仕事を尊重してくださる建て主さんがおられることは、幸せなことです。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 1階の御嬢さんの生活空間も色を加えて華やかになりました。



小竹向原の「まちの保育園」を訪問しました。

今日の午前中、港区のコミュニティービジネスセミナーの企画で、小竹向原にある「まちの保育園」に伺ってきました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 「まちの保育園」外観

理事長で創設者の松本利寿輝さんに、この保育園ができるまでの成り立ちやお考えなど、興味深い話しを聞かせていただきました。


 理事長とはいえ、とても若い方(30代かと)で資本も少ない中で、経済学を学ばれた方で、他業種での起業も経験された知識と、子供に対する思いをもって、地域に開いた、真に子供の成長を考える保育園を開かれました。入口には、地域を超えてファンができるようなパン屋さん+カフェレストランを配置し、保育園の保護者や、地域の人が憩える場所をつくっておられました。

 子供たちの成長のためには、若い保育士だけでなく、さまざまな大人とふれあい、学ぶ機会が必要だと考えられたそうで、今の幼稚園と保育園の制度にも疑問を持っておられるそうです。

 ここの保育には、街の人(学生さん学校の先生、アーティストの方など)を保育士、遊び相手、講師として巻き込み、住民によるボランティアもウェルカムする体制をつくりながら、子供たちがまちの人に触れあう機会を多くちくること、自主性をはぐくむ養育を実践し、同時に大人たちのコミュニティーもつくる、という

一石3鳥の事業モデルを発明された方です。


 長年、この方のお話しを聞いてみたいと思っていたのが、やっと実現してうれしさひとしお。この保育園ができるまでのさまざまな思いや、起業家としての苦労もふくめて語ってくださって、本当に感動しました。


建築家 田口知子の日常をつづったブログ 入口は誰でも入れる、カフェの入口も兼用しています。


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カフェから奥の建物に行く途中に、こんな外部があります。ここに並んだプランターで、今土を作って、稲を育てて脱穀して食べるそうす。

  今は、港区の森ビルの再開発、虎ノ門の超高層住宅の中に、「まちの保育園」2園目が誕生しました。認可保育所として稼働されているそうです。


保育園のように、なごやかで人を幸せに、安らぎを与える施設ではあるが、経済性としてはネガティブだといわれる保育園が、港区の高級な超高層住宅の再開発に取り入れられるということに、驚きとともに、時代が少しづつシフトしているなあ、とあらためて感じ、勇気と希望をいただいたひとときでした。

 本当にありがとうございました。