皆さん、こんにちは。コロナも遂にインフルエンザと同じ扱いになりますね。でも、感染対策は今までと同様にしたいものです。さて、今回の院長ブログは、治療終了患者さんのご報告です。

 

15歳の女性で、主訴は上顎前突でした。

歯のサイズも大きく、スペースが不足し、前歯は前方へ傾斜して、凸凹があちらこちらに存在していました。

 

口元にも若干ではありますが、盛り上がり、閉じにくさがみられました。

 

パノラマレントゲン写真です。虫歯の跡もなく、問題はありませんが、親知らずが4本存在していました。

 

横顔のレントゲン写真です。分析の結果、骨格的には問題はありませんが、前歯は上下とも前方への傾斜が強いことがわかりました。

 

治療方針は、上下の小臼歯2本ずつ、計4本抜歯をして、上顎にミニスクリューを植立し、ブラケットを用いて治療することとしました。

 

上顎にスクリューを植立して、上顎にブラケットを付けたところです。

 

引き続き、下顎にもブラケットを付けたところです。まずは上下とも犬歯を先に後方移動させることから始めました。それから月に一度のペースで治療を進めていきました。

 

治療開始1年経過時点です。

犬歯は後方へ移動が完了し、前歯部の後方への移動が開始されています。

 

この後10か月、動的治療期間1年10か月で治療が終了となりました。

治療前後の写真を並べます。

正面と横の写真です。スペースもなくなり、山と谷が綺麗に歯車がかみ合う咬合になりました。

 

咬み合わせの面です。凸凹も無くなり、綺麗なアーチになりました。

 

これは治療後のみの写真ですが、内外側的にも適切な位置に配置できています。

 

正面の顔写真です。若干あった前突感も消失し、笑顔での歯の見え方もバランスが良くなったと思います。

 

斜めと横顔の写真です。口唇閉鎖もしやすくなっています。

 

歯根吸収なども見られませんでした。親知らずは高校生の終わりに抜歯を検討します。

 

横顔のレントゲン写真です。前歯の後方移動がなされ、バランスの良いプロファイルになっています。

 

治療終了おめでとうございます。きちんと通院したおかげで、予想よりもかなり早く終了となりました。良かったですね。歯を抜くという代償を払いましたが、前歯もかなり後方へ移動して、唇も楽に閉じられるようになり、もちろん歯ブラシもしやすく、虫歯や歯周病知らずで、今後はかみ合わせに自信を持っていただいて大丈夫です。お疲れさまでした。リテーナーをしっかりと使用して、親知らずの抜歯などを進めていきましょう。

 

先日、矯正治療の詐欺事件のようなニュースがありました。今流行のアライナー矯正が実質無料でうけられる、という契約が、実際は履行されず損害を被ったという内容でした。医療従事者が詐欺をするはずがない、と安心していたんだと思います。しかし、今の日本は、お金目的で闇バイトで集まった見ず知らずの人たちが、連続強盗殺人までしてしまう世の中です。私にとっては衝撃的でした。一昔前の日本は安全だ、と無防備ではいられないということでしょう。今回の矯正歯科の事件は、同じ矯正歯科治療を仕事としている身としては、残念で仕方がありません。本来、不正咬合で悩んでいる人々を、治療で健康にする矯正歯科という仕事が、治療そっちのけでお金儲けの手段に利用されてしまった訳です。医療従事者のモラルを正すことは当然ですが、この手の罠は、おそらく今後も手を変え品を変え発生し続けるでしょう。患者さん側も、歯科医師というものを吟味する必要があります。治療を受けるときには、正しい検査、診断がなされているのか、納得のいく説明がなされているのかを、よく判断してください。治療費も、今ならキャンペーン価格とか、モニター価格という言葉には、注意を払う必要があると思います。このようなことで被害にあう不幸な患者さんが、今後は出ないことを祈ります。

 

それでは、まだまだ寒い日が続きますが、元気で頑張っていきましょう。今回の院長ブログはこれまでです。

 

●今回の写真の掲載は、患者さんに了解を得ております。

●今回の総費用:61万円(治療期間1年10か月)

●治療における一般的なリスクについて

 治療中または治療後には、虫歯の発生・歯根吸収・歯牙疼痛・口内炎・歯肉形態不正・顎関節症・ほうれい線・歯の削合・後戻りなど思いもよらない不都合な合併症のリスクがあります。治療開始時に主な事項についての注意や対応についてお話しし、もし不都合が発生した場合は全力を尽くして対応してまいります。

●治療結果には個人差があります。同様の結果が保証されているわけではありません。ご了解ください。