世界一厳しい(ホントは世界一ユルユル)規制基準に合格した、九州電力・川内原発、
四国電力、伊方原発、関西電力・高浜原発などを尻目に、
原発新規制基準、”世界最高基準”どころか周回遅れ:世界一は安倍総理の妄想?

未だ審査中の中国電力・島根原発には既に、免震重要棟が設置され、
フィルター付きベントの設置も、着々と進んでいる。

だからと言って、危険で超高コストの原発の再稼働が、許されるものではないが・・
<原発のない国へ 基本政策を問う>(2)金食い虫・原発に企業も見切り=太陽光・風力にも敗れ

原子力ムラの優等生?中国電力が、なぜ? 不真面目な 九州電力・四国電力・関西電力との再稼働レースに出遅れたのだろうか?


原発テロ対策、未完成の場合1週前に停止命令 。フィルターベントも免震重要棟も未着工だが・・
【新規制基準が安全対策で求める重要施設で、未完成なのはテロ対策施設だけではない。
フィルターベントも免震重要棟も未着工のままだ。

「福島原発に免震重要棟がなかったら東日本は死の町になっていた」といわれるが、
その免震重要棟さえ未着工のまま、
なぜか? 川内、玄海、伊方、高浜、大飯の5原発9基が、そ知らぬ顔で再稼動している。】


 中国新聞 2020/6/15 18:27
中国電力がベント設置作業を公開 島根原発3号機

【中国電力は15日、松江市の島根原発3号機に、フィルター付きベント(排気)設備を設置する作業現場を報道陣に公開した。深刻な事故が起きた場合に放射性物質を除去しつつ、原子炉格納容器内の圧力を下げて破損を防ぐ。

 中国電によると、金属フィルターにより、蒸気に含まれる粒子状の放射性物質などを除去する。この日設置されたのは高さ約8メートル、内径約2メートルの円筒形の設備で、クレーンでつって、地下の格納槽に搬入した。同様の設備は、既に2号機に取り付けている。

 島根原発は、2号機の再稼働、3号機の新規稼働を目指して原子力規制委員会の新規制基準への適合性審査を受けている。】

玄海原発3・4号機〝免震重要棟〟なしで審査合格? 新基準で6例目
再稼動の見通しの立たない島根原発さえ、2014年10月には免震重要棟を新設

しかし九電は驚くべきことに、ゆるゆる・骨抜きの新・規制基準に、「適合する免震装置がない」??と主張。 九電、玄海原発緊急対策所「免震できない」??

先に再稼動させた川内原発でも、玄海原発でも、お金の掛かる免震重要棟を耐震に変更し、規制委はそれを渋々?飲んだ。
※ 九電 食い逃げ!? 川内原発・免震棟新設を撤回 合格取り消しの筈だが・・

 いったい規制委・規制基準は何のためにあるのか?】

 明日に向けて(1701) 2019年06月16日
川内原発が停められます!他の原発も次々と。当然、止まった方が良いけれどしかし・・・・
【● 進んでいないのは「テロ対策」の前段の「重大事故対策」!騙されてはいけない!

しかし私たちはここに大きなウソが介在していることもしっかりと把握しておく必要があります。電力各社が「間に合わない」と言っているのは、「テロ対策」だけでなく、重大事故の際に放射能の飛散量を抑制するためのフィルターベント設置などなのです。 もう少し詳しく言うと、今回、規制委員会が新規制基準(2013年)から5年といい、その後工事計画の審査を終えてから5年と猶予を伸ばしてきたのは「特定重大事故等対処施設」と言われるものです。 メインは原子炉から100m以上は離れた場所に緊急制御室を設置するなど。ここに「フィルターベント」が組み込まれているのですが、それが「テロ対策施設」かのようにごまかされている点が大問題なのです。

規制委員会発行の「実用発電所原子炉に係る新規制基準について」という文章を見ても分かります。(特に6ページ) ここでは、かつては「共通要因による安全機能の喪失を防止(シビアアクシデントの防止)」までしかなかったが新規制基準では「万一シビアアクシデントが発生しても対処できる設備・手順の整理」を足したとされています。 その中に「格納容器の閉じ込め機能の維持」がありベントの設置が含まれ、その次にやっと「テロや航空機衝突への対応」として「原子炉建屋外設備が破損した場合等への対応」が出てきますが、現状ではこの重大事故対策もなされていないのです。

「実用発電所原子炉に係る新規制基準について」 原子力規制委員会 http://www.nsr.go.jp/data/000070101.pdf】一部抜粋


 BEHOLDER 2019年10月
〔鵜の目鷹の目〕真相は専門家の傲り
【福島第1原発で事故を起こしたのは1号機から4号機までの4機の原発で、「マーク1」と呼ばれる初期の沸騰水型軽水炉で発電能力は45万キロワットの小型原発だが、隣にある5号機、6号機は同じ波高の津波に襲われたものの、どうにか非常用電源を動かすことができ、事故を免れている。どうして福島原発の4機だけが事故を起こしたのか。



 実は、事故を起こしたマーク1については米国の原子力規制委員会で問題になったことがある。問題の中身はマーク1の原子炉格納容器が小さいため、原子炉が事故を起こした際、高熱により冷却水から発生する水素が濃厚になり、水素爆発を起こしやすい、という懸念だった。まさに福島原発事故そのものを予測した内容である。



 当時、米原子力規制委員会とメーカーのGE、原子力工学の学者たちが喧々諤々の論争をし、最終的には水素爆発を起こさせないためにフィルターとベントの設置を義務化することに落ち着いた。事故の際、フィルターを通して放射能を減らしたうえで、ベントを開放して原子炉容器内の気圧を下げることしたのである。



 このフィルターとベントの設置は日本の原子力委員会(当時、現原子力規制委員会)にも伝えられたが、電力会社側から費用がかかり過ぎると反発され、結局、「ベント設置は義務化、フィルターは任意」にすることで終わってしまった。福島原発事故ではベントが開かず、水素爆発を起こし、福島県民100万人の頭上に放射能をばら撒いた。



 では、なぜ事故が起こったのか。事故直後、東電の原発部門の最高責任者で、原子力工学の技術者でもある武黒元副社長と武藤元副社長が「全電源喪失がすべてだ」と語ったように、全電源の途絶が爆発事故の原因だ。地震直後、制御棒が下り、(連続して核分裂が続く)臨界は止まったが、外部電源喪失でポンプが稼働せず冷却水を循環させることができず、結果、水素が充満し、爆発を起こしたというのが事故の経過だ。こうした非常時に備えるのが非常用電源である。だが、福島第1原発の4機はなぜ非常用電源が動かなかったのか。



 その理由は、非常用発電機を地下に移したからである。建設された当時、非常用電源は原子炉建屋の4階にあった。海抜で測れば20メートルほどの高さになる。15.5メートルの津波が来ても稼働できたはずだった。だが、東電は非常用発電機をタービン建屋の地下に移した。タービン建屋の地下が空いているからというのが理由で、東電の原子力部門は「われわれが動かしているのだから心配はない」と主張し、原子力委員会も原子力保安院も押し切られて地下に移すことを認めたのである。


 その結果、非常用発電機は津波で水没し、ポンプは動かなかった。外部電源、非常用電源も途絶えた福島原発は冷却水が循環せず、高熱で発生した水素が溜まり、爆発……。


 津波でなくても、9月の台風15号で被害を受けた千葉のように停電と内水氾濫が起こったら、同じような事故が起こり得る。原因は津波ではなく、非常用発電機を地下に移したことによる全電源喪失なのだ。全電源喪失を惹起した“原子力村”の責任を追及すべきなのに、自然災害である津波への対策を怠ったことを原因にした起訴では裁判官も無罪にするしかないだろう。

 ではなぜ、全電源喪失させるようなことを起こすのか。真相は原子力村の傲りである。例えば、東京大学工学部の中で再優秀な学生が集まるのが原子力工学科だった。東大は原発問題が起こると、そのたびに学科名を変えるのだが、この原子力工学科の中でも最も成績優秀な学生の就職先が電力会社である。大学で学んだ理論を実地で行えるのだから当然なのだが、就職後、電気工学や建築工学を学んだ技術者をどうしても下に見てしまう。口にしなくても電気屋、いや、設備屋程度に見下している。



 社内でも原発部門は売上げで30%に達し、利益では35%を超えるのだから、肩で風を切って歩く。彼らを「原発村」と呼ぶのだが、最も優秀な人たちだけに「原発のことはわれわれが知っているから心配しなくてもいい」という態度になってしまっている。



 その好例が2002年に発覚した「東電データ捏造事件」である。ご記憶の人もいるだろうが、製造物責任に則ってGEが検査に入り、原子炉内のシュラウド(炉心隔壁)のひび割れ6ヵ所を含む29件の改善点を東電に指摘して帰国した。それを東電は自主点検記録にシュラウドのひび割れ3ヵ所と捏造して記録して、通産省(現経産省)に報告して済ましたのだが、GEの検査官のひとりから「改善点はもっとある」と内部告発があり、問題になった事件だ。



 原子力安全保安院の聴取に対し、東電は否定し続け、国会でも問題になった。結局、GEが協力することになったとたん、東電は「実は29ヵ所ありました」と白状。歴代の社長4人と原子力部門の副社長の5人が引責辞任した。このとき、原発部門では「この程度のことまで報告しなければいけないのか」と驚いたのだという。原発のことはわれわれ専門家に任せておけばよい、という発想だったのである。



 付け加えれば、データ捏造事件後、原子力部門のトップに火力発電出身者が就任した。が、退職後、親しい人に「在任中は原発の現場からは何の報告もなかった」と無視されたことを語っている。



 原子力のことは誰よりも知っているという原子力村の技術者たちの自負が「安全神話」をつくりだした。危険を伴う原発には多重、多様な防御体制が用意される。外部電源に非常用電源、水素爆発防御のためにフィルターとベントの設置という具合だが、それを疎かにした結果が福島原発事故だ。津波ではなく、原子力村の傲りが事故の原因として裁判で争ったら判決は違ったものになったのではなかろうか。(常)】


 ハーバー・ビジネス・オンライン 2019.10.04
巨額金品授受問題の関西電力、「高浜発電所」に見る関電経営陣の病理
【さらなる大規模投資特重施設(特定重大事故等対処施設)

日本の原子力発電所は、福島核災害までは、多重防護*の第四層と第五層が存在しないために原子力安全という視点では世界の趨勢に比して著しく見劣りがする代物でした。そのため福島核災害では、過酷事故に足して全くなすすべが無く、様々な偶然が無ければ更に深刻な事態に陥り、原子力委員会最悪予測(福島第一原子力発電所の不測事態 シナリオの素描)によれば、首都圏の三千万人が核災害難民となることが予測されました。
<*多重防護5つの段階については、「北海道胆振東部地震『泊原発が動いていれば停電はなかった』論はなぜ『完全に間違い』なのか」P2を参照>

 この報告書は、余りにも恐ろしい内容なので「無かった」ことにされ、隠蔽されましたが、菅直人元首相がその存在を明かし、情報公開請求によって日の目を見て、多くの人が知ることになりました*。
<*「福島第一原子力発電所の不測事態 シナリオの素描」のGoogle検索結果>

 これを教訓に多重防護の第四層を法整備したのですが、それが「特定重大事故等対処施設」(特重)です。なお、多重防護の第五層=住民保護・原子力防災は事実上存在しません(形骸的には存在する)。】一部抜粋