一つの歴史の決着戦。。明日より、第31期竜王戦7番勝負/第7局開幕
通算100期目のタイトル防衛を目指す羽生善治竜王に
優駿・広瀬章人八段が挑戦する、第31期竜王戦7番勝負。
ここまで6局を消化し、ともに譲らず3勝3敗のイーブン。
いよいよ決着となります運命の最終戦/第7局が、明日
山口県下関市「 春帆楼」にて、開幕の時を迎えます。。
羽生竜王の今期ここまでの成績は
41戦21勝19敗(.525)。順位戦はA級で5勝1敗。
史上最大6名参加のプレーオフを見事制し
第76期名人戦で佐藤天彦名人に挑戦するも
2勝4敗で完敗、名人位奪還は成らず。。
続けて開幕した棋聖戦では
豊島将之八段(当時)の前にフルセットの末、敗れ
棋聖連覇は「10」でストップ、一冠後退となりました。
短いサイクルで連勝と連敗を繰り返しながら
内容的にも安定を欠く、今シーズンの羽生竜王。
19連覇の後、5連覇を果たし
通算24期保持した相性の良い王座は本戦/1回戦で敗退。
年明けに控える王将戦、棋王戦はともに広瀬八段のよって
行く手を阻まれ、竜王戦が文字通り最後の砦となりました。
【 竜王戦/第1局 】
10月11日(木)-12日(金)
東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」にて。
戦型は「角換わり」
141手までで、先手・羽生竜王が勝利。
【 投了図・141手目▲1ニ成桂 】
投了図での持ち駒
▲羽生竜王: 香
△広瀬八段: 金、香、歩3
【 第2局 】
10月23日(火)-24日(水)
福岡県福津市「 宮地嶽神社」にて。
戦型は「角換わり」
150手までで、後手・羽生竜王が勝利。
【 投了図・150手目△7三桂 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 飛、金、香、歩3
△羽生竜王: 銀、歩
【 第3局 】
11月1日(木)-2日(金)
茨城県鹿嶋市「鹿島神宮」にて。
戦型は「角換わり」
130手までで、後手・広瀬八段が勝利。
【 投了図・130手目△7九銀 】
投了図での持ち駒
▲羽生竜王: 金、歩5
△広瀬八段: 角、銀、歩3
【 第4局 】
11月24日(土)-25日(日)
京都府福知山市「福知山城」にて。
戦型は「角換わり」
133手までで、先手・広瀬八段が勝利。
【 投了図・133手目▲1五歩 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 金
△羽生竜王: 角、桂2、歩4
直前に広瀬八段に連敗を喫したことで
開幕戦は不穏な空気に包まれましたが、しかし
羽生竜王はさすがの底力を発揮し、見事勝利で飾ると
続く第2局も後手番で制し、会心の連勝スタート。
自ら暗雲を振り払いましたが。。
充実の広瀬八段は気持ちを切らすことなく、集中力を研ぎ澄まし
第3局、第4局で連勝を飾り、番勝負を振り出しへと戻しました。
広瀬八段の今期ここまでの成績は
44戦33勝11敗(.750)。順位戦はA級で4勝1敗。
今シーズン開幕から高いレベルで安定した強さを遺憾なく発揮。
竜王戦に続き、年明けの棋王戦挑戦権も獲得するなど、まさに
今期の顔とっても過言ではない、飛躍の一年となりました。。
もちろん、まだ31歳の若さにして
すでにA級4期、タイトル獲得1期の実績を誇る
超エリート棋士が狙うのは、一時的な大活躍ではなく
タイトル奪取という結果のみ。。
現在は居飛車の本格派にモデルチェンジを遂げるも
圧倒的な勝率を誇った「振り飛車穴熊」時代の感覚を色濃く残し
正確無比な距離感と速度計算力、そしてブレのない終盤力を武器に
竜王奪取への気勢は上がるばかりに思われましたが。。
【 第5局 】
12月4日(火)-5日(水)
石川県七尾市「和倉温泉 加賀屋」にて。
戦型は「相居飛車力戦」
139手までで、先手・羽生竜王が勝利。
【 投了図・139手目▲2四桂 】
投了図での持ち駒
▲羽生竜王: 銀、歩7
△広瀬八段: 飛、金、桂、歩
勝者がタイトルに王手をかける
急所の第5局で、羽生竜王が再び百戦錬磨の底力を発揮。
先手でキッチリと勝利を飾り、先に王手をかけました。。
土壇場での大きな勝利は、連敗ストップ以上に
流れが羽生竜王へと傾いたと、多くの将棋ファンが思い
願い、そして信じました。
が、しかし。。
【 第6局 】
12月12日(水)-13日(木)
鹿児島県指宿市「指宿白水館」にて。
戦型は「横歩取り」。
81手までで、先手・広瀬八段が勝利。
【 投了図・81手目▲3ニ金 】
投了図での持ち駒
▲広瀬八段: 銀、桂、歩4
△羽生竜王: 飛、金、銀、香、歩
大一番で研究将棋の代名詞「横歩取り」を採用。
しかも後手番で敢えて誘導したからには、羽生竜王に
とっておきの切り札があるはずと、序盤から期待と興奮
大きなざわめきに包まれた第6局。。
しかし、広瀬八段の手厚い反撃を前にして
形勢不利と判断した羽生竜王がいきなり首を差し出すと
均衡は一気に崩れ、そのままあっけなく広瀬八段が勝利。。
二日目のお昼休憩さえ迎えることなく終局を迎える
歴史的結末により、番勝負は再び振り出しへと戻し
決着は明日からの最終戦に委ねられました。。
かつては泥仕合をいとわず
敗勢の中にあっても死にもの狂いで食らいつき
粘りに粘って、結果、相手が根負けしてミスをして
劇的な大逆転勝利を何度も演じた羽生竜王。。
第6局の敗戦は
ここ数年の大舞台での負けパターンそのままで
第5局で作った流れを自ら帳消しにしたばかりか
最終戦への不穏な気配を呼びこむ結果に。。
逆に、カド番を跳ね返した
広瀬八段にとっては失うものの何もない最終戦へ
純然たる挑戦者として、気力も気合も満点で挑む
最終戦を、挑戦者有利とみるのは容易いですが。。
しかし、しかし
勝つ時は見事な完勝が多く、勝利を味を知り尽くす
百戦錬磨の勝負の鬼・羽生竜王が簡単に倒れるはずはなく
最終戦は予測不能、出たとこ勝負の一大決戦となるはず。。
気になる両者の対戦成績は
ここまで29戦して、羽生竜王が18勝11敗とリード。
最終戦の手番は振り駒で決まりますが
どちらが先手になっても、相居飛車が濃厚で
個人的には「角換わり」を予想します。。
羽生竜王が通算100期目のタイトルを手にするのか
あるいは広瀬八段が奪取に成功し、実に27年ぶりとなる
羽生竜王を無冠に追いやるのか。。
一つの歴史に決着がつくと同時に
新たな歴史の幕が開く、世紀の決戦をぜひ、お見逃しなく!
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名人相手に問答無用の圧勝。。
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竜王戦/第6局終局直後の感想
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王将戦で宿命の対決が実現。。
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今泉四段、待望の戦術書第三弾!
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谷川浩司九段は「光速流」
では、実兄・俊昭氏のキャッチフレーズは。。