風味絶佳~栗原さんちのおすそわけ~
風味絶佳~栗原さんちのおすそわけ~
その日私はしょげていました。
その日私は残業でした。
その日もたくさんしくじりました。
日付が変わるくらいの時間に、
ギリギリおうちに帰りつけそうでした。
「ざっし、よもう……」
ふらふらたどりついた、ぴかーっと光るコンビニに、
パンナコッタの最後の一個がありました。
雑誌とおにぎりとそのパンナコッタを買って、
ひとりのおうちに帰ります。
おにぎりをささっとたべちゃって、
それからパンナコッタのふたを開きました。
白いパンナコッタを、まずそれだけで食べてみます。
淡白でとろっとした舌ざわり!
やさしい甘さです。
さらに、ソースをかけてみます。
一転、濃厚な風味に!
ほろ苦いカラメルソースがパンナコッタによく合う。
ちょっと苦濃い部分と淡白な部分が交互にやってきて
全然飽きません。
っていうかもう食べ終わっちゃった!
きゃー、あの最後の一個が残ってて、よかったあ!
なんともうれしい気分になって、
シャワーを浴びるために立ち上がったのでした。
つたない文を読んでいただいて
ありがとうございます。
風味絶佳~ハーゲンダッツ~
ペディキュアが、はげてきている。
ブローしてない髪が、あさってを向いている。
大好きなはずの本が、進まない。
他に、することもない。
これから先のことが、わかんない。
そんな時は家から5分のコンビニに急ぎます。
ハーゲンダッツのクリスピーを買うのです。
新商品があったら、そっちでもいい。
「ハーゲンダッツは甘すぎてくどい。」
別れた彼は言ったけれど、
そこがいいんだよ、と、
心の中で言い返しながら家路を急ぐ。
家に着いたとたんに包装紙をはぎ取るのです。
一気に食べつくすのです。
モナカをかみ砕いて。
アイスが溶ける間もないくらいの速さで。
糖分は脳に幸福を感じる物質を分泌させるって。
じゃあ過剰な糖分を一気に摂取するのは
きっと幸福感を過剰に摂取することなのかも。
食べ終わるまで、10分足らず。
口直しにお茶を飲んだら、
まずはペディキュアを塗りなおすのです。
金のラメで。
華やかに。
ああ、女でよかったなあ。
こんなへたれ文章にお付き合いいただいて
ありがとうございます。
甘いものって、テンション上がりませんか?
風味絶佳
今までで一番「おいしい!」と思ったものは
自由が丘「モンサンクレール」のベリー系ケーキ。
ベリーの甘酸っぱさと、クリームのなめらかさが
最大限に引き出されたムースでした。
次においしいと感じたのは、
恵比寿「イコッカ」に行った時
偶然イベントで買った小豆のケーキ。
見た目はシンプルでしたが、バターや粉といった、
原料が良質だったんでしょう。
驚くほど美味で、眼がガッと覚めるほどでした。
「ミクニ」のチョコケーキとかも、興奮しました。
上質なチョコの濃厚さを堪能できる一品です。
……イヤ、お酒が飲めないもので、
週末リーマンが缶ビール買って一杯やるみたいに
自分へのごほうびにスイーツを買うという習慣を
もった時期があるのです。
ミスチルの桜井さんも歌ってるでしょ。
「冷えたビールを飲むんだ」
って。
一気にそうすると、
「生きてるってかんじ」
って。
そんな風に、私にとって、
「生きてるってかんじ」
な、お菓子を紹介させてください。
ただし、「どこでも買える」物で、
「食品添加物が入っていないもの」です。
次からはじめたいと思います。
どうぞお付き合いくださいませ。
はたらくおねえさん
事務の仕事をする前に、
違う業種の会社でお仕事していたぽこ。
ある仕事が締め切りを迎え、
あと4時間ほどで終了というところまで来ました。
現在、午前4時。
「あー、ダメ、限界!
あたしちょっと風呂だけ入ってくる!」
がたん、と、大げさに音を立てて立ち上がり、
手荒くバックをひっつかんで出て行ったのは
桜さんです。
「最終チェックにはゼッタイ帰るから!」
…さて、これが結果的には嘘になるということは、
大体みんな分っています。
何回かけても電話はつながらず、
仕方なく最終チェックは別の人がやり、
全てが終わった昼過ぎごろに、
「いや~、風呂入ったら、つい寝ちゃってさ~。」
とか何とか言いながら、
すごくキレイに化粧をした顔で出社してくるのです。
社歴もかなりあるのに、
大事な仕事はゼッタイ任されない桜さん。
「でもさ、あの人、信用はされてないけど
嫌われてもいないでしょ。」
……そういえば、そう。
フォローが抜群にうまいのです。
「そしてね、自分が本当にやりたい仕事だったら、
手は抜かないでしょう。」
そう。自分から企画を提案することもあります。
それに対してはものすごく真摯な姿勢です。
それがヒットになる時もあるのです。
そんなわけで、社内の評価はまずまずなのです。
「人が使い捨ての企業はさ、
そういう処世術がないと
生き残れないんだよ。」
ほほう。
真似は難しいものの、
オトナの知恵を学べる人でした。
ホンのはなし
「色川 武大
のさ、「狂人日記」 って知ってる?」
久しぶりに会った友達がイキナリ聞いてきました。
ナニそれ?
私はちゃんと自然な表情ができていたでしょうか。
「自分が狂っていく過程をさあ、
書いたものなんだけど。途中でワケ分んなくなるの」
私はこの人に、不安定だった時、
メールを送ってしまったことがあるのでした。
ふところの広い、信用できる人だと、思っています。
ちょっと口が軽いけど。
「中島らもとか、
あっち系の本が好きで読んでた時期があるのね。」
とても勘のいい人でもあります。
……ああ、と、私は笑いながら言いました。
そしたら夏目漱石の「倫敦塔」って知ってる?
「えー、ナニそれ」
漱石が留学中にワケ分んなくなった時の話。
おもしろいよ。
「へー」
スタバのコーヒーがゆっくり冷えていく間、
改めてカミングアウトをするかしないかで
迷った午後でした。
私は読まないことにしました。
美女傾国す Part4
コスパブオフィスに入社したぽこ。
この会社には不思議なことが多々ありましたが、
中でも不思議なことがありました。
「川島さんの制服の胸は、
なぜあんなに突き出ているのか?」
まるでミサイルのような殺気を感じるバストです。
別に、自分がないから
ひがんでいるわけではありません。
そうじゃなくて、川島さんは私服になると
胸が小さくなるんです。
そんなある日、
控え室で女子社員は話をしていました。
「制服って不便だよね~。
袖は短いのに身ごろはブカブカだったりして」
と、誰かが言った瞬間、
川島さんは勝ち誇ったように言いました。
「えー、補正してないの?
あたし、胸のとこ広げて、腰は縮めて、
スカートは15センチ上げたよ~」
……ええと、制服は貸与品です。
万人に合うようにデザインされています。
退社の際は、会社に返却しなくてはなりません。
返却された制服は、
次に入社する社員に貸与されます。
まあ、そんなこと小さなことだよね。
なんたって川島さんだからね。
それにこの会社つぶれたしね。
はたらくおねえさん
■ はたらくおねえさん
昔、コスパブじゃない仕事場で
お仕事をしていた時の話です。
席替えがあって、先輩の山崎さんの向かい側に
座ることになりました。
山崎さんは癒し系美人。
仕事をテキパキこなす、頼れる先輩で、
たまにアメもくれる、やさしい人です。
でも、一つ困ったことが……
「ああっ、わかりますか?あっ、そうなんです。
あっ、あっ、あっ、それでいいです。」
なんだかとっても色っぽい、
山崎さんの声が今日も聞こえてきます。
そう、この人の声はやたらに色っぽい。
普段の会話もそうですが、
この特性がMAXに発揮されるのが電話での打合せ。
「はい」と返事するべきところを、
甲高い声で「あっ」って言うクセがあるんですよね~。
(誰か指摘してくれ~。
ってゆーか一番近い私にしか聞こえてないのか~。)
山崎さんが電話を使うたびに、
仕事がイマイチはかどらなかったぽこなのでした…
サンキューも言わなくなって Part2
いろいろ先のことも考えて、
私は障害者手帳をもらうことにしました。
「奉仕する側」から「される側」に
変わることになるわけです。
家族への自分の態度を思います。
社会への自分の態度を思います。
正岡子規はすぐれた歌詠みでしたが、
結核をわずらって死ぬまでの7年間、
ひどく家族にあたったそうです。
自分の気に入った場所に生け花がなかった、
というだけで、妹を泣くまでののしった、
というエピソードを昔聞いたような。
(↑うろおぼえです…違ったら指摘してください)
私もいつか、「されて当然」と、
思う日が来るのでしょうか。
母とかを泣かす(もう何度も泣かしてるけど)
日が来るのでしょうか。
当たり前の挨拶やお礼ができずに、
大事な誰かに見放される日が来るのでしょうか。
ハローとグッバイとサンキュー。
今までの、そしてこれから出会う大切な人達と
すれ違っていかないように
心して忘れないでいきたいと思います。
って今日の話は作文みたい(笑)。
サンキューも言わなくなって
ハローもグッバイもサンキューも
言わなくなるような自分になることが怖いです。
知人が車イスの方の散歩を手伝う
ボランティアに行った時。
その日はひどく暑い日だったそうです。
炎天下の中、長時間。
車イスを押していた知人は、
ひどくのどが渇いていたそうです。
その時、車椅子に座っていた人が、
120円を差し出しました。
「コーラがいい。買ってきて。」
車イスに座ったその人は、知人の前で
コーラを飲み干したそうです。
知人には目もくれずに。
ボランティアってのは、
行う側が「奉仕させてもらう」っていう意識で
動くことが重要だと言われたことがあります。
“別に名乗るほどのもんじゃねぇ。
礼なんてヤボなことはよしてくんな“
このスピリッツでいけたらイキですね。
でもこれが難しい。
ところで私、
障害者手帳をもらうことにしました。
すみません、続きます。










