はたらくおねえさん
事務の仕事をする前に、
違う業種の会社でお仕事していたぽこ。
ある仕事が締め切りを迎え、
あと4時間ほどで終了というところまで来ました。
現在、午前4時。
「あー、ダメ、限界!
あたしちょっと風呂だけ入ってくる!」
がたん、と、大げさに音を立てて立ち上がり、
手荒くバックをひっつかんで出て行ったのは
桜さんです。
「最終チェックにはゼッタイ帰るから!」
…さて、これが結果的には嘘になるということは、
大体みんな分っています。
何回かけても電話はつながらず、
仕方なく最終チェックは別の人がやり、
全てが終わった昼過ぎごろに、
「いや~、風呂入ったら、つい寝ちゃってさ~。」
とか何とか言いながら、
すごくキレイに化粧をした顔で出社してくるのです。
社歴もかなりあるのに、
大事な仕事はゼッタイ任されない桜さん。
「でもさ、あの人、信用はされてないけど
嫌われてもいないでしょ。」
……そういえば、そう。
フォローが抜群にうまいのです。
「そしてね、自分が本当にやりたい仕事だったら、
手は抜かないでしょう。」
そう。自分から企画を提案することもあります。
それに対してはものすごく真摯な姿勢です。
それがヒットになる時もあるのです。
そんなわけで、社内の評価はまずまずなのです。
「人が使い捨ての企業はさ、
そういう処世術がないと
生き残れないんだよ。」
ほほう。
真似は難しいものの、
オトナの知恵を学べる人でした。
