たしなめられる
「仕事のたびに再発を繰りかえす自分は
もうゼッタイ仕事しちゃダメで、
これからずっと隠居みたいに暮らすんだわー。」
と、思ってしまったことがありました。
「おねえちゃん、あちきと遊ばない?」
ってそれは古いですけど。
そこでお医者様に伝えました。
「私、病気が完全に治らないなら、
一生仕事できない可能性も考えてます。」
すると、普段ほとんど悪表情を出さない先生が
すこし怒った顔をされました。
「この病院の土曜日の外来ね、
公務員や教師の患者さんでいっぱいになります。」
はい。前からうかがってます。
「教師が休職する理由の約70%は精神病です。
ほどんどはうつ病ですが、それ以外もあります。
職場で幻聴が聞こえるという方も、来ます」
え!?
「だのに教師の離職率は低い。
みなさん、それでも仕事を続けているんですよ。」
薬を飲みながら、ひどい時は注射を打ちながら。」
長いかな?続きます。
今まで見たことない君を見て
さて、塾の講師のアルバイトを辞めて、
妹専属の家庭教師になった私。
初日に、意思確認をしました。
ぽこ「本当に、行きたいの?」
妹の目指す高校は、
進学率こそ高くないものの、
デザインの指導が充実していて、
県内では一番人気の美術系高校です。
ぽこ「今までの生活ではムリだよ。」
妹「うん。わかってる。でも私、将来
美術関係の仕事がしたい。
受かるためなら何でもする。」
って、言ったな~!
じゃあ、じゃあこっちも言っちゃうぞ!
ぽこ「まず禁煙!」
タバコを吸っていると、脳の働きが78%くらいに
阻害されちゃうんだぜ(うろおぼえ)。
缶ピースやわかばを吸っている妹です。
これは無理でしょう。
なぜそんな種類ばっかり吸ってるかというと、
スナックでおじさんにもらいタバコを
するとだいたいこういうラインナップ
になるからだそうです。
「中学生はお金なくてタバコも買えんって
言うと大体くれるよ。
お店の人も客よせになるから、
チャージ料とらないし。
飲み物はおじさんに奢ってもらうんだよ。」
中学生離れした発想に半分感心です。半分ね。
さてさて話は戻って。
しかし妹はキッパリ言い切りました。
「やる。」
ぽこ「夜9時就寝の朝3時起床で、
そのまま4時間7時まで勉強!」
夜のプリンセスにこれは無理でしょう。
「やる。」
って、えええ~!
このヒト本気だよ!?
どうしよう。テキトーに相手して、
実家の夏休みを満喫するつもりだった私の計画が
コロリとひっくり返った瞬間でもありました。
でも、いくら本気でも続くか?
3ヶ月(私の夏休み期間)!
で、結果から言うと偏差値を38上げました。
続きました。3ヶ月。
結局志望校には足りなかったけど、
進学さえ危ぶまれていた妹が、
なかなかの高校に行くことが
できることになりました。
ヤンキーの底力を見た思いがしました。
ああ長かった。
こんな長い文章読んでくださって
ありがとうございます。
おつかれさまでした。
まだどうぞよろしゅう。
今まで見たことない君を見て
妹が中3の頃のお話です。
当時妹は反抗期まっさかり。
塾に行くと大嘘ぶっこいて
毎晩マチに繰り出し、
補導されていたものでした。
余談ですが当時の妹の髪型は黒髪のおかっぱ。
「何でそんな地味な髪型なの?」
と聞くと、
「クラブで
セーラー服におかっぱは
”清純派”って思ってもらえて
ウケがいいんだよ」
どこまでもウケ狙いなんて、芸人かお前はっ。
まあそんなことはどうでもいいのですが。
妹には当然入れる高校がありません。
そこで、母は私に言いました。
「妹を志望校に合格させてくれたら、
車の免許を取らせてあげる」
これに乗らない手はありません。
二つ返事で引き受けた後、
センター試験で13点(数学)を取った
歴史を持つ私ですら、
妹の偏差値を見て顔色が変わりました。
志望校に偏差値が45足りないよ!
さてさて、
妹の偏差値はいくつ上がるのか?
次に続けさせてください。
美女傾国す Part3
コスパブオフィスに入社したぽこ。
だんだん化粧の濃さにも慣れてきました。
更衣室にラメラメの粒が落ちて
(洋服やメイクの跡)
天の川なのにも慣れてきました。
っていうか自分も化粧が濃くなってきました。
郷に入っては郷に従え。
でも、まだまだ先輩たちには追いつけません。
アイライン幅5ミリ
とか引く勇気が持てません。
そんなある日。
「疲れた日はパスタくらいで
チャチャッてごまかしちゃいますよね」
「私は丼モノにするかな」
何気ない会話!
それこそが、川島さんのハートに
火をつけてしまったのでした。
知らなかったのです。
川島さんが
料理を「知らない」ことを……
その後何日か私を無視していた川島さん。
ある朝、上機嫌で出社して来ました。
朝礼も終わり、今日も一日伝票整理です。
と、川島さんが給湯室でなにやら
やっている気配がしました。
そして、彼女はやってきたのです。
(ちなみにバリバリ就業時間中です。)
「きのうテレビでやってたの!
じゃがマッシュ!」
解説しましょう!じゃがマッシュとは、
じゃがりこのカップ半分弱にお湯を入れて、
ふやけたところでぐちゃぐちゃにする、
というミラクルレシピなのです!!
「あたし、これ得意料理にする~。」
キッと私ともう一人、丼モノの女の子を
にらみつける川島さん。
「彼もウメェうめぇって言ってくれたんだよね。
きのうの晩ごはんこれだったよ。」
晩ごはんがじゃがマッシュ?!だけ!?
「所長も食べてくださいよ~。
超おいしいんですよ~。」
あと2年で定年の、
高度経済成長期とバブルの時代に
思いっきり美味しいものを食べたと話す
ナイスミドルの所長に
ムリヤリじゃがマッシュを食べさせる
川島さん。
ああ、あなたに勇者の称号を捧げましょう…
美女傾国す Part2
コスパブオフィスに入社したぽこ。
今日も牛タン定食を食べながら、
同僚の話に耳を澄ますのでした。
「2人がかわいそうで
しょうがないの~」
実際に体をくねくねさせる人を、
生まれて初めて見ました。
「新しい彼とは出会い系で会ったんだけどね」
ほう。あなたは来年挙式予定では?
「あの人といると安心するんだけど、
新しい人とは彼には感じたことない
トキメキがあるの!」
だから?
「2人とも私のせいで苦しんでるんだ~。
あたし、罪な女かな~」
まあ。実に不愉快な話。
しかし一番不愉快なのは、
彼女が稲中に出てきそうなナイスな顔、
なところでしょうか。
出会い系って偉大だなあ。
(たまには毒も吐いてみました。
不愉快だったら速攻やめますから
言ってくださいね。)
それも営業ですか
妹が大学生の夏休み。
帰省してきたら、
イキナリ金髪のボウズになってました。
おしい。桜木花道まであと一歩です。
ゴブランカーテンみたいな花柄のポロシャツ。
真緑のハーフパンツ。
銀色のアイラインが10ミリはあるギャルメイク。
(グレた!?)
っていうかよく考えたらこの子は
中学からグレてた。
中学でクラブデビューして、補導されて、
それに懲りてクラブ卒業して
中学にしてスナックデビューしてた。
妹いわく、
「クラブは警察が補導に来るけど、
スナックには来ないんだよ。
いいでしょ」
とのこと。
そんなワイルドな妹ですが、
外見までまちゃまちゃのようにならなくても…
と、家族で案じていたら、冬の始まりと共に
そのファッションをやめました。
「この格好だとモテないんだね」
……って気づくのおそいよ!
いや、むしろその格好こそが
モテに通じると思っていたらしい。
我が妹ながら理解しづらい。
今はJJ系お姉さんファッションです。
本気の時は身支度に3時間はかけるそうです。
一緒に歩くとかなりの確立で男が振り返ります。
最初からそうしときなよ。
お母さん伝説
うちの父は、機械の修理工をやっています。
外回りで現場仕事。ほぼ毎日作業着は汚れます。
そんな父の作業着を母は毎日ゴシゴシ手洗い。
時間も手間もかかる作業です。
「洗濯機放り込んじゃえばいっちゃない?」
ある日、私は言いました。
すると、
「この作業着を洗うお母さんが
大変なよりも、
これを汗と油まみれにするお父さんは
もっと大変やとよ」
……お父さんもお母さんも、いい結婚したねえ。
不都合はありません。
ナタデココが好きです。
あの独特のくにゃっとした歯ごたえ。
おいしいですよね。
一時期ケースで買い置きしていたくらい好きでした。
ある日の夕ご飯の後、
その大好きなナタデココを食べようとしたら…
ない!
冷蔵庫のどこにもない!
さっと家中を見まわす私。すると!
「お父さん!」
犯人は父だったのでした。
ま、しょうがないといえばしょうがない。
でも、許せないことがありました。
「お父さん、
それはおかずじゃないんだよ。」
父は、青菜のおひたし、酢豚と
ナタデココでビールを飲んでいたのです。
気持ち悪い組み合わせじゃないでしょうか。
「そう?分らんよ。変わらんよ。おいしいよ。」
一杯機嫌の嬉しそうな父を背に、
私は何も言わずに立ち去ったのでした…
美女傾国す
(私が入社したのはコスパブだったっけ!?)
と、オフィスに入った瞬間、私は思ったのでした。
何だか化粧が派手。
スカートがひざ上10センチくらいある。
そしてみんなモンローウォークで歩いている。
その中でもボス格を気取っている
川島さんはすごかった。
まず金髪。オフィスで彼女が歩くと、
黒づくめのスーツのおじさんの中から
彼女の金髪がキラキラと浮き立つのだ。
「あたしJJヘアにしたくてさ~」
いえ、もう充分です…って、誰も止めないの!?
ツメもすごかった。スカルプというのよね。
(こんなすごい長くてラメで黒いツメ始めて見た…)
思わずじっと見ていると、感心したと思ったのか
嬉しそうに彼女は言ったのだった。
「このネイルのテーマ、
ギャラクシーっていうんだよ。」
……宇宙?!
OL、総務、経理、そしてギャラクシー。
ミラクルです。
コネ入社ということで、
誰にも何も言われない川島さん。
総務課の女王です。
でも、こんな人を許してたら、
会社は立ち行かないだろうな~
と、思ってたらその会社はつぶれました。
一体あの会社はなんだったんだろう…














