斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」 -12ページ目

防衛本能

京都もようやく梅雨入り、したとか。

病室から見える釜座通りも、傘をさしてる、さしていない人が見えます。

 

それにしても、お腹はすいて、夜中にはクウクウ鳴ったりするのに、

食べ物が食べられない、というのは、なんというこの世の不条理…。

 

どうやら、そろそろ鼻からチューブを通して胃袋に栄養を入れる、

ということになりそうです。

 

妻から教えてもらって、NHK+で、佐野史郎さんのインタビュー番組見ました。

 

彼は、血液のがん「多発性骨髄腫」で、ほんとうに生死の間をさまよったとか。

でもがんの告知や体温が40度を超える苦しみのときも「俳優」としての目で自分を見ていた。そしてそれは「防衛本能」であった、というのが、とても示唆的でした。

 

僕の場合、なによりも本の校正の仕事に意識を向ける、というのが「防衛本能」として働きましたね。それとつねにネットで外とのつながりを維持したこと。

 

ところで津野史郎といえば、僕にとっては、ラブクラフト好きとして、まえから「親近感」をもってました。彼が演じた、ラブクラフトの『インスマスを覆う影』を日本を舞台にしてドラマ化、超マニアックの作品が秀逸。

それと『ダークサイドミステリー』では、ラブクラフトを演じてましたね。

 

そしてなによりも「松江」が出身であること。

「出雲」の神話世界が、少年時代の経験とつながっているのだとか。

ついでにほぼ同年代。

 

という感じで、こんなことをつらつらと書くのも、僕の「防衛本能」ですね(笑)

 

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写真は、昨年のいまごろ、家のベランダから見える、美しい夏空。

 

散歩から戻って、熱いシャワーをあび、ベランダで涼しい夕風に吹かれながら、

冷たいビールを飲む…、というひとときが、いかに大切な時間であったか。

あと少しの辛抱ですね。

 

 

 

 

 

 

 

元気のもと

一日10分、「がん」にちまちまと照射する放射線治療も、いよいよ残すところ、あと10回をきりました。ということで、「退院」というゴールも見え始めてきました。

 

それを狙ったように、さっそく退院後の「快気祝い」は、いつごろがいいか、なんていう嬉しいメールもきました。メールの主は山下さん(笑)

 

さすがに退院すぐに「ビール」というわけにはいかないので、快気祝い、暑気払い、

それに本の刊行祝いもかねて、七月末ぐらいでしょうか…。「床」のジャズバーも。

いずれにせよ、さっそくそういう話をしてくれるのは、ありがたいことですね。

 

  

 

〈学知史〉から近現代を問い直す

 

 

その他、いま一番注目中の若手の某くんからもメールがきて、今後の研究活動の相談なども受けました。早く一緒に共同研究したいですね。

 

こういう「外」とのやり取りが、元気のもとです。

 

でもこのところ、しっかり食べていないので、トイレに行く姿もふらふらしている、

と看護師さんたちに言われ、地下の放射線治療室までには、車いすの送迎が付くことになりました。車いすに乗ると、いかにも「病人」となっていやなんですが…。

 

ともかく食べたいのに、固形物は喉を通らない。噛んでも味がしない。

いま唯一の救いは、じゃがいものポタージュスープ。

「インカのめざめ」というのを毎食飲んでいます。

 

山下さんからも「食欲のない斎藤は、斎藤ではない」(笑)と励ましも。

たしかに食べられないことの辛さは、まさに大食い、食道楽の斎藤のアイデンティティ・クライシスですね。

 

それはそうと、今年は梅雨入りが遅れているのでしょうか。

まぁ、病室の窓から薄暗い雨空を見るのはユーウツですが、

気温の上昇がすごいみたいで、暑さに弱い妻のほうが参っている様子。

 

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ということで、写真は、梅雨の雨のなかの大学の中庭。

 

 

 

入院中なのに生産力がすごい

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妻のほうで、七月の刊行物を整理してくれました。

 

入院中なのに生産力がすごい(笑)

これもすべて担当の編集者さんたちのおかげ。

 

おかげさまで、7月下旬は出版ラッシュです。

 

・『神道・天皇・大嘗祭』人文書院 7/31 単著 520頁

 

・『NHK大河ドラマ 歴史ハンドブック 光る君へ もっと知りたい平安時代

 : 宮廷女性・貴族政治・陰陽道』NHK出版 7/29 寄稿

 

・小松和彦監修『別冊太陽  呪術の世界』平凡社 7/29 寄稿