斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」 -11ページ目

「入院する」までの経緯につきまして

SNSで「入院します」とか、情報流していて、具体的なことがわからないので、

よけい心配していますというご連絡をいただきました。申し訳ないです。

 

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べつにもったいぶるほどのことでもないのですが…。じつはこんな経緯がありました。

 

昨年末ぐらいから耳の調子がおかしくて、なんか詰まった感じが続いて、

近所の耳鼻科にいったら、最初は、べつにどこも問題ないとか言われて、

しばらく鍼灸医とかに通っていました。

 

しかしぜんぜんよくならないので、ふたたび耳鼻科にいったら、

精密検査を受けてください、ということで大きい病院に繋いでもらいました。

 

そこで精密検査をしたら、鼻の奥にほうに「おでき」があって、それが詰まっている感じのもと、ということで、さらに「生体検査」やらMRIとかで調べたら、なんとそれは悪性腫瘍であった、ことが判明したのでした。

 

お医者さんは、残念ですが、これは悪性です…と。正式な病名は「上咽頭がん」。

けっこう稀なケースらしい。

 

ただし鼻の奥は直接、切除できないので、放射線治療と抗がん剤の併用の治療になること、けっこう時間がかかるので、ひと月半ほどの入院になること、ただし連休に入るから、入院は連休明けに…という感じで、どんどん話は進んだのでした。

 

その後、さらにPET(ペット)検査とかもして、いまのところほかには「飛んでいない」とかの結果も出て、一安心。(最初、ペットって、何?でしたが)

 

まぁ、それにしても、耳の不調から、よくここまで判明したものだと。考えようによっては、幸運だったともいえますね。というか、最近の医療技術の進歩はすごいと。

でも最初に結果がわかったときは、なんか現実感がなくなってしまい、自分と「現実の世界」とが分離されてしまった感覚でした。

 

なので、即座にメールとかで大学の休講や講演会の予定の変更、出版社のほうへの連絡、また研究会の仲間たちへの連絡などをして、なんとか「現実」との繋がりを回復させた、という思いでした。まぁ、病気という非日常的出来事を「日常」に戻した、という感覚ですね。

 

それはともかく最近の医療技術は進歩しているので、「完治」させることを前提に、治療計画を立ててくれるので、まぁ、これはもう専門家に任せるしかない、という気持ちです。

 

ということが、「入院する」ことまでの経緯です。

 

なんかあちこちに「伏線」をはっていた推理小説の謎解き、って感じ(笑)

ということで入院中は、読みたかった長編の「本格探偵小説」を読んでいようと思います。

 

なお、病院内はまだ「コロナ」を警戒していますので、

家族以外の面会はできないそうです。

 

病室はWi-Fi完備で、メールとかもふつうに出来ますので、FBでの「続報」も。

とくに「手術」するわけではないので、なんか時間を持て余しそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

持って行く本をリュックに詰めて

なんだかんだと言っているうちに、入院まで、カウントダウンになりました。

妻のほうは、「入院セット」の一覧表をみながら、いろいろと準備してくれています。

僕のほうは、持って行く本をリュックに詰め始めたら、膨らんでしまい、どれを後回しにするのかなど、本の選定。それと見ていない映画のDVDも持って行こう…と、まったく何しに行くのか(笑)

と言う感じで元気なので、入院する、ことの実感がないです。

写真は、居間の端っこの書棚。澁澤龍彦とか、生田耕作とか「趣味系」の本。

 

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左にあるのは、中設楽の花祭りでもらってきた添え花。それと「妖怪」などのフィギア。本棚には、フモフモさん。

 

 

 

 

 

 

『源氏物語』谷崎潤一郎訳の試み

土曜日。

午後、佛大O.L.C.講座、大津直子さんの

「『源氏物語』を再生する ―谷崎潤一郎の試み」

を見逃し配信で聴きました。

 

 

 

 

とっても面白かったです。旧訳から新訳への展開で、源氏物語の語りの口調が現代語訳に「再生」されていた、というのは「なるほど」と。

 

僕も、ずいぶん昔に、中公文庫の潤一郎訳の源氏物語を読みました。

たしかに「原文」がもつ、仮名文の文体へのこだわりを感じた記憶が。

 

なるほど玉上琢彌の「物語音読論」の反映もあったのか…、など、いろいろと勉強になりました。

 

戦前の旧訳の監修者は山田孝雄。谷崎の回想で、山田が皇后と臣下との「密通」は、「必ず削除すべきである」と襟を正して申し渡されたときの態度が「いかにも古への平田篤胤などに見るような国士の風があった」なんて書いています。

 

山田孝雄は『平田篤胤』という著書もあります。谷崎は、これを読んだのでしようか…。

というエピソードは、僕の『折口信夫』(ミネルヴァ評伝選)でも引用してあります。大好きな谷崎潤一郎が、自分の本に登場してきて、とても嬉しかった。

 

 

折口信夫:神性を拡張する復活の喜び (ミネルヴァ日本評伝選)

 

 

折口もまた、近代における、「源氏読み」の重要なひとりです。

近代における「源氏読み」の諸相については、折口信夫論の続きで書きたいところですね。

 

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写真は、谷崎と玉上とが打ち合わせをした「花見小路吉初」です。

谷崎源氏も飾られた部屋。

 

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なぜここに行ったかというと、ここで重森三果さんの新内の演奏会があったからでした。昨年の二月のこと。