みなさん、こんにちは。
カウンセラーの佐原です。
お元気にされていますでしょうか?
今日は最近の痛ましいニュースによって関心が高まっている、子供への虐待についてお話します。
虐待とまでは行かなくとも、
・子供を強く叱る自分を止められない
・子供を叩いてしまって、後で自己嫌悪に陥る
・子供がビクビクして親の顔色を伺うようになってしまった
と悩んでいるお母さんは非常にたくさんいらっしゃいます。
そして、なんとかしてそれを止めたいと思って、カウンセリングに来られます。
幸いこのテーマは心理療法で的確に扱えば、比較的簡単に改善するテーマです。
ではどのようにして、それが可能なのか?
今日は、子供を叩いてしまう時、親の心に何が起こっているのか? そしてどのような改善が可能なのかを、心理療法的に解明して行きたいと思います。
【大切なのになぜ傷つけてしまうのだろう?】
「子供を強く叱ってしまう…」「叩いてしまう…」とおっしゃるお母さんも決して子供のことが憎いわけではありません。愛していないわけでもありません。
だからこそ叩いた後に深い自責の念に襲われるわけですが、
では
なぜ大切に思っているのに叩いてしまうのでしょうか?
この矛盾した行動を理解するには、まず最初に簡単に人間の心のメカニズムを持っておくとスムーズになります。
このブログでも度々取り上げる「自我状態のモデル」です。
1人の人間の中には「親」「大人」「子供」の3つの人格が存在していますよ、という心のモデルです。
この理論は夫婦関係や友達関係など、様々な場面で役立ちますので、ぜひ知識として持っておいてくださいね。
自分というのは1人ではなく3人の人格が共存しているものだと思ってください。
そしてその3人「親」「大人」「子供」は場面や相手によって、ころころと入れ替わっています。
例えば職場での会議の席では「大人」の人格で出てきて論理的に話をしています。
ですが、部下や同僚が困っていたら「どうした?」と親身になって話を聞いてあげたりします。この時の人格は「親」もスイッチしています。
今度は上司と世間話をして、いじられたり冗談を言ってツッコミを入れられたりしている時は「子供」の人格になっています。
このように人は同じ職場の中でも場面によって瞬間的に人格をチェンジさせながら対応しています。
なんとなくイメージを掴んでいただけたでしょうか?
人によっては、「親」の分量が多い人もいれば、「大人」の分量が多い人、「子供」の分量が多い人、それぞれです。
では、このモデルを使って、先程の子供を叩いてしまうという問題を見てみましょう。
そうすると、お母さんの心に何が起こっているのかが見えてきます。
【お母さんの中の「子供」が発動する】
子供や赤ちゃんと接する時、お母さんは自動的に「親」の人格が優位になります。
ですが、「親」の人格で我が子に接して優しく甘えさせていると、お母さんの中の「子供」の人格が、モヤモヤと何かを訴えるのです。
子供を可愛いと思う気持ちは本当で、それに従って可愛がろうと思っているのに、内なる「子供」は拗ねるような気持ちが出てきたり、悲しくなったりします。
それは何だろう?と、「子供」の自我意識に対して心理療法で掘り下げていくと、
「私はやってもらったことないのに…。」
「この子ばっかりずるいよ…。」
という、「子供」の人格の不満が出てきます。
つまり「親」の人格はしっかりと子供を愛したいと思っていながらも、愛そうとすると「子供」の人格から「待った!」がかかるのです。
一人の心の中で「親」と「子供」の人格の不調和が起こっている状態ですね。
場合によっては、子供を愛そうとすると、
「自分がもらったことないものを与えられないよ…。」と、奪われるような感覚が出てきて、しんどくなる方もいらっしゃいます。
その結果、無意識に我が子への愛情の流れを制限してしまい、身体ではハグしていても、愛情のエネルギーの流れは止まったままです。
そうすると当然、我が子は満たされません。
「抱っこ〜」と甘えて、もっとちょうだい!もっとちょうだい!と訴えて来ます。
お母さんはそれに耐え続けることで疲弊するか、爆発するか、という危うい状態に陥ってしまいます。
【子供のしつけとして叩いてしまう】
また別のパターンとしては、
自分が母から与えられた禁止を我が子が破ることで勝手に身体が反応してしまうケースがあります。(こちらも非常に多いパターンです。)
具体的に言うと、自分の親がものすごく厳格で口うるさくしつけられた場合。
たとえば後片付けをきっちりしないと叩かれたり怒鳴られたりして、幼少期を緊張しながら過ごしてきたとします。
そうすると自分の中の「子供」の人格の中にはまだ怖い親からの禁止が身体感覚レベルで残っていて、ぐるぐる巻きに縛られている状態にいます。
比喩的に言うと
「この禁止を犯したら許さないよ!」という御札が体中に貼られています。
その状態で、目の前の我が子が後片付けをしないと、御札が自動的に発動して、カッとなり叩いてしまいます。
過去に親から叱られた恐怖が今も自分の中の「子供」の人格の中に保存されていて、それが刺激されると発作的に叱ってしまうのです。
腹が立つから叱るのではありません。腹が立っているように見えて、その奥にはとても大きな恐怖があります。
こういったケースのお母さんは、子供の奔放なふるまいの1つ1つに、自分の中の「御札(禁止)」が刺激されるので、そのつど心がざわつき、子育てをなかなか楽しめません。
ですので、「子育てが楽しめなくてつらいです」という主訴でご相談に来られることもあります。
子供の一挙手一投足に、心が刺激されへとへとに疲れて、やがては爆発してしまうのです。
自分の中の「親」の人格は子供をおおらかに見守りたい。
でも「子供」の人格に貼られた御札が今も力を持ってしまっている状態です。
【解決法はあるのか?】
以上、2つのパターンを見てきましたが、いかがでしたでしょうか?
それ以外にも、被害者のパターンを持っていて、子供が悪さをすると、自分を否定された、バカにされたと感じてカッとなるケースなどもあります。
では、どうすれが解消できるのでしょうか?
解消のためにも先の「自我状態のモデル」が役立ちます。
自分の中でまず「親」の人格と、「大人」の人格と、「子供」の人格を分けて観察することを意識してください。
「親」の人格はしっかりと子供を愛していたとしたら。それであればひとまずOKです。自分に○を付けましょう。
叩いた後に自己嫌悪に陥るというのも、親の人格に愛がある証拠ですからね。○を付けましょう。
では「大人」の人格はどうでしょうか?
このままではまずいと思って検索してこのブログを読んでいたり、なんとか理解しようと記事を読んでいる。これがあなたの中の理性的な「大人」の人格です。
よく機能して働いてくれていますよ。ご安心ください。自分の中で○を付けましょう。
そして今度は自分の中の「子供」の人格を意識してみましょう。
子育ての不満を思い出して、身体が何か不快感を感じていないか感覚を味わってみてください。
みぞおちがざわざわしていたり、胸がギュッとしていたり、身体の感覚をゆっくりと感じてみましょう。
その不快感こそが自分の中の「子供」の発しているサインです。
「子供」の人格はぞのざわざわを使って何と言っているでしょうか?
「自分は愛してもらえなかったのに…ずるい…。」とか、
「私だって受け止めてもらいたい。」だったり、
「これやっちゃダメなのに…。」
「ちゃんとしないとダメなのに…」とか、
「怒られたくない、怖い…。」だったり、
「馬鹿にされたくない。認めてほしい、褒めてほしい…。」
など、様々なメッセージを発していると思います。
それを感じながら、「そうだよね。わかるよ。」と柔らかい意識を向けてあげることは、
自分の中の「親」の人格を使って自分の中の「子供」に寄り添ってあげることになります。
そうしていると、「子供」は少し心を緩めてくれます。
軽い状態であれば、こういった自分との関わりを意識することで徐々に内なる「子供」は穏やかに愛情を感じるようになり、それに伴って、目の前のわが子にも優しくできるようになっていきます。
自分の中の「子供」を許して奔放に遊ばせてあげる分量を増やすに従って、目の前の我が子の無邪気さを良きものとして楽しめるようになります。
我が子の至らなさに可愛らしさを見て、微笑ましく見守る。
そんな子育てを心の底から楽しめるようになります。
また心理療法のセッションでは、実際に内なる「子供」の傷を癒して愛情を供給したり、
貼られた御札(禁止)にどんな種類があるのかを具体的に見て、的確に1枚1枚外していきます。
そうすると、憑き物が取れたように楽になって、呼吸まで軽くなります。
根が深そうな時はご相談ください。
またこちらの記事も今回と同じテーマで、こちらにはクライアントさんの声も載せています。>>「子供を強く叱ってしまう、の解決法」
良かったら御覧ください。
【「大人」の人格にセラピーをしても意味がない】
解決のポイントは、3つの自我の内の「子供」に対してセラピーを行うことです。
「こう考えたらいいですよ」という「大人」へのセラピーも、
「こうやってハグしてくださいね」という「親」への教育も、本質的な解決にならないのは、
根本原因が「子供」の自我にあるためです。
カウンセリングをしていると、皆さん、「大人」も「親」も、しっかり成熟していらっしゃいますし、論理はよく理解されています。
そっちは大丈夫ですから、子育て中にも時々、
「自分の中の「子供」は元気かな? 」
と気にかけてあげてくださいね。
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