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Q 一般社員から兼務役員になったとき、支給した賞与を全額損金として扱えますか。

Q 一般社員から兼務役員になったとき、支給した賞与を全額損金として扱えますか。


 結論からいうと、あまりに高支給率でなければ全額損金にできます。つまり、役員賞与はゼロということでもかまいません。兼務役員の場合、月例給与が役員としての役員報酬と従業員としての賃金に分けて支給されているため、賞与も役員賞与と従業員賞与に分けて支給することが税務当局側の見解にあるかどうかですが、どうもそれはないようです。

 しかし、当該兼務役員のみ他の従業員とかけ離れた支給率で支給されていると、超過した分を役員賞与と認定されて損金算入が認められない可能性は十分あります。したがって、高額なものを支給するのであれば、当該兼務役員の賞与の算定根拠は会社としてはっきり残しておかなければなりません。

 何の仕組みも評価もないまま高額な賞与を支給することは、税務上だけでなく、経営上も望ましくありません。

Q 会社の近隣で下水道が整備されることになり、下水道負担金を市に支払いました。税務上の処理はどの

Q 会社の近隣で下水道が整備されることになり、下水道負担金を市に支払いました。税務上の処理はどのようにすればいいでしょうか。


 法人が支出した費用のうち、その効果が支出してから1年以上に及ぶもので創業費、開業費、試験研究費、新株発行費、社債発行差金、社債発行差金、建設利息は繰延資産として処理し、効果の及ぶ期間を基礎として償却すべきものとされています。

 その他に繰延資産として処理されるべきものには、資産を賃借するための権利金や法人が必要に応じて作った公共的施設(道路、堤防など)の費用、それらを国や地方公共団体に提供した場合の価額、また、国や地方公共団体が行った公共的施設の設置によって利益を受ける場合の設置費用の一部の負担金も繰延資産として処理することになっています。
 質問の下水道負担金は、「法人が国等の行う公共的施設の設置等により著しく利益を受ける場合のその設置等に要する費用の一部の負担金(受益者負担金)」に該当することになります。

 償却期間は「繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間」とされ、固定資産を利用するために支出した繰延資産についてはその固定資産の耐用年数、権利金等の場合はその契約期間とされています。公共的施設の場合は、その施設の耐用年数の4/10(専属的利用の場合は7/10)ですが、下水道負担金の場合は、法人税法基本通達8-2-5によって6年と決められています。

 繰延資産となる費用のうち20万円未満の少額なものについては、損金処理が認められています。

Q 役員に対する報酬、賞与は税務上どのような取り扱いになりますか。

Q 役員に対する報酬、賞与は税務上どのような取り扱いになりますか。


役員報酬
原則として損金算入されます。
社内で定められた支給基準によって、定期的に継続して支給される給与は損金算入されますただし、定期昇給以外に特定の月のみ、通常支給される給与以上に支給された部分は役員賞与として取り扱われます。
また、毎月支給される給与においても、以下の基準により計算した限度額を超える部分については、不相当に高額な部分の金額については損金不算入となります。

・実質基準・・・・職務の内容、類似法人の支給状況等に照らして計算した金額
・形式基準額・・・定款の規定、株主総会によって決められた支給限度額

役員だけではなく、特殊関係使用人に対する給与等にも不相当に高額な部分の金額については損金の額に算入されません。特殊関係使用人とは、以下のいずれかに該当するひとをいいます。
(1)役員の親族
(2)役員と事実上姻戚関係と同様の関係にある者
(3)(2)以外の者で、役員から生計の支援を受けている者
(4)(2)(3)と生計を同じくする者

役員賞与
原則として損金不算入です。
役員のうち部長などの職制上の地位があり、常時使用人として職務に従事する使用人兼務役員については、他の使用人と同一時期に、同一基準によって支給されたものについては、損金算入が可能です。

Q 出向社員の給与は税務上どのような取り扱いになりますか。

Q 出向社員の給与は税務上どのような取り扱いになりますか。


出向とは、出向元の法人と雇用関係を維持して、身分または籍を残したまま他の企業に勤務することをいいます。

一般的に、出向元法人が出向者に給与を支払い、出向先法人が出向元法人に負担金(経営指導料等の名義で支出されても、実質的に負担すべき給与相当額であれば、不課税取引の給与として取り扱われます)を支払って、給与条件の較差を補填することが行われています。
出向元の法人も出向者との雇用契約が出向期間中であっても依然として維持されているので、給与負担金は損金として取り扱われます。ただし、補填に際して合理的な理由がない場合には、出向元の法人において寄付金として取り扱われます。

合理的な理由には、以下のものも該当します。
・出向先法人が経営不振等で出向者に賞与を支給できず、出向元法人が負担した場合。
・出向先法人が海外にあるため、出向元法人が留守宅手当を支給した場合。

出向者が出向先の法人で役員になっている場合には、役員賞与については損金に算入できませんので注意が必要です。給与負担金のうちどの部分が給与で、どの部分が賞与かを確定する必要があります。

出向元法人が出向者に給与を支給するつど、その支給額の範囲内で出向元法人に負担金を支給する場合
・定期の給与・・・役員報酬(過大部分以外は損金算入)
・臨時の給与・・・役員賞与(損金不算入)

出向者に一定期間内に支払われる合計額の範囲内で、毎月分割するか、一括して出向元法人に支出する場合
・出向元の法人が支給した定期の給与まで・・・役員報酬(過大部分以外は損金算入)
・上記以外      ・・・・・・・・・・・役員賞与(損金不算入)

Q どのような経費が「交際費」にあたるのでしょうか?

Q どのような経費が「交際費」にあたるのでしょうか?


 交際費とは、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」とされています。
 「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、(1)間接に利害関係のある者 (2)取引のない同業者 (3)近い将来取引をもつ者 (4)会社内部の者(株主、役員、従業員)が含まれます。ですから、一部の社員を飲みに連れていった場合は、税法上交際費になります。
 「接待、供応、慰安、贈答..」には、飲食、ゴルフ、旅行、観劇等への招待、贈答などをいいます。また、団体等に対する会費を負担した場合に、その団体等が専ら親睦のために組織されたものである場合は、会費相当額は交際費になります。

□ 交際費の損金算入について

 売上を伸ばすために支出される交際費は、企業経営上必要な費用項目でありますが、税務では原則損金に認めない扱いをしています。交際費の損金算入は、法人の資本金によって定額控除限度額が設定されていますが、限度額に関わらず支出額の20%は、損金不算入となります。

期末資本金5000万円以下  年400万円
期末資本金5000万円超   全額損金不算入


□ 損金不算入額の計算方法

損金不算入額=(交際費の支出金額のうち定額控除限度額に達するまでの金額×20%)+(交際費の支出金額のうち定額控除限度額を超える部分の金額)

例)期末資本金5000万円以下の法人で、交際費支出が700万円の場合
400万円×20%+(700万円-400万円)=380万円


□ 交際費に該当しないもの

1.従業員の慰安のために行われる運動会、旅行等のために通常要する費用(福利厚生費)
2.一般消費者を対象としたカレンダー、手帳、てぬぐい等の物品を贈与するために通常要する費用(広告宣伝費)
3.会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用(会議費)

 これらの費用は交際費には該当しないので、除外しないと支出額に対して約5%~8%の税金を無駄に払うことになります。

区分にあたっては、以下のような注意が必要です。
1.一部の特定の社員を対象とするのではなく、全従業員(不参加者を除く)を対象としたものでなくてはなりません。
2.得意先を対象とした物品の交付は原則交際費ですが、例外として3000円以下の物品の贈与に関しては広告宣伝費として扱われます。
3.通常要する費用は、1人あたり3000円以下と言われています。また、会議は社内会議だけでなく、来客との打ち合わせも含まれます。ただし、飲み屋、料亭等は認められません。