Q 株価を下げるための有効な方法として、役員退職金を支給することは効果があるのでしょうか。
Q 株価を下げるための有効な方法として、役員退職金を支給することは効果があるのでしょうか。
経営者である役員が生前に退職し、役員退職金を支給すると次のような効果があります。
1.純資産価額の引き下げ
自社の株式が純資産価額で評価される場合、退職金の支給により利益が減少するため、純資産が減少します。その結果、純資産価額を引き下げることができます。
2.類似業種比準価額の引き下げ
自社の株式が類似業種比準価額で評価される場合、退職金の支給により、比準要素の利益、純資産の引き下げになり、結果として類似業種比準価額を引き下げることになります。
以上のように、株式の評価方法がいずれであっても、株価を引き下げる効果は十分にあります。
しかし、役員退職金を支給する場合には、次のことに注意する必要があります。
1.実質的に引退すること。
・常勤役員が非常勤役員になった場合には、退職金を支払った後の報酬が従来の半分以下になること。
・経営上重要な地位を占めていないこと。
・代表権をもたないこと。
2.役員退職金が過大でないこと。
一般的に、役員退職金は次の算式により計算されます。
最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率
功績倍率については、業種や会社の規模によって異なりますが、通常は、1~3倍が多いと言われています。また、最終月額報酬は一度に急激に上昇させると過大役員報酬とみなされるおそれがあります。そのため、一度に急激に上昇させるのではなく、業績等を見ながら、妥当な水準に見直すことをお勧めします。
経営者である役員が生前に退職し、役員退職金を支給すると次のような効果があります。
1.純資産価額の引き下げ
自社の株式が純資産価額で評価される場合、退職金の支給により利益が減少するため、純資産が減少します。その結果、純資産価額を引き下げることができます。
2.類似業種比準価額の引き下げ
自社の株式が類似業種比準価額で評価される場合、退職金の支給により、比準要素の利益、純資産の引き下げになり、結果として類似業種比準価額を引き下げることになります。
以上のように、株式の評価方法がいずれであっても、株価を引き下げる効果は十分にあります。
しかし、役員退職金を支給する場合には、次のことに注意する必要があります。
1.実質的に引退すること。
・常勤役員が非常勤役員になった場合には、退職金を支払った後の報酬が従来の半分以下になること。
・経営上重要な地位を占めていないこと。
・代表権をもたないこと。
2.役員退職金が過大でないこと。
一般的に、役員退職金は次の算式により計算されます。
最終月額報酬 × 勤続年数 × 功績倍率
功績倍率については、業種や会社の規模によって異なりますが、通常は、1~3倍が多いと言われています。また、最終月額報酬は一度に急激に上昇させると過大役員報酬とみなされるおそれがあります。そのため、一度に急激に上昇させるのではなく、業績等を見ながら、妥当な水準に見直すことをお勧めします。
Q 不動産購入による相続対策は有効なのでしょうか。
Q 不動産購入による相続対策は有効なのでしょうか。
バブル華やかなりし頃、借入金による不動産取得が、相続対策として全盛を迎えていました。
このような対策をとることにより、純資産を減らすことが横行したため、「相続開始前3年以内に取得した土地等・建物等については、通常の取引価額で評価する」と財産評価基本通達185によって改正されてしまいました。 しかし、その後バブルも弾け、土地等の時価が値下がりしたため、この通達の存在意義は喪失してしまいました。
そこで、個人が所有する土地等の評価については、「相続開始前3年以内に取得した土地等に係る相続税の取得価額課税の特例規定」が廃止されることになりました。
この廃止によって、個人で土地等を購入することにより純資産を下げる相続対策【※】は有効なものになりました。ただし、目的が相続対策だけのものになってしまうと、後々、借入の返済や争族の問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
それでは、法人が土地等を取得することにより株価を引き下げるという対策はどうでしょうか。
こちらについては、上記の規定が改正されておらず、未だに取引価額での算定になってしまうため、3年以内の取得については意味がありません。個人の場合と異なるので注意が必要です。
【※】これは、1000の借入金で時価1000の不動産を取得したとき、相続税評価額が700(およそ)になり、300だけ純資産が減少するというものです。
バブル華やかなりし頃、借入金による不動産取得が、相続対策として全盛を迎えていました。
このような対策をとることにより、純資産を減らすことが横行したため、「相続開始前3年以内に取得した土地等・建物等については、通常の取引価額で評価する」と財産評価基本通達185によって改正されてしまいました。 しかし、その後バブルも弾け、土地等の時価が値下がりしたため、この通達の存在意義は喪失してしまいました。
そこで、個人が所有する土地等の評価については、「相続開始前3年以内に取得した土地等に係る相続税の取得価額課税の特例規定」が廃止されることになりました。
この廃止によって、個人で土地等を購入することにより純資産を下げる相続対策【※】は有効なものになりました。ただし、目的が相続対策だけのものになってしまうと、後々、借入の返済や争族の問題が生じる可能性があるので注意が必要です。
それでは、法人が土地等を取得することにより株価を引き下げるという対策はどうでしょうか。
こちらについては、上記の規定が改正されておらず、未だに取引価額での算定になってしまうため、3年以内の取得については意味がありません。個人の場合と異なるので注意が必要です。
【※】これは、1000の借入金で時価1000の不動産を取得したとき、相続税評価額が700(およそ)になり、300だけ純資産が減少するというものです。
Q 相続の資金調達として、株式を公開することは有効ですか。
Q 相続の資金調達として、株式を公開することは有効ですか。
株式公開をすると、株式に換金性が生まれ、納税資金の確保が期待されます。
しかし、現実はどうかというと、公開時の売り出しとジャスダック市場から取引所への上場時しか換金性の機会がないと思われます。
いつでも自由に必要な分だけ換金が可能というわけではないのです。
また、公開により換金性が生まれるのは確かですが、売買することにより、株式の所有割合も減少していきます。会社自体を売却するのであればいいのですが、会社を維持していくのであれば、株式の売買は決して有効な手段とはいえないでしょう。
株式公開をすると、株式に換金性が生まれ、納税資金の確保が期待されます。
しかし、現実はどうかというと、公開時の売り出しとジャスダック市場から取引所への上場時しか換金性の機会がないと思われます。
いつでも自由に必要な分だけ換金が可能というわけではないのです。
また、公開により換金性が生まれるのは確かですが、売買することにより、株式の所有割合も減少していきます。会社自体を売却するのであればいいのですが、会社を維持していくのであれば、株式の売買は決して有効な手段とはいえないでしょう。
Q 相続が発生したのですが、相続資産よりも負債が多いことが分かりました。相続しなくてはいけないの
Q 相続が発生したのですが、相続資産よりも負債が多いことが分かりました。相続しなくてはいけないのでしょうか。
相続人は、原則として被相続人の財産を引き継ぐことになっています。しかし、多額の負債があるような場合には相続したくないこともありえます。
そこで、相続人は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、次の3つのうち1つを選択し、相続するかどうかの意思決定をすることになっています。
1. 単純承認
2. 限定承認
3. 相続の放棄
1.の単純承認とは、被相続人の財産のすべてを無条件で相続することです。
相続人が被相続人の権利・義務を承継する意思表示をしたり、3ヶ月の間意思表示をしなかったとき単純承認となります。
2.の限定承認とは、相続人が受け継いだ資産の範囲内で負債を支払い、超える部分については責任を負わない相続の方法です。
3.は相続財産の承認を拒否することです。
つまり、相続資産よりも負債が多いときは、2.か3.の選択となります。
どうしても相続しなくてはいけない財産があるときは2.を選択し、その相続した財産の範囲内で負債を支払うことになりますが、そうでない場合は放棄するという選択肢を選ぶことも可能です。
相続人は、原則として被相続人の財産を引き継ぐことになっています。しかし、多額の負債があるような場合には相続したくないこともありえます。
そこで、相続人は相続の開始があったことを知った日から3ヶ月以内に、次の3つのうち1つを選択し、相続するかどうかの意思決定をすることになっています。
1. 単純承認
2. 限定承認
3. 相続の放棄
1.の単純承認とは、被相続人の財産のすべてを無条件で相続することです。
相続人が被相続人の権利・義務を承継する意思表示をしたり、3ヶ月の間意思表示をしなかったとき単純承認となります。
2.の限定承認とは、相続人が受け継いだ資産の範囲内で負債を支払い、超える部分については責任を負わない相続の方法です。
3.は相続財産の承認を拒否することです。
つまり、相続資産よりも負債が多いときは、2.か3.の選択となります。
どうしても相続しなくてはいけない財産があるときは2.を選択し、その相続した財産の範囲内で負債を支払うことになりますが、そうでない場合は放棄するという選択肢を選ぶことも可能です。
Q 株式未公開企業ですが、事業承継の際、注意すべき点はありますか。
Q 株式未公開企業ですが、事業承継の際、注意すべき点はありますか。
事業承継の際、必ず発生するのが「後継者の引継ぎ」と「自社株の引継ぎ」です。特に、株式未公開の企業については、オーナー社長の存在自体が強みになっている場合が多いです。実質的な経営権を後継者に引き継ぐわけですから、事前に後継者の育成を図る必要があります。
後継者の育成がなされていないと、オーナー社長から後継者に経営権が引き継がれても、「能力」や「やる気」が不足しているため会社がうまくいかなくなってしまう恐れがあります。
また、事業承継の際に後継者が決まっていないようなことがあると、主導権争いが起こる危険性さえあるのです。
円滑に事業承継を行うためには、後継者を事前に決定し、育成を十分に行うことが最重要課題になるといえるでしょう。
次に「自社株の引継ぎ」です。事業承継の際、オーナー社長が所有する株式を後継者に引き継がなければなりません。そこで発生する問題点としては次のようなものがあります。
自社株は市場性がないので、換金性・担保価値ともに乏しく相続が発生した際に納税がきつくなります。特に、業績の良い会社や含み益のある土地を所有する会社は評価額が高くなるため、相続税の負担がかなり大きくなってしまいます。
そこで、株価を引き下げながら、生前にある程度、後継者に贈与するか、保険などに加入して納税資金を作る必要があります。
どちらにせよ、相続はいつ起こるかわかるものではありませんので、計画的に行う必要があります。
事業承継の際、必ず発生するのが「後継者の引継ぎ」と「自社株の引継ぎ」です。特に、株式未公開の企業については、オーナー社長の存在自体が強みになっている場合が多いです。実質的な経営権を後継者に引き継ぐわけですから、事前に後継者の育成を図る必要があります。
後継者の育成がなされていないと、オーナー社長から後継者に経営権が引き継がれても、「能力」や「やる気」が不足しているため会社がうまくいかなくなってしまう恐れがあります。
また、事業承継の際に後継者が決まっていないようなことがあると、主導権争いが起こる危険性さえあるのです。
円滑に事業承継を行うためには、後継者を事前に決定し、育成を十分に行うことが最重要課題になるといえるでしょう。
次に「自社株の引継ぎ」です。事業承継の際、オーナー社長が所有する株式を後継者に引き継がなければなりません。そこで発生する問題点としては次のようなものがあります。
自社株は市場性がないので、換金性・担保価値ともに乏しく相続が発生した際に納税がきつくなります。特に、業績の良い会社や含み益のある土地を所有する会社は評価額が高くなるため、相続税の負担がかなり大きくなってしまいます。
そこで、株価を引き下げながら、生前にある程度、後継者に贈与するか、保険などに加入して納税資金を作る必要があります。
どちらにせよ、相続はいつ起こるかわかるものではありませんので、計画的に行う必要があります。