タイのくじ引き徴兵制度 | 「アジアの放浪者」のブログ

「アジアの放浪者」のブログ

東南アジア、南アジアを中心に、体験・見聞したことをレポートします。

タイの軍隊は基本的には志願制ですが、定員に満たない場合はくじ引きにより、2年間徴兵されます。

 

大学在学中などの理由で25歳までは先延ばしできますが(特別な理由があれば、最長30歳まで延ばせるようですが、詳細は知りません)、21歳を迎えた男性は、必ず一度、出身地で徴兵検査を受けなければなりません。そしてそれぞれの会場で検査対象者数により兵役につく人数の割り当てがあり、志願者が割り当てより少なければ、その場で足りない分のくじ引きが行われるのです。

 

但し、検査会場でははじめに身体検査が行われ、身長や体重、健康状態などが一定の基準を満たさなければ、その段階で不合格となってしまいます。それでも、だいたい志願で割り当てが埋まり、くじ引きになったとしても、極めて少数なのだそうです。

 

この徴兵検査は毎年4月に行われるのですが、今年は新型コロナウイルスの影響により延期され、ちょうど現在、各地で検査が行われています。そして毎度のことながら、徴兵検査の時期に話題に上がるのが、美しいトランスジェンダーです。

 

タイは、生まれた時の性別が一生つきまといます。例え手術を受けて性転換したとしても、生まれた時に男性であれば、必ず徴兵検査を受けなければならないのです。とはいえ、トランスジェンダーが徴兵されることは皆無です。なぜならば、最初の身体検査で「性同一性障害」と診断され、不合格を宣告されるからです。それゆえ、トランスジェンダーの皆さんも安心して検査を受けるのですが、その時に周囲から写真を取られ、それがSNSに投稿されたり、ニュースになるのです。それは致し方ありません。なにしろ、とても美人さんですから。

 

例えば、ピサヌローク県で検査を受けた22歳のパヌポンさん。今年の「ミス・サラブリ県コンテスト」で堂々2位に輝いたトランスジェンダーです(トランスジェンダーもミスコンに参加できるのがタイのいいところ)。

 

 

どうです、このレベルの高さ。アヌポンさんのさらなる美貌をご覧になりたい方は、どうぞ こちら をご参照のほど。ウチのタイ人家内が一押ししている、将来性豊かなトランスジェンダーさんです。徴兵検査に落ちて、さぞくやしいでしょうけれど(?)、気を落とさないでくださいね。

 

こういう楽しい話題がある一方で、当たりくじを引いてしまった若者はかなりのショックを受けます。なにしろタイの軍隊は、新兵いじめが半端ではありませんから。愛する息子が徴兵され、思わず泣き叫んでしまう母親もいるほどです。

 

タイの国旗は、真ん中が王室を意味する青。その両側に、仏教を示す白。そしてさらにその両外に、国民の血を意味する赤が配色されています。つまり、王室と仏教を国民が守るという意思を示した国旗です。タイの歴史を学びますと陸続きゆえ、隣国との戦いを繰り返してきたことがわかります。それだけ多くの犠牲によって、国が守られてきたのだといえましょう。

 

それを思えば、徴兵検査は国家の重要な制度。トランスジェンダーのことばかり話題にしては、不謹慎というものです。