病院爆撃で500人死亡…は本当か? | 「アジアの放浪者」のブログ

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SNS時代の情報戦。

現場からナマの情報が発信され、物理的にどれだけ離れていても、ネット環境さえあればその情報がすぐに受信できるメリットがあります。その一方で、私たちはいつの間にか、「現地からの情報=真実」という思い込みを抱いてしまっているようです。

 

たとえばガザの病院が爆撃され、ハマス発表では500人以上が死亡したとされている件。これには国際世論が大きく動揺し、爆撃したとされるイスラエル政府への批判が高まっています(イスラエル政府は爆撃を否定)。

 

ガザ病院爆発 双方が非難 対立深まり人道状況改善の糸口見えず | NHK | イスラエル・パレスチナ

 

ガザ地区やパレスチナ側からは、爆撃によるとされる負傷者が病院に搬送される緊迫した映像が発信され、それを見た人々が、強い憤りを感じたことと思います。私もそのうちの一人です。

 

ところが、現地からの情報がさらに届くに連れ、なんとなく違和感を覚えるようになりました。それがこの画像です。

 

 

 

この写真は、ハマス側が「イスラエルの爆撃だ」と強く非難している現場。爆弾が命中したのは病院の駐車場だとされています。上の写真が、この爆弾が命中したことでできたクレーターです。爆撃機に搭載された爆弾が命中した場合、通常はかなり大きなクレーターができます。しかし今回は、爆弾によるものとは思えないほどクレーターが小さいのです。下の写真のように、比較してみるとよくわかります。

 

 

大型爆弾が破裂したなら、上の写真のような大きなクレーターができます。しかし病院の駐車場は、下の写真にみられる状態です。爆風で自動車が吹き飛ばされた様子もありません。

 

そうなるとイスラエルが主張しているように、ハマスないしは別の武装組織が発射したロケット弾が、エンジン系統に問題を起こして墜落し、残っていた燃料や自動車に引火して次々と小規模の爆発が起きた…という分析が一番ムリがないようです。カタールの放送局、アル・ジャジーラが公開した映像も、ロケット弾が不自然な動きをしていますから、イスラエル側の主張を裏付けるものとなっています。但しその場合、ハマス側による「500人以上が死亡した」という主張に、大きな疑問符がつくのです。

 

ほんとうに、500人以上が死亡したのでしょうか?

ひょっとしたらいつの間にか、私たちはハマス側の情報操作に踊らされてしまったのかも知れません。

今後、ハマス側の主張がさらに検証されることでしょうから、続報を待ちたいと思います。

 

今回の爆発で、「500人以上が死亡した」かどうかは不明ですが、ガザ地区で多くのパレスチナ人がたいへん困難な状況にあることは間違いのない事実です。ハマスが一般市民を襲撃し、おおぜいを殺害・拉致した犯罪の責任は厳しく追求されるべきですが、イスラエル側にも、人道的な配慮を求めたいと思います。もちろん、ハマス側も拉致した人たちを一刻も早く解放すべきであり、こうした人質がガヤ地区で犠牲となったら、たとえそれがイスラエル側の攻撃によるものであったとしても、責任はハマス側が負うべきだと思います。

 

そのうえで、一般市民も巻き添えになってしまうのが戦争の実態ですが、万が一「報復だからなにをしても正当化される」という言い分を認めてしまうようでは、人類の戦争経験に対するこれまでの反省が無意味になってしまう、とも考えています。双方の話し合いによる妥協を期待して止みません。周りの国も、怒りを煽る言動ではなく、冷静な話し合いを求める姿勢でありたいものです。

 

【9時17分 追記です】

下の写真は、爆撃被害を受けたとされるAl Ahli Arab Hospitalの空撮写真です。やはり、大きな爆発があったようには見えません。