もう飽きた話題ではなく
 

次の事件が欲しい
 

あの頂戴した涙にももう飽きたんだ


何?
 

間違えた?
 

名前が違う?
 

写真が違う?
 

もうあの事件は終わったんだよ


 

悪に染めた手を見つけろ
 

手あかのついていない事件はないか
 

血みどろの奴はいないか
 

泥を飲んでいる奴はいないか

 

 

絵を撮ってこい
 

写真をよこせ
 

誰か話を聞いてこい



何?
 

謝れだぁ?
 

言っていないのに言ったことになっている?
 

またその話か
 

とっくに昔のことだ
 

ほっとけばいい
 

何をいまさら


 

次は何だ
 

次がどこだ
 

次は誰だ
 

選べ
 

選べ
 

選べ
 

人を選べ
 

命を選べ
 

読んで喜ぶ命を選べ

 



探せ
 

探せ
 

探せ
 

涙を探せ
 

悲劇を探せ
 

読んで泣かせる悲劇を探せ

 

 

 

(再掲)

 

 

 

 

罪人は苛まれていればいい

罪人はその罪に苛まれてさえいればいい

誰かに告げて楽になるなどあってはならない

ましてや話すことで許された気になってはならない



謝って済むと思うな

それで自分は気が済むだろう

楽になるだろう

忘れよう

忘れようと

必死にもがいて

何とか気持ちが落ち着いたふりができるまでになったのに

おのが都合で相手に思い出させて

波風を立てるだけ立てて

そんな償い面が許されると思うな



その罪により自らを責め

責めるが故に許せずにいればいい

許してもらえる相手などいない内なる身の中で

誰にも許されることのない無間地獄の底に身を置けばいい



神にすがるか?

仏にすがるか?

すがりたければ神にすがれ

すがりたければ仏にすがりつけ

罪の意識がそうさせたところで

償いにはほど遠い



どこにでも逃げたければ逃げるがいい

どこに逃げようが罪はいつも側にいる

いつも罪は身の内に必ずいる

自らの内に罪を抱えたまま

苛まれ続けたまま死んでいけばいい

ただそれで許されたと思うな

終わったと思うな

償いはそれでもまだ終わらない

指弾するお前も罪人だということを忘れるな

他者を罪人だと指弾しているお前も

誰かからすれば罪人なのだ

 

 

 


若芽もやがて枯れゆく


満ちた潮もやがては引いていく
 

死は生きた人生があったればこそ与えられる
 

ささやかな人生であったとしても
 

華やかな人生であったとしても
 

つましい人生であったとしても
 

惨めな人生であったとしても
 

生きていたからこそ死に迎え入れられる
 

罰ではなく
 

世の理(ことわり)として

 

 

では訊こう
 

死は
 

この世からの脱落か
 

あの世への解放か
 

訳知りの主なら容易かろう
 

重ねて訊こう
 

長生きは
 

この世の善行への褒美か
 

身の罪をさらに償えという戒めか
 

悟った主なら造作もなかろう

 

 

 

歌もいらない


花束もいらない
 

ケーキも
 

ロウソクもいらない
 

もちろん贈り物なんていらない
 

ただひと言
 

「おめでとう」
 

そう言って欲しいだけ
 

この言葉だけが
 

この生が許されたものにしてくれる
 

それだけなのに
 

でも叶わなかった
 

生まれたとき
 

「Welcome」
 

とこの世に迎え入れてくれるという話も嘘


誰も何も言ってはくれない
 

誰もこの世にいないかのように
 

誰も関心がない
 

誰もこの世に必要ないかのように
 

誰も気がついていないからじゃない
 

誰も生まれて来なくて良かったかのように
 

誰もその言葉を持っていない
 

誰もが言って欲しい言葉のはずなのに
 

どこにも、ない

 

 

 


さほどのことも
 

さにあらず
 

されども
 

さしたることなく
 

差し障りもなく



正直者が罪背負い
 

正気のご沙汰も金次第
 

性懲りもなく
 

したたか者だけ
 

凌げる世



統べる者
 

すり寄る者ども
 

すべからく
 

過ぎにし方へ
 

捨てられる



世間の
 

せせら笑いが
 

背に代える臓腹にもなく
 

急いてし損じ
 

せめぎ合い



粗忽者
 

誹りられようとも
 

素知らぬ顔して
 

その身を賭して
 

注いでみるまでのこと故

 

 


ねぇ、起きて


もうすぐ夜明けよ
 

もう一度行こうって話してた思い出の
 

あのレストランで食事するけれど
 

その後どうするのかまだ決めてないじゃない
 

ねぇ早く決めなきゃ
 

いつまで寝てるのよ
 

ねぇ、起きてよ
 

もうすぐ夜が明けるよ



 

ねぇ、起きてよ
 

もう夜が明けるわよ
 

最近思ったんだけど
 

あなたが珍しく買ってくれたあの洋服に
 

母の形見のブローチ着けると
 

いいじゃないかと思うの
 

ねぇ、あなたどう思う?
 

その服を着て
 

あの街を散策しましょうよ
 

ねぇ、起きて
 

もう夜が明けるよ




ねぇ、目を開けて
 

もう朝だよ
 

あの人を紹介してくれるんじゃなかったの
 

紹介もされないまま
 

1人で向き合わなきゃいけないの?
 

あなたの話を聞いてから
 

あなたと一緒に生きていこうと決めたのに
 

ねぇ、目を開けてよ
 

もうすっかり朝だよ

 

ねぇ
 

ねぇ、もう一度
 

目を開けて
 

せめて
 

もう一度だけでいいから...
 

ねぇ...
 

 

 

水に流すなら夜にしなさい
 

行方が見えない夜に
 

先が探せない夜に
 

行き先を目で追えない夜に
 

見えなくなるまで見送ることなく
 

きびすを返しなさい
 

後ろ髪を断ち切るように
 

未練を残さないように
 

背中を向けなさい
 

それで
 

何もかもなかったことにできる
 

それで
 

すべてなかったことにしなさい

 

 

 

海鳴りがあなたを探している
 

どこにいる
 

どこにいるかと
 

いたるところを探している
 

だけど
 

目の前の海は黙っている
 

それでも海鳴りは探している
 

探し続けている



 

海鳴りを借りてあなたが呼ぶ
 

ここにいる
 

ここにいるよと
 

だから
 

心配するなと言うように
 

だけど
 

目の前の海は黙っている
 

海鳴りだけが叫んでいる
 

叫び続けている



 

海鳴りに乗せて
 

あたなに届けと
 

ありがとう
 

幸せだったと
 

だけど
 

目の前の海は黙っている
 

それでも
 

何度も言い続ける
 

あなたに届けとばかりに




海鳴りがあなたを真似て
 

ありがとう
 

大丈夫だよと
 

いつまでも
 

忘れないというように
 

遠く離れた寂しさを
 

海鳴りだけが抱きしめる
 

凍えた肩を一人抱きしめくれる

 

 

 

費やした時間が体の中を駆けめぐり


流した汗が


君を勇者に変えていく

 

跳べ


跳んでいるうちは


君は夢でなくなる




かけられた声が


心を奮い立たせ


密かな涙が


君を強くする


舞え


舞っているうちは


それは夢でなくなる




たとえ砕け散っても


それは勝者への祝福


恥じることなく

 

悔いることなく


だから


今は


力の限り跳べ

 

思いのまま舞え

 

そして

 

君は希望になる

 

 


あのときはゴメン


でも
 

君といたあの時
 

どうしても踊りたくなったんだ
 

踊れもしないのに
 

笑っちゃうよね
 

だから
 

周りのみんなは笑っていた
 

全部僕の責任だ
 

君は何も悪くない
 

でも聞いてくれ
 

君に恥をかかせようとしたわけじゃない
 

ただ
 

あの時は本当に君と一緒にいられることが
 

うれしくて
 

うれしくて
 

仕方がなかったんだ
 

あの時のお詫びに
 

この花束を受け取ってほしい




花束を君になんて
 

何をいまさらだと思うだろう
 

今まで何も見ていなかった
 

見ようとしていなかったのかもしれない
 

それは
 

何も思っていなかったのも同じだと
 

今になって思う
 

下手な言いつくろいならいくらでもある
 

仕事が忙しかった
 

一緒にいることに安心しきっていた
 

でもそれもこれもみんな
 

理由にもならない愚かな言い訳だ
 

君がいることが
 

君が側にいてくれていることが
 

当たり前だと思ってしまっていた
 

もしまだ間に合うのなら
 

この花束を受け取ってほしい




やっとあなたは戻ってきた
 

でも
 

こんな姿になって
 

戻ってくるなんて思わなかった
 

いえ
 

絶対ないとは思ってはいなかったわ
 

それを口にすると
 

本当になるのではないかと
 

たまらなく不安で
 

とても不安で仕方なかったけど
 

だから
 

無事に帰ってくることだけを毎日祈っていた
 

やっとあなたは私のもとに帰ってきてくれた
 

できたら
 

あなたをもう一度
 

この腕で抱きしめたかった
 

今はせめて墓標に
 

この花束を
 

「おかえりなさい、あなた」