”49年” 南夕子が現れそうな風景 超獣シャガ~
女優の星光子さんが『ウルトラマンA』の南夕子を演じて49年の感慨をブログに綴っておられます。
当時、小学校の低学年だった私。あまり出来のよい子ではなくて、隣の席の男の子にいじめられたりしてつらい学校生活でしたから、空想世界の南夕子は
心の支えでした。他にも普通、女の子が視るような
アニメやドラマは視ていたと思うけど、後々も忘れられないのは南夕子だけです。
それだけに夕子が月へ帰ってしまったのはショックで
悲しかったけれど、あの回の星さんの美しさ。
空に輝く月を仰ぐ度に、白バラや白木蓮など白くて美しい花を見る度に南夕子を思い出してきました。
先日、夕暮れ時、上野公園へ行きました。東京都美術館近くの小道の両側にシャガの群生が咲いていて
幻想的な風景。今にも南夕子がどこからか歩いてくるような気がしました。
ほんのり紫がかった白いシャガの花、怖いという方も
いらっしゃるのだそうです。花は咲かせても種をつくらず、根だけでどんどん増えていく点、日陰を好む点など
他の花にない不思議なところがあるからでしょうか。
たしかにシャガの花をよくよく観ますと花びらの中心にある黄色い点が眼のようで宇宙生物?めいてもいます。異次元人ヤプールやメトロン星人あたりが何やら
怪獣や超獣に変えてしまいそうにも思えます。
どんな名前になるのでしょうか?
淡い紫のドレスをまとった美しい乙女が超獣に
なる、そうあのアプラサールのように…
シャガール?これじゃ画家ですね(笑)
植物由来の超獣といえばサボテンダーというのが
いるのでシャガンダ―? 超獣ギタギタンガをまねて
シャガシャガンダとか…なんかしゃがんでいるみんたいですね(笑)
『帰ってきたウルトラマン』にシュガロンという怪獣が出てきました。確か画家とその娘の物語だったかと。
シュガロンの弟分でシャガロン?
いろいろ考えると楽しくなりますが、どんな姿の超獣なのか、何が武器なのかなどキャラクターデザインは
思いうかびません(笑)
松本清張 隠花平原 上/下(新潮文庫 1996年)
新潮社サイト
https://www.shinchosha.co.jp/book/110967/
久しぶりに清張の長編を読みました。
杉並区の閑静な住宅街で一月の夜、帰宅途中の会社員が血まみれの死体を発見。被害者は太陽相互銀行で働く依田徳一郎。後頭部を鈍器様のもので攻撃されるという残虐さで、しかも財布や書類には手をつけていないことから怨恨の線で捜査が始まります。しかし依田は平凡ながら善良で怨みを持つ人物は浮かびあがらず、捜査本部は解散。
依田の妻の弟で二十九歳の画家山辺修二は事件が未解決に終わることにいたたまれず、所轄署を訪ねた帰り、刑事西東(さいとう)九郎と出会います。西東は依田が容姿や服装の似た誰かと人違いで殺された可能性があると言います。
この小説が発表されたのは昭和42年。現場は武蔵野の雑木林がところどころに残り、「サラリーマンがローンで建てた家がある」地域。サラリーマンでも銀行員など比較的高給の人に限られたのかもしれませんが、この頃はローンなら杉並に家が建てられたのですね。今では一般的な勤め人には考えられません。またアパートも多く建ちはじめた時代で、山辺は現場近くの高級なアパートに住み、事件後引っ越した24,5歳の美女のところへ通っていた男が依田に似た年恰好だったらしいことを知ります。その美女は依田が加入していた生命保険の代理店で既に倒産した桜総行の事務員だと姉から聞いた
山辺。その女萩村綾子と恋愛関係にあり、通ってきていたのは同社社長の玉野文雄。玉野は光和銀行の元社員で桜総行の設立発起人には光和銀行頭取花房寛の名前がありました。画商の千塚はこの花房が最近、山辺の絵のファンになり、作品を買っていると言います。
玉野が桜総行社長となった背景に熱海支店の不良貸付の摘発がありました。その件で退職した元支店長高森は世田谷の旅館で急死。高森は新興宗教普陀洛教団と関わっていました。真鶴に本部を置くこの教団は入信すると病気平癒、家内安全、商売繁盛というよくあるご利益に加えて地上に理想の町を作り、信者が望めばそこに家と土地を与えるとうたっていました。
美術記者の辻らの協力を得て謎を追う山辺は、花房から普陀洛教団の講堂の壁画制作を依頼されます。初代教祖の時には隆盛をほこったものの、二代目になって金繰りにつまり、理想郷つまり信者専用団地の建設も怪しくなり、家を持つことを夢見て積み立ててきた信者たちも動揺している様子。
本作の探偵役山辺は画家としての才能を生かして、アパートの女主人の話を聞きながらスケッチで萩村綾子の人相書きを作ったり、つながりのなさそうな人物がなぜか似ていることに気づいたり。下巻の半分あたりで物語は急展開、山辺は真鶴岬を見るために玉野、千塚らと乗った船から二人の死体を発見します。
人々の不安と夢を吸収する宗教、宗教と癒着する銀行、美術品売買に隠れた恐喝、そして恵まれた育ちの者への貧しい育ちの者が抱く怨みがおりなす長編。ネットの書評でも指摘している方がいますが、結末はいささか強引。
映像化され、傑作と言われる『ゼロの焦点』も読み終えてしまうと「なんでこんな殺人をわざわざするのか不思議」と思ってしまうのですが、これも同じように全体の整合性よりも読んでいる途中を楽しむ小説です。依田の他、元支店長夫妻、理想郷入居を夢見ていたタクシー運転手ら多くの人が命を落とす惨劇が、すべてある資本家の乱脈な女性関係に端を発している、親の因果が子に報い?というのも何だか清張らしくなくて横溝正史みたいです。
ともあれ、髪が長くてひとめで画家とわかる―つまり60年代のグループサウンズみたいな今ではあまりみかけない風貌の探偵役と共にその時代に旅する気分は味わえるミステリーです。
お花見つき、父の入院と介護申請
3月末、父が脳梗塞と診断され、緊急入院しました。
毎朝の習慣になっていたマッサージ機で首をもんだ後に気分が悪くなり、
右手に力が入らないと言い出して…ひょっとして頸椎を傷めたのかなあ、
などと思い、かかりつけの整形外科で脳も含めてMRIを撮ったのですが
そこでは見つけてもらえず、もしかして内科疾患?思ってかかった
病院で脳も内臓も検査したけど、その日には見つからず、翌週になって
その病院から「やはり脳梗塞でした」と電話をもらい、紹介された
病院へ連れていきました。会社を急きょ早退せねばならず、私は
大変。
命には別条ないようですが、しばらく入院が続きます。コロナのため、
面会はできませんが、よく病院から電話が来ます。また脳疾患でもあり、
こんな時節でもあり、今までかかったことがない家から遠い病院です。
同じ区ではあるのですが、降りたことのない駅。
朝、下着を届けにいく途中、病院までの道で咲く桜の大木が元気をくれました。
咲き始めた白いツツジも清純そのもの。
やはりコロナのせいで医療がひっ迫しているのでしょう。
普通なら医師の病状説明があってから、リハビリ関係者やソーシャルワーカーとお話するのですが、それがひっくり返ってしまっていきなり
早めに介護申請をしなさいと言われました。
やはり家中ひっくり返したけれど、父の介護保険被保険者証が見つからず、
ドタバタ。近所のケアプラザへ行き、「すみません、紛失しました」と
いうことで、お願いしてきました。認定調査の方には病院に行っていただくことになります。
ケアプラザ近くの公園で八重桜を見上げました。
それからシャクナゲにアイリス。シャクナゲはもう少し春が熟してから咲く花と
思っていましたが、もう満開。
そしてドウダンツツジ。
2018年に亡くなった母と車椅子散歩をしていた頃、家の周りにドウダンツツジを垣根のようにめぐらしていたお宅がありました。あんなに大きな樹でたくさんのドウダンツツジは他で見たことがありません。まるでドウダンツツジの花見?の名所のようでしたが、おそらく家の持ち主が手放すか、不動産事業に
乗り出したのでしょう。今はあとかたもなく、アパートが建っています。
その近くには八重桜の樹のあるお宅もありました。そのお宅も家を建て替えて同時に八重桜もなくなりました。
医師からの電話では父の右半身のまひは改善されつつあるとのことです。
だから家の中は今まで通り、よたよたでも歩けるのではないかと思います。
でも外出時には車椅子が要るとケアプラザの方に言いました。
父は母ほど車椅子散歩を喜んでくれるかどうか、わかりません。
でも思い切って車椅子を借りた方が外出をいやがらなくなるのではないかと
思っています。
これから暮らしがいろいろと変わるのでしょうが、まだ考えがまとまりません。
まあ介護離職はしないでやっていくつもりです。
お花見付き通院
季節のかわりめのせいか、持病のアトピーが悪化したので、3月中旬の土曜日に皮膚科へ行きました。
ニュースでちらりと最近皮膚科の患者が増えていると耳にしていましたが…。
コロナで待合室に入れる人数を制限しているせいもあって、廊下やエレベーターの前まで診療待ちの人が
あふれていました。しかも窓がなくて換気が悪そう。
私の前に7,8人は患者がいそうだったので、スタッフの人に「30分ほど外出します」といって外へ。
幸いにもこの医院近くの公園では桜が美しく咲いていました。
濃いピンク…陽光という品種かな?は若干盛りを過ぎておりました。
これは花といっしょに葉が芽吹いているからソメイヨシノではなさそう、
山桜…だったらいいなと思うのですが、上野公園では山桜はソメイヨシノより早く
咲いていたし、これより花が小さい感じ?…もっと桜に詳しくなりたいものです。
天気予報では雨になりそうだったので別の日にしようかと迷ったのですが、
思い切って出かけてよかったと思います。
今日は世界水の日 袋入りミネラルウォーターと母の描いた沈丁花
ウォーターサーバー使ってる?
▼本日限定!ブログスタンプ
『松本清張傑作短篇コレクション 上』より『理外の理』謎の自死はもしかして?
宮部みゆき責任編集 文春文庫 2004年
文春文庫サイト
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167106942
ある商品が売れなくなる原因は、一般論から
行って、品質が落ちるか、 競争品がふえるか、
購買層の趣味が変るか、…
こんな書き出しから引き込まれてしまう短編。売れなくなった商品とはR社の娯楽雑誌「J―」。」「戦後の活字なら何でも読むといった無秩序な一時期から尾を引いた「低級な」通俗が次第に読まれなくなった」のです。執筆陣が一新される方針が決まり、六十四歳の執筆家須貝玄堂はR社に原稿をお願いされる立場から、作品を持ち込んでお願いする方になってしまいます。博覧強記を生かして江戸期の巷説逸話を随筆風読物を書いていた玄堂は22,3歳も年下の若い妻のために稼ぎ続ける必要がありました。
担当編集者だった細井のもとに新方針向きに工夫したという原稿を持ち込み続ける玄堂。しかし編集長山根は一顧もしません。これが最後と十二回めに持ってきた作品の一つは首くくりの怪談。
「酒を飲むと落し咄などを身振りおかしくする」ので人気者の同心早瀬藤兵衛。ある春の夜の酒宴、約束していたのになかなか藤兵衛は来ません。やっと来たかと思うと「実は喰違門内で首を縊る約束をした」と言って急いで立ち去ろうとするのです。藤兵衛が乱心したと思った主人は酒を飲ませたり、芸をさせたりして様子をみます。藤兵衛が落ち着きを取り戻し、忘れたようにここを出るとは言わなくなった時、「喰違御門内で首縊人が出た」の知らせが。藤兵衛が語るには喰違門前にさしかかった時、一人の男がいて「首を縊れ」と言われ、断ることができず、「首はくくるが、今日は寄合に
出る約束があるのでそちらを断ってからにする」と答えます。その男つまり縊鬼は寄合のある家の門前までついてきて早く断りを言ってこいと言い、それが「義理ある方の言いつけ」で背くことができないように思ってしまった藤兵衛、なぜそんな気持ちになったのか自分でもわかりません。主人が酒を飲ませたおかげで縊鬼は彼から離れ、代わりに他の人間をつかまえたのです。
このお話、本当に江戸の文献にあるお話なのか、清張の創作なのかはわかりません。しかしこの「縊鬼」に出会うというようなことは現実に起こるような気がします。そうある種のストレスがたまった、正常でない精神状態になった時、現れる幻覚の一つかもしれません。出会った人にいきなり首つりをしなさいと言われたら普通なら、逆らうか、逃げるかするのに、なぜかそうできない心持になる―昨年、才能に恵まれ、順調にキャリアを築いていたと思われる芸能人の自死が相次ぎました。あの人たちのようにして自ら命を絶つ人の中に「縊鬼」に出会ってしまったというようなケースもあるのではないでしょうか。
編集長の山根に目次面に玄堂の名が並んだだけでも雑誌が逆戻りして陳腐に見えるとされ、この原稿も結局採用されません。
そして喰違門跡には現実に縊鬼が現れるのでした。
この小説が発表されたのは昭和47年(1972年)。戦後から高度成長期への出版界の変化とそれに翻弄される文筆家の悲運を江戸の怪談の趣と共に描き出し、読み応えのある短編です。
三月の散歩と嵐
3月最初の週末、2018年末に亡くなった母と生前よく散歩した公園に父を連れて行きました。
母が好きだった桃のピンクとユキヤナギの白のすてきなコラボレーションが楽しめました。
3月の第2土曜日は父の通院に付き添い、病院近くのショッピングセンターや家電量販店に行く予定でしたが、
悪天候で断念。父の処方薬は弟が自分の通院のついでにもらってきてくれました。
出勤しなくていい日なら、雨も悪くないななどと思いつつ、たまっていたテレビの録画を視ておりましたが、
お昼頃、どこからかアナウンスが―ひょっとして川の増水で避難勧告?かと思い、耳をすませます。
幸いにして避難勧告ではなく、パン屋さんの出張販売でした。雨なのに大変。
ですが、午後から本当に避難の心配が出てくるような、嵐ともいう天候になりました。
翌日は晴れたので、父とこれも母とよく眺めていた白木蓮の樹まで散歩。
この季節になると毎年、びっしりと白い花をつけるのですが、昨年、かなり枝を払ってしまったせいで、
今年はやや寂しい感じ。
白バラでもジャスミンでも白くて美しい花は、私に『ウルトラマンA』の南夕子を思い出させます。
この木蓮もどこか白いドレスを着た南夕子の舞姿(飛行姿?)のようです。
わからない方は『ウルトラマンA』28話、及び38話をご覧ください。
割れたハート、消えた花々の形見
1月、アクセサリーケースをうっかり落とした時、中に入っていたハート型のペンダントヘットが割れてしまいました。素材はおそらく貝だと思います。記憶があいまいですが以前の職場で同僚のハワイ土産か何かでもらったもので、身につけたことはほとんどありません。私が若くて恋愛中でもあったならさぞかし不吉な予感におびえたでしょうが、幸いにして?そうではありません。それにしても高価でなくても、大切な人からの贈り物でなくてもハートが割れるというのは何かよくないことがありそうな気がしました。
そして本当にハートが砕けるようなことが起こりました。
2月から3月にかけて勤め先近くの道路沿いの木々がいっせいに抜かれたのです。住民には説明会などがあったかもしれませんが、住んでいない私にとっては衝撃的。
秋が訪れるといつもこの花の前で深呼吸をしていたキンモクセイ。
ここで働くようになって初めてみたナワシログミ。何だかとても田舎風の名前ですが、秋につける小さな花の芳香がすばらしいのです。まるで妖艶な美女の誘惑のようで。翌年春にかわいい実をつけていました。
春が来るといつも黄色い花と明るい緑の葉が元気をくれたレンギョウ。
そして1月末ごろからつぼみをつけ、今年も開花を楽しみにしていた絞りのツバキ。本当に絞りの帯揚げをつけた振袖の娘のようでした。
跡形もなくなり、昨年撮った写真が形見になってしまいました。
歩道を広くするためかと思いますが、道路沿いの緑がなくなりました。夏の暑さは耐え難いものになるでしょう。今から憂うつです。
南條範夫著、末國善己編 『血染めの旅籠―月影兵庫ミステリ傑作選』
創元推理文庫2019年
東京創元社サイト
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488425210
もとより乾燥肌な上に昨今はよく手を洗い、アルコール消毒をしますから、手がささくれだち、ついには事務用の書類が血染め?になっているのに気がつきました。そんなわけで?読んでみた本(笑)。
徳川十一代将軍家斉の時代。旗本の次男坊で養子に出たり、出仕したりを嫌い、浪人生活を送る主人公月影兵庫。作家南條範夫が1950年代から長年に渡って書き続けたシリーズから選ばれた17編。
シリーズ第1話の題にもなっている兵庫の必殺技『上段霞切り』。将軍に献上しようとしていた中山大納言の息女綾姫が逃げ、窮地に陥った伯父の老中松平信明のために旅に出る兵庫。
綾姫を追う旅の途中、雨で増水した大井川が渡れなくなったために人でいっぱいになった島田宿の旅籠で遭遇したのが表題作『血染めの旅籠』。一両を盗まれたと言う商人に身体検査を迫られる女を、自分のふところから一両出して助ける兵庫。浪人ですが家は二千石で伯父は権力者だから金には執着しないようで。盗難事件、いかさまばくちと川留めの宿場町の喧騒の描写が臨場感たっぷり。そして部屋が足りなくなったために納戸で寝ていた宿の主人の妹みきが殺されます。題に「血染め」となっていますが刺殺でなく、絞殺。兵庫は観察眼によって犯人をつきとめ、旅籠はさほど血で染まりません。
綾姫を追う旅で道中を共にした奥女中桔梗と結ばれ、江戸で暮らす兵庫。桔梗と共に隅田川の屋形船にいる時、剣の名門柳生家の九代目俊豊が豪奢な船から落ちたのを助けたこと始まる『大名の失踪』事件。水死を免れたのに俊豊は姿を消してしまいます。そして俊豊が手をつけていた女中も殺されるのです。先祖石舟斎らとはちがい、遊び好きで評判のよくなかった俊豊。その弟俊勝、養子の桂之助、師範代の竹原市九郎、側室お安の方ら大名家の複雑な人間関係、うずまく愛憎、そして屋敷のからくり。
桔梗が流産であっけなく亡くなり、兵庫は営んでいた道場を閉じ、旅に出ます。木曽福嶋の関所にいたのは『偉いお奉行様』と評判の磯川修次郎。その夜、酔い覚ましの散歩に出た兵庫は斬られそうになっていた磯川を助けます。そして上松の宿の豪商、丸木屋で強盗事件。賊は捕えられましたが盗まれた千両箱の行方が謎―木曽路の旅気分が味わえ、この本の中ではミステリーとしては一番楽しめました。
弘前城下で出会ったのは眉目秀麗な教養人栗本多兵衛と「一家揃って学問好き」という塗物問屋さいき屋の人々。ですが本当は好きなのは学問ではなく、恋?57歳の主人太郎兵衛と息子修太郎はそろって色っぽい流れ者の女お由に夢中。若い後妻お里はひそかに…。お由が殺される事件の謎に兵庫が相棒兵庫は相棒合点の安と共に挑む『乱れた家の乱れた話』。
庄内藩では上士の息子3人が次々と斬られる事件が発生。4人目の被害者は石高は三十石ですが将来を有望視され、美しい許嫁がいました。幽霊之介と名乗る犯人のセリフ。
「おれは凡ゆる(あらゆる)不公平が嫌いなのだ。おれは不運な奴に味方してその不公平の秤り(はかり)を動かすのだ。好運な奴の血が流れると、それだけ奴らの重さが減って、秤りは逆に下る。」
この妙な思想?を持つ『理屈っぽい辻斬り』のお話はこの本の中で一番ずしんと来ました。藩士内藤右門は幽霊之介に遭遇しますが、家は貧しくルックスに恵まれず、仕事上の事故で障害を負った不運を訴えたため、見逃されます。人生を楽しめていない内藤は幽霊之介に共鳴してしまうのです。
必殺技「上段霞切り」の他、柔術も使い、「十剣無統流速歩術」で尾行するなど縦横無尽に活躍する主人公は明朗な性格で人懐こいさわやかな青年剣士。ですがわりと相手をすぐ絶命させちゃいます。掛川宿を舞台にした『首のない死体』事件では、犯人自身を首なし死体にしますし、『理屈っぽい辻斬り』幽霊之介が本当の幽霊にされてしまうのは致し方ないとしても、内藤右門も斬るのです。内藤は「育ちのよい美女を妻にしたい」という望みを捨てられない今でいうストーカータイプの嫌な奴。でも殺さずに幽霊之介に自分の恋敵を襲わせた罪は償わせた方がいいのではないでしょうか。その方が世の中全体からみれば自分がさほど不運でもなかったことを気づかせてやれますもの。 罪人になっても生きてさえいれば、育ちは悪いけど美人か、美人じゃないけど育ちがいいかどちらかの女性を選べる日も来るかもしれないし、ずっと夢を捨てられずに流刑地かどこかで一人年老いて死ぬとしてもそれも本人の人生―それじゃだめなの? いくらか残酷。でもそれが剣豪小説というものかしら?
主人公のかっこよさよりも、遊びにふける大名、評判のよい外面の陰で悪事を働く、今でいうサイコパスのような役人、道ならぬ恋にはまる一家など、兵庫の前に現れる現代でもいそうな人々の生きざまが私には心に残りました。著者南條範夫は人間観察の深い作家だと思います。他の作品も読んでみたいですね。
2月のまとめその2、自治会デビュー? ツバキとミニ水仙、ユキヤナギ、ホトケノザ
今住んでいる集合住宅に暮らし始めて20年以上たつのですが、自治会に入っておりませんでした。母がいやがっていたからです。私自身もいわゆるおつきあいがあまり得意でないせいもあります。
父が定年になるまで暮らしていた中部地方の小さな街で、母はいわゆる自治会でかなり嫌な経験があったらしく、トラウマになっていたのですね。しかし、その母が亡くなり、これから父のために福祉サービスを受けたり、災害時のことを考えると今のままでいいのかなと思っていた矢先、私の留守に父がなにげに自治会費を払ってしまいました。そして今月、近所の公園掃除の
当番がまわってきました。
とりあえず今回は名前を聞かれたり、なぜ今まで参加しなかったのかなどと訊かれることもなく、掃除を終えることができてほっとしています。ただ今後、夏祭りだとかいろいろな行事、役目などを考えるとフルタイムで遠距離通勤をしていてやっていけるかなといくらか不安です。まあ、なんとかトライしてみましょう。
まずは掃除を終えた公園へ父を散歩に連れ出しました。ユキヤナギが咲き始めました。
車椅子の母が「かわいい」と言っていたミニラッパズイセンも、下を向いている花なので写真を撮るのが大変。
それから赤と白のツバキ。昨年どうだったか記憶があいまいなのですが、今年は開く前に花びらが傷んでいる花が目立ちます。気候のせいでしょうか。
掃除している時、ホトケノザが咲いているのに気がついたので摘んで、ぐい飲みに生けて仏壇に供えました。我が家では酒を飲む人がいないのでぐい飲みも食器としては不要です。
雑草ながらホトケノザの紫がかったピンクは母の好きな色でした。すぐにしおれるかなと思っていたのですが、供えた翌日、つぼみだった花が開いていました。






























