『リアルプリンセス』感想

テーマ:
読んだ。

『リアルプリンセス』
アンソロジー
ポプラ文庫
発売日 2019年4月
(単行本発売日 2017年1月)
 
感想
古今東西のプリンセスストーリーを、現代のお話にして描いた6作のアンソロジー。

鉢かつぎ姫、踊る12人のお姫様、ラプンツェル、エンドウ豆の上に寝たお姫様、乙姫、眠り姫。

それぞれに読み応えがあって、面白いストーリーだったし、作家それぞれの個性も光ってて、良いアンソロジーだった。


各話の感想は下に。

★「鍋かぶり」寺地はるな
物語は鉢かぶり姫の元のストーリーに近い。鍋が取れない娘のシンデレラストーリーだが、女性が自立している点が良い。

★「歩く12人の女」飛鳥井千砂
こちらも元の踊る12人のお姫様に近いストーリー展開だが、原作にある姫たちをモノとして扱う王の存在がなく、ラストもほのぼのとしていて、ステキだった。まさに、ハッピーエンド。

★「ラプンツェルの思い出」島本理生
ディズニーのラプンツェルのイメージ強くなってるけど、実際は塔の上に王子を招き入れてた話だったから、そちらっぽい話。退廃的で美しかった。

★「正直な彼女」加藤千恵
豆の上に寝たお姫様。アンデルセンにある元の話もどうかと思う。正直は美徳。原作では、泊めて貰ったうえに寝具に文句を言う本当のお姫様が、王子と結婚する話だけど、こちらは正直な彼女をお嫁さんにした現代の男性の本音がちらり。

★「あの人は海を捨てた」藤岡陽子
浦島太郎をベースに、現代の乙姫の話を描く。田舎の閉塞感、キャリアと結婚の考え方など、実に現代的な話だった。こういう流れだと大体女性がキャリア捨てる流れになっちゃうよね。(映画『スプラッシュ』だけは、男性が地上を捨てて人魚姫を追いかけたけど)。この話もこの後、結婚のために女性は諦めるものが多そうな···。それにしても、亀井は良い男だったね。物語での立場は狂言回しではあったけど、すばらしくかっこよかった。

★「夢のあと」大山淳子
眠り姫。
元のお話では、眠ってる間の姫は寝てるだけで、物語は勝手に進んでいくけど、こちらは昏睡状態であった女性の繰り返される悪夢があり、とても切ない。ハッピーエンドではあるけれど、悲しい話だった。でも、母は強し。亡くなったおばさんや妹の強さを知ることができた人生だから、すてきなんだと思った。
 
インスタで読書アカウント始めたんですけど、PCからのアカウント切り替え方法がわからずに、埋め込むことができませんでした・・・。インスタむずかし~。