実際に会った事件をモデルにして書かれている著作になっています。
銀行に立てこもって、5人を殺害し、そして警察に狙撃され、死亡した花川清史。
彼は15年前も少年時代にやはり殺人事件を起こし、少年院にいた。
そして、15年後、銀行を襲撃することになるー。
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清史の母のカヨの後悔が果てしない。
やはりこの親にして、この子、ありなのか。
学もなく、容姿に自信がないまま、清史の父と結婚したのはいいけれども、彼は一度身体を壊した後、飲んだくれになり、女にだらしなく、浮気を繰り返して、カヨは一人息子の清史に愛情を一心に向かわせ、暮らしていたが、夫の使い込みが発覚し、社宅を追われることに。
仕方がなく、カヨは夫に息子を託し、自分は必死になり働くことに。
そんな最中、夫に託したと思われた清史がわずか10歳ながら、一人でカヨの元へと帰ってくることに。
夫の親族に冷たい目で見られていた清史はすっかり変わっていた。
貧乏はもう嫌じゃ。
一方、滑り止めの高校に受かった清史は「金が欲しかった」という理由だけで強盗殺人を起こすことに。
彼は15歳となっていた。
話は変わり、彼と結婚していた亜紀の独白になります。
夜の世界に身を落としていた亜紀は黒服として働いていた清史と出会い、そして、一緒になることに。
しかし、彼はとんでもない人物だった。
女に執着し、金に執着し、亜紀の元へと転がり込んできた清史は、いわゆる「ヒモ」の状態に。
やがて、彼は本物の銃を手に入れ、大きなことを起こすことに考えをシフトしてゆく。
結局のところ、清史は警察官に射殺されているので、彼のことを語ってゆくのは女たちになるのですが、清史に関わるととんでもない渦に巻き込まれることになります。
結局、彼の30年の人生はなんだったのか。
金が全て。
女が全て。
一時は清史と一緒になって幸福感を感じていた亜紀でしたが、彼のとんでもない性癖に付き合わされ、地獄を見ます。
清史の母のカヨのことを「ちっさいかあさん」と慕い、彼女の元へと清史の子を堕胎した後に身を寄せることになりますが、カヨもまた、子供を流してしまった過去がありました。
カヨと心を通わせてゆく亜紀。
女たちは事件を起こした清史抜きで(すでに死亡しているので)たくましく生きてゆくシーンがなんとも切ないです。
こういう事件を起こした犯人はいわゆる「精神に異常を持っている」と弁護側が言うことは多々あるのですが、今回は事件を追っていた記者が彼は「異常ではない」と感じ、清史の人生を辿ることによって、先輩の助言で清史のことを綴った一冊の本「異常に非ず」という書籍を書き上げるまでが丁寧に描かれています。
重たいテーマでしたが、そのまま重たいままで話は終わることに。
実際に起こった事件をモチーフにして描かれているので、どうしても内容が重たくはなっているものの、それでも希望を持ちたいと思える書籍でした。
