しばらく会わない間に彼女は…。

心の微妙な揺れを感じる歌詞が美しい!チェッカーズの隠れた名曲です。

 

【1991年リリース】

『ミセスマーメイド』 歌:チェッカーズ

作詞:藤井郁弥

作曲:鶴久政治

 

 数年前にあらためてチェッカーズを聴いてみたことがあるのですが、実はこの曲あまり印象に残っていませんでした。けれど久々に聴いても歌詞を思い出せる。

 

 メロディーは自分好みのR&B調で、当時はそれだけ聴いていたんだと思います。

 

 

 

 

 久しぶりに聴くと、あの時は全然この歌詞を理解していなかったことに気付きました。

それもそのはず、表現がとても間接的なのです。

 

【歌詞の宇宙】

この歌では、久し振りに会った彼女を「ミセス マーメイド」と呼んでいます。

「ミセス」、要するに人妻になっていたんですね。

 

歌ネット

https://www.uta-net.com/movie/4334/

 

 久しぶりに再会すると、驚くほど大人っぽくなっていた彼女。

 そこで初めて知る事実に驚き、相変わらずの自分と、過ぎた時間とのギャップに気後れし、狼狽している気持ちを、再会の場面の中で見事に表現しています。

 

 今回は、そんな歌詞の裏側にある心のありようを推察してみたいと思います。

 

 まず、「待ち合わせの街で 降りだした雨」は、久し振りの約束なのに、二人の関係の雲行きが怪しいことを暗示しています。

 

 と同時に、「雨」が冷やしていくのは「日にやけた素肌」だけではなく、熱い彼女への想いまで冷やされいくことも表現しています。

 

 そして、「傘を差し出され 振り向いた時に」 彼女が「息を止め」るほど、美しい大人の女性になっていたことに驚くのです。 

 

 そこで、雨に濡れた自分に「白いハンカチ」を差し出す指を見て、さらに驚かされてしまう。まさに「何も言えずに」唇を噛むしかなかくなってしまうのでした。

 

 しかし、なぜ「息を止めた」のか、直接的な言葉はありません。

 

 ただ、「恋しくて 切なくて」会いにきた彼女は、知らないうちに「ミセス」になっていた。

 

 そう、指には結婚指輪がはめられていたのです。

 

 2番では、「どうしてそんなに綺麗な人なの?」と、別人のように美しくなっていることに未だ驚きを隠せないでいます。

 

 彼女が幸せで満ち足りていること。

 また結婚した相手がおそらく歳上の大人の男性で、しかも経済的にも豊かな生活をしていること。

 

 美しさや大人の雰囲気は、服装やアクセサリー、メイクに至るまで全てが変わっていたのでしょう。

 

 それに対して、「ずぶ濡れのTシャツ」姿の自分。そこに、「かっこつかない」ほどギャップを感じていることからも推察されます。

 

「あの日のままの二人の約束」がいかに子供じみていて、自分だけが幼いまま取り残されたような感覚。「かっこつかないね」のひと言で、その奥で気後れや恥ずかしさまで感じていることまで伺える。

 

 雨というシチュエーションを使ったこの歌詞の奥行の深さがこの言葉に集約されていきます。

 

 けれども「本気」だったことだけは伝えたい。それだけに、これからの彼女の幸せを祈って、二度と会わないことを決めるのです。

 

 マーメイド=人魚は、「幻」の動物。

「あの夏の あの恋は 幻だね ミセス マーメイド」

 

ミセス?マーメイド      ダナン ベトナム

 

 チェッカーズ、今視てもかっこいいです!