2019年12月頭の池袋ミカド劇場における、蟹江りんさん(栗橋所属)の公演模様を、二作目「蟹江りんご」を題材に、「踊り子になったりんご」という題名で語りたい。
2019年12月頭の初日、池袋ミカド劇場に顔を出す。
今週の香盤は次の通り。①愛奈(TS)、②金魚(道劇)、③蟹江りん(栗橋)、④黒井ひとみ(栗橋)、⑤美樹うらら(栗橋)、⑥伊東紅蘭(東洋) 〔敬称略〕。
その週は二日間通う。
初日、待ちに待った蟹江りんさんの二作目を拝見した。本作品は二週前の11月頭の蕨ミニで初出しされたようだ。
なんと、りんごの着ぐるみで登場!!! この演目名はきっと「りんご」だ!と思って本人に聞いたら「蟹江りんご」との回答。うまく名前とかぶせたユニークなネーミングにおもわず感心しちゃったよ(笑)。
すぐに選曲も教えてもらったので、さっそく観劇レポートを書いてみた。
第二作「蟹江りんご」は、次のようなステージ模様である。
最初に、真っ赤な林檎の着ぐるみを着て登場。頭にも林檎のかぶりもの。てっぺんに茶色い林檎の芯と緑の葉っぱがひとつ付いている。赤い長袖のシャツに赤いスカート。
音楽に合わせ、裸足で踊る。
一曲目は、なんと童謡「りんごのひとりごと」。
♪わたしはまっかなリンゴです お国は寒い北の国
『りんごのひとりごと』は、作詞:武内俊子、作曲:河村光陽による日本の童謡・唱歌。1940年(昭和15年)2月にキングレコードにより河村の娘・順子の歌でレコード化された。
リンゴを題材とした曲であり、歌詞は、出荷されて店頭に並ぶ様子をリンゴ自身の視点で描く。前年(1939年)当時猩紅熱で入院していた武内が、長妻完至により見舞いに持参されたリンゴを見てノートに走り書きした歌詞を、見舞いに訪れたキングレコードの担当者・柳井堯夫が見て、曲として仕上げたという。武内自身は作曲者に長妻完至を望んでいたが、河村光陽に依頼された。
武内 俊子(たけうち としこ/1905-1945)は、広島県三原市出身の童謡作詞家、童話作家。『かもめの水兵さん』、『赤い帽子・白い帽子』の作詞で知られている。
河村 光陽(かわむら こうよう/1897-1946)は、昭和期の戦前から戦中にかけて活躍した作曲家。長女は歌手の河村順子。代表曲に、『うれしいひなまつり』、『かもめの水兵さん』、『グッドバイ』、『仲良し小道』などがある。
かわいい林檎の着ぐるみと懐かしい童謡に、おもわずほっこりさせられる。
音楽が変わり、着ぐるみを脱ぐ。
下には、赤いワンピース衣装。
肩出しで、肩紐で胸から下の衣装を吊るしている。赤い生地の中に小さな白い水玉模様。腰に長くて白いフリルを四つ垂らしている。上着の前面には白い真珠のボタンが縦に三つ並ぶ。小さい赤いリボンが、胸元、ベルト部、四つのフリルに、ワンポイントで付いている。
持ってきたバスケットから赤い林檎をひとつ取り出す。また、赤いピストルに黄色い玉を付けて、客席に向かって撃つ。楽曲「林檎殺人事件」に合わせているんだね。玉は当たってもスポンジなので大丈夫♪
二曲目は、懐かしの「林檎殺人事件」。
1978年6月21日にリリースされた、郷ひろみの27枚目のシングル。作詞:阿久悠/作曲・編曲:穂口雄右
「お化けのロック」に続く樹木希林とのデュエット曲であり、テレビドラマ『水曜劇場「ムー一族」』(TBS系列)におけるコントコーナーの挿入歌であった。『ザ・ベストテン』では4週連続で1位に輝き、1978年の年間ベストテン第10位に輝いた。
樹木によれば、この歌は、一般的なイメージの「素敵な男女」とは別物の凸凹ペアである樹木と郷を、雌雄の区別がない両性具有のような存在とするコンセプトである。そして、曲中のフレーズ「フニフニフニフニ...」は、そのコンセプトに基づくもので、二つとない実際は一つと言う『不二』を意味するものという。歌のイメージやコンセプトは、『ムー一族』のプロデューサーだった久世光彦によるものであり、「フニフニフニフニ...」も、久世による言葉遊びである。作詞者の阿久悠は、久世から作詞を依頼されたときコンセプトも聞かされて「それだけ出来ているなら自分で書けばいい」と答えたという。
この曲の最後には、ピストルを客に渡し、自分に向けて撃ってもらう。
ここで一旦、暗転。
音楽が変わって、着替える。
赤いガウンを羽織る。透け透けの生地。銀の首飾りがキラキラ。下には黒いパンティのみ。
三曲目は、東京事変の「恐るべき大人達」。作詞:椎名林檎、作曲:亀田誠治×椎名林檎。ジャズっぽく、おしゃれでハイセンスなサウンド。ちなみに椎名林檎の歌詞は英語なので聞き取れず内容は理解できない。
東京事変(とうきょうじへん、英称:Tokyo Incidents、Incidents Tokyo)は、シンガーソングライターの椎名林檎を中心に、2003年に結成された5人組のロックバンド。2012年2月29日の日本武道館公演をもって活動を終了。
最終バンドメンバーは、次の五人。
・椎名林檎 - ボーカル、ギター、ピアノ、ドラムス
・亀田誠治 - ベース、コーラス
・浮雲 - ギター、マンドリン、ボーカル、ラップ、コーラス
・刄田綴色 - ドラムス、パーカッション、コーラス
・伊澤一葉 - 鍵盤楽器(キーボード、ピアノ)、ギター、ボーカル、コーラス
それぞれ独自の音楽性を確立するメンバーで構成されており、ライブにおいてはCD音源とは異なった多様かつ高度なアレンジが展開されていた。
しかし、その活動期間は、2005年を境に第一期・第二期に大別される。(第一期は椎名個人に重点が置かれ、第二期からはバンドとして表現できるようになる)
というのも、2003年当時、引退を考えるほど音楽活動の継続にモチベーションを見出せなかった椎名林檎が「メンバーたちのために書き下ろすつもりで曲を書けば意欲が湧くのではないか」と考えて結成。当初は椎名のツアーのバックバンドとして稼働していた。だから、このバンドは初めは椎名の表現者としての延命装置として生まれ、彼女が音楽と向き合って自身の音楽的成長を促すため設定したカリキュラムのようにスタートした。これが第一期。
そして伊澤一葉と浮雲が加入した際は、彼らのように「実力がある」と言われながらも普段はアンダーグラウンドやインディーズで活動している陽の目を見ない才能には、自分たちの内輪だけで循環するのではなくメジャーの場で勝負して欲しいと思い、自分の方から一緒にやってくれないかと誘った。椎名の意識の変化に伴い、バンドも彼らを世間に通用させるまでの過程そのものをビジネスとすることを目的としたプロジェクトへと変化していった。この過程について椎名は「学習機関に始まり(『教育』)、職業訓練校、研究室・実験室を経て(『大人 (アダルト)』〜『スポーツ』)、最終的にメンバー各々がそれぞれ独立して稼働できる生産工場となった(『大発見』)」と表現した。 『』はアルバム名。
そのまま盆へ移動。
上着を脱いで、ベッドショーへ。
黒いパンティを左太ももに巻く。
アクセサリーは銀の首飾りのみ。手のマニキュアが透明だがテカテカ輝いている。
ベッド曲は、Sia(シーア), Diplo(デュプロ), Labrinth(ラビリンス)の楽曲「Genius」(ジーニアス)。
立ち上がり曲は、キリンジの「エイリアンズ」。2000年10月12日リリース、キリンズの6thシングルで、キリンジの代表曲である。
夜にしっぽり聴けるような、とてもアダルトな雰囲気の曲だね。エイリアン=宇宙人というタイトルからは想像もできない、ハイセンスな感じ。こういうミュージシャンの曲を知っていて、かつ本作品の立ち上がりに使用してくるとは意外に思った。
キリンジ(KIRINJI)は、日本のバンドである。
1996年に兄の堀込高樹が弟の堀込泰行を誘って兄弟2人で結成。デビューするとすぐに、複雑ながらポップなサウンドと独自の詞世界で大きな注目を集め、また兄弟それぞれが他のアーティストへの楽曲提供を手がけるなど、作詞家・作曲家としても支持を集める。2人構成時代においても、「キリンジは主に泰行が歌っているわけだから、そもそも“デュオ”っていうのとは違いますよね」と高樹が発言しているなど、「デュオではなくバンドです。」と主張していた。
2013年春、弟の泰行がグループを脱退してソロとなり、兄の高樹がキリンジの暖簾を引き継ぎ、新たに5人のメンバーを加えてバンドとして活動を継続することとなる。
さて、以下に感想を述べさせて頂きます。
りんごの着ぐるみを着て登場し、童謡「りんごのひとりごと」で始まり、懐かしの「林檎殺人事件」の曲が続くあたりは、かわいいユニークな演目にまとめるのかなと思って楽しく観ていた。おじさんとしては十分についていけるところである。
ところが、三曲目の東京事変の「恐るべき大人達」から様子がガラリと変わり、ラスト曲のキリンジの「エイリアンズ」で締める。かわいい路線が突然アダルト路線に変わるのだ。このへんの曲は普通のおじさんではついていけないだろう。「恐るべき大人達」の歌詞の中には和訳すると「アダムとイヴは林檎を渡し 地球は逆さに回り始めるだろう」なんて箇所もあるので、タイトルの林檎に通じているのかとも思ったが、意味はよく理解できない。おじさんとしては難しいことは考えずに、ただただ若い女の子のヌードに関心を集中させることにする。笑 そうすればヌードを楽しみながらステージをすーっと流せる。
しかし、ストリップ評論家を自認する私としては簡単に見過ごせない。出だしでニコニコ安心して観ていたものの、途中から、ありゃありゃ、この作品「蟹江りんご」は何を目指しているのかなと思っちゃった。テーマの「りんご」が一貫していない気がした。
この感想に対し、すぐに、蟹江りんさんからお返事を頂く。次のように解説されてあった。
「リンゴの演目は、長野県産のリンゴが実はアダムとイブの血を受け継いだリンゴで、私はなんてことをしてしまったんだ・・・と一回なるのですが、それでもやっぱり長野のおじいさんのため、愛を紡いでいく・・・という感じで作ったのですが、分かってもらおうとは一切思わず、ちょっとワラビ用に作ってみた演目です。」
正直これでもよく分からずにいた。そうしたら翌日、得意の漫画入りで解説してもらう。
1曲目 出荷されたリンゴ
長野から大都会・東京へ!
おじいさん元気かな?
2曲目 なんと東京でモテる!!!!
男達は私をめぐり争うように・・・! 「林檎は俺のモノだー!!」
こんなことになるなら、私なんていない方がマシよ~! と自殺してしまう
(自分で頭撃ち抜く予定でしたが、怖いのでお客さんに撃ってもらうことに
しました)
3曲目 そう・・・死んでから分かった
私はアダムとイブのリンゴだったのだ・・・!
4曲目 私のせいで皆、狂ってしまった(泣)と嘆いています
5曲目 で、おじいさんを思い出して、やはり生物は誰かを何かを愛さずにいられない
と気づき、おじいさんを思いオナニーをするリンゴです♡
以上の解説で、ようやくステージ内容は理解できた。しかし、こりゃ解説してもらわないと、悲しいかな、ここまで思考が至らない。「分かってもらおうとは一切思わず」とコメントされているが、そう言わずに、せっかく作った作品なので、蟹江りん作品として観客に理解してもらいたいと思わずにいられない。
そこで私なりに咀嚼して、次のような童話を書いてみた。一曲目の童謡「りんごのひとりごと」をベースにして、蟹江りんさんの解説を加味し、ストリップ・バーションにアレンジしてみた。是非とも参考にしてほしい。
なお、本童話は2020年最初の私の創作童話になったよー! 蟹江りんさんに感謝!!!
2019年12月 池袋ミカド劇場にて
(2020年1月改訂) (ライブシアター栗橋にて)
2020.1
童話『踊り子になったりんご』
~蟹江りんさんの二作目「蟹江りんご」を記念して~
ここは見渡す限り山ばかりの長野県。
山の一面にりんご畑が続く。きちんと区画整理されていて、りんごの木々が並んでいた。
そこでは一人のおじいさんが丹精込めてりんごを栽培していた。おじいさんは民謡が大好きで、大きな声で林檎追分を唄う。りんごたちは清々しい空気と燦燦と降り注ぐ日差し、そしておじいさんの伸びやかな唄声を栄養分にして大きく育った。
その中に、一本の老樹があった。樹齢何年か分からない。おじいさんが生まれるずっと前からそこにあった。
その老樹は、りんご畑の中央に位置した。もっとも日当たりのいい場所。よく見ると、りんご畑はその老樹を中心にして区画整理されていた。つまり、その老樹こそがりんご畑の長(おさ)であったのだ。
その老樹からはそれはそれは立派なりんごが採れた。真っ赤に大きく、とても美味しい味がした。おじいさんはその老樹とそこから採れたりんごを「アダムとイブ」と呼んでいた。そして、まるで我が子を育てるかのように丁寧に扱った。
リンゴ畑は、収穫時期になると、熟したりんごの色で一面が真っ赤になる。その時期には毎年恒例でたくさんのアルバイトがやってきて出荷を手伝っていた。ふだんは人気のない閑散としたりんご畑だが、そのときだけは長野の賑わいの時期となった。
ただ、その中でも老樹だけはおじいさんしか扱うことができなかった。おじいさん自らが老樹からりんごをひとつひとつ丁寧に採ってカゴにいれた。そう、「アダムとイブ」だけは特別扱いなのだ。おじいさんは、大きくて、真っ赤に光ったりんごに‘寿’の金粉文字を書いた。この「アダムとイブ」は高級贈答品として特別な値段がついたのだ。
今年の「アダムとイブ」は格別に立派な出来だった。お陰で驚くような値段が付いた。おじいさんは自然と目元が緩んだ。
出荷の日、「アダムとイブ」のりんごちゃんは叫んだ。
「おじいさん、いままで大事に育ててくれてありがとう。今から出掛けていくねー。」
おじいさんは「いい人のところにもらわれていくんだよー。」と答えた。
こうして、りんごちゃんは貨物トラックで東京に向かっていった。
今年の「アダムとイブ」は作柄が評判になっていた。たくさんの販売業者が獲得しようと争った。値段がますます吊り上がった。まるで宝石を扱うような状況になる。
そのため、裏で悪徳業者が動き、大きな裏金が流れた。
りんごちゃんは運命に翻弄された。
りんごちゃんは優しかったおじいさんのことを思い出していた。おじいさんが唄う林檎追分が聴こえてきた。
「わたしは長野のきれいな空気で育った。そして、おじいさんにキレイに立派に育ててもらった。だから汚いお金なんかに染まりたくない。」りんごちゃんは心から願った。
「こんなことだったら自殺してやるー!」 りんごちゃんは自ら命を絶とうとした。
そこに、林檎の神さまが現れた。
「浅はかなことを考えてはいけない。自ら命を絶つとは内部から腐らせようとしているのだろう。そんなことをしたら、長野の林檎は全て信用をなくしてしまう。おじいさんはもう林檎を作れなくなってしまうぞ。
ましてや、おまえは林檎のアダムとイブである。自ら命を絶ったりなんかしたら、りんごの老樹は伐採されてしまう。そうすれば、おじいさんはどんなに嘆き悲しむことだろうか。それはおまえも望むところではないだろう。」
りんごちゃんは頷いた。
林檎の神さまは続けた。「おまえは類まれな容貌をしている。ひとりの人に食べられるよりも多くの人に鑑賞される方がいいだろう。おまえをストリッパーにしてあげよう!」
神さまは魔法の杖をもって、りんごの周りをくねくねと回した。ねるねるねるねー♪ 呪文とともに、りんごは眩しいばかりの美しい踊り子に変身した。
りんごちゃんのデビューは長野に近い北の劇場に決まった。名前も‘りんご’にした。
りんごちゃんのヌードは、まるで採れたての林檎のように、瑞々しい素肌で輝きを放った。たわわな乳房、きゅっと締まったウエスト、そして小股の切れ上がったお尻、すべてが一級品。舞台に上がると、色白なのに恥ずかしさで頬をりんごのように赤く染め、その赤みが身体の隅々まで流れた。その初々しさが観客に大いにうけました。
デビューの日には、長野からおじいさんが応援に駆け付けた。かぶり席から以前のように優しい笑顔を向けてくれた。りんごちゃんはおじいさんと再会できて心から嬉しかった。
「おじいさん、私のヌードをたっぷり見て元気で長生きしてね。」そう思い、おじいさんの目の前で激しくオナニーショーを始めた。口元から甘い吐息が漏れ、身体が小刻みに震えた。りんごちゃんのあそこはまるで林檎を真っ二つに割った果肉の芯のようでした。そこから樹液が溢れ光りました。すると場内を甘いりんごのようなニオイが漂いました。
観客の誰もが、りんごちゃんのステージに酔いしれた。
そうそう、ひとつ言い忘れました。りんごちゃんの腕にはおじいさんが描いたような金粉のTATOOが残っていましたとさ。
おしまい
〔註〕.美空ひばりの「リンゴ追分」は有名であるが、林檎追分という曲名の民謡はない。ここでは勝手に民謡曲があるものとした。