ブログに来て頂きありがとうございます。
はじめての方はこちらをご覧下さい。
今回はかなりコアなテーマ。
介護老人保健施設(老健)の運営に必須の
3つのパーセンテージについてです。
老健運営のカラクリ、真実を
施設管理者の補佐の立場から解説します。
現場で働く介護職員の中には
「そんな経営の話なんて知らんわ」
と興味が全くない方もおられます。
私もかつてはそうでした。
しかし、このカラクリを知っていると
管理者側の心理、動きが
ある程度読めるようになるので、
以前よりも仕事がしやすくなりました。
また、現場の介護士として
上司から指示されたことに
どんな意味があるのか?
それを理解する一助ともなり、
仕事のやりがいが増えるかもしれません。
なので、この記事は介護士の方へ
特に読んでいただきたいです。
介護士以外の方も介護のディープな世界を
ご覧いただければ嬉しいです。
老健は病院から家に帰るために、
リハビリの提供を
大きな役割の一つとしている施設です。
それ以外にも、
病院から施設に行くまでの
中間施設としての役割もありますが、
老健=リハビリというイメージを
持っておられる方も多いことでしょう。
この在宅復帰という
役割を果たしているかどうかで、
老健は5つに分類されます。
上から順に超強化型、在宅強化型、
加算型、基本型、その他型で、
上に行けば行くほど、利用者様の
在宅復帰に貢献していると言えます。
ちなみに私が働いている施設は
上から二番目の在宅強化型です。
区分が上である施設は、
老健としての役割を十分に果たしている。
という証明になるだけでなく、
もらえる報酬が高くなるため、
利益が出やすくなるメリットもあり、
多くの老健が目指すのが
在宅強化型以上の区分です。
各施設区分に分類するための要件は5つ
※ざっくり見てください
①在宅復帰・在宅療養支援等指標
②退所時指導
③リハビリテーションマネジメント
④地域貢献活動
⑤充実したリハビリ
各要件の細かい内容は、
別の機会に説明するとして、②~④は
「できているか?できていないか?」
で判断される要件です。
それに対して①は、
①内に設けられた様々な項目の
基準を満たすとポイントがもらえる
「どれくらいできているか?」で
判断される要件で、項目は10個あります。
在宅強化型として
認められるためには60ポイント、
超強化型は70ポイントが必要です。
最大は90ポイントです。
この10項目の内容は以下の通り。
※こちらもざっくりで大丈夫です
①在宅復帰率
②ベッド回転率
③入所前後訪問指導割合
④退所前後訪問指導割合
⑤居宅サービスの実施数
⑥リハ専門職の配置割合
⑦支援相談員の配置割合
⑧要介護4又は5の割合
⑨喀痰吸引の実施割合
⑩経管栄養の実施割合
老健として全部重要なのですが、
特に重要なのは2つ、
在宅復帰率とベッド回転率
という項目です。
これら2つの項目は
それぞれ最大で20ポイント獲得でき、
二つ合わせると40ポイント。
10項目のほぼ半分のポイントとなります。
在宅復帰率とは過去6カ月間で
何人の利用者様が退所され、
そのうち何人の利用者様が
在宅復帰されたのか?
をパーセンテージで割り出すもので、
20ポイント獲得には50%以上の
在宅復帰率が求められます。
単純計算で、6名退所されると
そのうち3名は
在宅復帰していないといけない。
そしてそれを半年間継続しないと
いけないということです。
以前の記事でもご説明しましたが、
『在宅』復帰とは言っても、
必ずしも自宅に帰る
という意味ではありません。
『在宅』の範囲ですが、自宅以外にも、
グループホームや
サービス付き高齢者向け住宅、
有料老人ホームなどの施設も
範囲内とされます。
※在宅復帰について
詳しくはこちらをご覧下さい
また、退所の中には永眠も含まれますが、
永眠は在宅復帰率の計算からは
除外するというルールや、
何日間家にいると
在宅復帰としてカウントされるか?
などの複雑なルールもあります。
ただ、これらをご説明すると
よりややこしくなってしまうので
今回は割愛します。
正直な話、50%を維持することは
中々厳しいです。
しかし、在宅復帰をされない
利用者様ばかりになると、
老健の存在意義が揺らぐため、
在宅復帰率を上げることは老健の使命と
言えるのではないでしょうか。
退所者がいないと、
施設の平均介護度がどんどん上がっていく
というデメリットもあります。
次にベッド回転率とは、
1カ月のうち入退所がどの程度あったかを
示す割合で、計算式がややこしいのですが、
ざっくり言うと
100人の利用者様が生活する老健で、
1か月間の入所者が10人、
退所者が10人だと
ベッド回転率は10%程度になります。
入退所者が多ければ多いほど
ベッド回転率が上がり、
3ヶ月平均で10.0%以上の回転率を保つと
20ポイントを獲得できます。
先程の在宅復帰率と違い、
退所先はどこでも良く、
永眠された利用者様も含めて計算します。
そしてこの二つの%に、もう一つの%、
稼働率が入ってくることで、
ポイントの獲得がぐっと難しくなります。
稼働率とはベッドが
どれだけ埋まっているか?
空床がどれだけないかを示す数値で、
老健の利益に直結する、
売上みたいなものです。
※稼働率について
詳しくはこちらをご覧下さい
稼働率を上げるために入所者を増やし、
退所者を減らせば、
ベッド回転率が下がります。
各施設、入所できる人数には
限りがあるので、
入所者を増やし続けることは不可能です。
ベッド回転率を上げるために
入退所者を増やせば、
退所者の分母が増えて、
その分必要な在宅復帰の
利用者様の人数が増えます。
在宅復帰率を上げるために
退所者を増やせば稼働率が下がります。
これらバランスを考え調整することが
重要で、難しいのです。
ちなみに、在宅復帰率は
50%で20ポイントですが、
30%で10ポイント。
ベッド回転率は10%で20ポイント、
5%で10ポイントです。
この二つの%で
40ポイント取れなかったとしても、
30ポイント獲得できれば、
在宅強化型になれる可能性が
格段に高まります。
在宅強化型に必要なのは
60ポイントですが、二つの%以外で
残りの30ポイントを取ることは、
適正人員さえ揃えられれば
そんなに難しくはないからです。
なので、二つの%でどうしても
30ポイントを確保したい。
そのためには
在宅復帰率50%&ベッド回転率5%、
もしくは
在宅復帰率30%&ベッド回転率10%です。
どちらの方が簡単か?
というと断然前者です。
リハビリ職が
しっかりしている施設であれば…
という前提がありますが、
両者を人数で表すと一目瞭然です。
先程と同じく
期間は1ヶ月として計算してみます。
100人の利用者様が
生活されている場合を例に出すと、
前者の場合は在宅復帰者3名、
入退所者10名。
単純計算ですが
これで30ポイント獲得できます。
後者の場合は
在宅復帰者3名、入退所者20名。
圧倒的に前者の方が簡単ですよね?
また、第三のパターンとして、
在宅復帰率30%&ベッド回転率5%で
合計20ポイント獲得して、
他の項目
(喀痰吸引や経管栄養の実施割合など)で
ポイントを獲得する場合もあります。
ただ、内部で働く職員の意見として、
介護士目線で見ると、
利用者様の入れ替わりが激しいと
ケア方法をその度に
模索しなければいけない為しんどい。
看護師目線で見ると、
医療的なケアの量が増え過ぎたら
業務が回らなくなるので、
経管栄養や喀痰吸引の対象となる
利用者様は少ない方がありがたい。
こういう意見が上がりやすいので、
個人的には
在宅復帰率50%&ベッド回転率5%を
推しています。
老健の根幹にしてディープな話、
在宅復帰率とベッド回転率。
なぜ、老健は入退所が多いのか?
在宅復帰が大事だといっても、
具体的に目指すのはどこか?
数字で分かる
良い指標ではないでしょうか。
深掘りすれば
さらに老健のカラクリが分かるので、
興味のある方は
調べてみてはいかがでしょうか?
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