ストーリー短歌 -7ページ目

退廃(4)

退廃4


な ナルシスを思わすような幼顔 苦悶に歪む姿愛しく


ら ラメ織りに包む肢体をくねらせて 野生の炎煽るがごとく


む 剥き出しの思いさらける心地よさ 誘う眠りに我が身沈めて


う 薄闇に目覚めアマンを揺り起こす 秘密の儀式口止めをして


ゐ 居ずまいを正す背筋は貴婦人の 輝くような生気に満ちて


の 伸びをする仕草もどこか満ち足りて 向かう晩餐鼻歌まじり

退廃(3)

退廃3 


よ 汚れれば汚れるほどに燃え盛る 炎揺らめく退廃の時


た 煙草すい目眩覚える幼顔 からかうように胸に抱き寄せ


れ 怜悧なる瞳のいつか翳るまで むさぼり尽くす玩具のように


そ 傍に寄せ背筋を撫でて囁こう 教えてあげるもっといいこと


つ 罪だとて無駄に長らう命より 光り輝くこの一時に


ね 粘膜が刺激求めてうごめいて 堕ちる谷底鬼火の揺れて

退廃(2)


ち 散りばめた宝石よりも美しい 青き瞳とピンクの頬と

り 凛として向ける眼差し眩しくて 緩む思いに仰け反りながら

ぬ ぬめり込み堕ちる怠惰の感触に 肢体の震え止める術なく

る ルージュ引きマスカラつけて飾り立て 仮面のごとき顔を歪めて

を 幼顔歪み猛るを愉しみつ 揺り動かせばあっと叫びて

わ ありふれた恋に飽いても好奇心 失せることなく肌を燃やして

か 狩をして獲物手にしてほくそえむ 血に飢えるよに刺激求めて

退廃(1)


い 意味求め澄んだ瞳のナイーブさ 取り込みたきと悪魔囁き

ろ ロックした胸の扉をこつこつと 叩く音するブルーの瞳

は はにかんだ笑顔がどこか幼くて 謎を掛けたい胸のときめき

に 楡の木の下にチェアを持ち出して 足組み見せる肢体眩しく

ほ 火照る頬からかうように見つめつつ 手招きをする楡の木の下

へ 塀の中そっとかしずく幼顔 強く挟んで髪を撫で上げ

と 陶酔の時は静かに流れゆく 白壁光る楡の木陰で

小間使い(8)


ゑ 笑み浮かべ立ち居振る舞い板につき だけど根性どこまで悪く

ひ 品のない上さんたちをあざ笑い パラソル揺らし腰振りながら

も もう二度と見たくないよと妬まれて だけどうれしい錦を飾り

せ 世知辛い下町なんてこれっきり 鼻歌交じり馬車に揺られて

す 澄まし顔板については来たけれど 先ははらはらどうなるのやら

小間使い(7)


あ 唖然とし見送るばかり女たち 歯軋りをして口惜しがるけど

さ さっそうとノックしたのは住み込んだ 因縁の家旦那びっくり

き 着飾った姿に緩む目尻見て ウィンクひとつ懐かしそうに

ゆ ゆっくりはできないけれど少しだけ 旦那様には尽くしてみたい

め 目の前のご馳走逃す手はないと 旦那うきうきまだ日は長い

み 磨いたら光る珠ならよいけれど この令夫人困ったもので

し 嫉妬して敵う相手でないけれど 奥様たちは呪いの言葉

小間使い(6)


け 剣呑な雰囲気を見て気の毒と 助け舟出す奇特な紳士

ふ 風雅なる別荘が待つ郊外へ 馬車で引っ越し遠足気分

こ 恋仲になって紳士は驚くが 育ちのせいと同情をして

え 選ばれて貴族暮らしの小間使い 今に見ていろ鼻をあかすと

て 手袋をはめてパラソルしなしなと 貴婦人が行くパン屋の前を

小間使い(5)


お 追い出しを食ってなるかと小間使い 粗探しては蜂の一刺し

く 口惜しくて奥様たちは大騒ぎ 旦那様たち知らぬ存ぜぬ

や 厄病を追い払わんと団結し 奥様たちは目もぎらぎらと

ま 周りから疎まれたって上の空 小賢しい手に乗る気配なく

小間使い(4)


な なるほどと頷くばかり旦那様 ちやほやされて溺愛されて

ら ラメの服ねだり手にして有頂天 舞台を真似てお辞儀深々

む むずかしいことはさっぱりわからない 天気任せの毎日だけど

う 打ち解けて交わす口づけ膝の上 雲に上った心地でふわり

ゐ 忌み嫌う奥様たちの目が光る あんな娘は追い出したいと

の のらくらで男漁りに明け暮れる ろくでなしめと目を光らせて

小間使い(3)


よ 世の中はとても楽しいことばかり 夢はピンクの光に溢れ

た 大胆なポーズにころり参るのは 買い物先のパン屋の主

れ 礼儀よく小首傾げて頷けば おまけのパンは抱えきれぬほど

そ 傍に寄り瞳を閉じてされるまま 吐息漏らせばもう手の内に

つ 次々と甘い言葉でたぶらかし 思い描くは踊り子の夢

ね 熱上げる街の旦那は入れあげて 花咲くように噂飛び交い