日本のテレビドラマのレンタルはその番組のあらすじを読んで決めるのだが、まずはずれにあたったことはない。 予想していたのとは違っていても、まず何とか楽しめる要素があればそれでいい。 私を楽しませるのはたやすい。 と思っていた、”ギャルサー”を見るまでは。 コメディのようだが、おかしくない。 主人公の魅力がない。 設定が無理、プロットが貧困、演技が幼稚。


ギャルサーとはギャルサークルのこととはじめて知った。 ギャルと言うのも聞いたことはあったけど、正確には知らなかった。 ただひとつの収穫はギャル語である。 使いたくてしょうがない。 うぜえんだよ、死ね、ありえないしー。 すぐに影響される軽薄なわたし。

この5日ほど毎日雨が降ったりやんだりしてまるで梅雨のよう。 まさかカンサスに梅雨はないけど。 ここでは雨が降るとみんな落ち込むみたい、又今日も雨だ、いやだねえというのが挨拶代わり。 小麦やコーンを作っている農家の人たちは別だろうけど。 ツレアイは一人で2日泊りがけでオクラホマの両親のご機嫌伺いに出かけたので、私はリュウザエモンと気楽な留守番。 


今夜はどこか外に食べに行こうと言っている。 皿洗いが当番のやつ、なるべく汚れ物を出すなよ、コーヒーも同じカップで飲めよ、とうるさい。 手で洗ったりせずにどうせディッシュウオッシャーに入れるくせに。

ドリアンと言う果物はくさいそうだけど、まだここで見たことがないので、未経験。 トロピカルフルーツは匂うのが多いような気がする。 たとえばパパイヤ。 うちの子供たちやツレアイにとっては、納豆は汚れた靴下のにおい、大根の浅漬けはおならのにおい。 でも私の絶え間ない努力のおかげでやっとキムチのにおいには慣れたようだ。


食欲を増すのはにんにくの匂い。アンチョビーと一緒に、ああ パスタが食べたい。

あるいはおしょうゆの焦げる匂い。 鮭の皮をカリカリにして、ああ ご飯が食べたい。

またはみじんぎりのねぎの匂い。 スープの中に浮かんでいる。 ああ ラーメンが食べたい。 

匂う食べ物といえば、思い出すのはもう25年以上も前の話。交換留学生として、インディアナの田舎町の大学院に来た私の始めての寮生活。 男女混合の院生専用で確か9階建てだったか。 アジア人同士やっぱり親しくなるもので、韓国から来ているインスックという人にいろいろと教えてもらった。姉貴分と言うところだろうか。 言いたいことははっきり言うし、感情も隠さない人でもう1年で修士号を取る予定、何が専攻だったのか忘れた。 私のようなのんきな身分ではなく学位をとったらすぐに就職、そうしたら家族を呼んでアメリカで暮らすと目標ははっきりしていた。 実家の妹にアメリカ製の生理用のナプキンを小包で送っていた。 こんなに便利に包装してあるのは韓国では手に入らないんだと言って。


その彼女があるとき各階にある共同キッチンでするめを焼いたらしい。 そのにおいがビル中に広がり、死体を焼くにおいだと騒ぐ人たちが学校の警備に連絡して事は大きくなるばかり。 結局どういう形で片がついたのか。 でもインスックは謝ったりはしなかった。 もしあれが私だったら、ただただ恐縮してだろうな、と思って感心したのを覚えている。


それ以来するめと言うとインスックを思い出す。

珍しく新鮮な大根を見つけたので(いつもは干からびてなよなよになったのを平気で売っている)、豚のひき肉とキャベツなどを入れて煮てみた。 結構やわらかくなるのに時間がかかるんだなあ。 お箸をさしてみてもまだ硬い。 味付けはだしとお酢、しょうゆを少し、ラー油も少し、ついでにパセリをちぎって入れて、あいも変わらず不思議な味になってしまった。 どうせ私だけ食べるんだろうからいいけど。 


こういうのをおかずにしてご飯とお弁当にしていって仕事場でチンして食べていると、異様なにおいがするらしく、またまたこの職場でも”におう弁当ナンバーワン”の評判。 すみませーん。 でもやめないもんね。

ベガスネタでやっぱり一番なのがこの話。私の元同僚が20代後半だったころ、ガールフレンドとベガスに遊びに行ったときの話。

なぜか一人でホテルのバーで一杯やっていると如何にもそれらしい女性が顧客を待っているのに気づいた。 とても自分の相手になるような人ではないとわかっていながら、いたずらっけを出してしまった。 その人のところに行き、“いくらでしてくれるの”と言うと200ドルだか、300ドルだか言ったらしい。 そこで、”5ドル出したら何をしてくれる?” と言うと”バカにするな、あっちいけ”と言われた。 


同じ日の夜、彼はガールフレンドと一緒にエレベーターで部屋にあがっていった。 その途中で乗り込んできたのがあの女性、リュウとしたなりの男性と一緒である。 降りる寸前に、その彼女、”5ドルでは、その程度なのね”と言いおいてエレベーターを出て行った。 あせった彼はガールフレンドに説明するのに、四苦八苦だったのは当然。


ベガスネタはこれでおしまい。

帰る当日のお昼をツレアイと食べ放題のすし、シーフードレストランに行った。 プラネットハリウッドの中にある。 Todaiというお店。平日のお昼は18ドル。 晩ご飯は30ドル、でもカニとか、牡蠣、すしのネタにはイクラにウニと高いものがでるそうだ。 私たちにはお昼のメニューで十分、ハマチはなかったけど、普通に何とか巻きと言うのは数知れずあるし、サケ、イカ、アナゴ、ホタテ、シメサバ、それにカンピョー巻きまであって感激。 サラダは茶そばサラダとか、海草サラダ、えだまめ、インゲンのおひたし、などなど。 すき焼きにはおうどんが入っていて、焼きそば、焼き飯、てんぷら、とそろっている。 スープは中華風のと味噌汁、うどんは頼むとゆでてくれる。 デザートにはグリーンティーケーキやチーズケーキ、クレープも中に入れるものを指定してすぐに焼いてチョコレートソースをかけてくれる。


とそういうことが言いたかったのではない。 二人以上で一テーブルにつき5ドル引きというクーポン券を持っていったのだ。 席に着く前に見せるようにということだったので、席まで案内してくれた彼に渡した。 そしてツレアイはトイレに。 すると係りのウェイターが来て私に言う、 このクーポンはほかの割引と一緒にはつかえませんのであしからずと。 ほかの割引なんてないよというと、いや、今日はシニアは普通に払っている人一人と一緒だと無料なんですという。 チケットを見ると、アダルト1名、シニア1名と書いてある。 さすが賢いウェイターはお連れの方がシニアでしょうと言う。 うーん、そうなのか。 ここは優しい妻を演じてやるか。


トイレから帰ってきていざ出陣というツレアイにこういうわけでね、私がシニアに見られちゃってね、タダなのよ、と言う。 私の期待というか予測では、ツレアイは、まさかそんな馬鹿な、僕がシニアに見られたに決まってるじゃないか。 と言うはずだったのだが、、、 あ、そうなの、よかったじゃない、安くて、得しちゃったね。 だって。 


おなかいっぱい食べて満足だったけど、なんとなく納得できない気分でした。


昨日に続いて熟年カップル観察録。 毎朝7時にツレアイと主催ホテルまで歩いていって、そこからバスでネバダ大学(会議のある)まではチャーターバスに乗るのを見送ると後は気ままな一人旅。 ゆっくりとストリップ通りを歩いて大きなホテルに入って涼みながら又歩く。 そのうち後になり先になるカップルに気づいた。 目だっている。 というのも2人ペアールックなのだ。それもおそろいのティーシャツとか、そんな子供だましではない。 たぶん麻のはいっている真っ白のスーツの彼と同じ素材のワンピースの彼女。 どちらも50代を軽く超えている。 おそろいの指輪をしているのでたぶん夫婦、不倫ではなさそうだ。(それにしては女性の年がいきすぎてる?) 男性は手入れの行き届いた口ひげをしてかなりのヒールのある上等らしい革靴を履いている。 アングロサクソンの男にはとてもまねのできない格好。 彼女は白い服の下におそろいのブラとショーツ(色模様入り)が透けて見えている。 わかっていてしているのでは、と思わせるような余裕。 


これはラテン系と見た。それもメキシコやスペインではない、もっと南、ブラジルかアルゼンチン。 通りすがりに聞こえてきた音楽に合わせてちょっとステップを踏んだりして、二人ともそれぞれの腰に手を回している。ちょうど同じくらいの背格好なのでそれができてさまになっている。 25センチも身長に差があると無理なのです(経験上)。


シーザーズパレスの噴水の前で彼女の写真を撮ったあと、熱い接吻。 感心しながら見ていました。 

暑いラスベガスはどこへいっても旅行客であふれかえっていた。 アメリカの田舎から出てきたおじさんおばさん(私たちもこのうちに入る)、若いカップル、友達らしいグループ、信号で待っているときに聞こえる言葉はフランス語、中国語、ドイツ語に、スペイン語。 今回のベガスで目に付いたのが老年の夫婦らしいカップル、それも奥さんのほうが車椅子に乗っていたり、歩行器をおしていたり、杖を突いたりしている。 そばにいるのが同じような年頃のだんなさん、自分もあんまり足元が確かではない。 


愛されている自信がないと車椅子を押してもらおうとはおもわないだろうなあ。 手間をかけて悪いとか、遠慮してしまってはもういっしょに旅には出られないだろう。 2人の歴史に支えられてこうして車椅子を押す人と押してもらう人がいるんだ。 などと考えさせられた。 


30年たってもこうしてベガスに遊びにこられるかなとツレアイに訊くと、もちろんという。 30年後の二人を想像できるようになったのは私も年ととった証拠なのか。 


家はちゃんと焼けずに立っているし、リュウザエモンは無事に生きているし、やれやれ。 スミがハエにかまれて耳に傷ができて出血しているのがただひとつのきがかり。 わたしたちが留守の間リュウザエモンは料理などはせず、冷蔵庫の残り物さえ片付けてはくれず、もっぱらピザやサンドイッチの買い食いで食いつないだらしい。 (渡しておいた60ドルのうちいったいいくらつかったんだろう) クマゴローも何かと忙しいとかで帰ってこなくて結局、サイノスケと3人で一日映画を見たり遊んだりしただけで、リュウザエモンはずーっと一人きり。 友達が遊びに来たりしたけど、夜になるとひとりでとっても静かで話し相手もいなくてなんだか変だったという。


飛行機が着いて電話を入れてからあわてて家の片づけをしたらしい。 できるだけ汚れ物が出ないように使い捨てのカップやお皿を使うんだといっていたけど、そのとおりしたのか流しも片付いている。 割ときれいにしてるじゃない、というと、そうだよ、電話があってからすぐにビール缶の山をごみに出して、その辺で酔いつぶれている友達を家に帰らせたんだという。 けっ、冗談きついぜ。