ご無沙汰しております。すばるです。
前回の投稿から2ヶ月も空いてしまいましたが、昨年修了したPerimeter Institute での物理の修士課程の対面卒業式が6月にあったので、今回は、その振り返りをしたいと思います。
まず、記憶を呼び起こすところ、2020年の9月から2021年の6月まで、カナダの Perimeter Institute(ペリメーター理論物理学研究所)という研究所で、一年間、理論物理の修士プログラムに参加していました。
しかし、ちょうどコロナ禍に入ったところだったため、実際に現地に赴くことは叶わず、プログラム中全てオンラインで授業や研究をすることとなりました。
もちろん、一緒にプログラムに参加した同期の生徒たちとも、Zoom や Discord などのソフトを通してコミュニケーションをとるほかありませんでした。
それでも、同期はみんなとても物理が大好きで楽しい人たちで、プログラムが終わってからもいくらか個人同士での交流が続いています。
(例えば、プログラムが終わった後のそれぞれの進路先で、一緒にアパートを借りて住んでいるような人たちもいます!)
さて、そのプログラム修了からちょうど一年が経った今年の6月でしたが、なんと、研究所の計らいで、2022年度卒業の後輩たちと共に対面卒業式を実施してくれることとなりました!
特に、私はペリメーター研究所には一度も訪れたことがなかったので、行ったことのない(そして本来は住むはずだった)地域と、会ったことのない(そして本来は親友ほどになるはずだった)同期の友達たちと、初めての面会(?)となりました。
まず、カナダのウォータールー到着当日。トロントから数時間車で移動した郊外に、研究所がありました。
(正面玄関。結構建築には凝っているらしい。)
とても新しめの研究所で、他の方向から見るとガラス張りになっている部分もあり、近未来的な雰囲気がありました。
中に入ると、天井から外の光が入ってくる、風通しの良さそうな作りに圧倒されます。
(メインのホール。黒板や椅子の他に、ピアノやジムなどのレクリエーションも豊富。)
講義やプレゼンのためのホールは、とても設備が充実していました。シートも座りやすかったです。
(講義ホール。本来ならここで授業や発表が行われるはずだった。ここで卒業式が行われた。)
講義ホールやメインホールなどの他には、小さめの教室やそれぞれの生徒や教授オフィスがあるのですが、それ以外にも研究所の人たちがくつろぎながらどこでも物理の議論ができるように、いろいろなところに黒板が設置されていました。
(一階にある大きめのくつろぎスペース。と思いきや黒板もちゃっかり(?)置いてあり、結構な頻度でものが書かれているらしい。ちなみに奥には暖炉用の薪がストックされてある。)
(廊下を歩いていると頻繁に出てくるこじんまりとした議論スペース。実際にここで私も友達と数学の議論をしてみた。)
さらに、学者とは頭をとても使う職業なので、睡眠不足は研究の敵です。
というわけなのか、廊下のあちらこちらに昼寝用スペースもありました。
(途中で見つけた昼寝スペース。私も実際にここに住んでいたら使っていたのかも...。)
こんな感じで、ペリメーター研究所には、いろいろな設備が充実していて、とても過ごしやすそうでした!
こうやって構内のツアーをして、実際に数日間ここで過ごしてみて、昨年一年間、コロナに奪われた、本来ならここで充実に過ごせただろう時間を思い描いてみて、涙が目に浮かびました。
(実際、卒業式の場面で、後輩たちが「こんな楽しい時を過ごせたのはみんなのおかげです」(後輩たちは現地で過ごすことができた)と感謝の気持ちを述べている間、コロナ禍でオンラインでプログラムに参加した私の代の同期たちは(チーン)と言った無の表情をしていました。)
それでも、お世話になった先生たち、そして初めて会った同期たちと、数日間深い話をして楽しめたのは、かけがえのない時間でした。
常に勉強に励んでいると忘れがちになりそうですが、私たちは研究者である前に一人の人間で、その人と人とのつながりの大切さを心から感じさせてくれる環境であったと思います。
ここで出会った人たちといつかどこかで再会できることを願いながら、これからも精進していきたいと思います。
(卒業式の写真。先生と学長と私。ちなみに後ろの数式は写真撮影用のものらしい(書いてあることは正しいけれど)。)