ご無沙汰しております。すばるです。

 

 

前回の投稿から2ヶ月も空いてしまいましたが、昨年修了したPerimeter Institute での物理の修士課程の対面卒業式が6月にあったので、今回は、その振り返りをしたいと思います。

 

 

 

 

まず、記憶を呼び起こすところ、2020年の9月から2021年の6月まで、カナダの Perimeter Institute(ペリメーター理論物理学研究所)という研究所で、一年間、理論物理の修士プログラムに参加していました。

 

 

しかし、ちょうどコロナ禍に入ったところだったため、実際に現地に赴くことは叶わず、プログラム中全てオンラインで授業や研究をすることとなりました。

 

 

もちろん、一緒にプログラムに参加した同期の生徒たちとも、Zoom や Discord などのソフトを通してコミュニケーションをとるほかありませんでした。

 

 

それでも、同期はみんなとても物理が大好きで楽しい人たちで、プログラムが終わってからもいくらか個人同士での交流が続いています。

 

(例えば、プログラムが終わった後のそれぞれの進路先で、一緒にアパートを借りて住んでいるような人たちもいます!)

 

 

 

 

 

さて、そのプログラム修了からちょうど一年が経った今年の6月でしたが、なんと、研究所の計らいで、2022年度卒業の後輩たちと共に対面卒業式を実施してくれることとなりました!

 

 

特に、私はペリメーター研究所には一度も訪れたことがなかったので、行ったことのない(そして本来は住むはずだった)地域と、会ったことのない(そして本来は親友ほどになるはずだった)同期の友達たちと、初めての面会(?)となりました。

 

 

 

 

まず、カナダのウォータールー到着当日。トロントから数時間車で移動した郊外に、研究所がありました。

 

 

 

(正面玄関。結構建築には凝っているらしい。)

 

 

とても新しめの研究所で、他の方向から見るとガラス張りになっている部分もあり、近未来的な雰囲気がありました。

 

 

 

中に入ると、天井から外の光が入ってくる、風通しの良さそうな作りに圧倒されます。

 

 

 

(メインのホール。黒板や椅子の他に、ピアノやジムなどのレクリエーションも豊富。)

 

 

 

講義やプレゼンのためのホールは、とても設備が充実していました。シートも座りやすかったです。

 

 

(講義ホール。本来ならここで授業や発表が行われるはずだった。ここで卒業式が行われた。)

 

 

 

 

 

講義ホールやメインホールなどの他には、小さめの教室やそれぞれの生徒や教授オフィスがあるのですが、それ以外にも研究所の人たちがくつろぎながらどこでも物理の議論ができるように、いろいろなところに黒板が設置されていました。

 

 

 

 

(一階にある大きめのくつろぎスペース。と思いきや黒板もちゃっかり(?)置いてあり、結構な頻度でものが書かれているらしい。ちなみに奥には暖炉用の薪がストックされてある。)

 

 

 

 

(廊下を歩いていると頻繁に出てくるこじんまりとした議論スペース。実際にここで私も友達と数学の議論をしてみた。)

 

 

 

 

さらに、学者とは頭をとても使う職業なので、睡眠不足は研究の敵です。

 

というわけなのか、廊下のあちらこちらに昼寝用スペースもありました。

 

 

 

 

(途中で見つけた昼寝スペース。私も実際にここに住んでいたら使っていたのかも...。)

 

 

 

 

こんな感じで、ペリメーター研究所には、いろいろな設備が充実していて、とても過ごしやすそうでした!

 

 

こうやって構内のツアーをして、実際に数日間ここで過ごしてみて、昨年一年間、コロナに奪われた、本来ならここで充実に過ごせただろう時間を思い描いてみて、涙が目に浮かびました。

 

 

(実際、卒業式の場面で、後輩たちが「こんな楽しい時を過ごせたのはみんなのおかげです」(後輩たちは現地で過ごすことができた)と感謝の気持ちを述べている間、コロナ禍でオンラインでプログラムに参加した私の代の同期たちは(チーン)と言った無の表情をしていました。)

 

 

 

 

それでも、お世話になった先生たち、そして初めて会った同期たちと、数日間深い話をして楽しめたのは、かけがえのない時間でした。

 

 

常に勉強に励んでいると忘れがちになりそうですが、私たちは研究者である前に一人の人間で、その人と人とのつながりの大切さを心から感じさせてくれる環境であったと思います。

 

 

 

ここで出会った人たちといつかどこかで再会できることを願いながら、これからも精進していきたいと思います。

 

 

 

(卒業式の写真。先生と学長と私。ちなみに後ろの数式は写真撮影用のものらしい(書いてあることは正しいけれど)。)

 

 

 

 

 

 

 

更新がめちゃくちゃ遅れました。すばるです。

 

もう1ヶ月も前のことですが、春学期についてなにも記録していなかったので、ここで軽くまとめをしたいと思います。

 

 

 

まず、春学期の1週目には、先ほどの記事でお伝えした、Qualification Exam があり、2週目には合格の通知をもらいました。

 

 

合格の喜びに浸るのも束の間、学期の授業は既に始まっていたため、試験受験のために休んだ講義の遅れを取り戻したり、宿題に取り掛かったりと、慌ただしく春学期を迎えることとなりました。

 

 

具体的に、春学期では、

 

  • Partial Differential Equations 偏微分
  • Symplectic Topoology シンプレクティックトポロジー
  • Knot Theory ノット理論 (教授と個別授業)

 

の授業を取りました。

 

 

正直、どちらかというと学業的にはそこまで楽しい学期ではなかったです😓

 

 

というのも、特に上の二つの授業は Analysis (解析)という分野を頻繁に使う分野で、

 

「まあそこまで analysis は好きではないけど、analysisを使う分野の勉強をしたら必然的に身につくだろう」

 

と楽観的に考えて受講を決めたものの、逆にどんどん analysis への苦手意識が深まる一方でした...。

 

 

どうも私は、勉強している内容を心の底から楽しめないと、勉強効率がぐっと下がるようです😢

 

 

この経験を機に、もっと脳のキャパシティが増えるまでは、analysis を扱う分野には触れないでおこうと思います。

 

 

 

 

 

そんなこんなで、PhDの一年目が終了しました。

 

 

人生で初めて、毎日(学業的に)数学しかしない日々を過ごしたわけですが、今のところ結構楽しいです!

 

 

既に得意不得意な分野があるのが難点ですが、地道に努力を積んで自分の脳が理解できる幅をちょっとずつ広げていきたいなと思います。

 

 

 

 

 

ちなみに、春学期は6月初旬で終わりましたが、6月中旬から9月中旬は Stanford では夏学期とされており、院生としては通常の学期とほぼ同じような生活スタイルが続きます。

 

 

今後の記事では、夏学期についてなど紹介していきたいと思います。

 

ご無沙汰しております。すばるです。

 

 

3月の間は、前回の記事で紹介しました Qualification Exam への対策に日々明け暮れていたため、この通り更新が遅くなりました。

 

今回の記事は、その報告です。

 

 

 

 

3月の二週目には期末試験期間(ただ、受講していた授業に期末はなかったため、実質フリー)、三週目は春休みがあったのですが、その期間全て毎日10時間ほど机に向かって、問題を解いては答え合わせをし、知らない内容があることに絶望し、教科書を読む、を繰り返していました。

 

 

正直、日本の大学受験よりも精神的にしんどかったです。

 

 

後、「大学受験の頃は12時間以上勉強できてたのに!」と感じましたが、それは家族が周りにいて、洗濯、料理、洗い物などの家事分担をみんなでしていたから、結果として一人当たりの家事に割く時間が比較的減っていたからだったんだなあ、と痛感しました。

 

(さらに、ハウスメイトの一人が全く掃除をしない&散らかすタイプなので、私を含む他のハウスメイトにさらに家事の負担がかかるという😓)

 

 

周りは土日はパーティしている人もいましたが、私は勉強していない時の方が勉強している時よりも精神状態が不安定になる性格なので、土日もいつもと変わらず勉強していました。

 

(勉強風景。普段はiPadでノートを取るが、試験の環境に慣れるためペンで問題を解いている。)

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで試験前はずっと閉じこもっていましたが、努力の甲斐もあり、晴れて無事、Algebra(代数) と Analysis(実数解析)の Qualification Exam の両方に合格することができました!🎉

 

 

といっても、Analysisに関しては100点中 56.5点と、普段なら落ちるところをお情けで合格にしてもらえた感じですが😅

 

 

 

でも、終わりよければすべてよし、ということで、合格が判明した瞬間、Disney+に登録して The Book of Boba Fett を全て鑑賞したり、San Francisco にいって大学の友達とJapan Town の桜祭り(Cheery Blossom Festival)に行ったり、新しい数学の専門書を買ったり、と、パーっと散財しました💸

 

 

(Cherry Blossom Festivalの様子。コロナ禍とは思えないほど人が多い。)

 

 

 

 

というわけで、4月は学業に関しては少し疎かになりましたが、3月に頑張った分、少し気楽に過ごしました😊

 

 

5月は、今まで通り勉強に力を入れていきたいと思います!

 

 

お久しぶりです。すばるです。

 

冬学期も残すところ一ヶ月となりました。

 

 

今学期は、基本的に Qualification Exams (Qual) という数学科のPhDにおける必須試験のために勉強しているのですが、今回の記事では、この Qual について書きたいと思います。

 

 

 

 

まず、スタンフォードにおける数学科のPhDでは、卒業するには以下のの条件を満たさなければいけません。

 

  • 2年の初めまでに、Real Analysis(実数解析)と Algebbra(代数)の Qualification Exams に合格する
  • 2年の終わりまでに、自分の専門分野の授業を3個受講する
  • 3年の終わりまでに、Area Exam という、自分の専門分野に特化した試験に合格する
  • 5年の終わりまでに、博士論文を書き、Defense(審査)に合格する

 

 

そして、私は現在、一つ目の Qualification Exam (Qual) に向けて勉強しています。

 

ちなみに、他大学では Preliminary Exam と呼ばれたりもします。

 

 

また、大学によって、Qual がそもそもあるかどうか、また難易度、出題範囲・分野など、全て異なるので、大学院選びの際の入学是非ファクターにもなる場合があります。

 

私の場合は、まったく Qual の難易度を調べずにスタンフォードに入学したのですが、正直言って、結構厳しいです。

 

ネットで見つけた他の大学の Qual を見て、その易しさに「入る大学を間違えたのでは」と一瞬思ったり、そもそも Qual がない大学(MIT や University of Chicago など)を見つけた際には、脳内で布団に潜り込んでいました。

 

それでも、Qual 以外では、毎日晴天で比較的治安も良い環境なので、プラマイゼロと考えることにしています。

 

 

 

 

 

 

さて、記事の後半では、この Qualification Exam について、もう少し詳しく説明することとします。

 

 

 

 

まず、試験には Real Analysis(実数解析)と Algebra(代数)の二科目があります。

 

 

大まかに言うと、Real Analysis とは、「(実)数の定義を明確にする」ことから始まった分野です。

 

たとえば、日本では中学校や高校で「有理数(=分数で表せる数)」や「無理数(=分数で表せない数)」、そして「実数=有理数と無理数」と学びますが、そもそもなぜこのように「有理数・無理数・実数」と分類する意味があるのか、また分類に意味があったとして、なぜこの分類が興味深いのかなど、「そもそもなんで?」の部分を学ぶことはほぼありません。

 

なんと、大学の Real Analysis では、なぜ昔の数学者がこのように数の定義や分類をして、そしてなぜそれが重要なのかを、いろいろな定理を通して学ぶことができます。

ちなみに、紀元前500年あたりにピタゴラスが「三平方の定理:a^2 + b^2 = c^2」を証明したのですが、当時は無理数の概念がなく、さらにピタゴラスは「全ての数は有理数として綺麗に表せる」と信じていました。ところが、ピタゴラスの弟子ヒッパソスは、a=1, b=1とすると、cは√2、無理数になってしまうことを証明してしまいました。「全ての数は有理数である」というピタゴラスの信条に反するこの事実を隠すため、ピタゴラスはヒッパソスを処刑してしまったそうです。

 

つまり、Real Analysisとは、「今までやってきたことを数学で厳密に論じよう」といった内容になっています。

 

 

例として、初歩的な Real analysis で学ぶことを挙げるとすると、

  • 実数 (real number) の定義
  • 収束 (convergence) の定義(ある数列が極限値を持つってどういうこと?)
  • 連続性 (continuity) の定義(関数が連続であるってどういうこと?)
  • 微分・積分(一見変な関数でも実は微分・積分できたりする!)
  • 実数とは限らないもの(トポロジカル空間)における収束・連続性・微積分の定義

などがあります。

 

 

Real analysisから発展した内容としては、

  • 確率論(期待値=積分と考えたりすることができるため)
  • リーマン幾何(実数を元にした高次元空間)
  • 関数解析(関数の関数を考えたりする。物理に応用があったりする)
など、色々な分野があります。
 
 
 
 
 
次に、Algebra(代数)とは、「モノ同士の関係性(足し算・掛け算など)を抽象化する」分野です。
 
Real analysis、特に実数に関する研究が紀元前から進められていた(ピタゴラスなど)のに対して、Algebra は、19世紀頃から発展した、比較的新しい分野です。
 
Algebra の中にも様々な分類がありますが、最も初歩的なものとしては Group Theory(群論)や Ring Theory(環論)、Field Theory(体論)があります。
 
簡単に説明すると、
  • Group Theory: 整数や実数などの「足し算・引き算の性質を抽象化したモノ(=Group)」を扱う分野
  • Ring Theory: 整数や実数などの「足し算・引き算と掛け算の性質を抽象化したモノ(=Ring)」を扱う分野
  • Field Theory: 実数などの「足し算・引き算と掛け算と割り算の性質を抽象化したモノ(=Field)」を扱う分野
となっています。
 
つまり、Field は Ring でもあり、Ring は Group でもあります。
 
 
一応「整数」や「実数」は Group/Ring/Field の典型例として扱いますが、なるべく抽象化することが目的なので、実際の内容としては
 
「G を group とする。G が xxx のとき yyy となることを証明せよ。」
 
のような感じで、扱うものは最初から抽象化されていることがほとんどです。
 
 
Algebra から発展した内容としては、
  • 代数幾何(多項式(y = x^2 + x など)から得られる曲線・面・多次元空間を扱う分野)
  • 表現論(Group を行列で表す分野)
  • ガロア理論(Group Theoryと Field Theoryを繋げる分野。五次方程式の代数的解は存在しないことを証明することができる) 

などがあります。

 

 

 

 

 

 

というわけで、私はこの二学期間、来る Real Analysis と Algebra の試験に向けて、授業を取ったり、セミナーで試験対策をしたりしています。

 

私の分野は、Topology (トポロジー)という、また違った分野なので、Real Analysis も Algebra も、試験のレベルには達していない状態で入学したため、ゼロから必死に学んでいます。

 

悔いのないように、みっちり勉強し対策していきたいです。

 

 

少々遅れましたが、明けましておめでとうございます。

 

今年もよろしくお願いいたします。

 

 

今回はそこまでトピックに拘らずに、最近の出来事を紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

さて、スタンフォードでは冬学期が正月明けに始まりました。

 

オミクロン株が流行り出したとのことで、最初の三週間の授業はオンラインで行われました。

 

といっても私は、冬休みから心機一転するためほぼ毎日キャンパスに通っています。

案の定、ガラガラでした。

 

(人気のないキャンパス。)

 

 

あまり外にも出歩かなくなったので、散歩を積極的に取り入れていこうと思い、ピクミンブルームをインストールしました。

 

(ピクミンブルーム。厚労省が推奨する8,300歩/日には届かず。)

 

 

 

また、最近は迫り来る3ヶ月後の Qualification Exams のストレスが増してきているので、ストレス発散を兼ねてたびたび料理をしています。

 

 

(日本料理を広めるべくして友達に作ったお好み焼きとトマトサラダ(スープ付き)。)

 

 

(生クリームが大量に余っていたのでグラタンに。ルームメイトにとても好評だった。)

 

 

 

 

そして、基本的には毎日8~10時間数学をしています。

 

 

 

 

こんな感じで、2022年が始まりました。

 

皆にとっていい年になりますように。

 

 

ご無沙汰しております。すばるです。

 

秋学期中盤から忙しくなり、ブログの更新が滞ってしまいました。

今は冬休みに入ったこともあり時間に余裕ができたので、ぼちぼちとブログ投稿を再開していきたいと思います。

 

 

さて今回は、PhD1年目の秋学期のまとめをしたいと思います。

 

 

 

 

まず、一言で今学期をまとめると、「今までで一番勉強した(気がする)怒涛の一学期」でした。

 

 

特に、MATH 210A: Algebra I という代数の授業を取っていたのですが、宿題の量がとても多く、毎週30時間以上も課題に時間を費やしていました。

 

週を重ねるごとに、解答のページ数が12ページ、15ページ、18ページ、・・・と増えていくのを見るたびに、「この調子じゃ来週は21ページ・・・」と絶望に打ちひしがれていました(そして実際に翌週は21ページ以上になったりしました)。

 

 

そしてなによりも精神的にきた(haunting)のが、

「宿題を全部解かないで提出しても、成績自体はそこまで意味がないので短期的には影響はないが、実際に問題が解けなくて Qualifying Exam で苦労するのは自分だ」

という事実でした。

 

ここでいうQualifying Examとは、博士課程の中間審査のようなもので、博士課程に進むにはこの試験に合格しなければなりません。

 

つまり、今学期の授業も、来学期取る授業も、すべてはこの Qualifying Exam に晴れて合格するために取っているようなもので、いくら今受講している授業でいい成績をとろうが、最終的にこの Qualifying Exam に受からなければ、博士人生においては全くもって意味がないのです。

 

課題に取り組んでいる最中に起こる「問題がすぐに解けない」という状況が、今後迫り来る本番の試験で実際に起こってしまったらどうしよう、という不安や焦りが、常につきまとう一学期でありました。

 

 

 

 

また、授業に加えて、Course Assistant といった学部の補佐の役割もあったため、毎日が忙しく、休日であっても休めた気がしませんでした(Course Assistantについては、そのうち別記事にする予定です)。

 

 

それでも、一緒に授業を取っていた同期とは、一緒に宿題に取り組むことでより仲を深めることができ、また数学科の外でもルームメイトなどを通じて色々な人と出会い仲良くなることができたので、学業面でも生活面でも、博士課程のいいスタートを切ることができたと感じています。

 

 

 

 

 

2021年、このブログをご一読くださり、ありがとうございました。

よいお年を。

 

 

こんにちは。すばるです。

 

カルフォルニアでも夜の冷え込みが激しくなってくる季節となりました。

 

「カルフォルニアは暖かい!」と友達が口を揃えて言っていたので軽装で引っ越して来たのですが、雪こそ降りませんがなんだかんだいって結構寒いので、既にガンガン暖房をかけています。

 

 

 

 

話は変わりますが、先月下旬に、院に入ってから初のお給料をもらいました!

 

学生の身で研究しながら給料をもらえるのは、アメリカの大学院に通う最大のメリットの一つであります。

 

そこで今回は、アメリカのPhDでの給料の仕組みを詳しく説明していきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

まず、大学院にもよりますが、アメリカでは通常、PhD課程は「学費免除、且つ給料あり」といった制度です。

 

ここでいう「給料」とは、「Teaching Assistant(TA)をする対価」という形になっています。

 

なので、ほとんどの大学で、TAやそれに準じたもの(スタンフォードでは Course Assistant (CA) もある)を学期中にすることになっています。

 

 

 

対して、外部の奨学金をもらっている場合は、TAをやらないで、奨学金で生活することもできるようになっています。

 

しかし、将来的にポスドクなどを経てアカデミアに進む場合は、教職歴も見られることが多いので、実質的には院のどこかの段階で TA や CA をやることが推奨されています。

 

 

なお、Masterだけのプログラムだと、TA や CA が義務でない代わりに、給料も支払われないことがよくあるので、海外の院を受験するときは注意してください。

 

 

 

 

 

 

さて、スタンフォードでは、二週間に一回の頻度で給料が振り込まれます。

 

以下が、(味気ないですが)私の初給料の抜粋です!

 

 

 

 

ちなみに、給料振り込みのデフォルトはチェック(小切手)となっていて、直接口座に振り込んで欲しい場合は大学のサイトから設定をする必要があります。

 

また、給料振り込みの際に振り込み先を複数指定でき、私も複数の口座に分けて振り込んでもらっています。

 

 

 

さらに、キャンパス内の大学管轄アパートに住んでいる場合は、アパートの費用を事前に差し引いた分の差額の給料をもらうこともできます。

 

この制度を使わないでいると、学期初めに3ヶ月分のアパート費用を振り込まなくてはならず、貯金が少ない場合には大打撃だったりします。

 

 

 

 

 

 

次に、給料の金額についてですが、スタンフォード大学の数学科では、「スタンフォードで一番高い院生アパートに住んでも赤字にならない」程度の金額がもらえます。

 

スタンフォードで一番高いアパートというと、一月あたり$2,500 するのですが、給料は一月あたり$3,900 ほどなので、(ここまでギリギリを極めたとしても)健康で文化的な最低限度の生活を営むことができます。

 

毎日数学をしている「だけ」で、これほどのお金がもらえるなんてウハウハですね。

 

おそらく、他の学科も、(特に理系は)同じ程度の金額が保証されていると思います。

 

他の大学院に関しては、もらえる金額はその地域の物価にも左右されるので、全体の状況を考慮するといいと思います。

 

 

 

 

 

 

今回は、スタンフォード大学における給料事情について紹介しました。

 

そのうち、給料の対価の対象である TA や CA を実際にしてみた感想に関する記事も書きたいと思います。

こんにちは。すばるです。

 

今回は、スタンフォードの図書館をいくつか紹介したいと思います。

 

 

 

スタンフォードでは、コロナの影響も少しはあるのでしょうが、全体的に屋内の勉強場所が比較的少ないです。

 

理由として、おそらく「年中晴れていて外のベンチで勉強できるので、わざわざ建物内に勉強スペースを作る必要がない」ことがあると思います(贅沢な理由ですね)。

 

といっても、ほぼ常にパソコンかiPadで勉強している身としては、コンセントが近くにない屋外で勉強するのはとても不便です。

 

そこで、図書館で勉強できないかと思い当たったので、学期頭にリサーチしてきました。

 

 

 

 

 

 

まず、キャンパスの中央付近にあるのが、Cecil H. Green Library です。

 

正面にある建物は古代ギリシャ風の建築で、美術館のような雰囲気があり、実際に入り口付近には美術品のギャラリーがありました。

 

 

館内の奥に進むと、本棚がずらっと並んだ広大なフロアにたどり着きます。

 

(本棚が永遠と並んでいる。もはや立ち読みすると風景を損なうのではないかと躊躇するレベル。)

 

 

 

 

 

 

窓際に数カ所学習スペースがありましたが、照明があまり施されてなく、長時間の勉強には向かなそうです。

 

 

(個別型勉強スペース。あまり秩序のない配置。)

 

 

 

同じようなフロアが数階にわたって広がっていました。

 

ちなみに、Green Library は主に文学や社会学向けの図書館となっており、他にもロシア語やドイツ語の本や社会学専用スペースなどがありました。 

 

 

 

 

ついでに地下に寄ってみたのですが、なんと、政府関係の歴史的書類がたくさん保管されていました。

 

 

 

(重々しく、触れていいのかさえわからない書類棚。)

 

 

理工学系の大学出身の私には斬新な光景でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、スタンフォードには Green Library の他にもいくつか図書館があるのですが、先日 Robin Li and Melissa Ma Science Library という理系の図書館にも行ってみました。

 

こちらの図書館は比較的小さく、本棚のサイズも等身大、内容も等身大で、穏やかな気持ちで館内を見て回ることができました。

 

 

(Li&Ma Science Library 内部。理系の本が並んでいる。)

 

 

 

 

ただ、蔵書のクオリティとしては、量も質も出版年度も私の学部時代の大学図書館とは雲泥の差で、とてもがっかりしました。

 

かろうじて見つけた、今受講している授業の専門書を一冊借り、図書館を後にしました。

 

 

(借りた本。1ヶ月しか借りられず、学部時代の3-6ヶ月期限が懐かしく思われる。)

 

 

ちなみに、他にも欲しかった有名な専門書などが全く見当たらなかったので、仕方なく数学課が専門書を既に持っていないか問い合わせたのですが、「オンラインのPDFで読むか、自分で買ってください」と言われ、意気消沈しました。

 

学部生の半分以上がアメリカの富裕層トップ10%、学部生の17%が富裕層トップ1%の家庭から来ている、というスタンフォード特有の環境を身に持って知らされた気がします。

 

 

 

 

 

以上、スタンフォードの図書館二館の紹介でした。

 

結局、自主学習スペースとしてはいささか物足りなく、この図書館調査のためにそれぞれを訪れてからは、一度もどの図書館にも行っていません。

 

 

静かに共有オフィスと自宅で勉強しようと思います。

 

 

こんにちは。すばるです。

 

先日、インフルエンザの予防接種をしてきたので、その時の様子をリポートしたいと思います。

 

 

 

 

アメリカの大学ではスタンダードなのかは分かりませんが、スタンフォード大学では、秋に「無料」でインフルエンザワクチンを受けることができます。

 

というのも、スタンフォード大学では生徒全員が規定条件を満たす健康保険に加入していなければならないことになっているため、インフルエンザの予防接種は既にカバーされているからです。

 

そのため、手続きとしては、ワクチン同意書と、過去のアナフィラキシーの有無などのアンケートに記入し、指定の場所に持参するだけで、簡単に接種することができます。

 

ワクチン接種の日程は事前に指定されているのですが、もしいずれにもいけなかった場合には、(少し遠いのですが)スタンフォードのメディカルセンターでも個人的に接種することができます。

 

 

 

 

今年は、コロナ対策のため、接種会場は外でした。

 

私は朝イチで行ったのですが、わざわざ自転車を止めなくても受けることができたのでとても便利でした。

 

(アンケートに記入した後、自分の番を待つ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは。すばるです。

 

スタンフォードでは、夕方に12°Cくらいと、だんだん寒くなってきました。

雪は降らない気候らしいのですが、それでも寒さは応えますね。

 

話は変わりますが、今回はスタンフォード付近での食事事情を紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

まず、スタンフォードの環境はよく「Bubble」と呼ばれます。

 

オリンピックのコロナ対策で馴染みのある言葉ですが、ご想像の通り、「外部から遮断されている環境」という意味合いがあります。

 

実際に、授業のある建物付近から一番近いスーパーまで徒歩25分、自転車で10分ほどあります。

 

 

また、一応キャンパス内の「Student Union」にもいくつか昼食などを食べられるところはあるのですが、高い割にクオリティが低い・量が少ないので、そこまで人気ではないです。

 

なので、きちんとしたレストランで食事をしたい場合は、キャンパスからさらに離れたパロアルトの大通りか、カルフォルニアアベニューの大通りまで行かないといけません。

 

 

 

 

 

私自身は、ルームメイトと instacart という食材デリバリーのサイトを使って、なるべく自炊をするようにしています。

 

また、昼ごはんは、数学科のイベントで出される果物を食べまくるか、たまに Student Union のハンバーガーやホットドックを食べています。

 

 

(The Axe & Palm という店のハンバーガーとホットドッグ。単品で一番安いメニューだが、$7.75(約800円)する。)

 

 

なお、おそらく他の生徒はもっと健康的な食事をしているはずなので、あまり参考にはしないでください。

 

 

 

 

 

また、先日友達と外食する機会があったのですが、日曜の朝だったので、カルフォルニアアベニューでブランをしてきました。

 

$18.00(約2000円) くらいしますが、アメリカサイズでもあり、1日分のカロリーを摂取してしまった気がします。

 

 

 

(La Bohème というお店のエッグベネディクトとパンケーキ。)

 

 

 

 

ちなみに、カルフォルニアアベニューの大通りでは、毎週日曜日に Farmer's Market を開催しています。

 

地域の農家やお店が野菜、果物、パンなど、いろいろ販売していて、歩いているだけでとても楽しいです。

 

(Farmer's Market の様子。道沿いにはレストランもある。)

 

 

 

 

 

スタンフォードは、ベイエリアにあることもあり、とてもとても物価が高いです。

 

実際に住んで自炊や外食をしてみて、この事実をとても痛感しています。

 

もちろん、その分給料も高めにはなるのですが、特に引っ越したばかり、留学したばかりで初期費用が嵩む場合は、なるべくお財布に余裕をもっていた方がいいでしょう。