ＷＢＡ世界フライ級タイトルマッチ。王者デンカオセーン・クラティンデーンジム（タイ）の初防衛戦が、昨日タイで無事開催された。坂田健史（協栄）選手から王座を奪っていったデンカオセーン。
ナリス氏。デンカオセーン。カオサイ氏。写真撮影、山田純夫 氏。
２月１２日来日したチャンピオンと、ギャラクシージム会長二ワット氏（マネジャー）は、協栄ジム近くのホテルに宿泊。来日費用は自分持ちである。わざわざ日本へやって来た目的は、協栄ジムが仲介した三迫ジム升田貴久選手との初防衛戦発表の為である。１４日に予定されていた。
しかし、１３日亀田ジム側から亀田興毅選手のデンカオセーン挑戦が発表される。もう一人のマネジャー・ナリス氏との間で交わされた契約書とされる覚書を手に、派手に世界挑戦を発表した亀田ジム。覚書に王者のサインはない。
タイに限らず、一人のボクサーに複数のマネジャーがいるケースは珍しくない。世界には王者の交渉人を名乗り、暗躍する輩も存在して来た。ガッツ石松ｖｓエスデバン・デ・へスス戦が、ＷＢＣ世界戦史上初の入札になったのも、へスス側にマネジャーを名乗る交渉人が複数存在し、無駄な時間を費やす事になったのも理由の一つだ。
写真撮影、山田純夫 氏。
二ワット氏と協栄ジム。現場を預かる大竹マネジャーとの友好関係の歴史は長い。日本で稼ぎたいデンカオセーンは、世界王者になったのを機にマネジャーを二ワット氏で一本化する事を決意。ナリス氏との決別を決めていた。皆様ご存知の通り、現在は正式に二ワット氏が唯一のマネジャーとして認められています。
たまりたまったうっぷんが爆発した。「チャンピオンになっても祝勝会もなかった」、「スポーツドリンク一本飲ませてもらった事がない」等の小さな積み重ねが、大きく爆発したものである。
喜び合う二人だったが・・・。写真撮影、山田純夫 氏。
金平会長はデンカオセーン＆二ワット氏からの正式要請を受けて、三迫ジム升田選手を挑戦者に推薦。４月挑戦で細部まで合意に達し、１４日発表会は決定事項のはずであった。
１３日夜。急遽、亀田ジムと三迫ジムの間で協議がもたらされた。今回は升田陣営が挑戦の機会を亀田陣営に譲り、亀田選手が勝てば升田選手が挑戦するとの結論を見出した。
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「そもそも書類の一番上に覚書と入っている」
「王者のサインがないものは、正式の契約書ではない」
亀田ジム側の発表に付いて、金平会長はなんら意に返していなかった。別に敵対心もない。正式な契約書は、用意されていたのである。後は両陣営がサインをするばかりの。
亀田ジム側を信用して、挑戦機会から撤退した三迫ジム陣営。怒りの矛先は、あろうことか金平会長に向けられた。それはありえてならない。全ては好意から始まり、交渉は正式書類を揃え、王道で行われていた。金平会長が憤懣やるかたないのも理解できる。
二ワット氏（左）。写真撮影、山田純夫 氏。
１４日。王者と二ワット氏は怒りの記者会見。その怒りは尋常ではなかった。
「チャンピオンは俺だ。俺が挑戦者を選ぶ」
「世界戦ビジネスは信頼できる相手とやる」
１７日。亀田ジム側が、１６日ニワット・ラオスワンワット氏とナリス・シンワンチャー氏が、タイボクシングコミッション立会いの下会談し、ナリス氏が正式マネジャーと認められたと発表。
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２月下旬。藤本りえ（協栄）選手の世界戦の為、タイへ渡った金平会長と大竹マネジャー。少し前、亀田史郎氏がタイに来ているとの情報は得ていた。(~~)二ワット氏から初防衛戦はタイで行うから、日本人挑戦者を推薦してほしいと持ち込まれる。
大竹マネジャーはすぐに日本へ電話。即決で挑戦を決断したのが久高寛之（仲里ATSUMI）選手。大まかな条件もその場で決まった。二ワット氏は大変な上機嫌であったという。
２７日タイから帰国した亀田史郎氏は、初めて”暫定”の二文字を口にする。
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内定はしたが、開催日が延期され、なかなか正式発表されないデンカオセーンｖｓ久高戦。亀田ジムサイドは、まだ開催に懐疑的。
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五十嵐会長は「あと１カ月に迫ったこの時期にＷＢＡが承認していないということは、試合ができないということでしょう。メーンスポンサーも決まっていないみたいですし」
金平会長、大竹マネジャーも、日を待つばかりだとわかっていても、「早く正式発表してくれないとなァ」という言葉が口をつく。
紆余曲折を経ての世界戦開催。挑戦者の久高寛之（仲里ATSUMI）選手は大善戦。パソコン観戦のジョー・ルイチュ さんから、毎ラウンド詳しい経過が届く。ありがとうございました。
「デンカオ２－１で勝ちましたよ」
スパーリング中の坂田選手の耳にも入ったか、ギアは一段とアップ。パートナー白石選手は、アップアップだ。(~~)
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夜。久高陣営から大竹マネジャーへ、丁寧なお礼の電話が入る。
「惜しかったねェ。もう一回だね。日本でやれたらいいねェ」(~~)
「俺達、嘘つきにならなくて良かったよ。信用してもらいたかったねェ」(~~)
「会長、恥かかなくて良かったですねェ。嘘つきじゃ、外も歩けなくなっちゃうからねェ」(~~)
名誉が保たれた金平会長も、ホッと胸をなでおろしたようです。王者デンカオセーン、次は日本で防衛戦。日本の窓口は協栄ジム。次の挑戦者は一体誰になるのでしょうか。
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