みなさん、こんにちは!



最近「西欧中世の宝石誌の世界 アルベルトゥス・マグヌス『鉱物書』を読む」という本を購入しました。


今日はこの本について書きたいと思っています。



この本は、13世紀のドイツに生きたドミニコ会士アルベルトゥス・マグヌスの『秘密の書』鉱物篇(全45種)、及び『鉱物書』宝石篇(全96種)の全訳という事らしいです。


読んでみると、13世紀の人が鉱物をどのように捉えていたのか、非常に勉強になりました。


なにせタイトルが『秘密の書』というほどですから、どんな秘密が書かれているのか非常に興味深かったのです。


読んでみてわかったことは、


本の中でも「何のことはない、現代の合理的科学知識で容易に真偽のほどが片付けられるものばかり、つまり、大抵は迷信とか無知からくるものとして、一刀両端で断罪してしまえるものばかりだ、となるかもしれません。」という風に書かれています。


中世に生きた優れた知恵者たちが大真面目に書いた書物ですよ。


でも実は、ここに書かれているような事は、現代では「鉱物学」の本の中ではなく、「パワーストーン」の本に書かれていることなんですよね。



例えばアメジスト。


「酒酔いを防ぎ、夜もしっかり目を覚まして邪悪な妄想を撃退し、知るべき事柄は明確に理解させてくれる」


と書かれています。


「人の狂気をいさめる石」であるというのは現代でも同じですし、「冷静な判断力」をもたらすというのはアメジストの代表的な効果として知られています。



現在「パワーストーン」とか「クリスタル」の本として書かれている内容は、実はこの『秘密の書』や『鉱物書』が元になっているんだと知ることができました。



鉱物の成分など調べることができなかった時代でしょう。


全般的に、色や見かけが同じであれば同じ鉱物だと認識していたという感じがします。


何より、この書で一番衝撃的だった事は、古代ギリシアも古代ローマも、ラピスラズリがサファイアとして取り扱われていたという事でした。


13世紀ごろになり、ようやくサファイアはブルー・コランダムを意味するようになったとのこと。


あ、ちなみにですが、レッド・コランダムといえばルビーですね。



そして、『鉱物書』ではラピスラズリの事も書かれています。


この時代では、粉末にしたものを薬として服用する事で、憂鬱症や四日熱という病気や失神に対して非常に確実な効き目があったということです。


え、すりつぶして粉末にしたとしても、土飲むくらいの感覚ですよね、きっと。


それ、本当に良く効くんですかね?



さて、この本の面白いところは、著者の解説も入っているところです。


科学史・医学史家の大槻さんという方は、ラピスラズリの解説で「瞑想の際に額の上につけるとよく、またはできるだけ首に密着してつけるのがよいとされています。」と書いています。


ちなみに、現代のラピスラズリの代表的な効果としては、不運を回避してくれるってことでしょうか。


つまり運を良くするってこと。



大槻さんの解説では、精神面と肉体面での効能についても書かれています。


学者の方が、宝石のパワーについて書かれていると、何だか急に信憑性が出てくるものです。


現代の宝石療法まで書かれているという点がとても面白いと感じました。



私が所有している鉱物の本やパワーストーンの本は、20世紀以降に書かれたものばかりだったもので、13世紀に書かれた鉱物にまつわる本は、とても面白く読むことができました。


パワーストーンの歴史などについて興味のある方にはおすすめの一冊です。