白馬八方尾根スキー場での今シーズン初スキーの3日目(最終日)となった26日(水)は曇りでした。雪がうっすらと積もっていいコンディションです。初日こそ濃霧でしたが、2日目は快晴、3日目は薄曇りと、3日間とも練習ができて幸いでした。

 

 勤めがなくて、天気がよさそうな日を選んで来ているのだから、当たり前だと思う人がいるかもしれませんが、さにあらず。両親がショートステイに行く日は前月の初めに決まります。希望者が多い週末はベッドが足りなくて利用できないことも多く、どうしても外せない用事があるとき以外は平日の利用になりがちです。しかも、日数は限られています。今回、最高の天気の日に当たったのは、幸運としか言いようがありません。

 

 ゲレンデに上がると、当初の予定通り、まず緩斜面のフラットバーン(整地)でショートターンの練習をしました。ダイナミック・ポジショニング・ターンのショートターンです。

 

 連続するこぶはスキーヤーが細かいターンを続けたことによって描かれた軌跡です。スキーヤーが強く踏み込んだところがえぐれて低くなり、あまり強く踏まなかったところに雪がたまって高まりになります。。スキーヤーが同じタイミングでターンをして滑ることによってだんだんと軌跡がこぶに発達していきます。

 

 物理学ではこれを振動と言います。音波や電波の波形を見たことがあると思いますが、音や電気の振動の軌跡がサインカーブ(正弦曲線)として描かれます。

 

 サインカーブ(正弦曲線)は等速円運動をしながら前に進むことによって描かれる軌跡です。スキーのターンは円を描くのが理想とされ、一定の速度で前に進んだ場合には、軌跡がサインカーブになります。

 

 ターン弧が右に一番大きく膨らむところで、スキーヤーが右方向に加える力が最大となり、そこから前に進むにしたがって右方向に加える力が小さくなっていって、フォールライン(中心線)を横切るところでは、右方向に加える力がゼロ、左方向に加える力もゼロの中立(ニュートラル)の状態になります。

 

 そこから今度は左方向に加える力がだんだん大きくなって、ターン弧が左に一番大きく膨らむところで左方向に加える力が最大になります。左方向に加える力がだんだん小さくなってフォールラインを左から右に横切るところで、左方向に加える力がゼロ、右方向に加える力もゼロの中立の状態に戻ります。これの繰り返しが整地のショートターンです。

 

 整地の緩斜面で、できるだけ細かいピッチで、動きを素早くということを意識してショートターンをしていたのですが、緩斜面であってもターン弧を浅くするとだんだんスピードが出てきて、しまいには動作が追いつかなくなって横滑りで止めるしかないということになりがちです。

 

 そこで、ダイナミック・ポジショニング・ターンがしやすいロングターン(大回り)で動作を確認して、少しターン弧を小さくしていって、ミドルターン(中回り)にし、さらに小さくしてショートターン(小回り)、さらに小さくしてクイックターン(極小回り?)にする練習をしてみました。

 

 それまで板がばたついたりしていたのが、しっかりとスキーに体重が乗って、板が雪面に吸い付くような安定したターンになりました。大会当日も朝一番でこの練習をして、ダイナミック・ポジショニングの動作を確認しておくことが必要ですね。

 

 ロングターンからだんだんターン弧を小さくしていく練習は、限界スピードで滑る練習とともに、モーグルを始めたころに習ったことです。こういう基本練習は、ダイナミック・ポジショニング・ターンでも一般的なターンと変わらないと思います。

 

 エア台に雪がたまっていたので、スコップでかき出してエア練習の続きをしました。こぶの中のターンからエアへの入りの練習ですが、なかなかタイミングが合いません。エア台の手前の最後のこぶで体が振られて、エア台にまっすぐに入れず、キッカーをしっかりと踏めないことが多いのです。キッカーがちゃんと踏めてないと体勢が安定しないので、ジャンプも中途半端になって正しい空中姿勢がとれず、技が入れられません。結局、最後まで思うようなジャンプができずじまいでした。

 

 練習を終えてから気づいたのですが、エア台の手前に雪を寄せて作った最後の2こぶのこなし方に問題があったのではないかと思います。ぼくがモーグルコースを初めて滑ったのはちょうど20年前の1999年。その年の夏に参加したワールドモーグルキャンプ(カナダ・ブラッコム)で、「エア台の最後の2こぶまでにスピード調整を終えておく」と習いました。

 

 最後の2こぶになってからスピードを落としてエア台に入ろうとすると体勢が崩れていいジャンプができないということでした。今とはターン技術が随分違っていた20年前に習ったことですが、この基本は、現在の一般的なターンにも、ダイナミック・ポジショニング・ターンにも、変わらずに当てはまることかもしれません。

 

 午後3時には駐車場を出発して帰路につかなければならないので、午後2時には下山しなければなりません。ちょうど霧が濃くなってきた午後1時半にエア練習を切り上げて、凍ったエア台を鉄スコップで壊しました。

 

 そう言えば、前日にGSトレーニング中のぼくを追い越した外国人女性を今日は見なかったなと思いながら、下山準備をしていると、傍らに立ってキュートな笑顔でこちらを見ているではありませんか。思わず、片手を上げて「やあ、また会いましたね」と心の中であいさつしました。

 

 英語らしき言葉で何か言っていますが、何を言っているのかさっぱりわかりません。エア台の残骸を見ているので、ああ、そうか、エア台がなくなったということが言いたいのだと察して、両手を広げて肩をすくめる欧米人お得意のポーズで「ごらんの通り、きれいに壊しましたよ」と心の中で話しました。

 

 会話が成立したのかどうか、にこにこしながら「あらまあ」というような顔をして滑り下りていきます。背中に向かって、You are a good skier!(スキーが上手ですね)と今度は声に出して叫びましたが、返事がなかったので、通じたのかどうか微妙です。

 

 また会いましょうね、八方で。次はぼくが後ろから追い越すからね。腰高の素人滑りなのに、不整地の斜面をすいすいと滑り下りていく後ろ姿に心の中で語りかけたのでした。スポーツとしてのスキーができなくなったら、目指すは、にこにこしながら楽(らく)そうに滑る、あのノーブルスキーですね。

 24日(月・祝)から白馬八方尾根スキー場に来ています。年明けに予定されているSAJ(日本スキー連盟)公認のモーグル大会に向けて練習をするためです。今シーズン初スキーにして、26日(水)までの2泊3日で、大会前の最終調整をしようというもくろみです。

 

 23日(日)午前10時に両親をショートステイに送り出し、家の用事を済ませてから夜に出発しました。事前にパトロールに電話で問い合わせて、雪は少ないけれどもエア練習はできそうだという返事をもらってはいたのですが、道中、糸魚川のあたりでも気温が9度もあって土砂降りで、白馬村に入って3度まで下がったもののやっぱり雨です。午前2時に宿に到着して、雨だれがぽたぽたと屋根に落ちる音を聞き、はたしてスキーができるのかと心配しながら床につきました。

 

<1日目 24日(月・祝)>

 明け方に気温が下がって雨が雪に変わったようです。新雪でスキーが埋もれそうなので、モーグルスキーのほかにセミファットスキーを持ってゲレンデに上がりました。パトロールにあいさつとエア台設置の申請に行ったら、下見もしてもらっていたようで、いつも練習する兎平新コースは、エア台設置可能で、上に新雪が乗っているけれども、下地は雨で解けた雪が凍って硬くなっているということでした。

 

 ゲレンデの中盤から下部は雪が少なくてブッシュが出ているところもあったので、軟らかい雪が多そうな上部にエア台を作ることにしました。ところが、一寸先も見えないような濃霧で、いつも下部のゲレンデのリフトの支柱を目標にして滑走コースを決めていたので、どのあたりに作っていいのかよくわかりません。スマートフォンを取り出し、グーグルマップに保存してあったポイントを目指してナビを開始しましたが、いつまでたっても「あと10m」の表示が出たままでたどり着くことができませんでした。

 

 しかたがないので、エア台作成は後回しにしてターンの練習をすることにしました。。いつもは最初にフラットバーンでできるだけターン弧を浅くしてスピードを出す練習をして、自分のポジションをつかむのですが、濃霧のためにスピードが出せません。セミファットスキーでショートターンでスピードを抑えて滑る練習をしましたが、なかなかポジションがわからず、足が体より前に出てしまうことがしばしばでした。

 

 同じゲレンデの隣で、濃霧の中、細かいこぶをハイスピードで滑って練習している一団は長野県連の選手たちでした。一人一人に丁寧に指導していたのは元ワールドカップ(W杯)選手の山口卓也コーチ。お久しぶりです。

 

 思えば、彼らの合宿に特別参加してこのゲレンデで一緒に練習させてもらったのは7年前の2011年12月25日でした。あのシーズン、長野県連合宿で一緒に練習したトップ選手のうち多くが引退しました。順不同で名前を挙げさせてもらうと、上野修、西伸幸、里谷多英、水谷夏女、間嶋悠、山本大地、小林樹生、舘田舜也、そして山口卓也(以上、敬称略)。岩本憧子選手も今シーズンかぎりでの引退を表明しています。ぼくは執念深く、事情が許す限りは今シーズンも大会に出場します。

 

 そんな感慨にふけっていても、いっこうに霧は晴れず、ターン練習も思うようにできないし、気温が低くて寒いので、だいたいの位置を見当をつけて霧の中でエア台の作成を開始しました。新雪をどけると下から雨で湿った雪が出てきたので、あっという間に積み上げた雪が固まり、エア台のだいたいの形ができました。3本ほど飛んだところでリフトが終了。同時に霧が晴れました。うそのように視界が戻る下を眺めると、エア台の位置はゲレンデの中央寄りすぎで、上すぎました。やっぱり見当つけただけではだめですなあ。なかなかうまくいきません。

 

 リフトで下山して駐車場で車に乗ろうとすると、後部のスライドドアが開きませんでした。雨で濡れていたのが気温が下がって凍ったようです。

 

<2日目 25日(火)>

 快晴です。宿の窓から、朝日に赤く染まる白馬の山が見えました。視界がいいので、今シーズン買ったばかりのGS(大回転)の板でスピード練習することにしました。モーグルスキーやセミファットスキーのビンディングはノルディカのオールマウンテンのブーツに合わせてありますが、GSの板のビンディングはノルディカのレーシングブーツに併せてあります。どちらのブーツも硬さは130で同じですが、ソールサイズ(長さ)が違います。スキーを履き替えるにはブーツも履き替えなければなりません。駐車場に着いて、前日から車に積んだままだったレーシングブーツを履こうとしましたが、インナーブーツを履いた足をシェルに入れようとしても、くるぶしのところまでしか入りません。DOBERMANN WC EDT 130(2010年モデル)というブーツで、2011年から使っているので、かなりへたっているはずですが、寒さで氷のように硬くなって、シェルが開いてくれません。冷え込んだ日は、暖房のきいたレストランに持って入るか、車の助手席の足のところに置いて温めておかないことには履けないのです。幸いしばらく日差しに当てておいたら、なんとか履けるようになりました。

 

 新しく買ったGSの板ですが、VOLKL(フォルクル)の RACETIGER GS WC(2016年モデル)で、プレート(WC PC Interface)と2018年製のビンディング(XCELL 16.0)が付いています。割安特価4万9800円。オープン価格なので定価はわかりませんが、2018年モデルの板が同じ構成で定価17万9280円となっているので、単純計算では72%引きになります。公認大会で使える純競技モデルの新品が4分の1近い値段で買えたということです。

 

 GSの板を初めて買ったのは2011年です。フォルクルのレースタイガーの2007年モデルで、新品なら13万8000円ほどするところ、中古で2万5000円で買いました。GSの競技用品規則で現在はサイドカーブのラディウス(回転半径)が30m以上と決められていますが、このころにはラディウスの規制がなく、この板は21mでした。規制ができて公認大会で使えなくなったということもあって安くなっていたのです。

 

 アルペンスキーのラディウス規制は、あまりサイドカーブがきついと回転しすぎて危険であるという理由によります。規制ができてからどんどんとラディウスが大きくなり、サイドカーブがなくなる傾向にあったのですが、揺り戻しで2017/2018シーズンから緩和されました。

 

 今回買った2016年モデルは、長さが191cm、トップ/センター/テールの3サイズが95/65.5/81.5で、R≧35という当時のFIS(国際スキー連盟)規格を満たしています。2017/2018シーズンからラディウス規制が緩和されてR≧30になり、2016年モデルが売れなくなったとみられます。

 

 長さ規制については、COC(W杯などの国際大会)は2016年までは195cm、現在は193cmで、いずれも市販されていないのですが、FIS大会以下の公認大会では2016年までが190cm、現在は188cmですので、今回買った191cmでクリアできています。これから公認大会に出られるはずもなく、スキーのスペックがFIS競技用品規則に合っているかどうかにこだわる必要はないのですが、ひょっとしたらという夢を持てるかどうかが違ってきます。10年がかりでマスターしたダイナミック・ポジショニング・ターンをアルペン競技にも応用してみたいと、思いきって買ったのです。

 

 ゲレンデは快晴。雪は踏むとキュルキュルと音がします。絶好のスキー日和。まず初級・中級者向けの中緩斜面・パノラマゲレンデで足慣らしです。新しいGSの板は、トップとテールが広がった2007年モデルに比べると、細身で、ぼくが使っている細いモーグル板と似たようなシルエットです。モーグル板よりは重いですが、2007年モデルよりは軽いように思います。ネットで購入者が書いたカスタマーズレビューに「自分にはオーバースペックでした」というのがあり、自分に履きこなせるのかという一抹の不安がありましたが、雪質がよかったこともあり、ダイナミック・ポジショニング・ターンで思いのままに弧を描くことができました。

 

 続いて本番。いつもは最上部のリーゼングラートから兎平、リーゼンスラロームコース、名木山ゲレンデと、スキー場のてっぺんからふもとまでノンストップで滑るのですが、最上部からふもとのゲレンデが雪不足で開いていないので、兎平とリーゼンスラロームコースを通して滑ることにしました。

 

 平日というのに、外国人スキーヤーらでゲレンデに人が多く、ノンストップというわけにはいかず、途中で止まりながらの滑走となりました。コースの終盤、子供もいるし、危険なので、ターン弧を深めにしてセーブして滑っていたら、外国人の素人スキーヤー(女性)に倍くらいのスピードで追い越されました。ショック。F1カーのようなGSの競技用スキーを履いているかいがないではないですか。ヨーロピアンは怖い者知らずだな。

 

 人が多いこともあり、GSの板でのスピード練習はそこそこに切り上げて、いったん下山し、レーシングブーツからオールマウンテンのブーツに履き替え、モーグル板を履いて再びゲレンデに上がり、前日、作ったエア台を手直しして、エア練習とターン練習をしました。やはりGSの板でスピード練習をしたことによって、本来のポジションをつかむことができ、ターンが前日よりもスムーズになりました。ダイナミック・ポジショニング・ターンでは脚の曲げ伸ばしを使いますが、脚を曲げるときも、伸ばすときも、体(腰)を足(ブーツ)よりも前に出していきます。体を前に落としながら脚を曲げる、体を前に落としながら脚を伸ばす。これがポイントです。なかなかできません。

 

 エアを飛ぼうとエア台の手前でスタート準備をしていると、こちらを見ながら立っている人がいます。誰かと思ったら、朝のスピード練習でぼくを抜き去った外国人素人スキーヤー(女性)ではありませんか。どんなジャンプをするのか興味津々のようで、にこにこしながらこちらを見ています。低い棒ジャンを飛んだら、満足したのか、失望したのかわかりませんが、滑り下りていきました。不整地の急斜面をいともたやすく、すいすいと滑っていきます。素人の腰高の滑りなのに、なぜあんなに速く、スムーズに滑れるのか、不思議です。

 

 今シーズン初スキーで、2日間、かなりハードな練習をしましたが、今のところ、ありがたいことに、どこにも痛みが出ていません。明日は整地でのショートターン(ダイナミック・ポジショニング)を練習した後、時間の許す限り、エア台への進入方法を意識しながらジャンプを練習するつもりです。

 スキーシーズンが近づいてきましたが、今年はなかなか雪が降りません。7日にフィンランドのルカで予定されているモーグルのワールドカップ(W杯)今シーズン第1戦も雪不足が心配されます。

 

 ぼくの方は昨年7月に35年間勤めた毎日新聞社を定年退職して、京都府綾部市の実家に帰ってからは、リアラインコアとバランスシューズ(足関節用が主体)を使ったスクワットトレーニングや、素足での片脚スクワットくらいをするくらいで、本格的な練習があまりできていません。今年のオフシーズンも農作業やら何やら忙しくて、思う存分練習というわけにはいきませんでした。

 

 それでも大阪ウォータージャンプO-airには、8月29日、10月13日、10月17日、10月27日の4回行くことができました。ここで練習したのは、主に最後のこぶからエア台に入るときの動作です。ぼくが独自に開発しているダイナミック・ポジショニング・ターンで、スタートからゴールまでのあらゆる動作についてどういう動きをするかを確認していって、最後に残ったのが、ターンからエアへの入りの動作でした。最後のこぶを乗り越えてエア台のアプローチ(助走路)を滑り下り、キッカーを上ってジャンプするときに、どのような動きをしてどのようなポジションをとるかが未確認となっています。

 

 一般的には最後のこぶを吸収してアプローチに入るときには、体が斜面に対して垂直になるように、腰を前に出しながら脚を曲げてアプローチの雪面を後ろに踏みつけます。ダイナミック・ポジショニング・ターンはすべての動きが普通のターンと逆です。ということは、最後のこぶを吸収した後、脚を伸ばしながらアプローチの雪面を踏みつけるということになるのでしょうか。これは「言うは易(やす)く、行うは難(かた)し」です。脚を伸ばすときに圧が抜けやすいからです。雪面に圧力を加え続けていないと、安定した姿勢でジャンプすることができません。

 

 こんなことを考えながら、基本のストレートジャンプから練習しました。今までと動作が違うので、なかなかタイミングが合いませんでしたが、ツイスター、ヘリ、バックレイアウトと、今まで練習した技を一通り、新しい動きで練習することができました。

 

 また、やはりぼくのエアのオリジナル技である「棒ジャンしてからヘリ」も回転の原理がわかり、再現性が高まってきました。後は成功確率を100%に近づけるよう、練習あるのみです。

 

 ダイナミック・ポジショニング・ターンは昨シーズンの雪上練習によって、頭の中でイメージ(映像)を描けるようになりました。オフシーズンには若杉大屋スキー場のブラシゲレンデで、イメージ通りに滑れるかどうか検証したかったのですが、残念ながら行くことができませんでした。

 

 そこで今日(12月1日)は、インラインスケートのスラロームでダイナミック・ポジショニング・ターンができるかどうかを試してみることにしました。インラインスラロームのダイナミック・ポジショニング・ターンも頭の中でイメージできるようになっているからです。

 

 練習場所は由良川の堤防。アスファルト舗装されていて、インラインスケートの練習にはもってこいです。巻き尺(100m)を伸ばして、パイロン(コーン)を並べます。インラインスケートの大会では、間隔80cmとか50cmで一直線に並べたパイロンの列をワンフット(片足)でジグザグにすり抜けていくそうですが、ぼくがするのはモーグルの練習なので、モーグルのこぶをイメージした並べ方にします。モーグルのこぶのピッチは3~4mで3.5mくらいが平均的な長さです。ストックの使い方も練習したいので、インラインスラロームよりは間隔を長くして、とりあえず120cmで60個並べました。全長72mです。

 

 パイロンは巻き尺の左右に交互に置きます。巻き尺の左に接して置いたパイロンの120cm先に、次のパイロンを巻き尺の右に接して置きます。こうしてパイロンの幅だけ互い違いに並んだ列の真ん中、つまり巻き尺があったところをできるだけまっすぐに通っていきます。巻き尺の左に置いたパイロンの右側、巻き尺の右に置いたパイロンの左側です。

 

 検証したかったのは以下の点です

(1)脚(というより股関節)の曲げ伸ばしとパイロンの位置関係

 巻き尺の左に置いたパイロンが左側のこぶ、巻き尺の右に置いたパイロンが右側のこぶです。パイロンの位置を頂点とするこぶをイメージします。スケートがこぶのどの位置に来たときに股関節を曲げ、どの位置に来たときに股関節を伸ばすかです。これは雪上でもさんざん練習してわかっているので、インラインスラロームでも同じ動きになるかを確かめるだけです。

 

(2)ストックを振り出すタイミング、突くタイミングと脚の曲げ伸ばしの関係

 簡単に言うと、脚を曲げながらストックを突くか、脚を伸ばしながらストックを突くかという話です。普通は脚を曲げながらターン弧の中心にストックを突きます。くどいようですが、今までの検証結果では、ダイナミック・ポジショニング・ターンはほとんどの動作が普通の逆です。だとすると、脚を伸ばしながらストックを突き、脚を曲げながらストックを前に振り出すことになりそうです。これも雪上では検証ずみです。

 

(3)ストックで突く場所と狙う場所

 これが一番の問題です。ストックを突く場所は、こぶの手前、こぶの頂点、こぶの向こう側の3通りが考えられます。W杯の映像や大会での選手の滑走を見ていると、ほとんどの選手がこぶの頂点あたりをを突いているように見受けられます。理論的にもターン弧の中心であるこぶの頂点につくのが理にかなっているように思えます。しかし、ダイナミック・ポジショニング・ターンはほとんどの動作が逆です。ストックを突く位置も普通のターンと同じとは限りません。

 もう一つの問題はストックで狙う場所です。実際の滑走では結果としてストックを突く場所よりも、狙う場所が重要です。それは突く場所と同じとは限りません。スキーヤーの意図としてどこを狙うか、そして結果的にどこに突くか。これがインラインスラロームで一番検証したかったことです。

 

(4)ストックを振るべきか振らざるべきか

 これは(3)のストックで突く場所と狙う場所の問題にも関係してきます。ストックの先端を振り子のように前に振り出すか、ストックをしっかりと握ったままにするかという問題です。モーグルスキーのオーソドックスなストックワーク(ポールワーク)は、腕(ひじ)を動かさず、手首だけを動かしてストックの先端を前方に振り出す、あるいは手首も動かさず、左右の手で交互にグー・パー・グー・パーをしてグリップの握りを緩めて手が開いたときにストックの先端を前方に振り出します。

 これはずいぶん練習しました。歩きながら左右の手を交互にグー・パー・グー・パーしたり、親指と人差し指でグリップを握って中指、薬指、小指だけで左右交互にグー・パー・グー・パーしたり、暇さえあれば練習していました。

 でも、そもそもストックを振る(ストックの先端を前方に振り出す)必要があるのかというのが最近、疑問に思っていることです。

 

 ざっと以上のことを考えながら、120cm間隔のパイロンでスラロームをしたのですが、スピードが上がってくると、だんだん混乱してきて、ターンが乱れました。巻き尺の左に置いたパイロンの右、巻き尺の右に置いたパイロンの左を通らないといけないのに、巻き尺の左に置いたパイロンの左を通ってしまったりするのです。慣れてきたらだんだん間違いが少なくなり、リズミカルに滑れるようになりましたが、ストックワークも同時に練習するにはちょっと間隔が狭すぎるようです。

 

 そこで間隔を150cmに広げてパイロンを並べ直しました。モーグルのこぶのピッチの半分弱の間隔です。全長90m。この方がストックで狙う位置、突く位置がわかりやすいですね。間違うことなくリズミカルに進んでいけます。

 

 こうなったら後はスピードアップあるのみ。助走をつけてランニングウォッチでスタート、ストップを押して、タイムを計測しました。平均ペースが4分11秒/kmが最高でした。時速に直すと14.3kmくらいです。

 

 W杯選手は200mのコースを20秒くらいで滑ります(時速36kmくらい)。エア台がなくて、スタートからゴールまで3.5m平均でこぶが並んでいるとすると、200/3.5=57.14個になります。20秒で57個のこぶを滑るので、1秒で平均2.86個のこぶを通過する計算になります(1個のこぶを0.35秒で通過)。

 

 今日のぼくのスラロームは60個のパイロンが並んだ90mのコースを通過するのに最速で23秒かかりました。1秒で平均2.6個のパイロンを通過する計算(1個のパイロンを0.38秒で通過)なので、ちょっと遅いですが、だいたい同じくらいです(速度が遅いが、間隔が狭いので、1秒当たりのターンの回数が同じくらいになる)。

 

 ゆっくり滑って(1)~(4)の項目も検証することができました。後はこのターンの動きを雪上のモーグルコースで実践するのみですね。

 

 あまり大きな声では言えないのですが、新しいスキー板を買ってしまいました。白馬八方尾根スキー場での今シーズン最後の練習で、6年間使ったフォルクルのウォール・モーグル(2010年モデル)のトップが割れてしまったからです。

 

 新しく買ったのは4FRNT(フォーフロント)のORIGINATOR(オリジネーター)というモデルです。170、175、181、191cmの4サイズがあって、普通なら175cmか170cmを選ぶところですが、ぼくが買ったのは一番長い191cmです。

 

 3サイズ(トップ・センター・テールの幅)は92ー65ー82mmで、ターンラディウス(回転半径)は34mと、サイドカーブがほとんどなくて細身の板です。細かいピッチで連続するこぶを滑るモーグルスキー用としては不向きとも思えるプロポーションです。

 

 ぼくがモーグルコースを初めて滑ったのは、39歳でスキーを初めて3年目の1999年のことでした。その年からモーグルスキーの長さ規制がなくなりましたが、前シーズンまでは公式大会では190cm(だったか?)より長い板でないと滑れなかったのです。

 

 ぼくが初めて買ったモーグルスキーはFishcer(フィッシャー)のBurn the Earth(バーンジアース)、次に買ったのはK2(ケイツー)のPower Mamba(パワーマンバ)です。どちらも型遅れで安くなったのを買ったと思います。ともに長さが190cm以上ありました。

 

 4FRNT・ORIGINATORのうたい文句はこうなっています。

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私達は、オリジネイターでフリースタイルの原点に戻りました。

このスキーはモーグル用として制作されており、普通の滑りに満足のいかないスキーヤー達の歴史に敬意を表する少数派の為のスキーです。

フルウッドの芯材で、ソールはシンタードを使用。

クラシカルなキャンバーは、コブ斜面をつぶしていきます。

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 ぼくは今でもモーグル人気の絶頂期だった1995年前後のモーグルスキーヤーたちの映像を好んでみます(ぼくがモーグルはおろかスキーも知らなかった時代です)。エドガー・グロスピロン、ジャン=リュック・ブラッサール、セルゲイ・シュプレツォフらが、文字通りでこぼこの自然こぶを攻略していくさまは、なぜこの競技が当時、人気を博したのかを雄弁に物語っています。

 

 「あのモーグル黄金時代と同じプロポーションのスキーで、こぶを攻めてみたい」。これが191cmの長さを選んだ大きな理由です。今、190cmを超える長さのモーグルスキーはほかにはありません。しかし、定価は8万9640円。昨シーズンだったかに発売されたときには、Elan(エラン)のBloodline(ブラッドライン)を買ったばっかりだったこともあり、さすがに二の足を踏みました。

 

 ElanのBloodlineは一番長いのが181cmだったのですが、よく見ると、4FRNT・ORIGINATORの181cmはプロポーションが全く同じです。こんなに細くてサイドカーブのない板は他にありません。しかも、エランも4FRNTもスロベニア製となっています。

 

 Wikipedia(英語版)で4FRNTの項目を見ると、「大部分のスキーはエランが製造している」と書いてありました。米国の4FRNTがスロベニアのエランに製造委託していたのです。

 

 エランというとマイナーな印象ですが、これもWikipediaによると、20世紀を代表するアルペンスキー選手、インゲマル・ステンマルクが、他メーカーからの誘いを断ってデビューから引退までエランを使い続けたそうです。ジャンプでは高梨沙羅選手が2015-2016年シーズンに総合優勝したときに使っていたそうです。

 

 ぼくは2016年4月にElanのBloodline(181cm)を買って、2017、2018年と2シーズン使いました。長くて細いところが大変、気に入っています。サイドカーブがないので、しっかりと体重をかけないとずれてしまいます。ダイナミック・ポジショニング・ターンの練習には最適です。

 

 しかし、ElanのBloodlineの現行モデルには181cmのサイズはありません。4FRNT・ORIGINATORも製造中止になって万事休すかと思いきや、ネットで検索していたら、skiyardという見たことも聞いたこともない英文サイトで扱っていました。4サイズのうち191cmだけが残っています。価格は$199。国内のショップでは191cmはなく175cmだけ。それも値段が7万円超と3倍です。

 

 Bloodlineはネット通販でメーカー希望小売価格7万3440円のところ、59%引きの2万9990円(税込・送料込)で買いました。なじみの店でビンディングを取り付けてもらったとき、店長が「もう1セット買っておいてはどうですか」とアドバイスしてくれたのですが、「2セットはぜいたく」と思い、買わなかったら、買えなくなってしまい、後悔していたところでした。

 

 skiyardなんて、見たことも聞いたこともない店だし、インターネットだし、英語だし、オンライン決済だし、海外輸送だし、送料もかかるだろうし、大丈夫かなと思いましたが、思いきって注文してみました。注文確認メールが届かず、ちょっと焦りましたが、自分の連絡先のメールアドレスをミスタイプしていたことに気づき、メールで連絡したら、skiyardから担当者名も入れて「修正しました」と返信のメールが来て、同時に注文確認メールも届きました。

 

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本体価格(板のみ) $199

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合計 $279 米ドル

 

 さすがに送料は高いですが、それでも定価の3分の1くらいの値段です。5月2日深夜に注文して、5月7日正午に届きました。早いですね。アメリカは大型連休関係なしとはいえ、土日をはさんでいます。クレジットカードの利用明細をみると、ドルの換算レートが111.843だったので合計3万1205円の買い物になりました。

 

 板の側面には「4FRNT IS #SHARPINGSKIING」と書かれています。来シーズンはこのスキーを使ったダイナミック・ポジショニング・ターンで勝負に出ます。

 今回の練習を始めるにあたって設定した課題をクリアできたのか、振り返ってみたいと思います。(マニアックな技術論です。ぼくのダイナミック・ポジショニング・ターンに固有の問題もあるのであまり参考にならないかもしれません)

 

(1)どんなこぶでも滑れるようにすること

 

 エア台を作成した兎平新コースの上部から谷側に向けて、自然こぶの並びとは関係なく、仮想の一本の直線上を滑って下りるようにしました。兎平新コースの上部にはリフト降り場から中間部に向けて谷川のような自然こぶのラインが何本も斜めに伸びているので、仮想の一本線は幾筋もの谷川を斜めに横切ることになります。谷川を横切るときには、がくんと落ち込むので吸収動作の練習になります。谷川を横切った後は谷川と谷川の間の比較的フラットな部分を横切ります。こぶの間隔が狭いところは大きなターン弧でこぶを飛ばすのでは、クイックターンを入れながらすべてのこぶを乗り越えて滑っていきます。自分でラインを探しながらあくまで直線上を滑っていく練習です。

 

 しかし、これだけでは一列にきれいに並んだこぶが滑れるのかどうかわかりません。2日目の月曜になって兎平新コースの人が極端に少なくなったと思ったら、黒菱の緩斜面には人が集まっていました。広い緩斜面の半分ほどに、さまざまな大きさのこぶのラインが何本も縄のれんのように並んでいるのです。

 

 2日目、そのうちの1本を滑ってみました。横幅の広いこぶのラインなので、スキーを横に回しながらですが、ダイナミック・ポジショニング・ターンでこぶを乗り越えながら滑ることができました。今シーズン、ストックをつく位置がわかったことで、今まで乗り越えることができずに苦労していた横長のこぶを完全接雪しながらスムーズに乗り越えていくことができるようになりました。

 

 3日目は雨で気温が下がったので、前日までのざくざくの緩んだ雪が少し締まって、普通のスピードが出るバーンになりました。兎平の自然こぶも滑ってみました。横滑りを入れてできた大きなターン弧のこぶなので、横滑りした分だけこぶとこぶの間隔が空いています。スキーをまっすぐにして縦に滑ろうとすると接雪できず、接雪すればスキーが左右に振られるのに合わせて体も横に移動しがちです。今まで、ダイナミック・ポジショニング・ターンではこぶを乗り越えることができず、苦労していましたが、スキーが真横になるくらい大きく角度を変えながらも、体の位置は動かさずに真っすぐ滑り下りることができました。

 

 黒菱の急斜面のこぶも久しぶりに滑ってみました。スキーのトップがツイスターをしているように右に左にと動きますが、横滑りをすることなく、丸いターン弧を描きながら進んでいきました。

 

 リフトの近くにモーグルコースのような短いピッチのラインがあったので挑戦してみました。前日までの暑さで雪が溶けて深くえぐれたまま、気温が下がって締まっています。左右不均等で、右側はこぶとこぶの間が深く沈み込んでいるのに対し、左はほとんど掘れずに高くなっています。左が高く、右が低いので、理屈としては、左脚をより大きく曲げ、右脚は伸ばさないといけないことになりますが、どうしても右の深いところにはまって左の高いところで外に飛び出してしまいます。5本くらい滑りましたが、最初から最後まで通して滑ることはできませんでした。脚を曲げて腰を落とすタイミングに問題があるのかと思います。

 

 黒菱の緩斜面に縄のれんのように並んだこぶのラインの中に、モーグル向きの短いピッチのこぶがありました。スピードが出てくるとターンが間に合わずに弾かれがちです。1本目は中ほどで中断しましたが、2本目は最初から最後まで完璧にコントロールして滑ることができました。昨シーズンまでなら、スピードが上がったところで、ダンダンダンダンとこぶをたたくような滑りになっていたと思います。

 

 季節柄、アイスバーンはありませんでしたが、大きいこぶ、小さいこぶと、たいていのこぶは完全接雪で乗り越えていく自信がつきました。

 

(2)エア台への進入とエアの着地後のターンへの復帰

 

 結論を言うと、この課題は今回も宿題として残りました。雪が緩んだ2日目は、ジャンプの着地の衝撃も少なく、減速も簡単にできたので、着地後、すぐにターンに入ることができましたが、3日目、エア台が硬くなってジャンプが高くなると、着地の後、体が遅れるのか、どうしてもスキーが横を向いてしまいます。

 

 もっと問題なのは、キッカーに体がつぶされているのか、まともなジャンプになっていなくて、体の軸がきれいにできません。急斜面の「かっくん台」(下り坂と登り坂の間の水平部分が短く、横から見ると「V」字になっている台)ということはありますが、ハチ北の緩斜面のエア台でも同じように軸のとれないジャンプになっていので、着地に至るまでのジャンプそのものに原因がありそうです。

 

 軸のとれたジャンプをするには、最後のこぶを吸収してから、アプローチ(下り坂)、トランジション(水平部分)、キッカー(登り坂)のすべてをリップ(先端)に至るまでまんべんなく踏み続けなければなりません。それぞれの斜面に対して、体(重心とブーツを結ぶ直線)は常に垂直です。アプローチが下り30度であれば体は前傾30度、キッカーの飛び出し角度が30度であれば体は後傾30度です。大きく飛べば落差が5mにもなるような台で、後傾30度は正直言って怖いです。かといってキッカーで両スキーを「ハ」の字にしたりすると、確実に失敗ジャンプになります。

 

1)最後のこぶを吸収した後、アプローチ(下り坂)に入るときにどういう動作をするか

2)アプローチでどのような姿勢をとり、どのように体重をかけるか

3)トランジション(水平部分)、キッカー(登り坂)の姿勢をどうするか。

 

 3)はおそらくじっとしているだけです。問題は1)から2)にかけてどう動くかだと思います。ダイナミック・ポジショニング・ターンは普通のターンとすべての動作が逆になるので、アプローチの踏み方も普通のターンとは逆になりそうな気がします。来シーズンの課題です。

 

(3)スピードアップ

(4)減速の方法

 

 この二つの課題は表裏一体なのでまとめて書きます。

 

 スキーの速度を増すには、雪面に大きな力を加え続けなければなりません。地球上の物体は重力加速度(g)という一定の力で地球の中心に向かって引っ張られています。何も抵抗がなければ下に向かって進む速度は重力加速度を受けてどんどんと速くなっていきます。雪は摩擦抵抗が少ないので、じっとしていても下り坂であればだんだん速度が速くなっていきます。しかし、速くなりすぎると、スキーが進む方向を制御できなくなるので、スキーヤーは何らかの方法で減速することが必要です。

 

 減速には二つの方法があります。一つは進行方向の摩擦抵抗を増やす方法、もう一つは雪面に加える力を減らす方法です。

 

 一つ目の摩擦抵抗を増やす方法はわかりやすいと思います。スキーは縦には滑りやすいですが、横には滑りにくくなっています。進行方向に対してスキーを横に向けると速度を落とすことができます。

 

 もう一つの雪面に加わる力を減らす方法は「抜重」です。スキーの古典的な技術である抜重には、伸身抜重と屈身抜重の2種類があります。伸身抜重とは体を伸ばすことによってスキーを雪面から浮かせる技術、屈身抜重とは体を縮めることによってスキーを雪面から浮かせる技術です。

 

 伸身動作は脚を伸ばして雪面を蹴るのと同じ動きなので、雪面に加わる力が大きくなりそうです。屈身動作は雪面を踏み込むときと同じ動きなのでこれもまた雪面に加わる力が大きくなりそうです。

 

 脚を伸ばすにしても、曲げるにしても、どちらの動作もやり方次第で雪面に加わる力を大きくすることもあるし、小さくすることもあるということです。これは作用反作用の法則とともにダイナミック・ポジショニング・ターンの理論の核心になります。

 

 伸身抜重、屈身抜重によって雪面に加わる力を減らし、スキーの進む速度を落とすことができます。トランポリンのチェックという動作があります。トランポリンの選手は地上8mの高さのジャンプをしていても、最後は一瞬でぴたりとベッドの上で静止します。ベッドを踏み込んだ反作用で、ベッドによって体が持ち上げられる力を脚を曲げることによって一瞬で吸収しています。

 

 スキーでも同じように脚を素早く曲げ伸ばしすることによって一瞬ですが無重力状態を作り出し、スキーが雪面を押さえる力をゼロに近づけることができます。スキーは雪面を押しつける力の反作用で雪面から押し返されて進むので、雪面に加わる力が少なくなることによって減速するのです。

 

 いったん動き始めた物体は同じ速度で進み続けようとします(慣性力)。そこに重力加速度が加わって、だんだんと速度を増します。その力を脚の曲げ伸ばしによって一瞬で相殺します。

 

 兎平新コースの仮想の直線上を勢いをつけて滑っているとき、たまたまですが、1回の脚の曲げ伸ばしで、一瞬にしてほとんど止まるところまで減速したことがあります。今後は、この動作を自覚的に行えるように練習する必要があります。

 

 ダイナミック・ポジショニング・ターンは完成しましたが、頭の中で考えただけではわからないこと、練習をして初めて気づくことが、まだまだありそうです。

 今シーズン最初で最後となった白馬八方尾根スキー場は、練習2日目の23日(月)も晴天でした。ただし、日曜だった前日とは打って変わってゲレンデの人影はまばらです。前日からエア台を作りかけていた兎平新コースも人がいないときの方が多いくらい空いていました。

 

 3日目の24日(火)は雨。朝のうちこそ前夜からの雨が小休止して曇り空でしたが、午後になると雨足が強まって、ゲレンデにはほとんど人がいなくなりました。

 

 そんな空いたゲレンデで2日間とも午前9時から午後4時10分のリフト最終まで、昼食休憩も20分間だけにして、ひたすら滑り続けました。

 

 3日目は気温が下がって、前日までの暑さで緩んでいたバーンが締まり、スキーがそこそこ走るようになりました。しっかり体重をかけて押さえつけないと弾かれるのでハードな練習となりましたが、ブーツの中の足が痛くなることも、膝が痛くなることも、腰が痛くなることもなく、気持ちよい疲れだけを感じて滑りきることができました。

 

 これは普段から、栗田興治さん(PCP)に指導を受けた蒲田和芳・広島国際大学教授のリアライン・トレーニングを実践していることと、今シーズン、膝は動かさずに、もっぱら股関節を動かすように滑りを変えたことによると思います。シーズン初日にお尻が筋肉痛になったのと、ハチ北の公認大会の打撲を除くと、どれだけハードな練習をしても、どこかが痛くなるということはありませんでした。

 

 休みなしに滑り続けたのですが、1回だけ中断を余儀なくされました。3日目、次第に雨足が強まる中、急斜面に作ったエア台でジャンプして着地した直後から、片方のスキーのコントロールが効かなくなり、予期しない方向に回ったりします。

 

 さては着地の衝撃でスキーが折れたのかと思って、ビンディングのあたりを見てみましたが、何も変化はありません。スキーを履き直してまた滑ると、突然引っかかって転倒してしまいました。

 

 もう一度よく見ると、スキーのトップのソールがはがれて、パックマンのように口を開けています。ウォータージャンプでは着水時にスキーを蠅叩きのように水面を叩きつけてトップが割れることがしばしばありますが、雪上練習でスキーがこんなふうに壊れるのは初めて経験しました。

 

 替えのスキーは持って上がっていません。駐車場の車の中には替えのスキーがありますが、ブーツごと履き替えなければなりません。時計を見ると午後1時。雨足が強まって、スキーウェアのしわに水がたまっています。これを機に練習を切り上げるべきか。ゴンドラで下りて、直近の駐車場に止めた車の中にあるブーツに履き替えて、替えのスキーを持って、またゴンドラで上がれば午後2時には練習を再開できるでしょう。午後3時にエア台の撤去作業を始めるとしても、1時間は練習できます。

 

 意を決して下山し、急いで履き替えて上がったら午後1時35分でした。ロスタイム35分。リフトで循環しながらこぶを滑ってエアも飛ぶという練習を2時間近く続けることができました。

 

 もう1本、もう1本と滑っているうち、エア台の撤去作業の開始が遅れて午後3時半ごろ。午後4時10分のリフト最終までには終えなければなりません。

 

 ところが、前日から水分をたっぷり含んだ雪で作り始めたエア台は、硫安が染み込み、気温が下がってかちかちに凍っています。持参したアルミの雪かきスコップでは歯が立たず、薄くはつっていくのがやっとです。それでも角の部分を突き立てたりして、大方、崩しましたが、土台に近いところが厚い氷になっていて割れてくれません。

 

 そこに「しっかり飛んで練習できましたか」とパトロール隊員さん登場。万事休す。タイムアウトかと思いきや、時間は午後4時。ゲレンデクローズの10分前です。「もう壊さなくていいですよ。すぐに溶けてへたりますから。ポールでバッテンだけしておいてください」。地獄に仏とはこのことです。「それより、ラスト1本滑ってくださいね」。よっしゃあ。滑り通しの疲れも忘れ、全速力で締めの1本を滑って、けがもなく、今シーズンのスキー練習を終えました。

 

 「TAIZOさん、来シーズンは八方にも来てくださいね」

 

 来ますとも。雨でスキーグローブも、靴下も、下着も、財布も、スマートフォンも、何かもずぶ濡れになりましたが、心は温かい八方ラストデイでした。

 白馬八方尾根スキー場に練習に来たときには、いつも同じ民宿に泊まります。今シーズンはずっと来れなかったのですが、その間にその常宿のおばあちゃんが亡くなってしまいました。享年81歳。来たときにはいつもあれこれと話をし、年甲斐もなくモーグルに打ち込んでいるぼくのことを心配してくれてもいたおばあちゃんでした。

 

 実名を出すのもどうかと思うのですが、宿の奥さんに聞いてみたら、「いいですよ、顔出しもOK」ということでした。民宿は白馬五竜の近くにある「うめのや」です。ぼくは五竜に滑りに来たときに観光案内所の紹介でたまたま泊まって、その後、八方で練習するようになってからもずっとここに泊まっています。

 

 おばあちゃんは平昌オンリピックが終わった直後の2月23日に亡くなりました。前の日まで元気でごく普通にしていたのに、朝、起きてこないなあと思ったら布団の中で苦しむこともなく静かに亡くなっていたそうです。若すぎますが、大往生と言っていいのかもしれません。

 

 昨日、今シーズン初めて白馬に来て、夕方、宿に入ると、奥の間に案内してもらって、おばあちゃんの遺影に線香を上げさせてもらいました。遺影は今年2月、ノルディック複合のワールドカップ白馬大会で渡部暁斗選手が優勝したときに宿で撮ったツーショット写真を使っています。ご満悦の表情のおばあちゃんの遺影を前に、足がしびれて立てなくなるところまで、奥さんと思い出話をしました。

 

 ぼくにとって思い出深いのは、夜中に雪がたくさん降って、朝、宿を出てゲレンデに行こうとしたら、庭に止めていた車がスタックして動かなくなったときのことです。お孫さんに手伝ってもらったりしながらぼくが悪戦苦闘していると、自分の部屋にいたおばあちゃんが窓を開けて「ハンドルを切らずにバックしろ」とか、大声でいろいろと指示を飛ばします。おじいちゃんにトラクターで引っ張ってもらって、やっとこさのことで脱出して、やれやれこれでスキーに行けると思ったら、おばあちゃんがぼくに向かって「もう、けえれ(帰れ)」。「ええッ、そんなあ」とけげんな顔をするぼくに「だっておめえ、今はトラクターで引っ張ったからええが、スキー場でこんなことになったらどうすんだ」。確かにおっしゃる通り。「もうこんな日は来るんじゃねえぞ」と言われて、すごすごと、雪はたっぷりあるのに全くスキーをせずに帰路についたのでした。

 

 ぼくが八方尾根で一人でエア台を作って練習していると知ると、「昔はみんな子供がジャンプ台を作ったんだ。今はコーチや大人が作っとる。うちの子(平昌五輪までノルディック・ジャンプ全日本のヘッドコーチ)だって、『今日も雪が降ってジャンプ台作った』『また今日も雪が降ってジャンプ台作った』と言って、毎日ジャンプ台を作っていた」という話をしてくれました。ぼくが自分でエア台を作って練習しているのを「白馬村のもんはみんな知っとる」と言って、一人寂しく練習しているぼくを励ましてくれてもいました。

 

 練習を終えて帰るときには、自分が育てた野菜をどっさりとくれて、5時間の長道中で帰ると知ると、「疲れてっから気いつけて帰れよ。うちで布団敷いて寝てからけえれ」とまで言って、ぼくの帰宅をいつも心配してくれていました。

 

 昨シーズン、ぼくがお金を節約するために、最初の日だけは車中泊をすると言うと、「うちの食堂で寝ろ。床暖房が入ってっから寒くねえぞ。前はみんなそうしてたんだ。かまわねえから、そうしろ」と言ってくれて、結局、奥さんの計らいもあって、畳の部屋で寝袋で寝させてもらいました。

 

 たまに一緒に泊まった妻は、おばあちゃんのぼくに対する態度が「かわいい息子に接するときのようだ」と言っていました。四十九日は終わったそうですが、なんだかぽっかり穴が開いたようです。朝、食堂のカウンターからおばあちゃんが顔を出して「佐々木さん、いらっしゃい」とほほ笑みかけてくれるような気がするのです。

 4月22日(日)、やっと来ることができました。昨シーズンまでホームゲレンデとして練習に通っていた白馬八方尾根スキー場です。今シーズンは今回が最初で最後です。

 

 京都府綾部市の実家から北陸道経由で5時間半。道中、北陸道の正面に残雪の立山連峰が屏風絵のように美しく見え、糸魚川から白馬に入ると、桜などの春の花が満開です。晴天に恵まれ、最高の景色の白馬へやってきました。

 

 ただし、夏のような暑さです。午後1時に駐車場に着いて、ゴンドラリフト乗り場まで歩くと汗だくです。シニア半日券3800円を買ってゴンドラで上部ゲレンデに向かいました。ゲレンデを見下ろしていると、10年近く通ったスキー場なので「帰ってきました」という思いがこみ上げてきました。

 

 ゲレンデに着いたら、なにはともあれ、いつものようにエア練習の申請をするためにパトロール本部へ直行。顔なじみのパトロール隊の皆さんが「『TAIZOさん、今年は忙しくてなかなか来れないね』と話していたんですよ」と出迎えてくれました。

 

 実は先週も来るつもりでパトロールに電話をしていたのですが、天気が悪そうで、強風でリフトが止まっては、めったに来れないのにもったいないと思い、取りやめたのです。結果的には日曜日は終日、リフト運休となりましたが、来ようと思っていた土曜日までは天気が荒れず、パトロール隊の皆さんも「来ればよかったのに」と話していたそうです。

 

 出直しの今回は今シーズン最後の雪上練習です。父母がショートステイに行っている間、24日(火)までエア台を作成して練習します。

 

 今回の課題は、10年がかりで独自開発に成功したダイナミック・ポジショニング・ターンを体に覚え込ませることです。頭の中でほとんどすべての動作をイメージできるようになりましたが、それを雪上で再現して来シーズンまで忘れないように定着しなければなりません。

 

 具体的には、次のようなことが挙げられます。

 

(1)どんなこぶでも滑れるようにすること

 深いこぶ、浅いこぶ、縦長のこぶ、横長のこぶ、大きなこぶ、小さなこぶなど、ありとあらゆる状況に応じて、ターン弧を変えながらすべてのこぶをダイナミック・ポジショニング・ターンで滑っていけるようにします。

 

(2)エア台への進入とエアの着地後のターンへの復帰

 エアの着地後のこぶのターンへの入りはスタートと同じなので、わかったと思います。しかし、ダイナミック・ポジショニング・ターンでのエア台への進入の方法がまだ検証できていません。どのタイミングで脚を伸ばし、どのような体勢でアプローチの斜面に荷重するのか。細かいことですが、スタートからゴールまでの動作で、ここだけ未解明の部分が残されています。頭の中でいくら考えたところで、実地で検証しないことには答えが出ません。

 

(3)スピードアップ

 モーグルの大会では一定以上のスピードで滑らないことには通用しません。ダイナミック・ポジショニング・ターンでどこまでスピードが上げられるか、あまりスピードが出ない春雪ではありますが、試してみる必要があります。

 

(4)減速の方法

 これはどの競技の練習でも一番最初に学ぶべきことです。減速する方法がわかっていて初めてスピードを上げることができます。ブレーキのきかない車ではアクセルを離せば自然に止まるくらいののろのろ運転でしか走れません。トランポリンでは「チェック」と言って、トランポリンの反発を吸収して一瞬で止まる方法を最初に練習します。インラインスケートでもスキーの「ハ」の字のようなスイズルという減速方法(脚を開いたり、閉じたりして、ひょうたんのような軌跡を描きます)を最初に習います。停止する方法ないしは減速する方法がわかっているからこそ、全力でジャンプしたり、滑ったりすることができるわけです。ダイナミック・ポジショニング・ターンはスピードが出るし、出せる技術ですが、減速方法がまだはっきりとは検証されていません。

 

 以上の課題をこなすには言うまでもなく、こぶとエア台が必要です。モーグルのこぶをスコップなどで自作したこともありますが、今回は時間もないのでエア台だけを作り、自然こぶで練習することにしました。

 

 初日の今日は暑さで雪がざくざくになっているという予想のもと、セミファットのスキー板でゲレンデに上がりました。このブログの愛読者なら覚えているかもしれません。SOSブランドのセミファットのスキー板をゲレンデに置き忘れ、別の板で滑って下山しているときに気づいたのですが、既にリフトが止まっていたので取りに上がることができず、翌日、ゲレンデに上がったときにはなくなっていたということがありました。結局、誰かが持って行ったのか、出てこなかったのですが、最近、ヤフオクで新品同様の同じ板が出ていて、やっと買い直すことができました。185cmと長く、幅広で、硬い板です。サイドカーブがほとんどなく、ターン性能が劣るので、モーグルのような細かいターンをするのには全く向いていませんが、パウダースノーのときやざくざくの春雪のバーンでは板が沈まないので重宝します。

 

 買い直したセミファットの板で今日初めて滑ってみました。重たい春雪ですが、モーグルコースのような細かいピッチのターンもダイナミック・ポジショニング・ターンで思いのままにこなすこができました。<課題(1)どんなこぶでも滑れるようにする>はクリアできそうです。

 

 今日は日曜とあってゲレンデは大勢のスキーヤーでにぎわっていました。皆さん、こぶが好きなのでしょう。そんなゲレンデにエア台を作らせてもらうので、他のスキーヤーの邪魔にならないようにしなければなりません。午後3時を過ぎて人が少なくなってからゲレンデの端の方を選んでエア台の作成にとりかかりました。

 

 大きな自然こぶの一つの上に雪を積み上げてキッカーにすることにして、スコップで雪をかいているとき、ふと見上げると、こぶ好きらしい女性スキーヤーが

立ち止まっています。

 

 ぼくが「すみません、ラインをふさいでしまいましたね」と謝ると、女性は「あ、邪魔になりますね、すみません」と言いながら横によけようとします。「いやいや、そうじゃなくて、ぼくが通り道をふさいでいてすみません」と言うのですが、女性は「全然、そんなことないです。そこは難しくて滑れません」と謙遜しながら、横の別のラインを滑り下りていきました。

 

 ほんの10mほどとはいえ、皆が楽しむゲレンデの一部を占拠してしまって申し訳ないことですが、皆さん、文句も言わず、エア台をよけて通ってくださいます。皆が滑るゲレンデですから、一般スキーヤーやスノーボーダーが、エア台の直前を横切ったり、ランディングバーンで立ち止まったりすることもありますが、文句を言ってはいけないですね。

 

 危険がないように、人に迷惑をかけないように。皆が楽しめるように、一般スキーヤーのことを考えて、マナーを守りつつ、安全第一を心がけて2日間、練習に打ち込みたいと思います。

 今日は今シーズンのホームゲレンデとなったハチ北高原スキー場の営業最終日でした。あちこち地面が露出しましたが、なんとか最後まで雪が持って、モーグルコースも滑ることができました。

 

 そして、ぼくが10年越しで開発に取り組んできたダイナミック・ポジショニング・ターンがほぼ完成しました。「棒ジャンしてからヘリ」と同様、いつまでたっても「幻の」という形容詞が付いていたのですが、そろそろ外してもいいのではないかと思います。

 

 ダイナミック・ポジショニング・ターンで今までストックを突く位置がわかっていなかったのが、やっとわかったということは、この前書きました。今日、新たに気づいたことは、ストックを突く位置と狙う位置は違うということです。

 

 ぼくがモーグルを始めたころ、レッスンで「ストックは必ずこぶの裏側に突いてください」と教わりました。今もこれは正しいと思っています。しかし、多くのゲレンデスキーヤーがしているように、ストックをこぶの頂点に突くのなら、せいぜい半径30cm以内で場所を特定できますが、こぶの裏側と言えば、3.4m間隔のこぶで長さが1.7mもあります。いったいどこに突けばいいのでしょうか。しかも、こぶの裏側は月の裏側と同じで、スキーヤーから見えません。突く位置ばわかったとして、いったいどうやって狙えばいいのでしょうか。また、こぶの裏側にストックを突こうと思って振り出したストックが、こぶの一番高くなっているところに当たりはしないかと心配になります。

 

 今日得た結論は、ストックをこぶの裏側に突こうと思えば、ストックはこぶの裏側よりももっと前を狙って振り出さなければならないということです。(ダイナミック・ポジショニング・ターンのストックワークの話です)

 

 このストックワークとも関係しているのですが、ダイナミック・ポジショニング・ターンで今までよくわかっていなかったのが、直滑降からこぶのターンへの入り方です。

 

 スタートとエアの着地後、直滑降してこぶに入っていきます。このときどこを狙ってストックを振り出し、どのような動作をすればいいのかが、今まで明確ではありませんでした。

 

 そのためにスタートするなり、ターンと同時に腰が回って、体がふらついたり、ラインを外したりすることがありました。また、エアの着地後は、どうターンに入ればいいのかがわからず、着地と同時に頭の中が真っ白になって、スキーを横にしていったん停止し、フォールラインから横にそれてしまうというのが常でした。

 

 これは結局、ターン後半の動作がよくわかっていなかったためでした。一つのターンが描く軌跡が半円だとすると、ターンの前半の4分の1円は中心が谷側にある谷回り、ターンの後半の4分の1円は中心が山側にある山回りです。

 

 ダイナミック・ポジショニング・ターンで、ターンの前半にすることは明確です。脚を伸ばしながら雪面を後方に押します。こぶの中では、こぶの裏側をスキーで後方に押すことになります。

 

 ターンの後半ではスキーがこぶの手前側に乗り上げるわけですが、このときの動作がよくわかっていませんでした。脚を曲げてこぶを吸収するのですが、普通のターンのように膝を上げたり、かかとをお尻の方に引き上げるたりしたのではうまくいきません。次のターン前半の動作(脚を伸ばしてこぶの裏側を後方に押す)につながらないのです。

 

 今日はこのあたりの動作をどうすればいいのか、しゃばしゃばになってスピードが出ない春雪の緩斜面でスローモーションのように滑ってみて確認しました。その結果、こぶの手前側で脚を曲げてこぶを吸収し、こぶを乗り越えるときに脚を伸ばしてこぶの裏側を後方に押すという一連の動作がスムーズに連続して行えるようになりました。

 

 これで、ダイナミック・ポジショニング・ターンの一連の動作のうち、どうしたらいいのかわからないという部分がなくなりました。すべての動作を論理的に説明することができます。

 

 ただ、春の滑らない雪だからできているというところもあるでしょうし、浅いこぶだったからできているというところもあるでしょう。やり方がわかったとしても、その方法でどんなこぶでも滑れるようになるにはなお練習が必要だと思います。

 

 減速の方法、停止の方法はどんなことでも一番の基本です。トランポリンでも止まる方法は一番最初に習います。減速する方法がわからなければ、ブレーキのない車を運転しているようなもので危なくてしかたがありません。ダイナミック・ポジショニング・ターンの減速については方法はわかっていますが、完全に自分のものにするには、もう少し習熟が必要です。

 

 あまりにも幻の年月が長すぎて、もはや誰も実現するとは期待していないダイナミック・ポジショニング・ターンですが、見る人が見れば、普通のターンと違っていることがわかるようです。

 

 しかし、一つ間違えば、ただの初心者以上のへたくそになってしまい、みじめ極まりないのがダイナミック・ポジショニング・ターンです。厳しい局面になると、なんとかしようとしてついつい以前に練習した普通のターンの動作が出てしまうのです。これからは、どんなときでもダイナミック・ポジショニング・ターンの動作以外はしない、止まるときも必ずダイナミック・ポジショニング・ターンの方法で止まるというようにして、とっさのときにもダイナミック・ポジショニング・ターンの動作をするところまで習熟したいと思います。

 

 今シーズン、貴重な練習の場を提供していただいたハチ北高原スキー場のアニキをはじめモーグルスタッフの皆さんありがとうございました。

 何年も山ごもりして必殺技を身に着けた昔の剣豪のように、ぼくが一人、黙々と習得を目指して練習してきたオリジナルの「ダイナミック・ポジショニング・ターン」の開発が大詰めを迎えています。

 

 ぼくがこのターンに気づいたのはちょうど10年前の2008年2月、ハチ北高原スキー場で練習しているときでした。当時のぼくは「どうすればスキーヤーから見えないこぶの裏側(ゴール側)をスキーのトップで踏むことができるか」ということばかり考えていました。全日本スキー連盟公認のモーグル大会が開催される北壁スーパーモーグルコース(平均斜度約30度)で、深く掘れたこぶを滑っているとき、こぶの上で脚を伸ばして腰を前に出せばいいということに気づいたのです。

 

 翌2009年の公認大会は新しく気づいたこのターンで臨みました。斑尾高原スキー場の急斜面で開催された初戦では、スタートでうまくこぶに入れないまま後傾になり、第1エアの着地後は、何回もコースアウトしそうになって完全停止するというみじめな結果に終わりました。。続いて松之山温泉スキー場であった第2戦では、第1エアの着地後にラインを見失って迷子になってしまいました。

 

 そして迎えたのが、松之山温泉スキー場で開かれたトキめき新潟国体のモーグル競技です。第1エアまでは「たった7こぶしかないのだから思いきっていけばいい」とこぶを踏みつぶす意識で猛然と滑り下り、第1エアの着地後、ミドルセクションのこぶに入ったのですが、ターンのタイミングがこぶに合わずにスキーがばたついていたので、なんとか修正しようと、スキーを横に向けた瞬間、ブーツから外れて、肩の高さまで舞い上がってしまいました。

 

 結局、このときわかっていたのは、「体をこぶの前に出す」というだけで、スタートとエアの着地後、こぶのラインにどう入ればいいのか、ターンのタイミングが合わなくなったときにどうリカバリーすればいいのかなど、わからないことだらけでした。

 

 実用には至りませんでしたが、諦めるわけにはいきません。うまくできたときの新しいターンは、それまでのぼくのターンがこぶを避けて通るようだったのに対して、こぶを踏みつぶしていくように直線的かつ攻撃的で、しかも安定しているのがわかりました。滑っていて気持ちがいいのです。

 

 大学受験で使った物理学の参考書を取り出して、スキーはなぜ滑るのか、なぜ方向を変えることができるのか、ターンの原理について一から考えてみました。動画のコマ送りのように、新しいターンをするためには、ターンのどの局面でどういう動作をすればいいのか、スキーの傾き、脚の動きなど、すべての要素について考えてみました。

 

 そして得た結論は、一般的なターンでは、スキーヤーの重心の位置(ポジション)を一定にして、足の位置を変えているのに対し、ぼくが新しく開発しようとしているターンでは、足の位置を変えずに、スキーヤーの重心の位置を変えているということでした。

 

 そこで、新しいターンを「ダイナミック(動的)・ポジショニング・ターン」、従来の一般的なターンを「スタティック(静的)・ポジショニング・ターン」と命名しました。この2種類のターンは、ほとんどの動きが逆になります。

 

 原理がわかって、ロングターンについては、ターンの開始から終了まで、すべての動きについて物理学的に説明することができるようになりました。ターンの一挙手一投足について、頭の中ですべてイメージすることができます。ダイナミック・ポジショニング・ターンで滑ったときの速度は、体感で従来の1・5~2倍(当社比)です。安定性は体感でざっと5倍(当社比)です。

 

 ところが、ショートターンについては、いつまでたってもわかったようでわかりません。滑ってみるとできているような気がするのですが、頭の中でイメージができないのです。こぶの中のターンもうまくイメージできません。

 

 論理的には雪面の起伏に合わせて吸収動作をしながらこぶを乗り越えていくことができるはずなのですが、実際にはこぶの手前でスキーが回ってしまって、こぶを乗り越えることができません。

 

 大会では、ターンと同時に腰が回って体が横を向いてしまったり、スキーのトップがフォールラインを外れてこぶの外側に出てしまったりの繰り返しでした。このターンを練習する前以上に下手っぴな滑りになってしまい、大会のたびに落ち込むのが常で、「自分は大きな勘違いをしているのではないか」と疑心暗鬼になり、自信を失うこともしばしばでした。オリジナルのエア(空中技)ならともかく、スキーの根幹であるターンがオリジナルであることなど常識的にはありえないことです。

 

 最近はこのブログでも。、ダイナミック・ポジショニング・ターンについて語ることを控えていたのですが、今シーズン、ハチ北の公認大会の後、疲労と打撲で体に受けたダメージが回復しないまま、布団で伏せっているとき、目を閉じて頭の中でストックをどこに突くかを考えているうち、こぶの中でのターンのすべてのイメージを描くことができました。

 

 ストックワークについては今まで、ストックの振り出しと脚の曲げ伸ばしの同調については考えていましたが、ストックをどこに突くのかがわかっていませんでした。それを改めて論理的に考えてみたのです。まず、夏場に練習する若杉大屋スキー場のブラシのウエーブでイメージしました。次にモーグルコースのこぶでイメージしました。今までストックを突いていた位置は、ダイナミック・ポジショニング・ターンで本来突くべき位置から、距離にしてほぼスキー1本分の長さずれていました。ターンのタイミングが合わないはずです。今までにターンのリズムがすぐに裏返しになっていたのは、ストックを突く位置が間違っていたせいでした。

 

 正しいストックワークでのダイナミック・ポジショニング・ターンを現在、ハチ北高原スキー場のモーグルコースで練習しています。まだ細かいところで十分にわかっていないところが若干ありますが、思い通りにスキーがコントロールできて、こぶの起伏と合わせてターンできるようです。

 

 ダイナミック・ポジショニング・ターンができているかどうかの一つの目安は、こぶの裏側(ゴール側)にスキーのエッジで刻み(カービング)を入れることができるかどうかです。ダイナミック・ポジショニング・ターンとは、一瞬たりとも、スキーのトップ、テールが雪面から離れないターンです。

 

 春の緩んだ雪で条件はあまりよくありませんが、スピードが出にくいので、動作を細かく確認するにはかえって好都合です。10年前、ダイナミック・ポジショニング・ターンを発見したハチ北高原スキー場で、営業終了までのあと2日間、完成に向けたトレーニングに励みます。