「悪魔」とは一体何でしょうか。
悪魔は、様々な宗教や神話に登場し、人間をたぶらかし、悪の道に引きずり込む存在として描かれていますね。
あるいは悪魔自体が人々を蹂躙し、苦しめたり痛めつけたりすることもある、とされています。
果たしてこの悪魔というものは、実在するのでしょうか。
幽霊や妖怪は実在していますが、これらは上記の意味における悪魔とは異なっています。
確かに、時に人を怖がらせたり悪影響を及ぼしたりすることもありますが、それは悪意からというよりも、伝えたいことや分かってもらいたいことがあるからなのです。
本当に純粋な悪意からそれを行っている、という存在には出会ったことがありませんし、もし存在していたとしても、それは極めて希少な存在なのだと思います。
それにも関わらず、宗教の中で悪魔という存在と長きに渡って争ってきた、超メジャーな宗教があります。
それはキリスト教です。
特にカトリックはその歴史が非常に長いことで知られています。
カトリックには、悪魔祓いを専門に行う悪魔祓い師「エクソシスト」が存在しています。
これは、キリスト教圏の国々において、時々悪魔憑きと呼ばれる現象が実際に起きるからであり、そうした現象に対処するための体系が必要とされてきたためです。
ホラー映画の「エクソシスト」で一躍有名になりました。
では、そのカトリックで言われている、いわゆる悪魔の正体とは、一体何なのでしょうか。
これは悲しい過去の歴史と深く関わっているのです。
キリスト教は、その布教拡大の歴史の中で、数多くの信仰を弾圧し、滅ぼしてきました。
十字軍などはその最たるものですね。
アイルランドなどのケルトの文化圏においても、凄まじい戦闘を繰り広げ、多くの血が流されました。
キリスト教を批判するつもりはありませんが、これは史実です。
その過程で、多くの異教徒を虐殺し、信仰を蹂躙し、神殿や像を破壊しました。
有名な話ですが、中東地域一体において古代から信仰された「バアル神」という神様がいました。
古代ギリシャでも信仰された、恵をもたらす神です。
バアルを信じる人たちは、バアルゼブル（崇高なるバアルという意味）というマントラを唱えてバアル神に祈りを捧げていたそうです。
しかし、異教の神は一神教のキリスト教にとっては悪魔でした。
そのため、マントラをバアルゼブブ（ハエのバアルという意味）という音に変えて罵ったのです。
「ベルゼブブ」という悪魔の王とされる、巨大なハエのような姿をした怪物がいますが、これはバアル信仰を蔑む意味で用いられた「バアルゼブブ」がもとになっているのです。
そうして、奴らは悪魔崇拝をしているとんでもないやつらだ、と言って自分たちの行為を正当化したのです。
やられるほうからすればたまったものではありませんよね。
自分たちの信仰を、ある日突然やってきた別の宗教の信徒たちに
「悪魔崇拝者め！死ねー！」
と言われ破壊されてしまうのですから。
そんな理不尽な理由で命を落とし、信仰を破壊しつくされた人々の想いは長く残りますよね。
その想いは、悲しい歴史があったこと、二度とそれを繰り返してはならないこととを伝えるため、時を超えて実体化することがあるのです。
それが、カトリックにおける、いわゆる悪魔憑きの正体です。
そうなのです。
それは悪魔などではなく、一方的な理由で虐殺された人々の悲痛な叫びなのです。
映画のエクソシストは憑依の表現に誇張がありますが、悪魔憑きと正式に認定されるケースでは、非常に激しい憑依現象が起きます。
スパイダーマンのごとく素手で数メートルもある教会の柱を駆け上ったり、失われた古代の言語を話したり、神父や悪魔祓い師の過去の罪業などについて、本人にしか知りえないようなことでも大衆の前で次々に暴露したりするのです。
確かに、こうした現象だけを見れば怖ろしい悪魔と思ってしまうのも分からないではありませんが、その正体は悪魔ではないのです。
何故カトリックがこれほどまでに悪魔祓いの技術を研ぎ澄ましてきたのかというと、あまりにも多くの虐殺を行ったため、今よりも少し前の時代においては、悪魔憑きがかなりの頻度で発生したからなのです。
悪魔祓いの技術を研究し、研ぎ澄まさなければやってこれなかった、というのが正直なところなのです。
善と悪とで物事を規定しようとするとき、私たちは自分が善だと思い込み、正義を振りかざしてしまいやすい、という傾向があります。
善悪を考えることに意味がない、と言いたいわけではありません。
状況ごとに変化するから、絶対的なそれらは存在しえない、などと思考放棄を促したいのでもありません。
「善と悪は、常に、何故それがそうであるのか、という理由こそが最も大切である」
ということなのです。
そこにフォーカスしていないと、善や正義という言葉にたばかられてしまい、私たち自身がまるで悪魔のようになってしまうこともあるのです。
もっともらしい理由をつけて、大人数で人を攻撃するときなどはまさにそれですね。
善や正義と言えば聞こえはいいかもしれませんが、やっていることは中世の魔女裁判と何ら変わりません。
つまり、悪魔というものがあるとすれば、それは外にいるのではなく、私たちの内側にこそ潜んでいるのではないでしょうか。
そしてそれは、誰かに植え付けられたものなどではなく、明確に自分自身であるといえます。
悪魔とは、誰もが内に持っている、人を責めずにはいられない思い・攻撃心なのです。
戦うべきは、この内面の悪魔という自分自身の別側面であり、調伏すべきは外に見出した敵ではなく内なる自分です。
私たちに許されている、「戦い」がただ一つだけ、存在します。
それは、自分の悪魔的側面（人を責める思い、攻撃心）を癒し、整えていくという戦いです。
これこそ「聖戦」であり、全てを癒しうるものなのです。
宗教や信条をぶつけあう戦いではありません。
外に敵を見つけて戦っているうちは、同じことを繰り返すだけです。
以前に
「現在起きていること。 ～大雪とゲルの宇宙船～」
https://ameblo.jp/spiritual-b-boy/entry-12346852866.html
で書いたように、攻撃している敵は、実は自分自身でもあるからです。
私たちの内面には、怖い顔をした怪物が巣食っています。
この怪物を心理分析家のユングは「アニマ（男性の内面の女性性）」「アニムス（女性の内面の男性性）」と呼びました。
これはチベットの曼荼羅に描かれる怪物そのものです。
この曼荼羅には、真ん中に曼荼羅として描かれる世界に噛りついている怪物がいますよね。
これは世界を飲み込もうとしているのではなく、私たちの心が暴走し、世界がバラバラになってしまうことがないよう、リミッターをかけているのです。
自分の心の内側に向けて怖い顔をすることで、心を緊張させ、バラバラにならないよう監視しているのです。
もう少し正確に言えば、私たちは、自分自身の心が解放されることを、深く深く怖れてしまっているのです。
解放されることとバラバラになってしまうことは違いますよね。
しかし、私たちの心は心に深いトラウマを負っているため、解放＝破壊だと思い込んでしまっているのです。
それは、かつて古代文明において、心の力を開放したことにより、大破壊を招いてしまったからです。
それは、レムリアやアトランティスと呼ばれる文明です。
これらは神話ではなく、実際に地球上に存在していました。
今とは比べ物にならないほどに、心の力が解放された文明だったのです。
しかし、精神性や優しさが未熟であったため、解放でとどまらず、コントロールを失い、バラバラになってしまったのです。
ほとんど全てが分子レベルで分解されてしまうような、凄まじい大爆発が起こり、超巨大津波が押し寄せ、全てが無かったことになってしまうほどに、完膚なきまでに破壊されました。
あまりの衝撃で時空の転移までが発生し、文明の痕跡の一部は更に大昔や未来に飛ばされてしまいました。
現在地球において発見されるオーパーツの一部は、この時の時空転移で飛ばされた古代文明の名残なのです。
何故、そうではないかと噂される物がいくつかあるのに、これらの文明の存在を示す決定的な証拠が見つからないのかというと、上記の理由で、あらゆるものが塵よりも細かいレベルに分解され、巨大な津波で押し流されてしまったからなのです。
この出来事は、当時その文明を生きていた人々の魂に強烈なトラウマとなって刻まれました。
つまり、こんなに恐ろしいことになるのなら、心なんて解放しなくていい、と強く思ってしまったのです。
ハッキリ言って、これは間違った自己処罰なのですが、以来地球で転生をする私たちは自らの心の力に制限をかけ、容易には解放されないよう、自らを厳しすぎる監視体制のもとに置くようになったのです。
それが、先述の「アニマ・アニムス」であり、「曼荼羅をかじる怪物」であり、「悪魔と呼ばれてきた存在」の正体なのです。
究極の自己処罰執行官と言ってもよいでしょう。
古代文明が崩壊したのには、明確な理由があります。
それは、、、
に続きます。
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