蘭のブログ -45ページ目

ディパーテッド

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2007年 アメリカ  監督:マーティン・スコセッシ

マフィアのボス、コステロ(ジャック・ニコルソン)により育てられたコリン(マット・デイモ
ン)は、スパイとなるべく警察学校に送り込まれる。同じ時、警察学校を優秀な成績で卒業した
ビリー(レオナルド・ディカプリオ)は犯罪組織との繋がりを持つ生い立ちゆえに、それを払拭
すべく潜入捜査官としてコステロの元に送り込まれる。ビリーはコステロ捜査の特別班に配属さ
れることになり、内部の情報をコステロに流していく。コステロ側も警察側も内部に<ねずみ>
がいることをかぎつけ、二人は緊張の二重生活を送る事になる。

インファナル・アフェアの焼き直し(?)ですが、インファナル・アフェアが主に自分を信頼してい
る仲間をうらぎる事への精神的な苦悩を描き出しているのに対して、こちらは目に見える部分…潜入
警官二人を絡めた警察とマフィアの抗争に力を入れた作品でした。
冒頭からの激しい血飛沫の描写にギョッとしましたが、最後まで気持ち悪くなるほどに残酷なシーン
の連続で食傷気味…。同じく暴力を扱ったアカデミー賞受賞作の「ゴッド・ファーザー」が残酷なシ
ーンを描きながらも映像としては映画の中でまったく違和感が無かったのとは大きく違っているよう
に思いました。この映画のアカデミー賞受賞はやっぱり納得がいかないです。

比較するのもなんですが、潜入捜査が決まってから死ぬまで一時も気が休まることが無かったビリー
ですが、その切羽詰まった辛さはトニー・レオンのほうが切実に感じられました。
尻軽(失礼!)な女医さんにはガッカリ。ケリー・チャンがなんと上品に見えたことか…。
最後に元上司がコリンを待ち伏せし射殺してしまうという結末には、止めを刺された感じでした。

そのような中、ジャック・ニコルソンの存在感は流石でした。サディスティックなマフィアのボス役
を好演した彼のおかげでこの映画全体が引き締まった感じがします。

インファナル3部作を上手くつなげており、娯楽色の強かった原作と比べて作品としてまとまってい
るといわれる本作ですが、私的には折角マット・デイモンとレオナルド・ディカプリオが出ているの
に、残念…という感じでした。






ぼくを葬る

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2005年 フランス  監督:フランソワ・オゾン


パリで活躍する売れっ子ファッションカメラマン、31歳のロマン(メルヴィル・ブボー)は
ある日撮影中に倒れてしまう。検査の結果末期がんと診断され、化学療法の治療を受けなけ
れば余命は3ヶ月と宣告される。彼は治療を拒否し、彼なりの最後を迎える準備を進めていく。

メルヴィル・ブボーはかなりなハンサムです!だから余計悲しい…。

残された時間は約3ヶ月。その間に愛する者に別れを告げる準備をするというよりも、どうしたら
よいのかわからないままに自分なりのけじめをつけるため動き回っているうちに、やるべきことが
できてくる…という感じでした。

仕事も一番波に乗り、これからやりたいことも行きたいところもたくさんあったであろうロマンで
すが、残された時間の短さに目に映る世界がすっかり変わってしまいます。

一番愛しているはずの家族には自分の状況を隠し通すことに決めたロマンですが、自分を理解して
くれている祖母(ジャンヌ・モロー)にだけは本当のことを告げます。この祖母とのシーンは切なく
て涙が出ます。
なぜ自分には打ち明けるのかと聞く祖母に「僕とおばあちゃんは似ているから」というロマン。
<もうすぐ死ぬ>というところが似ているというのです。祖母はロマンに「今すぐあなたと死にた
いわ」といいロマンを抱きしめます。

同棲しているゲイの恋人サシャにはひどいことを言って追い出し、心の中で謝ります。
この時デジカメで寝ているサシャの写真を何枚も撮ります。思い出を写真の中に収めていこうとす
るかのように。

ロマンはこの時から目に映る色々な物をデジカメで撮っていきます。
彼はプロのカメラマンであるのに、最後の景色を撮るのが小さなデジカメだというところに、今ま
で積み上げてきた功績もプライドも清算し本当に大切な日常の些細な出来事だけを大切にしていこ
うとする気持ちがあらわれていると思いました。

姉とは何らかの確執があるようで子供のころあんなに仲が良かったはずの姉弟なのに、会えばきつ
い言葉を投げかけてしまいます。それがなぜできたのかは語られていません。しかし最後には電話
をかけ和解し、公園で遊ぶ姉と子供を本当に穏やかな表情でカメラに収めます。

ロマンは祖母に会いに行く途中で知り合った女性に、夫との間に子供が出来ないので代理父になって
欲しいと頼まれます。始めは躊躇していた彼ですが、その申し出を受け、生まれてくる子供に自分の
財産の相続権を与えます。
ゲイであるがゆえに子孫を残せないはずの彼は、思わぬ形で子供を残すことができたのです。

この頃にはやせ細ってフラフラしているロマンですが、もうすべてやり終えた満足感からか表情は
とても穏やかです。
楽しそうに海水浴をする人々に混じって温かい砂浜に寝そべりながら最後の時を迎えます。
彼の人生の終わりとともに太陽も水平線の向こうに沈んでいき、ロマンのシルエットだけが浮かび
上がるラストは、悲しいながらもやり遂げたという満足感も与えてくれました。

ロマンがずっと撮り続けていた写真を最後に見せて欲しかった…。





モスキート・コースト

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1986年 アメリカ  監督:ピーター・ウィアー



リヴァー・フェニックスが息子チャーリー役で出ているので、リヴァー見たさに借りてきました。
1970年生まれのリヴァーはこの時16歳。子供っぽさを残しながらも少年から青年へ変わりつつある
時期のリヴァーはやはりとても綺麗でチャーミングでした。
ずっとずっと見続けていたいくらいです…。あぁ~。

この画像は本の表紙なのですが、すっごく綺麗なので。


アリー・フォックス(ハリソン・フォード)は、発明家だが安定を好まず文明を否定し常に理想
を追い求めている。家族はそんな彼に散々引っ張り回されてきたが、今回は南米ホンジュラスの
密林<モスキートコースト>に理想の地を作ろうとする父親に従い、この未開の地にやってくる。
そこで原住民を巻き込みながら理想に近い村を完成させるが、さらなる理想を求め密林に棲む少数
民族に氷を届けるため出発する。


自分のやりたいように家族をひっぱりまわすという誰が見ても嫌な父親役を、いつもは爽やかな
ヒーローばかりを演じているハリソン・フォードが好演しています。彼が父親役だったことで、
このムカムカするような主人公も拒絶反応をおこすことなく受け入れられたのだと思います。

最後には妻も「もう、だめ!」と泣き叫びますが、それまで本当によくついて行ったものです。
というか逃げたくても逃げられなかったのですが。
父親に憎しみまで抱き、彼を殺して逃げようと弟のジェリーが言いますが、結局、父親が牧師に銃
で撃たれ重傷を負ったことで逆に家族の絆が強まります。
チャーリーの「父が生きている時は世界がとても小さく狭かった。父が死んだあと世界は果てしな
く広く、自分は胸を張って父親を尊敬していると言える。」という台詞が父親から解放された家族
の気持ちをよく表していると思いました。

この家族は長男チャーリーを筆頭に弟と双子の妹という4人兄弟です。
それも含め、この両親の生き方はリヴァー・フェニックスの生い立ちともかぶる部分があります。


美しさではこの頃が一番ですが、もっともっと彼の映画が見たかった…。
どうしても同い年のマット・デイモンと重なってしまい、彼のやる役をリヴァーがやったら…と
思ってしまいます。彼の死はどう考えても未だに残念でなりません。