6月に入り、私の周りでもコロナワクチン接種の1回目を済まされた方が増えてきました。
他の市ではすでに接種券を受け取った方が多いのですが、わが市では5歳間隔で接種券の配布が行われていて、私は高齢者なのに接種券が配布が6月半ばで接種が7月に入ってからになります![]()
東京の大規模接種は市に連絡すれば受けられるそうですが、2回東京まで行くのはちょっとしんどいですね。
2回接種が終わるまで自重して暮らしたいと思っています![]()
今年千葉県知事になった熊谷氏が「しょせん五輪はスポーツイベント。基本無観客で」と主張。
初めて千葉県知事が熊谷氏で良かったと思いました![]()
今も五輪中止を願っている私の5月に読んだ本のアップです![]()
25)樹原アンミツ著『東京藝大仏さま研究室』
実在する東京藝術大学大学院美術研究科文化財保存学専攻保存修理彫刻研究室。通称「仏さま研究室」。主に仏像の構造や修理法を学ぶ研究室。そこで学ぶ修士課程2年生、まひる(川名まひる)、アイリ(弓削愛凜)、シゲ(波多野繁)、ソウスケ(斎藤壮介)の4名が挑む修了課題作品制作の物語。
自分が決めた仏像を1年かけて模刻するというのが課題。
1章から4章まで、まひる・シゲ・アイリ・ソウスケをそれぞれ主人公に、模刻する仏像の決めた方、藝大を目指した理由、家族や恋人との葛藤、何より制作過程の苦悩が描かれ引き付けられた。
彼らを取り巻く一条匠道教授をはじめとした指導者の凄さ優しさなども物語を面白くしている。
そして物語に挟まれて語られる、仏像の種類や仏像づくりの技術、材料、仏師などの話がとても興味深く面白かった。
章ごとにそれぞれが模刻する仏像のイラストが描かれていて、それも素敵だった。
長い歴史を証明する物たち。しかし放っておくと必ず消滅してしまう物たち。新しい創造が芸術なら、今あるものを後世に残すのも芸術と言えるのではないかと強く思った私でした。
面白く読めて大切なことを教えてくれた小説でした。
どうでもいいことですが、この物語に出てきた学食が、ちょっと前に見た「サラメシ」で閉店したと放送されていて残念に思いました。
26)高木敦史著『僕と彼女の嘘つきなアルバム』
可瀬理久は渡引クロエという写真家に魅了され、彼女の出身大学に入学し彼女が所属していたサークルに入会する。そこでクロエの娘真白と知り合う。真白には自分の持っているインスタントカメラで撮った写真と対話できるという不思議な能力を持ち合わせていた。
真白はクロエが決して教えてくれない父親を捜していた。
理久はサークルの友達、小谷礼一郎と入野亜子、また真白のルームメイト有我史歩と一緒に父親探しに協力することになる。
色々な写真に関する謎を解きながら物語が進んでいくのがとても面白かった。
真白や理久、小谷、入野、史歩のキャラクターも今時ぽくありながら、ちょっと控え目なところもあり好きなタイプだった。
父を探し当てた時の真白の態度も良かった。
クロエの独善的な性格も最後に理解できて読み終え、何かホッとした。
27)横山アサヒ著『都電の神さまはカピバラでした』
親の転勤で各地を転々としていた敷島大和は、大好きな都電のあるところに住みたいと一生懸命勉強し、東京の大学に入学し、現在都電荒川線三ノ輪橋駅近辺に住んでいる。
ある日の夜、小型犬のような影を見つけ保護しようとし、「都電の神さま」と出会う。それは何とカピバラだった。カピバラの他に停留所毎に30も神様がいてカピバラが彼らを統括する立場にいた。
大和は尊敬と親しみを込めカピ様と呼び、他の神さまのお悩みを解決すべく奔走することになる。
大和の不思議な体験と、可愛らしい動物の姿をした神さまたちとの交流、大和の幼友達武智竜仁とその姉紗雪がいいスパイスになりながら物語が紡がれていく。
都電荒川線を愛する沿線の人々の思いがとても心に響いた。
東京でこんな路面電車的な電車が走っていて、人々に愛されて奇跡のように感じた。
本当にカピ様はいるんじゃないと感じられるとても心がふんわり温かくなる物語だった。
28)29)原田マハ著『風神雷神 Juppiter(ユピテル),Aeolus(アイオロス)』上・下
いやぁ
むちゃくちゃ面白かった![]()
小説・物語といったフィクションの良さがいかんなく発揮され、読者を夢中にさせてくれる作品だった。
俵屋宗達が好きすぎて京博の研究員になった望月彩。
彩は「いまひとたびの琳派 宗達と江戸の絵師たち」展を企画し開催。その企画展で講演を行う。その講演を聞いたマカオ博物館学芸員から、自館に見せたいものがあると言われマカオに行くことになった。
そこで彩が見たのは、「ユピテル、アイオロス」の板絵と天正遣欧使節団の原マルティノの書いた紙の束。そこに俵屋宗達と書かれた文字が・・・。
そして天正8年に時間が戻る。
天正遣欧使節団としてローマ法王に謁見する使節として4人の少年(伊東マンショ・千々石ミゲル・中浦ジュリアン・原マルティノ)が選ばれ、そこに狩野永徳筆「洛中洛外図屏風」の持参を織田信長から頼まれた俵屋宗達が加わり、5人の少年はローマに向かって出航!
風任せの帆船の旅、聖書を学び、語学を学び、宗達は屏風を守り、暑さに負けず風任せの体力勝負の過酷な船旅に挑む少年たちの姿が綴られる。
ついにヨーロッパ大陸ポルトガルのリスボンの到着。そこから陸路でイタリアへ。
イタリアでの様子からマハさんの筆がイキイキとしてくるのが感じられすごく読むのが楽しかった。
イタリア絵画大好きですよねマハさん!
ダ・ヴィンチにミケランジェロ、圧倒されたのは少年たちだけではなく私もでした。
そしてダ・ヴィンチ画『最後の晩餐』の前で出会う少年カラヴァッジョ!
生没年不詳の俵屋宗達と天正遣欧使節の4人の少年を絡ませ、最後には少年カラヴァッジョまで登場させて物語を紡いだマハさんに最大級の賛辞を贈りたいと思います。
意気揚々と日本に帰ってきた天正遣欧使節の4少年のその後がとても悲惨だったことが悲しかったです。歴史は残酷ですね![]()

