3月の読書 | shiratsuyuのひとことがたり

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宝塚観劇や読書の備忘録としてひとこと感想を

今朝、購読新聞で、宝塚月組トップスター・トップ娘就任記事を読みました。

トップスターれいこさん(月城かなと)・トップ娘役海ちゃん(海乃美月)就任クラッカーおめでとうございます!!

うれしい拍手

これぞ!美しいザ宝塚のトップコンビチョキれいこさん・海ちゃん本当に本当におめでとうございますイエローハーツイエローハーツイエローハーツ

これからの月組公演楽しみしかないですキラキラキラキラキラキラ

 

今、メールでバウ公演『ほんものの魔法使』友会チケット落選確認えーん

 

いいことと残念なことって絶対ニコイチですねガーン

 

気を取り直して、3月に読んだ本のアップです本

 

12)長尾和弘著『小説「安楽死特区」』

2024年、国家は「安楽死法案」を通すため、国と東京都が<安楽死特区構想>を練っている。

おひとり様の女流作家で認知症で悩む澤井真子(さわいまさこ)。前東京都知事で現副知事、末期がんの池端貴子。薬剤師で多発性硬化症を発症し身体が思うように動かせなくなった酒匂章太郎。の3人がまず入所し、補助人工心臓を開発した心臓外科医 尾形紘が主治医で赴任する。

特区に入所した彼らの物語を笑いながら読めたことが良かったと思える小説だった。

医療費の高騰でしかもこのコロナ禍、このままでは健康保険事業が破綻するのが目に見えるような昨今の医療状況。

十分将来はこうなりうるのだろうと想像できるお話。

安楽死・・・いいことか?よくないことか?いくら議論しても答えは出ないですね。命が一番大切と分かっていてもこんな状態で生きていてもと思ってしまう自分がいます。

安楽死が本当に痛くも痒くもなく眠るように死ねるものなのか?誰も分からないことが一番気になる私です。

 

13)篠綾子著『からころも;万葉集歌解き譚』

江戸日本橋にある、油問屋に薬種問屋を兼ねる大店の伊勢屋で働く手代 大五郎は、富山にある仕入れ先の薬種問屋 丹波屋を取引内容の確認・見直しを行うため訪ねた。

その大五郎が戻ってこない。行く前、助松は父大五郎から誰にも見せてはいけないと言われた帳面を預かっていた。

十歳の助松は伊勢屋の小僧として働くことになる。

父から預かった帳面には万葉集の歌が書かれていて、その解釈を伊勢屋のお嬢さん しづ子から教えてもらう。

そのしづ子も行方をくらましてしまった!

伊勢屋の客 葛木多陽人(かつらぎたびと)に助けられながら、万葉集の謎解きと大五郎、しづ子の行方を捜す助松の物語。

面白かったし残酷なことが出てこない私の好きな物語だった。

万葉集のこと大伴旅人と家持親子のこと、また反魂丹という毒薬にもなる薬のことなど興味を持って読むことができた。

葛木多陽人が歌を聞いて即作り出す狂歌が面白く、そのキャラと相まってとても魅力的だった。

 

14)ポール・ギャリコ著;矢川澄子訳『ほんものの魔法使』

掲載済

 

15)遠田潤子著『銀花の蔵』

父親の実家の醤油蔵を継いだ山尾銀花の物語。

1968年(昭和43年)夏~2018年(平成30年)春までの出来事を綴る。

銀花10歳~60歳の半生記。

父 尚孝が跡を継ぐため奈良の橿原市の実家に妻 美乃里と銀花を伴って帰る。父の実家は150年続く醤油蔵だった。

父は画家を目指し醤油づくりに全く興味がなく、母は何もできずすぐにめそめそ、しかも盗癖がある困った人。醤油蔵を継ぐことなんてとてもできない2人だった。

ある日、銀花は見た人は当主の資格があると代々言い伝えのある座敷童を実際に見てしまう。

祖母 多鶴子に鍛えられながら、自分の出自を知ったり、家族のそれぞれの秘密にふれながら醤油蔵を守り育てていく銀花。

波乱万丈な人生だけれど、強くたくましくというより、よろけそうになりながら受け入れ、真っ当な人生を送る姿が何とも好ましく感じられる小説だった。

大阪の万国博覧会、石油ショックからのトイレットペーパー買い占め騒動、「モナ・リザ」来日、「シクラメンのかほり」のレコード大賞、内藤やす子「弟よ」、コマーシャル「私、作る人。僕、食べる人」、そして阪神淡路大震災ともうリアルタイムで知っている事柄が登場し、同じ時代(私の方が年上だけれど)を生きた近しさを銀花に感じてしまった。

伯母から預かり育てた子がまた蔵を継いでいってくれるという終わりかたもとても好もしくていい物語だったと感じた。

 

16)小川洋子著『貴婦人Aの蘇生』

宙組公演『アナスタシア』を観て、アナスタシア登場の小説を読んでみたくなり相互貸借しました。

「私」の母の年の離れた兄、伯父さんは51歳の時ユーリ伯母さん69歳と結婚。伯父さんは動物のはく製を収集するのが趣味でそれが置ける大きな洋館に住んでいた。その伯父さんがはく製に頭を突っ込んで亡くなった。大学生になった「私」は残されたユーリ伯母さんのため同居することになった。

伯母さんは、日がな一日身の回りの物からはく製までアナスタシア(?)のAを刺繍していた。

ある日フリーライター・オハラと名乗る男が現れ、伯母さんがアナスタシアであることを証明したいと言い出した。深く青色の目をしたユーリ伯母さんはアナスタシアはてなマーク目

女子大生の「私」と、「私」のボーイフレンド強迫性障害を患うニコと、そしてユーリ伯母さんの関係がとても良くて伯母さんがアナスタシアでなくても楽しめる小説だと思った。

アナスタシアを題材にした小説だったが、こういう切り口もアリだと思え、とても良い人間関係が気持ちのいい気分にさせてくれて楽しく読めた。

 

17)中野京子著『名画で読み解くロマノフ家12の物語』

次にロマノフ家全体を知りたいと読んでみました。

名だたる画家の絵画と中野京子さんの文章が分かりやすく、とても面白かった。

前史としてイワン雷帝からロマノフ家初ツァーリ(皇帝)ミハイル・ロマノフを紹介し、それからアレクセイ・ピョートル大帝・エカテリーナ一世・ピョートル二世・エリザヴェータ・ピョートル三世・エカテリーナ二世・・・からの最後の皇帝ニコライ二世、そして怪僧ラスプーチンで終わる12の物語。

いやぁロシアの皇帝はちょっと残念な方々が多かったですね。

ヨーロッパからは2流国と蔑まれ、そのためヨーロッパの有力な名門家と婚姻関係が結べない。後継者の勢力争いが絶えず、広大すぎる国土も凍土に覆われ作物が育たない。それに搾取し続けられる人民。

陰謀と策略、秘密主義に覆われたロマノフ朝300年だったように思えました。全然幸せ感が感じられませんでした。

今も申し訳ないですが、ソ連からロシアに国名が変わっても独裁国家・秘密国家、粛清と恐怖のイメージを払拭することができません。

この“名画で読み解くの”書名どおり、紹介されていた名画が素晴らしく、特にイコン画家 山下りんの作品『ハリストス(キリスト) 復活』(エルミタージュ美術館蔵)が美しかった。

 

18)彩瀬まる著『眠れない夜は体を脱いで』

「生まれ持って与えられた器に対する“なんらかのままならなさ”にとらわれてしまった人たちの物語」(解説:吉川トリコより)

解説の吉川トリコさんの文が面白かったです。

「解説から読み始める不届き者がこの世には相当数いることを知っている(俺<トリコ氏は自分のことを俺という>のことだが)・・・」その不届き者私もです。最初からってわけでは無く、2~3ページ読んでからですけれどアセアセ

イケメン和海の悩み「小鳥の爪先」。親から変わった子と言われ続け自分でもそう思い、50代で合気道を始めた真知子の心情を綴る「あざが薄れるころ」。付き合っている彼の心に潜んでいる今は亡き夢の女マリアが香葉子に憑りつき、マリアの真実を知ることになる「マリアを愛する」。地方銀行支店長の本藤勝久は、妻や娘のすることや若い行員が理解できなくなっていた上に、戦友だと思っていた融資先の男からも・・・裏切られた?「鮮やかな熱病」。真夜中にアバターで物語を作るゲームに没頭する幸鷹。ゲームで恋人関係になった相手から実際に会わないかと言われた「真夜中のストーリー」

この5編に共通するのが手の画像を送り見せ合うサイト。それぞれの感想が面白かったし、最後にサイト主が分かり、粋な計らいに思わず微笑んでしまう物語がとてもイイビックリマーク

「あざが薄れるころ」の真知子が母に言う“私を変な子のままでいさせてくれて、ありがとう。”にグッときた私です。