あさひのブログ -111ページ目
「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第十七集、4分あたりから。
嬴虔(エイ・ケン)は多忙な弟・孝公の代わりに彼の息子・嬴駟(エイ・シ)の面倒を見、厳しくしつけていた。そこへ孝公がやってきた。

* * * * *

「兄上。」
「あやつは大伯(わたし)の代わりに言い訳をしたのだろう(※)、聡い子だな。」
「シは小さい頃から兄上の元で成長してきました。以後も兄上は彼を甘やかさないで下さい。」
「安心しろ、あの子はお前より強い。座ろう。」
「兄上、私は衛鞅(エイ・オウ)ともう一回よく相談したのです。」
「三日三晩だろう、誰が知らないものか。」
「衛オウの見識は広く大きく見地があります、普通の書生とは比べ物になりません。」
「また古臭い時代遅れの案でも出したのか。」
「これは衛オウが私にくれた強秦九論です、兄上ちょっと見てください。」

※エイ・シは、伯父が厳しいしつけをするのは自分のためだと解っていると父に言った。


「さっきエイ・シのやつが、私の前で何やらぶつぶつと、燁燁雷電、不寧不令(※1)とかなんとか。この(雷のように衝撃的な)強秦九論に照らしていけば、この世の中は本当に変わるだろう。」
「この人(衛オウ)の見解は群を抜いていて、度量が広く、不世の才(この世にめったと現れない有能な人)というべきでしょう。」
「確かにその通りだ。ではなぜ先にあのような訳の分からないことを(言ったのだろう)?(※2)
「兄上、山東の諸侯は秦国を妖魔の輩だと思っていて、皆に探りを入れてみずにはおれなかったのでしょう。」
「…キョリョウよ、お前は本当にこの人の変法(改革)を用いる準備をするのか。」
「兄上、今回私がここに来たのは兄上と相談して決めたいからです。」
「私と相談…お前はまだ決めてないのか。」
「このような重要な事、私は試してみたいのですが、軽々しく決めることはできません。」
「兄弟よどんな難点があるのか、言ってみろ。」

※1 「ぎらぎらかみなりいなびかり、おそろしくともなんともできず」か?日本語字幕では「大嵐の来し時、人心は動揺する」となっている。
※2 衛オウは最初ありきたりな王道論を説いて皆を呆れさせた。



「兄上、父上は臨終の前に託されました、我等二人兄弟が心を同じくすることが、最も大切な事だと。今日前もって来たのは、私はあなたと話したい重要な話があるのです。秦国の困難については、兄上は私よりもはっきり心配しておられるでしょう。変法を施行せねば、遅かれ早かれ(秦国は)滅亡する。変法だけが一本の活路を見いだせる。けれど秦国は戦が多く、部族(氏族)は林立している。戦争をするのに統一(一致団結する)号令をかけるのは容易だが、変法するための統一号令をかけるのは大変難しい。エイ氏族は最も大きいですが、主要な家筋はあなたと私の二人がそれぞれ治めてます。秦国が変法を施行する際に、あなたと私の兄弟が引っ張り掴み合いをしていれば、(変法を)少しでも進めるのにも難行するでしょう。私が本当に考えているのは、もし兄上が揺るぎない意志で変法を支持するなら、あなたと私の兄弟は(力を合わせ)存分に(改革に)立ち向かい、秦国を強大で富める国にできるでしょう。もし兄上にまだためらいがあるなら、わたしはむしろ変法を棚上げしておいた方がいいでしょう。(→兄上が賛成されないなら私は改革を保留しましょう。)」


「キョリョウ、お前は兄を信じてなかったのか?」
「兄上、あなたを信じてなければ私はこんな話をしましょうか。私があなたを探してやって来たのは、ただ兄上の本当の思いを聞いてみたかったのです。」
「キョリョウ、お前も私も偉大なる秦人の子孫だ。何万何千の国民がぬかくずを食べ山菜を飲み込み(→貧相な食事しかとれず)着物は破れぼろをまとっているのを目にしてきた、故国がばらばらにされて国土を失っていくのを目にしてきた、誰が心を痛めぬと?国難に立ち向かうに当たって、兄弟が争うなどと、どこのどいつが言い出すのだ?」
「兄上…。」
「この兄が言う事はただ一つ、秦国を強くすることができるのなら、文句を言う奴がいれば私がまずそいつを追い出してやろう!」

* * * * *

このお兄ちゃん、ちょっと気が短いけどホント良い人なんだよねぇ。ここの兄弟姉妹はみんな賢くて強くて、ちょっと出来過ぎw


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#8の続きです。)
「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第十六集、17分あたりから。
* * * * *

「先生と秦国には(これまで)深い関わりがあった(※)、今日わたしは率直にお話ししたい。当初先生のその言動は、かつて幾度も人を刮目させ顔を見合わせさせた(驚くべきものだった)。しかし先生が自ら秦にやって来た後の三度話された二つの政治道は、我が国の実情に合っておらず、また(この乱世の)時勢にも合っておらぬ。わたしは実際のところ(その政治道を)受け入れることはできぬ。しかしどうであれ、先生は秦の地に深く入り実情を調査し、その辛苦は卓絶するものだった、(その事は)実際多くの人を感動させた。先生の博学さは計画(国の政務)において長じるところだろう。わたしは先生に太守の職を任せ、国政に参加していただきたい。先生、引き受けてはくれまいか?」
「…関中の土地は平坦で肥沃な平野が千里にわたり、世界でも並ぶところはない。だが何ゆえ秦はこの数百年、むしろ土地は荒れ放題で収穫は少なく人家はまばらで少ないのか。渭水は蕩々として(広がり)秦に(他から攻め込まれる)危険を無くし、天から賜った佳き水と言える。だが何ゆえ秦は渭水のたもとに数百年ありながら、魚や塩を船で運ぶ利点を失したまま、国庫の財貨は日に日に空になってゆくのか。秦人は大変に素朴で実直であり、さらに勇ましい風潮は朝野に深く根付いている。だが何ゆえ秦国には一丸となって攻め(困難を)必ず克服し、戦で必ず勝つ強大な新軍がないのか。」
「先生の言う事は、まさに君上(陛下)が日夜お考えの事ではないですか。」

※衛オウはかつて秦に救国の策を献じた。


「豊富な土壌を守りながら貧窮し、強悍な民を囲いながら兵は弱く、山川を据え勝てる(自然の)形勢を持ちながら(戦に)負けて喪失する。これは総合的に一つにまとまった強大な国力がないからです。総合的国力とは何か?人口が多く、農工が栄え、国庫は満ちあふれ、騎兵は強く勢いがあり、民は勇ましく(外国との)戦に臨む。この五つがそろってこそ、強国と言えるのです。そして目下秦国は、五のうちの一つもない。土地は小さく民は少なく、農工は不振、国庫は空っぽ、武具も兵も老いて古び、私闘の風潮(※)がある。」
「しかるにどうするというのだ?(古代の)王道、(儒家の説く)仁政、それとも(老子の説く)無為だというのか?」
「君上、君上はよくお解りです。その三つの政治道は当てにならない話で全て時代遅れです。」
「わたしに先生の新しい論説をお聞かせ願いたい。」
「強国の政治道、それはすなわち法家の精密で道義的な教えです。前述の三道とは天と地ほど違います。法家の(説く)強国は、国家の実力を増大させ、朝野の士気を激し高めることを第一とします。」

※揉め事が起こった時に警察のような公的機関に任せず決闘など暴力で解決しようとする風潮。秦国が山東諸国から野蛮だと思われている要因の一つである。


「わたしは強国の道についてお聞きしたい。」
「強国の方式(強国になる方法、方針)はみな同じではありません。魏・斉・楚の三強国の方式は、君上はどう思われますか?」
「強国の方式はみな同じではない…考えたこともなかった。先生教えて頂きたい。」
「魏国の方式は、武力と財力を元にした強さ。斉国の方式は、聡明な君主と官吏がよく治めることによる強さ。楚国の方式は、山河が広く長く広がっている(地の利を生かした)強さ。そしてこの三強国は、皆根本的な強さではなく、見習うには充分ではありません。」
「魏・斉・楚の三国の強さも、まだ見習うには足りぬというのか。」
「三国が見習うに充分でない原因は、ただ一時の強さであって長く続く強さではないからです。聡明な君主の時は強いが、並みの君主になると弱くなり、暗愚な君主になれば滅びる。根本の原因は、三国の変法(改革)は中途半端だということです。法律は半分新しく半分は古いまま、"法治"とは名ばかりで実際は"人治"です。このような国は起伏振蕩が定まらず、長期にわたり国力を集めそして強大であり続けることはとてもできない。秦国が興すべきは、根本的に強くなる道を進むことです。」
「…先生はついに本来の才覚を現したな。さあ、乾杯しよう!」


「この国には公(あなた)のような聡明な君主がおられる、秦国は必ず立ち上がり進めるでしょう。」
「(はじめに)立ち上がり一歩進むことが最も難しい。わたしは管仲が復活してくれればと切に思うのだよ。」
「この広い中つ国にはその時代その時代に才能ある者がおります、強国がどうして時代を借りて(選んで)生まれるでしょうか。(※)
「管仲の強国斉(の勢い)は半代続いたが、先生の強国秦は一生(ずっと)続くというのか、大した気迫だ。」
「たしかに一理あるな。」
「君上、これはわたくし衛オウの強秦九論(秦を強国にする九か条)です。」
 衛オウは一巻の竹簡を献上する。孝公はそれを開き目を通す。
「…車英、西への巡行は取りやめ、櫟陽(ヤクヨウ)へ戻る。」
「舵手は船首を東へ、ヤクヨウへ戻れ!」
「ぜひ先生はわたしと共に宮殿へ戻って、胸中に積み上げている思いに杼を通してほしい(→互いの考えを話して策を練り上げたい)。」
「君上が心を吐き血を滴らせる(心血を注がれる)ならば、この衛オウは腹を裂き胆を出しましょう(胸の内すべてをさらけ出しましょう)。」

※強国は神に選ばれた人によって運命的に作られるのではなく、その時代の人物が努力して作り上げた結果に過ぎないのだ。

* * * * *

最後の二つの台詞がとても素敵。
「一杼胸中塊塁」は意訳するとあまりにあっさりしてしまう、とても詩的な表現。
「嘔心瀝血、披肝瀝胆」は古典らしい大仰な表現で好き。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第十六集、13分あたりから。
満を持して衛鞅(エイ・オウ)は朝議に招かれるが、ありきたりな王道を説いて孝公や大臣らを呆れさせる。景監は衛オウに頼まれ再度孝公と話す機会を設けてやるが、衛オウはまたもや筋違いの儒家思想や老子の無為思想を説いたので孝公は怒って帰ってしまった。さも愉快とばかりに大笑する衛オウに景監は目を剥く。その後魏人の大商人の侯嬴(コウ・エイ)に招かれ景監は衛オウと顔を合わせるが、その怒りは頂点に達していた…。
* * * * *

「一喜一憂(※)、妙なことだな。」
「(衛オウに向かって)この能無しめ!今日が最後の乾杯だ、それで二人(私と衛オウ)の関係はきれいさっぱりなくなる。」
「(衛オウに向かって)またまずい事をしたのか。」
「わたしにまずこの最後の乾杯を受けさせてくれ。」
 景監は杯を空けるとさっさと立ち去ろうとする。それを侯エイが引き留める。
「不才(わたくし)は恥ずかしながらお招きした身として、あなた様には留まっていただきたい。」
「私は愚か者とは飲めぬ。」
「今日の秦公との面会は、半分成功だ。」
 その意味深な言葉に景監は思わず足を止める。
「…侯店主は秦に来てくれた義侠の商人だ、貴方の顔を立てて、私はもう少しだけいるとしよう。」
「ありがとうございます。」

※衛オウは嬉しそうにしている一方で景監は憮然としている様子を見て。


「景兄貴はかつて商人に偽装してたが、わたしはぜひ問いたい。今ある人が世にも稀な珍品を持っているとして、どうやってその価値を知る買い手を探すべきだろうか。」
「品物を見せて、ありのままの値段を言えばいい。」
「もし売り先がその価値を知らなければ?」
「引き続き(品を)見せておれば、きっと価値を知る買い手が現れるだろう。」
「一日中稀世の珍品を街で声を上げて売り歩くのか?一般に、稀世の珍品は軽々しく人に見せてはならない。まず最初に松明の(ごとくめらめらと燃えるような)眼光をした価値を知る者を確実に選ばなければならない(※)。そして(買い手に)探りを入れる商売人(売り手)の秘訣は、先に悪い品を見せ、その後に良品を出すのだ。景兄貴、いかがかな?」
「先に悪い品を見せれば、買い手は舌打ちして走り去っていくだろう。」
「悪いものが解らなければ、どうして珍しく良いものの価値がわかるでしょうか。買い手は悪い品に怒って(去って)行ってしまうのです。」

※その珍品の真価を知っていてなおかつ欲しくてたまらないという者を探すのだ。


「(それは)何を意味するかだ。」
「悪い品に怒るということは、珍しく価値あるものを心の底から求めているに違いないでしょうな。」
「景兄貴、わたしをまだ信じる心があるか(もう少しだけ信じてくれないか)。」
「…君上(陛下)は明日西へ視察へ行かれる。船上でなら空いた時間に面会を挟み込める。敢えて頭を上げて(あきらめず)、もう一度だ。」
「さすが、胆力と見識がおありだ。」
「この次は悪い品ではなく本物を(見せろ)。」
「買い手が悪い品を知っているなら、自ずと本物に出会う。」
「最後の一回だ、自分で努力しろ!(全力を尽くせ)」
「さあ!(乾杯しよう。)」



 翌日、景監は衛オウを連れて船着き場へ向かう。
「もう次はないぞ、気を付けろ。」
「よく覚えておこう。」
 景監と衛オウは船に乗り込み孝公に拝謁する。
「君上にご挨拶申し上げます。」
「ご挨拶申し上げます。」
「船室内で茶を飲みながら話をしよう。車英、船を出して西へ向かえ。」
「船を出せ!」
 衛オウは船内で孝公と対面する。
「国の仕事がとても忙しく(船上での面会となったことを)、先生にはご了解いただきたい。(西へ)行きながら話そう。」
「君上が国の仕事に重きを置かれることは、まさに天職とするところです(当然の事です)。」

→#9へ続く。

* * * * *

衛オウが景監をつてにして孝公にしつこく拝謁したというのは史実らしいです(※その時話した内容は史実とは異なります)。三回目でやっと興味を持ってもらって四回目で気に入られるらしくて、これは三回目のシーン。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第十四集、25分あたりから。
求賢令に応じて秦国入りした衛鞅(エイ・オウ)はかつて魏国で碁を指した景監将軍の家を訪ねるが留守だったので出直す。
景監は秦に数多くの書生が集ってきているのに衛オウの姿が見えないことが気がかりだった。さらに秦の人材不足のために不慣れな内政も兼任することになり、不安を抱えつつ自宅に戻る。そこへ門戸を叩く音がした。戸を開けるとそこに立っていたのはまさしく衛オウだった。

* * * * *

「衛オウ!?」
「櫟陽(ヤクヨウ)で再び会うことになるとは思いもしなかったな。」
「オウ兄さんは頭は見えても尻尾は見えない神龍だ(※1)、私は死ぬほど貴公の事を気にかけてたのだぞ。」
「天は人を磨く(ために様々な試練を課す)、一言では言い尽くせぬ。」
「さあさあ、早く入って入って。粗末な家で恥ずかしいばかりだが。」

「令狐よ、早くお茶をお出ししろ。」
「おまたせー。先生お茶をどうぞ。」
「ありがとうお嬢さん。」
「これは私の義理の娘の令狐です。令狐、こちらの先生は父が奇跡的に知り合った尊敬すべき友人だ、こちらへ来てご挨拶なさい。」
「もう会ってるわ(挨拶済みよ)(※2)。先生は変な人よね。」
「お前何を言うんだ。お前は酒と肴の準備をしてきなさい、先生の長旅を慰労してさしあげねば。」
「あなたは先生とお話してて。ちょっとしたら(持って)来るから。」

※1 神出鬼没の意味か?
※2 衛オウが景宅を最初に訪れた時に令狐と会っている。



「オウ兄さん、貴公が来てくれて良かった、明日私はすぐに国君(国王)様にご報告しよう。」
「その必要はない、今日私は招賢館へ行ってきた。」
「貴公は招賢館に行かなくともよい、私を探せばそれでいいのだから。(→私が口添えするから招賢館へ行く必要はない)」
「(任官を求めるなら)まず招賢館へ行くのが正道。先に内史に会うのは邪道だ。」
「オウ兄さんは正々堂々としてますな、この景監は感服しました。では(招賢館に)名を登録したのか。」
「いいや。」
「なぜに?オウ兄さんは心配しなくていい、国君様が今日行われた(採用)方法(※)の主旨は才能を備えているかはっきりしない書生たちのためだ。オウ兄さんの才能は、このわたしがすでに勉強させてもらった。私はオウ兄さんがすぐに任官できることを全力をもって保証しよう。」
「内史どのの誠意に満ちたお言葉だが、しかし、誤解している。」
「誤解?」

※任官に先立ち三か月かけて秦国中を視察しこの国が立てるべき政策を提出しろという試験を出した。


「この衛オウの心は既に決まっている。近道をせず、大道を行く。明日早朝にも入館し名を登録する。」
「大道…ということは秦国を遍歴するのか?」
「その通り。本当のことを言うと、この前までわたしも任官して仕事をすることを急いていた。しかし今日招賢館で、秦公の気概と度量、胸の内を理解し、この考え(任官を急ぐこと)はたちまち消えた。秦公は書生のせっかちで虚栄に満ちた様子にも動じることなく、能力を試すよい策(試験)を出された、(その事は)私を心服させた。私は学問には長じているが、しかし秦国の事は完全に理解してはいない。まず秦(の各地)を訪れそれから対策を練る、このような大道をわたしがもし回避しようものなら、任官し仕事を任されたとして、(その行いは全て)空論だ。」
「オウ兄さんは本当に、(秦の地方の)山野に入ることが書生にとって良い機会であると思うか。」
「景兄さんは悪い事だとでも思うのか。」
「秦公の苦心を、オウ兄さんただ一人が察してくれたか。知音を求めるのは難しく、奇跡的な出会いは難しい。(心の通じ合う親友を得ることや、そのような人物に運よく出会うことはそう簡単なことではない、奇跡である。)」
* * * * *

このドラマは基本シリアスだけど、その中で景監は笑いを誘う事が多い。実直な秦人を象徴するように生真面目な彼は奇人・衛オウに散々振り回されるのだ…。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第十二集、39分あたりから。
孝公は初冬の頃に偶然通りがかった五玄庄(庄は集落の事)で賢人に会った。春になり、孝公は景監らを連れて再度五玄庄を訪れる。

* * * * *

「確かこの家だ。」
 門戸の前に立つとちょうど賢人の孫娘の玄奇が出て来た。
「忘れんぼの剣士さんだ。(※)
「そうだ忘れん坊の剣士だよ。お嬢さん元気かね。」
「元気よ。どうぞ(入って)。」
 玄奇は長旅にでも出かけるようないでたちだ。
「お嬢さんはどこか遠方へ行くところなのか?」
「おじいちゃんは春になると各地を行脚するの、あたしは自分の用事があるのよ。さあどうぞ。おじいちゃん、お客さんが来たわよ!」

※前に訪れた時に孝公が剣を置き忘れて帰ろうとしたのを玄奇が気づいて届けた経緯がある。


「春風が頬を撫で、旧友が門に立つ(訪ねてくる)、老夫(わたくし)は喜ばしいばかりだ。」
「今日訪問したのが、なんと先生が出発される前だとは思いませんでした。」
「天意(運命)がこのようで、老夫(わたくし)はどういたしましょう。(→出発する前に再会できたのも運命でしょう。)」
「先生、ご面倒だが(私の連れの)何人かお部屋に待たせていただいて、私とこの(連れの)者に先生からいくつかご教授いただきたいと思うのです。」
「玄奇や、お客人を部屋にお招きしてお茶を用意なさい。」
「みなさん、こちらへどうぞ。」


「若様、どうぞ(お座り下さい)。」
「先生、これは秦国の中大夫を務める景監です。」
「景監がお目にかかります。どうぞよろしくご教授下さい。」
「彼が大夫って、あなたは…」
「秦国の新しい君主様です。」
「在下(わたくし)は嬴渠梁(エイ・キョリョウ)です。お嬢さん、私を国君(国王)だと思わず、ただのお兄さんだと思っていいのだよ。先生、前の雪の夜は慌ただしく(帰って行ったので)、今日は特別に(改めて)訪問致しました。先生にさらにご指南いただきたい。」
「…秦公がいらっしゃる意図は、私は解っております。老夫(わたくし)はただ少しばかり政策を立てられても、その事(政治家としての役職)に身を置くことはできません。」
「先生は私の賢人を敬う心が行き届いていないとお疑いか?(→私は礼を尽くしてあなたをお迎え致しますよ)(※)
「老夫(わたくし)はのんびりと暮らしており、諸侯の動きを聞こう(知ろう)ともしておりませんし、また国を治める学問も修めてはおりませぬ。」
「先生は秦国がとても弱くとても窮しており、大業を成すのは難しいとお考えだ。(→それを解っていても助けてはくれないのですか)」

※日本語字幕では「希望の役職をご用意します」となっている。


「秦公よ、あなたはわたくしが誰なのか知っておいでか?」
「先生は五玄庄の主の、五玄公ではないのですか。」
「秦公の真摯なお求めに、わたくしは隠しておくに忍びない。私はすなわち秦の穆公の時代の百里奚(ハクリ・ケイ)の六代後の孫、百里遙なのです。」
「先生は百里ケイの子孫だと。」
「この二百年あまり、百里氏(一族)は代々山野に隠居しております。」
「百里先生、わたくしは不孝にも来るのが遅れました(もっと早くにお会いしに来るべきでした)。」
「(※膝をつき拝礼する孝公に)お立ち下さい。」
「百里一族は大変ご苦労されてきたのですね。」
「先祖は穆公が五覇の一人となるのを補佐しました、穆公が世を去った後は、秦国には(穆公の志を)受け継ぐ秀英な君主がおりませんでした。先祖の百里ケイは力を尽くして辞職し、楚国へ帰って隠居しました。先祖はこう遺言されました、百里一族はその後秦国に戻って居を構えてもよいが、(秦に)任官したり国の仕事を任せられてはならぬと。」
「なぜそのようなことを(遺言したのか)?」
「祖先の影(名声)を受け継いで要職に就いても、大事(重要な仕事)は成せませぬ。」


「秦国の不振は、このわたし一人の手には余るのです。先生に我が秦国を救う方法をご指南頂きたいのです。」
「秦国が強大になるためには、実際のところ(一人の)世界一の巨匠を得ること(しかない)でしょう。」
「世に英才はおらぬ、どこを尋ね探せばよいのか…。」
「列国が雄を争う時代は名士を輩出し、乱世の朝野には多くの雄才奇才がおります。君主様の慧眼にかなう者がおりませんでしたか?」
「わたしはかつて何度も秦国の山川へ人をやって(探させたが)、残念なことに、大きな才能を持つ者はいなかった。」
「求賢(賢人を探す事)の方法を、どうして本国に限定する必要がありましょうか。国君様もご存じのように、我が先祖百里ケイは楚国から逃げて来た奴隷です。当時よく民を治めた有能な大臣蹇叔(ケン・シュク)は宋国の書生、大将軍丕豹(ヒ・ヒョウ)は晋国の武士、財政を担った公孫支は北の燕国人、名政治家の由余は西戎の書生。五人とも秦人ではなく、穆公は(彼らを)重用し(政治を)任せ、そしてその後秦国は覇国と称えられるようになりました。孔丘(孔子)は感慨深く評しました、穆公の度量ならば、覇者にとどまるのは小さく(役不足で)、まさに天下の王たるにふさわしいと。このように、秦を治める者は必ずしも秦人でないといけないわけではないでしょう。」


「先生がおっしゃるのは、山東の列国へ求賢せよと。」
「そうです。東方の各国で才ある人を広く探し求めるのです。」
「先生の言葉で、目から鱗が落ちました。景監、宮殿へ戻り山東に向けて広く布告するための求賢令を起草せよ。」
「かしこまりました。」
「天もまたあなたのために奔走してくださるでしょう。(※)
「先生は人選に心当たりがおありなのですか。(→推薦したい外国人がいるのですか)」
 百里遙は答えない。
「まあいいでしょう。私は実用的な(贈り)ものをご用意しました、先生は辞退されないでいただきたい。」
「有難い、秦公に感謝致します。老夫(わたくし)も辞退いたしますまい。」
「百里先生、わたしはこれで失礼します。」

※この前後数秒のシーンが日本語字幕版ではカットされてるので正しい意味はわからない。

* * * * *

玄奇ちゃんはモブかと思いきや後々キーパーソンとして浮上する。この時キョリョウが25歳くらい。玄奇は15~20歳くらいの設定か?演じてる俳優さんは親子くらい離れてそうに見えるんだけど…。


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