求賢令に応じて秦国入りした衛鞅(エイ・オウ)はかつて魏国で碁を指した景監将軍の家を訪ねるが留守だったので出直す。
景監は秦に数多くの書生が集ってきているのに衛オウの姿が見えないことが気がかりだった。さらに秦の人材不足のために不慣れな内政も兼任することになり、不安を抱えつつ自宅に戻る。そこへ門戸を叩く音がした。戸を開けるとそこに立っていたのはまさしく衛オウだった。
* * * * *

「衛オウ!?」
「櫟陽(ヤクヨウ)で再び会うことになるとは思いもしなかったな。」
「オウ兄さんは頭は見えても尻尾は見えない神龍だ(※1)、私は死ぬほど貴公の事を気にかけてたのだぞ。」
「天は人を磨く(ために様々な試練を課す)、一言では言い尽くせぬ。」
「さあさあ、早く入って入って。粗末な家で恥ずかしいばかりだが。」
「令狐よ、早くお茶をお出ししろ。」
「おまたせー。先生お茶をどうぞ。」
「ありがとうお嬢さん。」
「これは私の義理の娘の令狐です。令狐、こちらの先生は父が奇跡的に知り合った尊敬すべき友人だ、こちらへ来てご挨拶なさい。」
「もう会ってるわ(挨拶済みよ)(※2)。先生は変な人よね。」
「お前何を言うんだ。お前は酒と肴の準備をしてきなさい、先生の長旅を慰労してさしあげねば。」
「あなたは先生とお話してて。ちょっとしたら(持って)来るから。」
※1 神出鬼没の意味か?
※2 衛オウが景宅を最初に訪れた時に令狐と会っている。

「オウ兄さん、貴公が来てくれて良かった、明日私はすぐに国君(国王)様にご報告しよう。」
「その必要はない、今日私は招賢館へ行ってきた。」
「貴公は招賢館に行かなくともよい、私を探せばそれでいいのだから。(→私が口添えするから招賢館へ行く必要はない)」
「(任官を求めるなら)まず招賢館へ行くのが正道。先に内史に会うのは邪道だ。」
「オウ兄さんは正々堂々としてますな、この景監は感服しました。では(招賢館に)名を登録したのか。」
「いいや。」
「なぜに?オウ兄さんは心配しなくていい、国君様が今日行われた(採用)方法(※)の主旨は才能を備えているかはっきりしない書生たちのためだ。オウ兄さんの才能は、このわたしがすでに勉強させてもらった。私はオウ兄さんがすぐに任官できることを全力をもって保証しよう。」
「内史どのの誠意に満ちたお言葉だが、しかし、誤解している。」
「誤解?」
※任官に先立ち三か月かけて秦国中を視察しこの国が立てるべき政策を提出しろという試験を出した。

「この衛オウの心は既に決まっている。近道をせず、大道を行く。明日早朝にも入館し名を登録する。」
「大道…ということは秦国を遍歴するのか?」
「その通り。本当のことを言うと、この前までわたしも任官して仕事をすることを急いていた。しかし今日招賢館で、秦公の気概と度量、胸の内を理解し、この考え(任官を急ぐこと)はたちまち消えた。秦公は書生のせっかちで虚栄に満ちた様子にも動じることなく、能力を試すよい策(試験)を出された、(その事は)私を心服させた。私は学問には長じているが、しかし秦国の事は完全に理解してはいない。まず秦(の各地)を訪れそれから対策を練る、このような大道をわたしがもし回避しようものなら、任官し仕事を任されたとして、(その行いは全て)空論だ。」
「オウ兄さんは本当に、(秦の地方の)山野に入ることが書生にとって良い機会であると思うか。」
「景兄さんは悪い事だとでも思うのか。」
「秦公の苦心を、オウ兄さんただ一人が察してくれたか。知音を求めるのは難しく、奇跡的な出会いは難しい。(心の通じ合う親友を得ることや、そのような人物に運よく出会うことはそう簡単なことではない、奇跡である。)」
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このドラマは基本シリアスだけど、その中で景監は笑いを誘う事が多い。実直な秦人を象徴するように生真面目な彼は奇人・衛オウに散々振り回されるのだ…。
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