あさひのブログ -110ページ目
「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第三十五集41分あたりから第三十六集冒頭にかけて。
魏国の鉄騎兵3万と秦国新軍歩兵2万の戦いが始まった。秦軍の新戦術の前にかつて天下最強と恐れられた魏の鉄騎兵が次々と葬り去られていく…衛鞅(エイ・オウ)と共に高台で観戦していた卬(ゴウ)公子はその戦況に我が目を疑う。

* * * * *

「報告!丞相大元帥さま、たったひと時で三万の鉄騎兵が…。」
「報告!洛水の河谷の三万の歩兵軍は、秦軍の鉄騎兵によって谷口に封じ込まれ、失われました!」
「龍賈の老いぼれはなぜ支援に駆けつけて来なかったのだ!(※)
「将軍には、河西軍は戦局を乱しに来るなとの(あなたの)命令がございました!」
「秦国新軍の勝利だ。大丞相大元帥どの、そなたがどう感じたかは知らぬが。」
「…私を殺すのか?」
「殺すのはどうして惜しくないことか(殺すには惜しい)。ゴウ公子の命は貴い(→価値がある)。」
「私は無数の珍しい特別な宝物を持っている、(お前の好きな物を)言え。」
「珍しい特別な宝など、有難くはない。」

※通常「老」は年上への敬意を表すが、ここではおそらく「老いた」の意味だろう。


「ではこの蚩尤剣をまずお前に贈ろう。この剣がお前がまた戦に勝つことを手助けするだろう。」
 衛オウは差し出された太刀を手に取り眺める。
「このような神がかった兵器は大丞相大元帥どのの先祖伝来のものか?」
「ある薛国の商人から贈られたものだ。(※)
「では見ろ、(その商人は)彼かな?」
 景監が兜を脱いで顔を見せる。
「…お前は薛国の商人ではないのか?」
「秦国大良造府領書、後軍主将の景監。大丞相大元帥どのにお目にかかる。」
「かつてはお前をぞんざいに扱って、悪かったな、許してくれ。」
「ゴウ公子よ、そなたは魏国がどうしたら滅亡しないかという道の真ん中にいるのだ(魏国が滅亡するかどうかはお前にかかっているのだ)。」

※その昔、猗垣と名乗る薛国の商人から貢物として贈られた。猗垣の正体は魏国に密偵として潜り込んでいた景監。そして蚩尤剣は嬴(エイ)公家の宝で虔公子の愛剣であった。


「車英将軍が離石要塞を掌握し、龍賈の陣営を抑えました。」
「そうか衛オウ、お前はなんと(嘘を言って)騙して、この半日騒がせたのだな。元々お前が言った軍馬は五万ではなかった、お前はまだ別に伏兵を忍ばせていたからな。」
「ゴウ公子はやはり見識がおありだ。(※皮肉)」
「私が言いたいのは、五万の秦軍がどうして我が四十万の魏軍に勝てるかということだ(→勝てるわけがない)、お前は元々二十万の人馬があったのか。(※負け惜しみ)」
「ゴウ公子よ、目下お前には二つの事をしてもらう。一つ目、我が秦軍と龍賈軍の最後の一戦を見届ける事。二つ目、一度人質となる事。魏王が函谷関と崤山(コウザン)をお前と引き換える気があるのかを見る。お前は(龍賈軍との)戦いの後に魏王へ手紙を書くか、それとも今夜すぐに書くか。」


「龍賈の老兵軍がどうしてお前の二十万の大軍の一撃に耐えられようか。私が思うに、(戦の結果を)待っても待たなくても同じだ。私は今夜手紙を書く。」
「さすが!大丞相大元帥の名に恥じない賢明な判断だ。」
「この言葉を信じてくれ、私達は友人だろう。」
「だまれ!今後もし再び"友人"の二文字を出そうものなら許さん、即刻殺す。」
「わ、わかったわかった、そう怒るなよ。国事はきちんと、きちんとしないとな。」
「今月中だ。今月中にもし魏王から便りがなければ、たとえ私がお前を解放しようと思っても我が三軍(※)の将士が承諾せぬだろう。」
「…わかった、書こう、私は今夜すぐ全て良いように(うまくいくように)手紙を書こう。」

※先陣・中堅・後拒、または左翼・中軍・右翼。転じて、全体の軍隊。全軍。

* * * * *

この勝利がひとつの結末。
衛オウはこの戦いの功績を讃えられ広大な商於の地を与えられる。そうして商於の君(領主)の鞅、"商鞅"と呼ばれるようになった。
商オウや孝公、そして秦国のその後は…ぜひドラマをご覧ください。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第三十五集、22分あたりから。
河西奪還のため進軍する衛鞅(エイ・オウ)。魏国の国境を守る龍賈将軍は都に援軍を要請するが、軍を率いてやってきたのは丞相で魏王の弟の卬(ゴウ)公子。傲慢なゴウ公子は自分が秦軍を蹴散らすので龍賈の軍は一切動くなと命じる。ゴウ公子の気性をよく知る衛オウはある策を立て、公子に講和を提案する。公子は応じると見せかけて衛オウを捕えようと画策し、講和の場に姿を現わした。

* * * * *

「中庶子よ、この二十年会わぬうちに、野草が(立派な)菊に変わるとは思わなかったぞ。」
「朽木ですら棟梁になるのだ(※1)、この世に変わらない事があろうか。」
「衛オウ、お前というやつは。何年たっても、お前のそのへらず口を叩く癖は、どうして変わっていない。」
「これは大丞相大元帥との講和だ。(→本題に入ろう)」
「よし。衛オウ、お前の秦軍が河西から撤収するなら講和に応じてやろう。さもなくば、お前のたった五万の秦軍の将士は死にその身を葬る地も無いぞ。」
「随分と大口を叩いたな。」
「衛オウ、私はお前とは長年の友人でありそのよしみもある、でなければどうしてこんなところまで来てお前と…」
「私とお前が友人だ?(※2)
「もし私があの時お前をかばってやらなかったら、お前はどうして我が魏国から脱出できたろうか。」
「あの時恥知らずの卑しい者(のようなふるまいをしておいて)、今になって友だと言い張るとは、なんと図々しい奴だ。」

※1 能力がないくせに国の重役を任される。丞相となったゴウ公子への皮肉。
※2 衛オウにとってはゴウ公子は師匠の政敵であり、師亡き後には龐涓(ホウ・ケン)将軍とゴウ公子の権力争いに巻き込まれ軟禁されたこともある。



「今秦国の大軍が国境を制圧し、お前ははっきりとした行く道(→この状況に打つ手)がないことを認めるのだな。自惚れ強く横暴な性(さが)で、自らを欺き人を欺く奴め。お前とこの衛オウはこの人生においてただ憎々しい顔見知りに過ぎない。」
 ゴウ公子は怒って手元の竹簡を投げつける。
「そう騒がず少し落ち着かれよ。そなたのような大丞相大元帥どのがいなければ、ホウ・ケンが戦死しただろうか、龍賈が病に臥せっただろうか(※)、魏国が(斉国に)敗北を喫することとなっただろうか。ゴウ公子よ、そなたは魏国の柱石であるばかりか、秦国の功臣であるぞ。」
「大元帥さま、講和などやめて我が軍は戦いましょう!」
「衛オウ、言え。結局のところどう思っている(何を考えている)。」
「講和だ。魏国は河西を全て(秦国に)返還せよ。秦の東の函谷関に、離石要塞もつけて、東南の武関に、崤山(コウザン)の六百里に及ぶ地もだ。」
「この野郎…!」

※魏国が斉国に負けた時にゴウ公子は敗戦の全責任を戦死したホウ・ケン将軍に押し付けた。ホウ・ケンの部下だった龍賈も責任を負わされ一時投獄された。病に臥せる→投獄によって体調を崩したことを指す。


「衛オウ、私はお前と話す気にもならんな、気は確かか?お前は忘れてるのではなかろうな、私には二十万の大軍があるのだぞ。」
「ゴウ公子は本当に点兵(※兵を数える、確認する事)の名手であらせられる、十四万が一瞬にして二十万に変わった、感服いたしますな。」
「…確かに十四万であるが、それでもお前の三倍は多いのだ。」
「報告!…大元帥さま…。」
 魏の伝令がゴウ公子に何かを伝える。
「衛オウめ!お前は(陰謀を図り)私を嵌めたな!」
「こんな白昼に、秦軍には("陰"謀ではなく堂々とした)"陽"謀しかございませんな。大元帥どのがいくつかの小隊を展開しているのを、私は早々に見透かしていた。お前が洛水に忍ばせた歩兵軍で私の退路を断とうとしたのだろうが、すでに私の精鋭の鉄騎兵が(歩兵軍を)倒して回った。お前が山谷付近で待ち伏せさせていた鉄騎兵もまた私の二万の歩兵軍に抑えられている。お前は五千の鉄騎兵を連れてきているが、それもまた私の五千の鉄騎兵に囲まれている。大丞相大元帥どの、もう一度自分の兵を数え直してみるのだな、どのくらい多いのか。」
「衛オウ、本帥(わたし)を声を張り上げて脅せると思うな。」
「声を張り上げ脅す?それは公子あなたのお得意技でしょう。」


「衛オウ、私にはまだ龍賈将軍の八万の大軍がある、お前の秦軍を包囲することができる。」
「だがお前は一万の兵を龍賈の元にやって、この戦局に入って来させないように(足止め)した。この一手が最もお見事だな(※皮肉)。」
「では言え。お前はどうしたいのだ。」
「秦国の新軍は(訓練により)大変強く仕上がっている、その大軍の戦力を公平に比べたい、どうだ?」
「よし。言ってみろ。本帥(わたし)が公平かどうか判断してやる。」
「お前の河谷で足止めされている二万五千の主力の鉄騎兵を解放してやる、そこにわたしを護っている(※皮肉)五千の兵を加えて合計三万の精鋭の鉄騎兵軍だ。それと我が二万の歩兵軍で陣を組んで対戦しよう。」
「それは本当にか!?」
「戦において戯言はない。」


「大元帥さま、歩兵と騎兵を比べると、歩兵は(騎兵の)倍多く出してちょうど公平と言えます。秦国の二万の歩兵軍と我が三万の鉄騎兵では、我が軍が戦力がないとの辱めを受け大いなる魏軍の尊厳を失います、(この)力比べをしてはなりません。」
「だまれ!衛オウ、もし我が軍が勝ったら?」
「秦軍は河西から撤収し、二度と失地を取り戻すとは言わぬ。」
「(書記に向かって)書き留めよ。」
「もし秦軍が勝ったら?」
「お前の言う通り魏国は秦国に土地を返還しよう。」
「よし。大丞相大元帥どのには山(高み)に上っていただき、両軍の決戦を観戦いたそう!」

* * * * *

ここぞとばかりに吐き出される衛オウの毒舌は序盤を見てた視聴者には爽快!
でも史実ではむしろ衛オウがゴウ公子に友人じゃないか仲良くしようなどと言って講和に誘ったらしい。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第三十三集、28分あたりから。
秦国が衛鞅(エイ・オウ)の変法(改革)を取り入れて約20年が経った。魏国は韓国に攻め込むがその隙に斉国が魏国の都を襲撃する。斉の軍師孫臏(ソン・ビン)の奇策によって魏の大将軍龐涓(ホウ・ケン)は命を落とした。主将を失い大戦の直後、魏の軍力と士気が低下している今が絶好の機会だ、衛オウは孝公にいよいよ20年前の国仇を討つ時だと進言する。

* * * * *

「大良造よ、河西を取り戻す(戦い)には、お前は何割くらいの勝算があると思う?」
「八割です。」
「秦と魏の血の戦いは数十年に及ぶ。今再戦するのは、私はまだ確実には勝てないのではないかと思うのだが。」
「わたくしの直言をお許しください。君上(陛下)は少年の頃から将士となり、魏軍と血の戦・死に物狂いの殺し合いをされました。そして魏国は財に富み、戦力は強靭である…(そんな)烙印(印象)が大変深く刻み込まれているため、慎重になり過ぎてしまいやすいのです。そしてわたくしオウは君上の念頭にあるような(魏国に対する)印象はなく、また秦人が魏国に対して抱く血の海より深い仇(の気持ち)も少ない。(先入観にとらわれずに)天下の大勢から判定を下すことが容易であり、事実から論じることもたやすいのでしょう。いずれにせよ、好機はちょっとたてばすぐに過ぎて行ってしまいます。もし(報復が)遅れれば、(天下の)大勢が再び変化する可能性があります。」


「私はただ兵力を心配しておるのだ。河西(国境)の守軍は八万、再度(徴兵して)集めたなら十数万の大軍だ、魏国と(戦うの)はどうも難しくはないか?単に軍力だけで言えば、秦国が必ず勝つという確信はないように思うが。」
「しかし戦場での(戦の)行い方は、軍力が全てではないのです。」
「秦国は富国強兵を成したが、しかし国力で魏国を超えているとは言えまい。」
「君上がおっしゃっているのは、ただ国の財力についてのみであって、全ての国力ではありません。」
「全ての国力とは?」
「民の心・民の意気、兵の士気・戦力、君主と臣下が(心を一つに)集合し、廟堂(※)に想いを巡らせる、この全てが国力です。」
「大良造の考えでは、秦国の全体の国力はすでに魏国よりも強くなっていると。」
「その通りです。」

※廟は墓の事だが、時代劇では故国の政治の中心地(=君主の宮殿)という意味合いのようだ。


「財力に富んでいることは、従来より国力の魂(核心部分)ではありません。」
「では国力の魂はどこにあるのだ?」
「その土台は庶民にあり、その魂魄は廟堂にあります。君上に敢えてお聞きしますがまだ何か憂慮することが?」
「統帥(総帥)は?誰を統帥にするのか。車英では不足(手におえない)であろう、虔公子もまた再び出てくる事は不可能だ(※)
「君上はそのことを懸念されてるのですか。」
「そうだ。やはり私が兵を率い、大良造に国を守ってもらうか。」
「いいえ、わたくしが兵を率い、河西を取り戻します。」
「大良造は兵法がわかるのか?」
「君上は陳倉へ軍の視察へ行った時に、私が話した事をお忘れのようですね。」

※かつて領上将軍だった虔はとある事件によって何年も前に表舞台から姿を消した。


「そういえばこんな事を言ってたな、師匠がお前は兵法を治めるべきだと言った…」
「先生は私に兵法について天賦の才があると認められ、私にまず兵法を治めるよう定められたのです。」
「ではお前は本当に先に兵法を修めたのか。」
「まず兵法を五年修め、その後自ら希望して法家の学問を修めることに転じたのです。」
「運命か、天は本当に我が秦国を救ってくださるのか。」
「わたくしは実際に兵を率い陣を組んで戦ったことはないとはいえ、河西を取り戻すのには決して(実戦の有無は)差はありません。」
「大良造はこれまで空論を口にしたことはない、多くを言うべきではないな。この嬴渠梁(エイ・キョリョウ)は今日将軍(衛オウ)に拝礼しよう。」
「君上は臣(わたくし)をよく理解しておいでです、また何を申しましょうか(→お任せ下さい)。」
「行こう。ああ櫟陽(ヤクヨウ)よ…。大良造、お前が河西から帰って来るのを待つ間に、私は咸陽(カンヨウ)で大良造のために凱旋の宴の準備をしていよう。」

* * * * *

キョリョウも衛オウも歳とったよな…と思わずにはおれない。設定年齢40歳くらいのはずだけど白髪多すぎない?昔の人はこんなもの?(^_^;)


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第二十九集、20分あたりから。
妹の熒玉(ケイギョク)公主が衛鞅(エイ・オウ)に惚れている事を知った孝公は二人に結婚を勧める。既に婚約者がいた衛オウは泣く泣く彼女と別れ公主と結婚するが、ふてくされて結婚初夜も家に戻らなかった。しかし公主は怒ることなく、仕事に没頭する夫を頼もしそうに見守るのだった。その真摯な姿に衛オウも心を動かされる。
数日後、衛オウは孝公に拝謁する。
* * * * *

「臣(わたくし)、君上(陛下)にご挨拶致します。…車英の新軍法に問題がおありで?」
「力不足だな、お前がもう一度見てやってくれ。」
「わかりました。わたくしはちょうど西へ(視察に)行くので、陳倉に行った時に、車英とまた協議いたしましょう。」
「西へ行くのか?お前は蜜月も過ぎていないのに。」
「新都城の計画を早く進めるべきです。私がまず場所を選びました、君上には最後に実地に見て頂き、ご決裁いただければと。」
「どこだ?」
「北阪の川べりの辺り、ここです。」
「いつ行くのだ?」
「三日後です。その後に私は北地の郡の視察にも行きます。」
「そういうことなら、私はお前と一緒に行こう。一回で決めてしまえるから良い。」
「君上が行くのなら、こんな良いことはありません。(→最も良い方法だ)」


「ケイギョクはずっと隴西(ロウセイ)に行ってみたいと思っていた、彼女を一緒に連れていけないか?」
「君上が(一緒に行きなさいと)おっしゃれば、公主はもちろん一緒に行けるでしょう。」
「何を言ってるのだ。ケイギョクはお前の妻だろう。この義兄が言っているのは私的な話だ。連れて行くかどうかはお前の自由だ。」
「はぁ……"義兄"って……。ええ、連れて行きましょう、"お義兄さん"の言う通り。」
「またそんな事を(→ちゃんと自分で決めろ)。お前たちは夫婦なのだ、(なのに)私が(一緒に出掛ける)算段をつけるのは阿呆らしいぞ。」
「君上も阿呆とか言うんですね…。」
「…お前に言っておくが、あのケイギョクというおなごは欠点が多い。始末に負えないときはまぁ何度か殴ってやれ。」
「いや、絶対できませんよ!ケイギョクは良い娘です。彼女は物事の理を知っており、道理をわきまえています。どうして始末に負えないなどと。」
「あやつが道理をわきまえてる?」


「…あの婚儀の夜、私は夫婦の部屋に帰らなかったのです。早朝に帰りましたが、彼女は私をとがめないばかりか、まだ(※起きて待ってた)
「人に冷遇されたのに、彼女が(怒って)命がけの事態にならないとは!あのおなごは本当によくわからんなぁ。」
「……ケイギョクは人と命がけの事態になった事が?」
「当時私が公叔氏を助けようとした時を考えてみろ、あやつに剣でここを刺されたのだ。まったく気がふれとる。」
「…ケイギョクはもちろん次兄(孝公)に対して謝罪しましたよね?」
「何を謝るというのか(→謝らなかった)。あのおなごが陰で次兄(わたし)の悪口を言ってないだけマシだよ。」
「では、わたくしが代わって義兄上に陳謝いたします。」

* * * * *

閑話休題な和みの一幕。
日本語字幕版では衛オウの「君上也会説鳥。」という台詞の翻訳に困ったようで(日本人に鳥が罵倒語であることがわからないため)、孝公が自分の事を「私」ではなく「俺」と言ったことにして、衛オウが「お言葉が乱れてますよ」とツッコミ入れたことになっている。


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「大秦帝国(第一部/黒色裂変)」第二十集、6分あたりから。
新法が施行されたその年の夏、大規模な私闘が起こり大量の死者と千人もの逮捕者が出た。新法に照らせば私闘を起こし殺人を犯した者は死刑。だが一度に七百人余りも死刑にするなど前代未聞のことだ。法律通り刑を執行することを主張する衛鞅(エイ・オウ)。孝公は納得できず口論となる。

* * * * *

「左庶長よ、秦国にはもちろん法治が必要だ、だが秦国を乱してはならぬ。」
「(刑を執行しても秦国を)乱さないどころか、しっかり治められます。」
「お前が(秦国の慣習を)金づちを振り下ろしてたたき壊しても、秦国はこの破壊(ダメージ)に持ちこたえられると?」
「君上(陛下)は考え違いをされている。ちょうど今この戦乱の世に秦国があるために、徹底した変法(改革)の揺るぎにも耐えられるのです。」
「お前は瓶(→秦国の比喩)を落として叩き壊すつもりか。」
「…天下の争いは連綿と続いてます。どの国の変法も、戦時中に施行される法の重要な点は、すなわち国民の心を集めることです。法で人(の心)が得られねば、民衆は他国へ逃げ、変法による強国作りは水に映る月(→実体のないもの、幻)となります。したがって列国の改革はみな大変に慎重で、多くが官吏を粛清して治めることを改革の軸とします。不正官吏を罰して治めることは民心を得やすいですから。」


「秦国はそのようにはできないというのか?」
「秦国がそのようにできても、秦国はそのようにしてはいけません。」
「わからぬ!」
「秦国がそのようにすることは、山東の六国の真似をして追随することで、朝野にも阻止(反対)する勢力はありません。(しかし)秦国はそのようにしてはならず、(もし)そうしては強国にはなれません。秦国の行く道は、ただ変法を徹底していくことだけです。変法を徹底する最も重要で難しい事は、すなわち法制度実施の第一回目の波乱を受け入れることです。この揺らぎを乗り越えねば、秦人は法が何の為にあるのかを知りえません。」
「お前はまだわからないのか?秦国がこの瓶(慣習)を壊して、持ちこたえられはしない。お前の考えでは耐えうると。いいだろう、ではお前はどうやって耐えられると言うのだ?」


「君上が国を憂いすぎると、当事者が迷います。」
「お前は迷っておらぬ。」
「迷いません!臣(わたくし)は秦国を遍歴し秦人を訪ね歩き、秦国(秦人)の情、民の心を知りました。秦人は物事の理をよくわかっており、秦人は分別をわきまえてます。本当の強大な故国にするための民衆の法律や国策に、彼らは非常に強い識別能力を持っています。国を治めることとは、貴族が(力を持って)主になることを断ち(※)、官吏が強大になることを断ち、君主が亡くなるのを断つこと。もし民衆全てが良し悪しの判断ができれば、国家は必ず強くなり、もし君王が一人で物事の良し悪しを決めれば、その国は必ず衰退します。
この夏は私闘があふれ、わたくしは千人余りの拘束を断行しましたが、秦国に反乱は起こらなかった。その理由はどこにあるか?それは民衆の心。偉大なる秦の善良な庶民の本当の"法を求め法を守る心"にあります。この心があるだけで、秦国は(改革の)揺らぎにも耐えられます。秦国の変法には希望があるのです。」

※日本語字幕から察するに、"家"は貴族の家柄を指すようだ。

* * * * *

実際はもっと細かく鷹揚ついてるけど特に強調されてる言葉を太字にしてます。「不(=not)」がやはり強く言うことが多いみたい。
「君上憂国過甚、当事者迷」というのは、「あなたが心配しすぎると当事者(国民・臣下)がどうしていいかと戸惑います」のように見えるが、裏を返せば「あなたは当事者を信じてない(弱いと思っている)から心配なのだ、当事者はむしろしっかりしている」という意味。もっと国民を信頼して下さいと言ってるらしい。君主に直接的・命令的な表現は言えないから…。


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