糖尿病と判断される指標の一つは、血液中のブドウ糖の量(血糖値)が、空腹時で126mg/dl以上、食後2時間で200mg/dl以上を示していることです。そして、一般的には、1日の血糖値が平均して150mg/dlを超えている場合、糖尿病と判断されます。糖尿病は、基準よりも血糖値が慢性的に高い状態にある病です。ただ、初期には自覚症状がほとんどありません。

逆に、血糖値が低い状態も問題です。血糖値70mg/dl以下の状態は低血糖であり、症状としては、めまいやふるえや冷や汗や倦怠感に襲われます。血糖値50mg/dl以下では脳への影響が強まり、非常に危険な状態で、意識の混濁や消失もありえます。低血糖では、症状がすぐに現れやすいです。

血糖値は高すぎてもダメ、低すぎてもダメなのです。

そして、血糖値は刻一刻とどんどん変化していきます。ですから、今、現在の血糖値を知るためには、血糖値測定器を常備しておく必要があります。測定器の示す数値をスマートフォンのアプリでデータ化し、1日の血糖値の変化をグラフ化して、何を食べた後に血糖値が上がるか、就寝後は血糖値がどのくらい下がるかなど、24時間の変化を、毎日、自分で確認することができます。

これによって、病院に行かなくても、日々の血糖コントロールを自分でできるのが、血糖値測定器のありがたい点です。

糖尿病治療の問題点の一つは、医師が患者の1日の血糖値の変動を把握していないことです。その点、患者が自分の1日の血糖値の変動を知っていることは、治療法を相談する上で非常に重要なことです。


もう一つの指標はHbA1c (ヘモグロビンエーワンシー)の値です。

HbA1c とは、血液中の赤血球のタンパク質であるヘモグロビンに結合したブドウ糖の割合を示す数値です。ブドウ糖がくっついたヘモグロビンは糖化ヘモグロビンになります。そして、血中のすべてのヘモグロビン量中の糖化ヘモグロビンの割合がHbA1c の値なのです。

血糖値が高いとブドウ糖がヘモグロビンにくっついて糖化ヘモグロビンの量が増えます。逆に、血糖値が低いと糖化ヘモグロビンの量はあまり増えません。

ただし、一度、糖化ヘモグロビンになると、赤血球の寿命(120日)がくるまで、元のヘモグロビンに戻ることはありません。

ですから、HbA1c の値は、直近1〜2カ月で累積した糖化ヘモグロビン量の割合を表しており、ここ1〜2カ月の平均的な血糖値を表す指標といえます。

血糖値は、株価のように一分一秒数値が変動を続けますが、HbA1cの数値 は過去1〜2カ月の血糖値の状態を総合的に示してくれるので、糖尿病判定の重要な指標となっています。

HbA1c の数値は、5.6%未満を基準値とし、4.6〜6.2%は正常値であり、6.5%以上を糖尿病としています。

このHbA1cの値は、血液検査によってわかりますが、家庭用の検査キットはありません。ですから、病院で検査する必要があります。ただし、薬局の中には、ゆびさきセルフ測定室が設置されていて、自分で検査できる薬局もあるようです。


糖尿病は、すい臓から分泌されるインシュリン(細胞がブドウ糖を取り込むのを助け、血糖値を下げる働きをするホルモン)が出なくなったり、働きが悪くなったりする病気です。

糖尿病には1型と2型の2種類の糖尿病があります。

小児や若年層での発症が多く、自己免疫がすい臓の細胞を攻撃することで、インシュリンがまったく出なくなるのが1型糖尿病ですが、糖尿病患者のおよそ3%しかいません。この1型糖尿病は、完治(寛解)することはなく、一生、インシュリン投与による糖質コントロールが必要になります。

40代以降の中高年での発症が多く、疲労やストレスや睡眠不足、暴飲暴食や運動不足といった生活習慣や加齢による体質の変化などが原因で、疲弊により、すい臓からのインシュリンの分泌が減ったり、血中でのインシュリンの働きが悪くなるのが2型糖尿病で、糖尿病患者のおよそ95%を占めます。この2型糖尿病は完治(完全寛解)が可能です。

糖尿病は、症状が軽いうちは、自覚症状がほとんどありません。ただ、血中のブドウ糖濃度が高い状態が続くと、細かい血管を傷つけるため、合併症の起こる確率が高くなります。

糖尿病にはいわゆる三大合併症と呼ばれるものがあります。一つは眼を傷つけ、失明の恐れもある糖尿病性網膜症です。もう一つは、手足のしびれや消化不良などの症状を伴う糖尿病性神経障害です。三つ目は腎臓の機能の低下による糖尿病性腎症です。これが進行すると、人工透析が必要になります。

現在、我が国の糖尿病患者は推定で1000万人とされ、その予備軍も1000万人と推計されています。また、糖尿病患者のうち、医療機関受診し治療中の患者は552万3000人(2023)です。

問題なのは、多くの場合、血糖コントロールによって、血糖値を下げることには成功していても、糖尿病を治す(寛解する)ことには成功していないことです。そのため、病院に通いながら徐々に悪化していく患者さんが多いのが糖尿病の特徴です。


一般に、昔ながらの糖尿病治療は、HbA1c 6.0未満に持っていくように、食事・運動のみでなくインシュリン投与などで血糖コントロールを行うことで合併症が起こらないように強化療法を行います。

その際、日本の伝統的な治療としては、『炭水化物(米)をたくさん(1日のエネルギー摂取量の50%)摂って、それによって生じる血糖値の上昇を、インシュリンなどの投薬によって抑える』といういわゆる〝血糖マッチポンプ療法(東海大学名誉教授大櫛陽一先生の命名による)〟が採られることが多かったようです。

ところが、インシュリンなど血糖値を下げる薬剤は、その副作用として低血糖症になるリスクがあります。

また、1型糖尿病患者に炭水化物を1日のエネルギー摂取量の30%に抑えた食事を与えたことで、平均血糖値が下がったというスウェーデンの研究発表があります。エネルギー摂取量の50%も米を食べる必要があるのかということです。

加えて、2008年の大規模臨床試験(ACCORD試験)では、『インシュリン治療によってHbA1c 6.0未満を目指した強化療法群が、通常療法でHbA1c 7.0〜7.9を目指した通常療法群より、心筋梗塞や脳梗塞の死亡リスクが高い』という結果が報告されました。原因はインシュリン投与によって引き起こされる低血糖症です。症状の軽い2型糖尿病にインシュリン投与は本当に必要なのかという疑問が生じます。

こうした臨床試験のもたらすエビデンスは、当時、医学会に大きな衝撃を与えました。そして、HbA1c はただ下げれば良いのではなく、低血糖を避けなければならないとして、血糖値の変動の少ない〝質の良いHbA1c 〟を目指す治療が、近年、推奨されるようになってきたのです。


一方で、血糖値を上げる米などの炭水化物の摂取を控えて、タンパク質や脂質を中心とする食事(ケトン体生成食)にして、インシュリンなどの投薬をなるべくしないという方法もあります。

かつて(10年ほど前)は、『糖質不足を補うために肝臓で脂肪酸から生成されたケトン体が血中で増えすぎると血液の酸性化(糖尿病ケトアシドーシス)が起こるから、タンパク質・脂質中心のケトン体生成食によるケトジェニックダイエットは、糖尿病患者には勧められない』と言われていました。

しかし、実際には、糖尿病ケトアシドーシスが起こる割合は0.3%程度に過ぎないという報告もあり、現在では、『ケトン体生成食は2型糖尿病治療に有効である』とする見解が増えているようです。ただし、この場合、SGLT2 阻害薬の使用はケトアシドーシスの起こるリスクを高めるため、厳禁です。

一方で、インシュリンがすい臓からまったく分泌しない1型糖尿病では、ケトアシドーシスが起こる可能性が高いため、ケトン体生成食はお勧めできません。

2型糖尿病におけるケトン体生成食によるダイエットの最大の利点は、食後の血糖値の上昇が少なく、治療にインシュリン・SU薬・グリニド薬など血糖値を下げる作用が強力な薬剤を使用する必要がないため、低血糖症に陥るリスクが避けられることです。これによって、薬に依存することなく生活でき、糖尿病の悪化を防ぐことができます。

また、野菜もなるべく意識して摂り、炭水化物も少しは摂るようにして、血糖値の変化を観察しながら、自分のバランスを考えて食生活を調整していくことができれば良いのではないかと思います。


上記したHbA1c 6.0%未満という糖質コントロールの目標値は、現在の日本の標準医療において、高齢者を含むすべての人に当てはまるわけではありません。

日本糖尿病医学会・日本老年医学会によると、2016年の改訂以降、65歳以上の高齢者の場合は、認知機能が正常で、生活行動が自立していて、低血糖症に陥るリスクのあるインシュリンなどの薬剤による治療を受けていない人については、糖質コントロールの目標値はHbA1c7.0%未満とされています。

これは、一般に高齢者は、血糖値が若い人より高くなりやすく、血糖値の変動も大きくなりやすいため、糖質コントロールの目標を低く設定すると、低血糖症に陥るリスクが高くなるためです。

ですから、もしも、あなたが65歳以上の方でHbA1cの数値が 6.8%であったなら、あなたは糖尿病であるかもしれませんが、糖質コントロールの目標値の範囲内にいますから、そのままでも合併症になる可能性は低く、投薬治療の必要性はそれほどありません。インシュリンなどの投薬によって無理にHbA1c 6.0未満に下げようとする強化療法は、低血糖症になるリスクを高めるため、むしろ危険なのです。

低血糖だと、脳の働きが阻害され、ひどい場合には、せん妄状態や意識障害が起こる場合もあります。ある程度、血糖値が高い方が、脳の働きが活性化され、アルツハイマーや認知症になりにくいということもあります。


65歳以上〜75歳未満で、認知機能正常で、生活行動が自立していて、インシュリンなど低血糖症になるリスクのある薬を使用している場合、糖質コントロールの目標値はHbA1c 6.5(下限)〜7.5(上限)未満の範囲とされています。投薬治療を受けていない人と違って下限が定められているのは、高齢者が若い人のようにHbA1c 6.0%未満を目指すのは、特に投薬による強化療法では、低血糖症に陥るリスクを高めるため、逆に危険であると考えられているからです。だから、薬物治療中の高齢者は、HbA1c6.5を下回らないように気をつけなければなりません。

75歳以上の後期高齢者は、認知機能正常で、生活行動が自立していて、インシュリンなどの薬を使用している場合、糖質コントロールの目標値はHbA1c 7.0(下限)〜8.0(上限)未満の範囲とされています。ですから、もし、あなたが75歳以上の後期高齢者で、投薬治療中で、HbA1c 7.8%であったなら、糖質コントロールの目標値の範囲内なので、治療はうまくいっており、今以上に強い薬に頼って血糖値を無理に下げようとする必要はありません。HbA1c7.0が下限なので、薬物治療中の後期高齢者は、これを下回って血糖値を下げすぎないように注意が必要です。


以上が、2025年現在の糖尿病の治療(糖質コントロール)に関わる基礎的な情報です。

病院で治療してもらおうとする2型糖尿病患者にとって、最大の問題は、「(1日のエネルギー摂取量の50%)炭水化物(米)を食べろ!」「脂質を摂りすぎると血液が酸性化するからダメだ!」そして「血糖値が上がるのはインシュリンなど薬剤で抑える」という治療方針の病院・医師と、「ケトジェニックダイエットは悪くない」「炭水化物(米)をなるべく控えて野菜と脂質とタンパク質を中心に食べなさい」「薬はなるべく使わない」と、真逆のやり方を勧める病院・医師がいることです。

さらに、高齢者にとっては、「(インシュリンなど)薬でHbA1c 6.0未満にまで下げないといけない」と断言する医師と、「HbA1c 8.0ぐらいであれば、高齢者なら心配するほどではない」「投薬の必要はあまりない」と、ここでも真逆のことを言う医師がいることです。

患者としては、戸惑うばかりだとは思いますが、少なくとも、上記のガイドラインを参考に、自ら判断して信頼できる医療機関を選んでください。

大切なことは、効くかもしれないと思ったものは恐れずチャレンジすること、そして、自分の身体の反応を通して判断すること、さらに、自分自身で医学的な知識や病理に対する理解を深め、すべてを医師任せにせず、治療方針に関しても、鵜呑みにすることなく、常に疑問を持つことです。

自分の命は自分で守るという姿勢が大切になります。





巷では、高市首相が中国を怒らせる発言をしたので、中国が日本に対して非常に抑圧的・脅迫的になっており、これもすべて高市首相の不用意な失言のせいだという論調の報道が目立ちます。

しかし、本当にそうなのでしょうか。

高市首相は失言したのでしょうか。失言だとするなら、いったいどのあたりが失言だったのでしょうか。

国民民主党の玉木代表は、「高市首相は発言を撤回すべきだと思いますか」というメディアの質問に対して、「では、あなたなら、どこをどう訂正したらいいと思いますか」と質問し返しています。質問を返された記者は、完全に口をつぐんでしまいました。実に卑怯な態度です。


今月の7日のことですが、立憲民主党の岡田氏は、高市首相に「台湾有事(中国による台湾統一への動き)は日本の存立危機事態(国家の存亡に関わる事態)になるのか」「なりうるとするなら、それはどのような場合なのか」と、繰り返し国会で質問しました。この時、しつこく武力行使、武力行使と言っていたのは岡田氏の方です。

それに対して高市首相は「(中国が)戦艦などを使って(台湾に)侵攻した場合、日本の存立危機事態になりうる可能性がある(したがって、米軍の出動があれば、自衛隊も後方支援で動く)」と答えました。

これは、ごく当たり前の回答です。何もおかしなことは言っていないのです。


ですから、高市発言では「台湾有事に(日本が)(単独で?)武力行使(する)」なんて一言も言っていません。むしろ、高市首相は、岡田氏の言及した「武力行使」というワードを否定しました。

そもそも、自衛隊は、法令上、同盟国でもない台湾を守るために武力行使できません。できるのは、日本が攻撃を受けた時、あるいは自衛隊及び同盟国軍隊が攻撃を受けた時、自衛のために迎撃することだけです。自衛隊は憲法上、武力ですらなく、交戦権も持たないからです。

高市首相は「台湾有事が、中国が台湾に直接的に武力侵攻するものであるなら、日本の存立危機事態(米軍が台湾海峡に出動し、自衛隊が後方支援する状況)になりうる可能性がある」と述べた(11月7日)だけです。

これは、当然、起こりうると想定されている事態であり、高市首相は何も間違ったことは言っていません。むしろ、この発言を後から撤回すると、安全保障上、非常にまずい事態になります。


中国は台湾を核心的利益(武力行使も辞さない絶対に守るべき領土)としていますが、尖閣もまた核心的利益としているからです。

日本は現在、国土防衛の基本は日米同盟です。アメリカの核の傘に依存し、通常戦力においても、自衛隊は盾であり、米軍が矛です。つまり、自衛隊に敵基地攻撃能力はないので、日本に軍事侵攻があった場合、自衛隊は迎撃(専守防衛?)に努め、敵基地攻撃は米軍に任せることになります。

台湾有事において、米軍が単独で出動し、自衛隊は一切関与しないとすれば、「日本が攻められた時、なぜアメリカの若者だけが(一方的・片務的に)血を流さねばならないのか?」というアメリカの問いかけに、日本側は答えることができなくなります。

だから、「米軍が出動する時、自衛隊も後方支援する」という高市発言は、日本の安全保障上、至極真っ当な発言なのです。


ただ、問題だったのは、その直後にネットに出た朝日新聞の煽り記事(同7日速報)です。その見出しは「高市首相、台湾有事に『存立危機事態になりうる』認定なら武力行使も!」というものです。これだと、まるで、台湾に侵攻した中国軍に自衛隊が単独で武力行使に出るかのようです。高市首相が憲法無視の発言をしたかのように、朝日記者によって完全に意図的な改ざん(印象操作)が為されています。

繰り返し指摘しておきますが、厳密に言えば台湾は日本の同盟国ではないので、法令上、自衛隊は台湾を救うために戦うことはできないのです。それは自衛の範疇に入らないからです。

つまり、この記事は、控えめに言っても印象操作であり、もっと大雑把に言えば捏造報道です。


ところが、このデマ記事に対して、大阪の中国総領事が脊髄反射しました。Xで上記の朝日の記事を貼り付けて、記事の真偽を確かめもせず「勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやる」と大暴言をやらかしました。いわゆる「斬首発言(同8日)」です。

これで、高市発言は、完全に歪んだかたちで中国政府へ伝わることになり、その後の中国の極端に抑圧的で脅迫的な態度を生み出すことになります。

朝日の記事が発端となって、日中の激しい外交的な軋轢が生まれたのです。

東京の中国大使館は、国連の「旧敵国条項」を理由として「安保理の承認なくとも、中国は日本に対して直接軍事行動をとる権利を有する」とまで言っています。


情勢がここまで激化した、この問題の元凶は、朝日新聞の捏造記事と中国総領事の無体な斬首発言にあります。

どちらも真実の高市首相の発言からかけ離れたフィクションに基づくネット上の記事・発言であり、不適切極まるもので、どちらも、謝罪も説明もなく、こっそりと訂正・削除されています。

その上で、なぜか高市首相の発言だけが、謝罪と撤回を求められているわけです。


最大の問題は、朝日新聞という日本の大メディアの失態について、日本国民が問題としないことです。

同じことが、これまで何度も繰り返されてきました。従軍慰安婦問題は特に朝日の罪が大きいのですが、社内体質的に、なんの反省も変化もないということが、今回、証明されたわけです。

それなのに、国民がこれを許しているのです。言論の自由って、素晴らしいですね。


垂元中国大使が「高市首相は、絶対に発言撤回をしてはならない」「これまで、民主党時代の『東シナ海ガス田問題(鳩山政権)』や『尖閣諸島中国漁船衝突事件(菅政権)』などでもそうですが、中国が脅せば、日本は屈するということを繰り返してきました。ここで高市さんまで屈したら、日本は向こう20年対中戦略を立てようがなくなってしまう」「戦略的互恵関係という魔法の言葉が効力を持った時代は終わったのです」「私たちは、経済的にも対中依存度を減らし、日本を中国に依存しない国にしていかなければならない」「アメリカと中国が大きなディールをして、日本が苦しい立場になっても耐えうる戦略が必要なのです」とおっしゃっていました(「大下容子のテレビ・スクランブル〈25日〉」「報道ステーション〈25日〉」)が、その通りだと思います。

特に「中国へ行く特派員や社員は、家族を連れて行かないことだ」とおっしゃっていたのが印象的でした。


今回の騒動ですが、主権者である日本国民が、垂さんのおっしゃっていたような「中国の覇権主義的な傲慢さを痛感して、どんなにバランスをとって穏便におとなしくしていようとも、知らないうちに緩やかに抑圧と支配が強まり、ある日、この国が独立を失うということだってありうる」と実感できたならば、むしろ、価値のある騒動だと思うのです。

私たちは中国政府によって香港の自治が奪われる過程で、香港の独自性が失われ、支配と抑圧が段階的に強化されていく実際の様子を見てきたはずです。

香港⇨台湾⇨尖閣⇨沖縄⇨日本へと、中国が勢力を強め、呑み込んでいかないと誰が言えるでしょうか。


国民が、この件を通じて、たとえアメリカに梯子を外されても、日本が独立を維持できるように、経済的に中国依存度を減らすだけでなく、憲法改正し、自衛隊が敵基地攻撃能力を有するようになり、非核三原則を捨てて、独自に戦術核・戦略核武装できるオプションを持つことの必要性を痛感したならば、高市発言は万金の価値があると言えるでしょう。

日本を取り巻く情勢は、戦後、最も厳しいと言われています。この国がサバイバルしていくために、現実的な抑止力を早急に構築する必要があり、高市政権は、その重大性を深く自覚しているように思われるのです。


残念ながら、この国のメディアは、高市発言を非難するばかりで、実に不毛な報道を続けています。

この国を守る現実的な抑止力を高めるための議論を起こそうという姿勢がどこにも見られません。

日本のメディアは、自分たちが日本で活動していることのありがたみを感じないのでしょうか。

中国では、中国人であれ外国人であれ、習近平主席のことを、習主席と呼ばず、習近平と呼んだだけで、それがネット上であろうと、プライベートな会話であろうと、チェックされ、逮捕監禁されることになります。数年は出てこれないでしょう。

日本では言論の自由が保障されていて、国民もそれに慣れており、在日外国人の傍若無人な態度に対してあまりにも寛容です。

少なくとも、中国で日本領事が「習近平を斬首する」などと発言したら、即刻国外退去になるでしょうが、見せしめのために国民を動員して卵を何万個か大使館・領事館にぶつけさせたでしょう。領事自身も身の危険を感じることになったはずです。外交特権がなければ、逮捕されて収監され、10年は出てこれないでしょう。

それでも、現実的な抑止力を否定し、この国の独立を危うくし、中国の一部になりたいですか?

ジャーナリズムの本分を履き違え、不合理な政府批判を繰り返すばかりでは、この国を破滅に導くことになるのではないでしょうか。


一方、国民は、高市発言をメディアに比べてはるかに冷静に受け止めているようで、そこが救いでもあります。

〈毎日新聞11/22・23世論調査 高市発言は問題ない(50%) 問題ある(25%)〉

〈FNN11月22・23世論調査 高市首相の台湾有事答弁は適切(61%) 適切でない(36%)〉

〈読売新聞11/21〜23世論調査 高市首相の対中姿勢を評価する(56%) 評価しない(29%)〉

〈テレビ東京・日経新聞11/28〜30世論調査 高市発言は適切だ(55%) 適切だと思わない(30%)〉

上記の世論調査の結果から考察して、「高市発言を撤回すべきか?」についての世論調査が行われていないのは、「撤回すべきでない」が多数派(過半数越え)になる結果を予想して、メディアとしては、その数字を公表したくないからではないかと推測しています。


また、12月に入っても、中国の圧力にも関わらず、日本国内の高市内閣は非常に高い支持率を維持しています。11月と比べて、全体的にほぼ横ばいで、FNN・読売・毎日のように就任以来最高値を示している調査もあります。メディアによる連日の内閣批判報道が続いていますが、それが逆効果になって、国民の高市政権を支えたい気持ちが強くなっているというか、中国の傍若無人な姿勢とメディアの偏向した報道姿勢に反感とフラストレーションを感じている国民が高市政権のサポートにまわっているように思われます。

〈FNN 世論調査 高市内閣支持率(12月20・21日)75.9%〉

〈テレ東・日経 世論調査 高市内閣支持率(12月19〜21日)75%〉

〈NNN・読売 世論調査 高市内閣支持率(12月19〜21日)73%〉(11月/72%)

〈朝日新聞 世論調査 高市内閣支持率(12月20・21日)68%〉(11月/69%)

〈毎日新聞 世論調査 高市内閣支持率(12月20・21日)67%〉(11月/65%)

〈共同通信 世論調査 高市内閣支持率 67.5%(調査日不明)〉





〈現実的な安全保障議論〉

以下の質問を読み、◯◇◎から自分の意見に最も近いものを選びなさい。



日本の核抑止はどうあるべきか?


◯憲法改正が困難であり、潜在的な非友好的核保有国に囲まれているという地政学上の問題を抱えている以上、恒久的に米軍の核の傘に依存するしかない。

◇アメリカが親中や親露へと手のひらを返さないとも限らないので、いずれ憲法改正して独自核武装に舵を切ることを迫られるだろう。

◎そもそも核兵器を保有することによって、相手の核兵器の使用を抑止するなどということは、必要もないし、効力もないし、周辺国の軍拡を招くという意味では、かえって逆効果なので、日本は早く核兵器禁止条約(核保有と核による威嚇を禁じる)に参加するべき。



自衛隊の攻撃力はどうあるべきか?


◯自衛隊は戦力ではなく、あくまでも自衛力としてあるべきで、これまで通り、自衛隊の攻撃力は盾(専守防衛)の範囲にとどめ、矛(敵基地攻撃能力)は米軍に頼るべき。

◇「なぜ日本を守るためにアメリカの若者が血を流さなければならないのか」と言われたら何も言えないし、いつまでも自国防衛の戦闘を米軍に依存し続けるわけにはいかないので、そろそろ自衛隊も矛(敵基地攻撃能力)を持つべき。

◎現行の自衛隊自体がそもそも違憲であり、その活動を災害救助などに限定した合憲の非武装組織に改変すべき。



台湾有事(中国の武力による台湾侵攻)は日本の存立危機事態となりうるか?


◯中国は、台湾だけでなく尖閣も核心的利益(絶対に譲れない領土)と明言しており、台湾も尖閣の領有権を主張しているので、明白な軍事侵攻による台湾有事は日本の存立危機事態となりうる可能性がある。

◇台湾有事は中国が東アジアの覇権国家となる過程の一部であり、中国の海洋支配を強めるという意味で、中国の軍事力による台湾併合は、間違いなく日本の存立を脅かす危機事態である。

◎中国が如何なるかたちで台湾を併合しようと、あくまでも中国の国内問題であって、日本には何の関係もないのであって、日本は中国に内政干渉する立場になく、日本の存立危機事態にはならない。



日本に米軍基地は必要か?


◯核を保有しない日本はアメリカの核による抑止力を必要としており、それゆえ日米同盟は日本の安全保障にとって絶対に必要だが、必ずしも日本国内に米軍基地がある必要はない。

◇沖縄の米軍基地は世界最大の海外米軍基地であり、日本国内にこうした巨大な米軍基地があることで、他国の侵攻に対する抑止力となっているのであるから、当然、米軍基地は必要である。

◎朝鮮戦争やベトナム戦争のようなアメリカの起こす戦争に日本が巻き込まれないために、米軍基地も日米同盟もない方がいい。



将来的に日本は独立を維持していけると思うか?


◯思いやり予算や基地使用料の肩代わりなど、日本が莫大な基地維持費を払っていることで、アメリカにとっても十分なメリットがあることから考えても、日米同盟は恒久的であり、在日米軍がある限り、日本国の独立は維持され続けるだろう。

◇中国が覇権国家として強大化するにつれて、アメリカが中国との対立を恐れて日本を見捨てる可能性が高まるとしても、有能な日本人は自らの力で独立を維持し続けるだろう。

◎いずれ最終的に東アジア圏は完全に超大国中国に呑み込まれると考えられ、その時は日本の独立も維持し難いだろう。



日本が将来的に独立を維持し続ける上で何が一番大切と考えるか?


◯日米同盟の維持が何より大切だが、憲法改正で自衛隊を軍とし、双務的な軍事同盟へと進化させることが肝要である。

◇日本への仕返しの機会を虎視眈々と狙う中国と、むしろ親日的意識の強いロシアの関係を分断し、ロシアと親密な関係を築くことで中国を孤立させることが重要。

◎東アジアに軍事的な緊張が生まれないように、日米同盟を解消し、日本を非武装化することが理想であり、たとえ征服されるとしても戦争するよりはましである。



日本の独立の維持を阻む元凶となりうる国内問題は何か?


◯立憲民主党・共産党など野党が、現実的な安全保障の必要性を否定し、はたして日米同盟の現状で核による抑止力が有効に働くのか、自衛隊と米軍が有事に「盾と矛」として機能しうるのか、何も心配しておらず、国権の最高機関である国会の一員として、当然あるべき国防の責任を放棄しており、政府・与党の足を引っ張りまくっていること。

◇この国の憲法学者たちやジャーナリズムが、憲法前文にある「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して日本の平和と安全を保持すると決めた」というフィクションの非現実性について、また、9条一項の「交戦権の放棄と武力による威嚇の否定」が、日米同盟と核の傘による抑止力を全否定していることについて、まったく問題視していないこと。

◎戦後の学校教育において、日教組の教員たちによって長く続けられてきた〝平和教育〟のおかげで、国民が軍事的抑止力に裏打ちされた現実的な安全保障について考えることができないように、幾重にも洗脳されてきたのが、最近、その強固な洗脳が解けてきて、国民意識が非常に不安定になってきており、極端なナショナリズムに振れやすくなっていること。



日本の独立の維持を阻む元凶となりうる国外の要因は何か?


◯万事、米国次第である。平和憲法の改正が現実的に難しい以上、日本はアメリカの軍事力と核の傘に依存し続けるしかない。アメリカに見限られた時点で、この国は真の意味で存立危機事態に陥る。そうならないように、アメリカ政府との関係を密にし、同盟をアメリカにとっても有益なものになるよう、アメリカの危機には日本も助けられるように双務的な協力体制を構築する必要がある。

◇最大の元凶は韓国である。韓国ほど日本を蔑め、隷属させたいと強く願っている国はない。韓国は北朝鮮と統一することで、北朝鮮の核を自らのものとし、中国・ロシアと結ぶことで、日本を包囲し屈服させるチャンスをうかがっている。アメリカの存在感が相対的に低下するにしたがって、その機会が近づいていると韓国は考えている。油断している日本の足をすくう者がいるとすれば、その第一の者は韓国である。

◎日本の独立を危うくする最大要因は、間違いなく中国だ。台湾有事において、中国が軍事侵攻し、米軍が出動したとしても、日本の存立危機事態にはならないと思うので、自衛隊の後方支援や米軍が攻撃にさらされた時に、自衛隊がミサイルを迎撃するなど、共同作戦をとるのは間違いだと思う。たとえそれによって、『日本が攻撃されても、なぜ我々だけが血を流さねばならないのか?』と米軍にそっぽを向かれたとしても、中国を怒らせるよりはマシだからだ。中国を怒らせないことがすべてに優先する。

公明党の支持母体である創価学会の故池田大作名誉会長は、北京大学から名誉教授の肩書きを贈られており、創価学会は長年にわたって親中国の姿勢をとり続けている。

今回、突然の連立離脱には創価学会(公明党)に対して北京からの指令があったのではないだろうか。実際、連立離脱のニュースを真っ先に発信した国は、アメリカでもロシアでもフランスでも韓国でもなく、中国であった。

そういうわけで、今回の公明離脱の裏には、中国による高市潰しの意図が潜んでいるのではないか、という印象が強い。

実際、公明党の斉藤鉄夫代表は、連立離脱の4日前、10月6日に中国大使と会っていた。その時、直接指令があったかどうかは定かではないが、中国側からの圧力の一部であった可能性は高い。

ただ、「公明党の決断の裏に、そういった中国の陰謀があるのでは?」という疑念が広まれば、日本国民の創価学会へのイメージは、旧統一教会並みに悪くなり、信者の学会離れも、より加速していくだろう。

公明党としては、それは絶対に避けたいので、決裂の理由として、政治と金の問題という建前(安全な言い訳)だけをことさらに言い立てているように感じられる。


いろいろな意味で、自民党は危機に陥っていることは間違いない。ただ、その本質は、長年のカルト教団(親北朝鮮系の旧統一教会・親中派の創価学会など)との無節操な理念なき野合がもたらした破局であり、当然の帰結であるとも言える。

安倍元首相の暗殺も、公明党連立離脱も、元を糺せば、安易なカルトとの結びつきが、長い目で見て、大きな災厄の種になるということを、自民党が深く考えることなく、あまりにも軽々しく政治及び選挙活動をしてきた報いである。

安倍さんも高市さんも、その代償を払わされているわけだ。

その結果、自民党は、今、まさに解党的出直しを迫られているのだろう。

この大波を乗り越えるには、これまで自民党を支えてきたあらゆる国民の支持に深く感謝し、人の人情の機微に敏感であるとともに、何がこの国のために必要か、真摯に考え、勇気を持って行動できる知恵と志が必要になる。

新総裁として、高市さんには、そうした人間的な懐の深さと世間的な知恵と日本の明日を切り開く志があるかどうか、試されているのだ。


公明党の斉藤鉄夫代表としても、さまざまな圧力の中で、不本意な決断だっただろう。そうした斉藤氏の言葉にできない心情を汲み取る余裕のない高市総裁の会見の様子にも、一抹の不安を感じざるを得なかった。

「一方的に連立解消を申し渡された」と文句を言う前に、まずは、長い間、協力関係を維持してきた公明党への敬意を表する言葉があって然るべきだった。それが、一国を率いるリーダーとしての大人の対応というものだろう。



※本来、中国とのしっかりした外交と自国防衛の責務を両立させることは、日本の政治にとって、必要不可欠なことである。

しかし、この国の親中派は、自国防衛の責務を安易に投げ出してしまう傾向が強い。

「中国は攻めてこない」「だから、日本は安全」というわけだ。

逆に、自国防衛の責務をしっかり担おうとすると、それだけで反中派と呼ばれてしまうのである。

安倍元首相もそうで、外交的に中国包囲網の形成に尽力したり、集団的自衛権に踏み込んだ自国防衛を明確にしただけで、極右とか反中と言われたものだ。

自国核武装を主張していた石原慎太郎などは、中国では極右の代表のように言われていた。

高市氏も、同じように見られていることは、まず間違いないと思われる。


日本人の眉は、近年、若者を中心に、ますます細く薄く淡くなっているように見える。

とは言え、日本人にとっては、昭和の時代から、眉を細く薄くするのが一般的な美意識の現れであった。

これには、江戸時代の浮世絵(歌麿とか)の美人画の描き方などに美意識のルーツがあるのかもしれないし、さらに遡って、平安時代の貴族の女性の眉剃りの風習に伝統のルーツがあるのかもしれない。

しかし、この日本伝統の細眉を好む傾向は、昨今、あまりに極端になってきている気がする。

ともかく、現代の日本では、イモトアヤコさんのように、お笑い的個性を狙うのでなければ、男性も女性も、眉を太く濃くすることはまずない。

ブルック・シールズ(1982年カネボウCMで来日)やリリー・コリンズ(2012年映画『白雪姫と鏡の女王』で初主演/来日)やカーラ・デルヴィーニュのような極太眉は、この国では一時的な刺激は与えても、絶対にモードの主流として流行ることはない。「細く薄く淡い眉こそが美しい」と、そう考えるのが、この国ではあくまでも普通(スタンダード)の感覚なのである。


ところが、この日本の常識もまた、世界の常識とは言いがたい。

例えば、イタリアの超人気テレビドラマ・シリーズ「DOC 明日へのカルテ」(2020〜)では、ジュリア、カロリーナ、チェチーリア、アルバなどドラマの中のヒロインたちの眉がクッキリと太く濃く目立っている。特にエリーザの超極太で漆黒の眉は、日本ではまず見られないもので、一見の価値がある。加えて、アンドレア、エンリコ、ガブリエル、ロレンツォ、ダミアーノなど男性陣の眉も、とても太く濃く野生味にあふれる感じである。

また、フランスの超人気テレビドラマ・シリーズ「アストリットとラファエル 文書係の事件録」(2019〜)でも、主人公の一人ラファエルの眉は相当に濃く太い。主要な登場人物の1人ウイリアムの眉も太いし、アストリットの恋人役の日本人俳優齊藤研吾さんですら、フランス人の美意識に合わせてか、かなり太い眉になっている。

同じフランスの人気テレビドラマ・シリーズ「バルタザール 法医学者捜査ファイル」(2018〜2022)でも、ヒロイン級の登場人物であるカミーユやオリビアの眉はとてもクッキリしている。

いずれのドラマにおいても、日本のような超極細眉の人はほとんど見当たらない。

そして、「日本人の考える太眉など、欧州では細眉と見られるレベルの細さに過ぎない」ということが、これらのドラマを観れば理解できるだろう。


思うに、眉を細く薄く淡くしたがるのは、日本、中国、韓国、台湾など東アジア文化圏特有の美意識なのではないだろうか。そして、そのもともとの発信元は、おそらく日本だ。そこから韓国や中国へと流行の発信源が移動していっているのだろう。

そして、少なくとも、眉の細さと薄さを尊ぶという感覚は、欧州文化圏の美意識においてはうすいように思う。

これには、東洋人と西洋人の顔の彫りの深さの違いも関係しているのだろう。太眉は彫りの深い西洋人の顔にこそ、よりフィットするのは確かだ。

しかし、それとは別にしても、私としては、眉毛を抜かず、自分の自然な眉の太さや濃さを受け入れている欧州の美意識のあり方の方が、むしろ、自由で健康的だと感じられる。

そういう面で、欧州の感覚を取り入れるような国際化は個人的には大歓迎なのだが、こういう開放的な美意識は、伝統的に手の込んだ作為を好む、この国ではあまり広まってくれない。残念なことだ。