香りの記憶 〜 その3 ジャスミン  | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

不安定な天候もおさまり、一気に暑くなってきて、蚊が出始めて来た。
 
そして待望のジャスミンの季節。どこからともなく、優美な香り。小さく真っ白な花が緑のツヤツヤした葉の間から顔を出すが、そのうち葉も見えなくなることだろう。
 
今年の2月に帰天された代母のシスターが長年おられたミラノ市内の修道院(マリアバンビーナ)のジャスミンはそれはそれは美しかった。
 

 

5月の聖母月になると、中庭の聖母マリア像を囲むアーチにジャスミンが満開となる。

 

あの光景を見たのはいつが最後であったのだろう?毎月第3日曜日に日本人ミサが行われるが、5月のミサの後の茶話会でジャスミンを愛でるのが好きだった。

 

コロナ禍でミサが中断され、コロナの前後の記憶は定かではないが最後の5月のミサはまだ薄寒くジャスミンの咲き始めであった。だから最後に見たのは、2018年頃だったのか?

 

そしてコロナが落ち着き、代母のシスターはベルガモの養老院へ移動され、この2月に帰天。ミラノの修道院を訪問することもなくなり、あのジャスミンの聖母像が懐かしい。

 
ジャスミン(茉莉花)」の花言葉は「愛想の良い」「愛らしさ」。
 
あのジャスミンの聖母像を思い出す度、澄んだ空気とほのかな香りが脳裏に甦える。いや、ジャスミンの香りを嗅ぐ度、マリアバンビーナのジャスミンの聖母像は甦るのだ。
 
そして優しく愛に満ちたシスターマリア。
 
香りの記憶。まさにプルースト効果(プルースト現象)だ。香りによって記憶や感情が呼び覚まされる。
 
年末から親しい友人、尊敬する人々が皆帰天している。空から見守ってくれているのかなあと何気に空を見上げた。
 
今日の一句
ジャスミンの 甘き香りや 聖母像