先日、突然の雷雨に見舞われ、自転車を出先に置いてきてしまったので、今朝取りに行った。
まだ続くポプラの綿の季節。サングラスはもちろん、マスクもしていないと思わず口を開こうものなら吸い込んでしまいそうだ。さすがに自転車に乗っていても歌わないようにしているが、ふわっと唇に綿が張り付くこともあるし、鼻に入ってくることさえあるから、たまったもんじゃない!
ところで、歩きながら周りを見渡してみると、ミラノは緑が少ないと言われるが、それでもあちこち木々は多い。
あらっこんなところにいちじくの木があったのね〜。いつも自転車で通り過ぎるだけだったので気付かなかったが、あえて道路のど真ん中まで渡り、木を下から見上げてみた。
いちじくの実もできている!!
こちらはジャスミン。これから開花することだろう。
こちらは、沈丁花。日本の沈丁花とは花の形や色が違うが香りは一緒。日本の沈丁花は室町時代以前に中国から渡ってきたものだという。
ちなみに、イタリア語で沈丁花は”Daphne"(ダフネ)と呼ばれる。この花は、葉が「月桂樹」の葉に似ていることから「ローレル沈丁花」(”Daphne laureola")と呼ばれ、ヨーロッパの広範囲で見かけられる。沈丁花全般の花言葉は「栄光」「勝利」「不死」「不滅」。
「栄光」は葉が月桂樹に似ていることや、ギリシャ神話のダフネの話に由来してる。太陽神アポロンが恋の神エロスを揶揄したことで、エロスはアポロンには恋する矢を、ダフネには相手を嫌う矢を放つ。アポロンはダフネに求婚し続けるが、それを嫌ったダフネは月桂樹へと姿を変える。アポロンはせめて自らの聖樹であってほしいと、永遠の愛の形として月桂樹で冠をつくり、肌身離さず冠しているといい、月桂樹の冠はこの伝説から栄光の証ともされ、沈丁花の花言葉となったそうだ。
また、更に調べてみたら、鳥には無毒である一方で、人間に対しては、強い毒性を持つそうだ。樹液が皮膚に触れると深刻な発疹の原因となるとも言うので、触れることがないように!
とはいえ、本当によい香り。沈丁花(春)をはじめ、クチナシ(夏)、金木犀(秋)は三大香木と呼ばる。
どの花も在ミラノ日本人学校の近くに咲いているので、香りを愛でることができる。そして、感情は記憶を呼び起こす。いわゆる「プルースト効果」と呼ばれるものだが、これは、マルセル・プルーストの代表作『失われた時を求めて』の文中で、主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りをきっかけとして幼年時代をまざまざと思い出すという描写をもとにしている。
最近、花や自然の香りで、よく子供の頃の記憶が蘇る。「昭和」の古き、良き時代。まだまだ緑の多い田舎町であったので、雨の香り、雨が降った後の湿度を感じる森の香り、シャクナゲの花の蜜の香り、田んぼのレンゲの甘い香り、田んぼ道を通る時の土の香り、柿の実がなる時の生臭い香り、柿がべちゃっと道路に落ちた香り...
都会に住んでいると、そうこうもたくさん香りの記憶を止めることはできないだろう。香りの体験で五感が磨かれるというのは、素敵な経験。宝、かな。





