香りの記憶 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで30年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

香りが記憶を急に呼び起こすことがある。それを「プルースト効果」と呼ぶらしいが、この現象はもともとプルーストの代表作「失われた時を求めて」の文中において、主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りをきっかけとして幼年時代を思い出す、という描写を元にしているという。

子供のころ近所にパン工場があり、できたてのロールパンの香りをよくかいだ。古い台所の床どこにあったぬか床。ぬかの香りをかぐと、祖母が毎日、混ぜ込んでいたことを思い出す。安っぽい?シトラス・ミントの香水のにおいをかぐと、高校時代の部活の帰りを思い出す・・・。香水の香り。銘柄によって、それをつけていた当時の自分や周りの人間を思い出す・。

最近「あっ!」と思ったのは、近所の学校前に生垣として植えられたネズミモチの木の花の香り。なんともいえない甘い香り。



調べてみたら、モクセイ科だった。金木犀とは咲く時期が違うが、モクセイと同じ種類だけに香りは強いのだろうか?ちなみに金木犀といえば、トイレ、いやっもとい芳香剤の香り。♪さわやかサワデー!!

ちなみに、この時期、ジャスミンが開花最盛期。これまた、モクセイ科。

 

アロマオイルでゴージャスな花は、やはり香りもゴージャスと聞いたことがある。けれど、小さな花が密集すると、その香りは見ため以上に強烈になる。ちょっとかいだだけでも悩殺されそうな、甘い、それでいてシトラス系の酸味のある、複雑な香り。

話がずれたついでに・・・

私と夫はワイン好きで、新しいボトルを開けるたび、ワインの香りを楽しみ、何の香りがするか言い合う。そこにいつも同席する友人Hは、「お宅ら、いつもそんなことしてますのん?」と笑って聞いてくる。そのHと別の友人と白ワインを 飲みながら、私が「白い花の香りがする」というと、「うんうん、ジャスミンの花だね」と友人。H、「茶~でも飲んどき~!!」どっひゃ~。爆

いやいや・・・ネズミモチでしたね。果実がネズミの糞に、そして葉がモチノキに似ていることからついたという。子供のころは、「モチノキ」って「モチモチの木」?!!とも思っていたが、あれは「トチの木」の話。いずれにしてもネズミの糞って色気ないわ・・・。

子供のころ、そのネズミモチの新たなまだ若い葉を丸めて一箇所をパキンと折り、そこに口を付けて吹くといい音が出たものだ。また、今思えば、おいしい蜜が出たからだろうが、ミツバチがよく飛んで来ていた。捕まえては、こぶしの中でぶんぶんいう蜂の羽ばたく音を楽しんだものだ。本来、虫は死ぬほど嫌いな私なのに、よくそんな遊びをしたものだ。

地元のネズミモチの香りで、40年もワープした。香りの記憶ってすごい。

思い出の香りってありますか?