長女、29歳 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 

今日5月16日、長女が29歳の誕生日を迎えた。

 

予定日は14日であった。予定日当日診察があり、その晩おしるし。即入院したが、微弱陣痛で24時間経過。一度家に帰る?とも聞かれたが、頑張って病院内を歩き回り、他の患者さんや妊婦さんの手伝いをしまくり、やっと陣痛が来て2日後出産。

 

イタリアの病院で出産したくなく、帰国して実家の近くの大学病院で出産したのであった。立ち合いなし。夫は生まれてから帰国。

 

29年!あっという間だ。

 

私がイタリアに来たのは、27歳の時。その年齢を彼女が迎えた時も感慨深かったが、今回、彼女を出産した29歳に彼女もなったのだと思うと不思議な気持ち。まだまだ子供だった。そう思うのは、自分が親の目で彼女を見るからだからだろうか?

 

過ぎてしまえばすっかり忘れているが、当時は必死の子育てだった。夫は出張が多いし、頼れる人がいない。しかも思い通りにならない子育て。人生で初めてぶつかった壁だったかもしれない。逃げるに逃げられない。親子カプセル状態。特に長男が生まれてまだ歩けるようになる前まで、ローマ郊外に住んでおり、長閑すぎて夕陽を見ては涙することが多かった。

 

だからミラノに引っ越して来て、同じような子供のいる日本人家庭と集うのが楽しかった。特にママさんたちは皆、海外で子育てを頑張る同士とさえ感じた。携帯電話は持ち始めていたが、今のようにSNSも発達しておらず、まだまだ家の電話に電話することも多かった。

 

長女は、5歳から日本語で日記を書き始め、書くこと・読むことが好きで、補習校の感想文などは原稿用紙に書きたいことが書ききれず、用紙の周りをクルクル書き、「長すぎる!」と先生に指摘されたことがある。小さい頃から本を読み始めると、寝ないで読み切るタイプであった。

 

また幼稚園時代から1人でぶつぶつ哲学めいた事を言う子であった。

 

そんな彼女から恨み辛みに手紙をもらった事がある。1人目で厳しく、またワンオペで気持ちの余裕がなかったのだろう。彼女ばかり怒っていたようだ。

 

ママって私のこときらいなんでしょ?

私だって、なら、ママのことなんてきらいだよ

 

 

その後も、このままじゃ嫌われ者になる!とさえ指摘されている。厳しい!

 

しかし、私は彼女を傷つけていたのだなあと今更思う。トラウマになっているのだろうか?

 

彼女の気持ちを忘れないように、この手紙はいつも持ち歩いているが、それでも今でも何かにつけて言うことはストレートで辛辣である。性格なのか?海外で育っているからなのか?わからない。

 

とはいえ、イタリア人のようにいちいち言い訳はしない。イタリア人は学校や仕事に遅れると、交通機関のせいする。であればもう少し早めに出ればいいではないか?と思うが、最近は私も電光表示板やアプリが当てにならなかったり、毎日いきなり工事で順路が変更され、バスが止まらなかったり、変数が減らされていたり、では別ルートで地下鉄を利用したら、目の前でいかれてしまい、でもまだ時間的に余裕がある!と思っていたら、隣の駅で線路に降りた者がいて、地下鉄がしばらく止まってしまう...などという踏んだり蹴ったりの1週間。だから必ずしも早く家を出ればいいか?とも言い切れない。

 

話はそれたが、言い訳をしない長女は逆に良くない、と高校時代、担任に指摘された事があるのだ。「郷に入れば郷に従え」か?!笑

 

反抗期はきつかったが、まだイタリアだったから良かったかもしれない、と思っている。これが日本で受験や何やらだったらもっとお互いストレスが強かったかもしれない。

 

いずれにしても、竹を割ったような、ストレートできつく、マイペースではあるが、非常に穏やかで優しい彼にサポートされているので、彼女は大丈夫だと思う。

 

あっという間の29年。きっと彼女もそうやって私の年齢を迎える日が来るだろう。

 

子供の誕生日は、母親記念日でもある。妊娠・出産・子育て...様々な事や当時の気持ちが甦る。彼女の育児日誌はそのうち渡したいと思う。

 

健康で、幸せに生きていってほしい。

 

今日の一句

今思う 育児は育自 子に感謝