香りの記憶 〜 その3 | ミラノの日常 第2弾

ミラノの日常 第2弾

イタリアに住んで32年。 毎日アンテナびんびん!ミラノの日常生活をお届けする気ままなコラム。

 
 
今週、既に二回、仕事に遅刻しそうになり慌てて自転車で出かけた。(二回ともギリギリセーフ!)
 
朝は急いでいて、あまり心に余裕がなかったが、二回とも帰りがけに、ふわっと金木犀の香りを嗅ぎ、頭というか、心に金木犀にまつわる記憶がドバッと蘇った。そのコンマ数秒の瞬間に蘇る記憶、感情の現象というのは、本当にすごいことだと思う。
 
ところで昨年は、父が亡くなり急遽帰国。コロナ禍でフライトはなくなり、母も体調を崩しミラノに戻るに戻れない時期を過ごしていたが、秋に日本に滞在したのは、20年ぶりくらいだったかもしれぬ。それでも当時気づいていなかったのだが、実家の近所にものすごく大きな金木犀の木があったことに気づいた。毎日どこから香りが漂ってくるのかわからず、しばらく探し続けて、目の前にあってびっくりしたくらいだった。
 
金木犀といえば、庭や公園の生垣のイメージがあったが、それはなんと悠に15メートルは超える巨大な木であった。...ということは、私の子供の頃からあったはずだ。また、その近所では、今では大の虫嫌いであるが、同じモクセイ科であるネズミモチに集まるミツバチを手の平に掴んで耳元で音を聞いたり、サツキの花の蜜を吸ったり、水につけて色を出して遊んだ幼少時代を思い出す。
 
金木犀のプルースト効果は私の幼少期が蘇る。
 
プルースト効果といえば、先日、仕事先のキッチンから記憶のある匂いが漂ってきた。その日は、ママさんが、自分たちの寝室で仕事をしていたので、ご主人がキッチンで仕事をしていたはずなのだが、ツインズのお昼ご飯にしては濃厚すぎる香りであった。
 
ツインズの食事が終わり、後片付けでキッチンに入ると、真空パックに入った魚が置いてあった。冷凍食品か...と思っていたら、なんと彼らの昼ご飯はうな丼だった!先日、彼らに鍋でご飯を炊き、おにぎりの作り方を教えた。ご主人は美味しくご飯を炊けるようになり、自分用には、ツナマヨ入りのおにぎりをよく作っていた。ちなみに奥さんは、キムチを軽く炒めておにぎりに入れるようになった。(韓国料理のデリバリーのお陰)
 
奥さんはとにかくうな丼が大好き。あちこちの日本食レストランでうな丼を食べているようだが、やはりどこもそこそこに高いので、自分たちで作ってしまおう!と考えたそうだ。ちなみにうなぎは彼らが週末過ごすクレモナでは1キロ25ユーロらしい。いやー日本人でそこまでしてうな丼を食べようとする人はいるだろうか?
 
ある時、魚屋で800グラムのうなぎを購入し、ご主人がおろしたそうだ。ちなみにうさぎもトリも自分で屠殺できるそうだ。あとは、豚だな...と言っていたが、調理人ではない一般のしかも若い人がそこまでできるとはすごい!
 
うなぎの捌き方は”串打ち3年、裂き8年、焼き一生”というように非常に習得が難しい技術なのだそうだが、どうやったのだろう?彼らはなんでもアマゾンで注文しているが、ある時、なんではけがあるのだろう?と思ったのだが、それは蒲焼のためだったようだ!最近醤油や味醂を購入していたのも納得できる。
 
うなぎをオーブンに入れて、なんどもタレを塗りながら焼いたそうで、微妙に焦げていたが、上出来だと思う。ああ、うなぎを焼く香りはコラーゲンともつかぬ旨味の濃縮、誘惑の香りだ。爆 

♫サカナサカナサカナ〜、サカナを食べーると〜、頭頭頭〜頭がよくーなる〜 土用の鰻。スーパーの鮮魚コーナーが思い浮かぶ。
 
そういえば、今日は自転車でどこからともなく焼き鳥の匂いがした。焼き鳥屋なんてあるはずないのに...爆
 
香りの体験で五感が更に磨かれる!爆