【新聞!千一夜】 ルシエルのオカルト千一夜 第十一夜 荒野のオオカミ | 占星術師ルシエルの 月齢週報「たましい革命新聞!」

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令和の新時代に向けて、「みえない大学新聞!」は「たましい革命新聞!」へと生まれ変わりました。これまで通り、月のサイクルを追いかけながら、人類とこの国を魂の目覚めへとアクティベートします。

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■ 荒野のオオカミ ダイアードとトライアードの分裂と 四つの魂の統合
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み┃え┃な┃い┃大┃学┃新┃聞┃!┃ オカルト千一夜 第十一夜 
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$みえない大学新聞!-ヘッセ


 「私はあなたに、踊ること、遊ぶこと、微笑むことを、しかし満足しない
 ことを教えてあげるわ。そして私は、あなたから、考えること、知ること、
 しかし満足しないことを教わるわ。わたしたち二人は悪魔の子だと思わない?」

  荒野のオオカミ 新潮文庫 p159
 


            5月29日(水) 2013年 

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■ 荒野のオオカミ  天王星、あるいはプロメテウス的人間像

「荒野のオオカミ」は、ヘルマン・ヘッセ、50才の作品であり、なんと、天王
星が春分点を通過した1927年に書かれている。1927年といえば、リンドバーグが
大西洋を横断し、ラジオが大リーグ放送をきっかけに全米に広がり、急速に
世界が電気に覆われていく時代である。

主人公のハリー・ハラーはある都市にふらりとやってきて、ひとり、屋根裏部屋
を間借りして滞在している作家、あるいはジャーナリストである。

彼は、数年前に妻が精神病になり、離婚に追い込まれ、それ以来、ひとりで暮
らしている。大変知的で、精神的な人間であり、ヨガや瞑想もするが、孤独で
痛風を病み、とても不幸だ(と彼は思っている)が、独立心にとみ、孤独を愛
する男なのである。

この小説をどのように語るか、あるいは、語るべきではないのかわからない。

「語り得ぬものには沈黙しなければならない」 by ウィトゲンシュタイン

ではないけれど、ただ、読んで立ちすくむことが、この本との正しい接し方
なのかもしれない。

ではあるけれど、成功とか、幸せとか、光とか、ワクワクばかり求めている
スピリチュアルファンの方々は、おそらく、この本を読むことはないだろうし、
闇を直視する精神の強さをもっていないだろうから、読もうとしても苦しさに
挫折してしまうかもしれない。

そこで、あえて、混沌に穴を穿つことを覚悟の上で語ってみようと思う。

天王星の春分点通過が象徴するように、この小説は、きわめて、天王星的
主題をもっている。

まず、この小説は、孤独な隠者の錬金術的な変容のストーリーである。

天王星はテクノロジーの象徴で、それは、横転した自転軸が象徴するように、
車輪によってシンボライズされる。そう、この小説も、「車輪の下」のもの
がたりなのである。

古代のテクノロジーとしての錬金術が天王星一周期前の20世紀初頭のラジオや
蓄音機の技術に変わって、モチーフとなっている。

また、天王星は、ネットワーク的な秘密結社の存在を示している。小説の中では
「魔術劇場・・・狂人のみが入場化」と表現されているけれど、自らの死、あるい
は自らのツインの死の疑似体験がモチーフになっているこの小説は、一種の秘儀
伝授の儀礼を表しているともいえる。

春分点に天王星が通過した時、文明は何らかのネットワークを手に入れる。それは、
1927年においては、ラジオというテクノロジーによる芸術の大衆化というネットワ
ークだった。これが2011年の東日本大震災とシンクロした通過においては、ツイッ
ター、フェイスブックの情報ネットワークだった。

1927年の放送革命においては、情報はトップダウン的な一方通行であり、双方向の
コミュニケーションは、それらにのって流れるジャズやダンス音楽が演奏される、
街のダンスホールで行われていた。

2011年のスマート革命(ipad iphone スマートフォンの登場を、スマート革命とここ
では呼ぶ)においては、無限に広がるWEB空間を行き交う、映像や音楽のネットワーク
が人と人をつなぎ、非常にハイスピードかつ安易な結社活動を可能にしている。

こうした最先端のテクノロジーという新しい革袋の中で、古代の叡智という古いワイン
が運ばれ、交換されていくのである。

天王星は古代からつづくシリウスコネクションでもあり、レイブパーティーのトランス
ミュージックでもある。「荒野のおおかみ」においては、ハリーとヘルミーネが、
フォックストロットを踊り、パブロがJAZZトランペットを吹き鳴らす、仮装舞踏会が
繰り広げられる魔術劇場となって現れている。

こうした芸術空間に遊ぶものたちは、楽しげだが同時に深い苦悩を背負ってもいる
プロメテウス的な人間だ。人類社会に火をもたらした罪で、肝臓を鳥についばまれ
つづける。火の恩恵を得るものたちは市民だが、火をもたらしたものはカインである。

荒野のオオカミ=ハリー・ハラーは自らのうちに、オオカミとしての自分と、人間
としての自分を同居させている。

デミアンでの表現をかりればアベル的市民生活への愛とカイン的な孤独な反逆者を
同居させている。

きわめて特殊な人間として描かれるハリーのキャラクターだが、こうした分裂は
実は、人間である以上誰もがもっている分裂ともいえる。

■ ダイアードとトライアード 魂と肉体 変容を促す物と変化を拒むもの

「彼の中では人間とおおかみが並んで走ってはおらず、ましてや互いに助け合って
もいなかった。」

「彼の中では幸福を受けいれる能力と苦悩を受け入れる能力が共存していた」

「彼がオオカミであるときは、彼の中の人間がいつも傍観し、批評をし、審判し
ながらすきをうかがっており、彼が人間である時はオオカミが同様に振る舞った。」

「彼は他の人たちを不幸にすることができた。つまり彼が人を愛し、人が彼を愛した
ような時に。」

                   荒野のオオカミについての論文 より
                   
これらのことばに強く共感を覚える人は結構いるのではないだろうか?

「クラッシク音楽を学んでいるけれど、じつはパンクが好きだ。」
という人も、クラッシクプレーヤーとしては荒野のオオカミかもしれない。

音楽大学の学生だったとして、深窓の令嬢でクラッシクしかしらない女の子とつき
あって、彼女にジミヘンとかレディーガガとかばかりきかせたら、彼女の音楽性は
アカデミックな見知からいったら、大いに傷つけられるし、彼女は不幸になるかも
しれない。あるいは彼女は解放されても、彼女の母親は不幸になるかもしれない。

とにかく、ハリーは、二つの相反するものが同居した人間なのである。

でも、これは、実はあらゆる魂をもつ人間にとっての共通の条件なのである。

魂魄、あるいは、トライアードとダイアードの確執は、永遠の相をいきる魂、トラ
イアードは、魄(肉体感覚意識)、ダイアードに宿ることで、つねに繰り返しをこ
のむダイアードにたいして改変をせまる。

この小説の中で、「清潔な市民性」をこよなく愛する小市民的なハリーの部分を、
オオカミはあざ笑い、野ウサギのように食いちぎろうとする。自分を決して愛し
きることができない分裂をこの小説はテーマとしているのである。

市民性と異端性の共存、これがヘッセが異端者にも教育者にも愛され、学校の課題
図書にも成ったりする由縁だが、それはビートルズなどにもある魅力だ。

スーツを着た育ちが良さそうな青年達が、獣のような叫びを美しいメロディーで
歌うというミスマッチ。

人間には、社会性と野生の確執がつねにある。

とはいえ、それを執拗に執拗に執拗にこれでもかというほど描くヘッセ、あるいは
ハリー・ハラーの問題意識はやはり、普遍的なというよりも、異常性を帯びている。

しかし、この異常性が、シュタイナー思想の高橋徹氏によると、「意識魂の時代」
の人間の特徴なのだという。20世紀後半になり、ヒッピーたちが荒野のオオカミを
バイブルの一つとしたということは、ヘッセが40年先駆けた意識を活きていたという
証でもある。

このドラマは、ヘッセが煩悶した、市民性と異端性。信仰のアベルと探求のカイン
、天使と悪魔の、そして、オカルト千一夜でも繰り返し語られる、ツイン問題に
通底する反対物の一致の魔術。アブラクサスの神秘。男性性と女性性の錬金術的な
統合のドラマなのである。

■ エヴァンゲリオンにも通じる四人の登場人物

このドラマは、一人の中年の男の内部分裂が、神話的な恋愛劇の中で統合される
ストーリーだが、その統合は、悲劇的な失敗を遂げたのか?それともハリーはヘル
ミーネが望んだ結果をもたらしたことで、成功だったのか、実は今もって、僕にも
なぞのままである。

でも、特質すべきは、それらの神秘劇が、ハリー・ハラーとそのアニマともおぼしき
ヘルミーネの二人の間だけで展開するのではなく、魅力的な高級娼婦マリアとハリー
の蜜月、道化ともグルともとれるジャズミュージシャンのパブロという、二人づつの
男女の四元構造で展開されていることだ。

これをエヴァンゲリオンに当てはめてみるとわかり安い。

ハリー=シンジ、 ヘルミーネ=アスカ、パブロ=カオル、マリア=レイ。
キャラクターは完全にかさならないけれど、心理構造が二元ではなく、四元である
ことが、重要なテーマだ。

これをタロットや四大元素に割り振ってみるのもいいかもしれない。

情熱的なジャズミュージシャンパブロは、火。
傷ついたハリーを癒やすのはヘルミーネの水。
知性的で混乱しているハリー・ハラーが風。
原初的な女性性の象徴としてのマリアが土。

キャラクターはファンタジーによくあるほど単純ではなく、このようには割り切れ
ないけれど。あきらかにいえるのはパブロとマリアは、今に活きていて、引き裂か
れていないキャラクター。ハリーとヘルミーネは引き裂かれている傷ついたキャラ
クターであるということ。

この四人がどのようなドラマを展開するのかは、是非、読んでほしいと思う。

読者の期待は大きく裏切られて、生涯「なぜ?」という疑問の淵に残されるかも
しれない。実は僕自身、この小説が予定調和的に終わらなかったことに、苦しんで
いる。

そう、この小説は、感動ではなく、苦しみを与える小説なのかもしれない。

でも、すばらしく、哲学的でかつ、スリリングな小説なのである。

■ 魂の道は永遠に、甘く、つらい、そして、不思議だ。

この小説は、世代をテーマにした小説でもある。アメリカ的なるもの、カフェー
の音楽や映画、大衆娯楽が流入し、ドイツロマン的なものが駆逐されていく、
1920年代。48才のヘッセは、家族の崩壊を経験し、一人ある都市に滞在し、
文筆で得た資産と目的のない時間を過ごしていた。一日一日が彼にとって、魂
のサバイバルでもあった。

しかし、ジャズクラブでであった少女ヘルミーネがヘッセの魂にふたたび火を
ともす。「今に生きる」ことの喜び、踊りや音楽の世界を教えてくれる。

そういう意味で、中年期の危機を乗り越える魂の復活の物語でもある。

でも、同時につきあっている恋人がいる中での享楽であり、ある種の不義の
物語でもある。

僕は自分の年齢と重なるところがあるこの小説をあらためて読んでみて、
とてつもなく、魂が揺さぶられた。青春は甘くつらい。魂の道に生きるものに
とって、それが単なる楽しい思い出になることない。でも、大人になって、
たいていのことに忍耐ができるようになっても、人生は、甘くつらいのか?

そうなのだ。

そうあらねばならないのだ。

そうでなければ、 あなたは、魂を生きてはいない。

魂の道はつねに、甘く、つらい、そして、不思議に満ちている。
そして、かならず、それにあまりある、歓喜の一瞬も存在しているのだ。

「ヘルミーネは地獄にいる」

謎めいたメッセージに導かれて、ハリーは、薄暗い秘密クラブの階段を降りて
いく。


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編集後記:

お待たせしました。オカルト千一夜、やっと書けました。
みなさんの期待に添えるようなものではないかもしれません。ポップな前回と
ちがい、今回はドイツロマン主義のアンカー、ヘルマン・ヘッセが主題です。

ヘッセは50年代60年代生まれの人たちはかならず、思春期に読んだ作家です。
でも、決して、思春期の作家ではないことをみなさんに認識してほしい。

にがくて、甘い、大人の作家なのです。

ルシエルと個人的にお友達になりたいと思ったら、ディックのヴァリス、
聖なる侵入、ヘッセのデミアン、荒野のオオカミをお読み下さい。

僕が煮ても焼いても、ニューエイジャーではない、魂のダークサイドを愛し、
そこに光をともそうとする、光と闇の ルシエル であることがわかる
でしょう。

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2013年度版地球暦の配布ついて

2013年3月20日(春分)より、2013年度版の地球暦がはじまります。
ホームページ内の「贈り物」ページにてお申し込みください。

http://www.heliostera.com/ja

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オカルト千一夜 第一話 ツインフレーム

http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11334951839.html

■ VALIS のソフィア
■ カーペンターズの梯子 DNA螺旋 
■ 魂の双子 ジョンとヨーコ 
■ ジミとジャニス=シバ神とパールバーティー
■ ツインフレームは、地上生活のためのベストカップルではない。
■ 物質次元から脱出するためのバディーとしての結合した魂
■ 神話的な関係性としてのツインフレーム
■ ツインフレームの対象はひとりとは限らない
■ ツインフレーム問題は宇宙的な視野をもつことで解決する
                            (つづき)

オカルト千一夜 第二話 カインとアベル

http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11347303456.html

■ 混乱しているツイン概念
■ カインとアベル の和解
■ 被害者意識は反転した攻撃
■ 相手に目覚めを求めることのエゴイズム
■ ツインはつねに鏡あわせ
■ 前世情報は似たようなパターンを繰り返す
■ ヘッセ ディック 村上春樹 ツインをテーマにした文学
■ あなた自身のツイン神話は、あくまであなたの物語なのです。


    第三夜 悩めるドラえもん・・フリップ・K・ディック 
    
http://ameblo.jp/social-alchemy/theme-10058868957.html
    
■ 聖なる侵入: ツインと元型的魂たちのドラマ
■ トータルリコール:エリアとして記憶を完全に思い出したディック
■ アカシックライターとしてのヴェルヌからディックへの流れ
■ ドラえもん=丑寅の金神=虚空蔵菩薩=アカシャの化身=VALIS


    第四夜 クリシュナムルティと神秘体験
    
  http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11370951446.html

■ 神秘体験をしたことがありますか?
■ 神秘体験は、生命体験
■ 脳科学者ジルの不思議な体験  右脳と左脳
■ アーリマン帝国のブラックホール
■ クリシュナムルティとジョン・レノン
■ クリシュナムルティのツイン ニティア

    第五夜 ゾフィー
  
  http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11376148366.html

■ ノヴァーリス ボット
■ 図書館の少女 ソフィア
■ 繰り返し似た人に会う理由
■ 宇宙原理としての陰陽原理、ロックンロール


    第六夜 薔薇十字

  http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11382280892.html

■ エリヤの魂
■ AZUMA ディオニソス あるいは、AでありZであるもの
■ 沈黙の音
■ ローゼンクロイツは継承されている 吟遊詩人達たちの文化的転生


    第七夜 アブラクサス
    
 http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11389071097.html
 
 いいかい、ジンクレール、僕たちの神はアブラクサスだ。
 これは神でもあり、悪魔でもある。
 明るい世界と、暗い世界を一身に宿している。
 
 もしプレロマが一つの存在であるとするならば、
  アプラクサスはその顕われである。

■ アブラクサス=365 反対物を一致させる神
■ マトリックス: アブラクサスの別名 = 自由意志の神
■ 自由意志の三つの形: バー・バック・ベヌー


    第八夜 異言 あるいはライトランゲージ
    
 http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11395504487.html
    
 ヤンタラ・ジローさん 来日にちなんで

■ 聖書に現れたライトランゲージの記録
■ 世界中で現れ始めているライトランゲージ
■ バベルの塔 のリバース  普遍言語への回帰
■ キリスト教の中でも起こってきている「異言リバイバル」


    第九夜  It's only rock'n roll!
 
http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11412406541.html

■ ロックスターは、神の化身
■ エルビス・ザ・スピリチュアル
■ エルビス=えびす=弥勒=出口王仁三郎
■ rock'n Roll の ネオロギズム分析 


    第十夜  ウルトラの魂 光の国から

http://ameblo.jp/social-alchemy/entry-11444718861.html

■ 宇宙人は、ウルトラマンお好き。
■ ウルトラマンは ウォークインした魂
■ ウルトラマン=バルタン星人 シリウスから来た宇宙人?
■ ウルトラ警備隊は、宇宙十字軍
■ ウルトラセブンは、アークトゥールス人?
■ ゴジラはスサノオ、怪獣は本来仏、憤怒相として怪獣になる。
■ 悪は、その姿を見られると無力化する。

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$みえない大学新聞!-ヘッセ