スローターハウス5
カート・ヴォネガット・ジュニア 著
時間旅行者であるビリー。
自身の人生のあらゆる場面を何度も訪問する。
戦争が彼に何をもたらしたか。
強大な物事や避けられない悲運に見舞われたとき、彼らは何を口にするのか。
「そういうものだ」
淡々と、皮肉とユーモアを交えて描かれるビリーの過去と今と。
私たちはビリーを誘拐したトラルファマドール星人ではない、今この時を眺める器官しか持っていない。
そして、過去を思い出す、覚えておく器官。
私たちは無力なのか?
ビリーが逆向きに観た、米軍爆撃機の映画についての描写が深く印象に残っている。
逆から観るとこんな風だ、負傷者と死者でいっぱいの爆撃機がドイツの都市上空にやってくると、不思議な力で地上の火災はみるみる小さくなり、容器に密閉され、爆撃機の腹に収まる。
それはアメリカへ運ばれ、工場で中身を分解され、地中深くに埋められる。
「二度とふたたび人びとを傷つけないように」
祈り。
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別の場所で書いていた読書記録を、随時こちらにも転記していく予定です。
自分が読んだ本や抱いた感想について見直すには、やはりブログが使いやすい
途中からだけども、一応ジャンル毎にテーマ分けしているし。
たまに読み返すと、いろいろな感じ方や読み方をしていて、我ながらなんだか面白いものです
私のささやかな読書ノート。