とても面白かったので、忘れないうちに簡単に書き残しておこうかと。

 

なぜ世界は存在しないのか 


マルクス・ガブリエル 著

講談社

 

 


ガブリエル氏曰く、「新しい実在論」とのこと。

新しいも何も、それまで「実在論」自体よく知らなかった私ですが…。

一般向けに書かれているので、そんな人でも読みやすかったです。

 

全てを包摂する世界という概念は存在しない。

その代わり、世界以外の全ては存在する。

この考え方に、私は救いのようなものを感じました。

 

私たちが存在しないと見なしているもの、たとえば、魔女や一角獣も、「メルヘン」という意味の場においては存在するのだと。

今まで切り落としてきたものたち、それらが、救い上げられる拾い上げられるように感じたのです。

 

もちろん、対象が魔女たちである場合には、存在する、現象することが、イコール事実として必ず真であるとはなりません。

但し、魔女裁判を行った裁判官の頭の中では存在をしていたのですよね。

 

 

なるほどと思い、付箋を貼りつけた箇所はいくつもあるのですが、その中の一部を抜粋。

 

およそ社会とは、当の社会にたいするさまざまな見方の豊かな多様性それ自体であって、異邦人と呼ばれる人たちをむりやり統合すべき統一性ではありません。

ほかの人たちは別の考えをもち、別の生き方をしている。この状況を認めることが、すべてを包摂しようとする思考の脅迫を克服する第一歩です。

(P.269)

 

そして、「すべてを包摂する自己完結した真理など存在せず、むしろ、さまざまな見方のあいだを取り持つマネージメントだけが存在する」と言う。

これこそ、現代に生きる私たちにとって、学ぶべき身に付けるべきこと(のひとつ)なのではないかと思います。

 

 

他にも、宗教や芸術についての指摘も興味深かったです。たとえばこんな。

 

芸術によって推し進められ、自由を指し示している世界の空疎化のポイントは、対象を孤立させて対照関係なしにそれだけで存在する物と見なす代わりに、むしろ対象を連関のなかで認識するところにあります。

(P.270)

 

多くのじつに豊かな見方を、存分に吸収することのできる読書でありました。

 

次は同じくガブリエルのこれを読みたいのですが、

 

 

図書館で順番待ちの最中なので、それまでの間にこちらを読んでいます。

 

 

これも一般向けの、読みやすい本。

現代思想の概観をまずつかんでみようと思っていますニコ

 


今、不器用な私には珍しく、3冊の本を並行読みしています。

おかげで1冊を読み切るのに時間がかかっているのですが、これはこれで楽しい時間だなぁとむらさき音符

哲学・小説(日本語)・小説(英語)の3種類です。

言うまでもありませんが、英語の本が亀のようにしか進みませんショック

のんびりいきます流れ星



いま読んでいる一冊。半分くらいまで読みました。
マルクス・ガブリエルの『なぜ世界は存在しないのか』

読んでいると目から鱗。
自分の中になかった考え方を提示してくれるものに、これからも積極的に触れていきたい。視野をどんどん広げたい。

以前、哲学について少しだけかじっていたから(入門的な本を数冊読んだ程度だけど)、その最低限の知識が理解を助けてくれていると感じます。
哲学や現代思想に強く興味が湧いてきたので、これからすこしづつ開拓していこうピンク薔薇

併読はレイモンド・チャンドラーの『ロング・グッドバイ』
ミステリを読むのは久しぶり。村上春樹の訳文が心地良いし、読みやすくってよい箸休め。
こちらはまだ序盤なので、この後どうなっていくのか…キラキラ

『ニューエクスプレス ロシア語』

語学を勉強したい病に急に襲われて(ときどき襲い掛かってくる病)、ロシア語を勉強中。
以前フランス語を少しかじったけど、中断してしまって。
その言語を勉強して、結果、どうなりたいかっていうビジョンが乏しかったというのもあるかなと思う。
フランス文学をあまり読まないし…。
この頃はロシア文学が好きなので、ロシア語を学んで、チェーホフの短編を原文で読みたいむらさき音符

やっぱり、語学の勉強って楽しい〜ラブ
中学で英語を習い始めたときのように、しっかりノートをとって手を動かして学んでいます。
ロシア語のテキストを数冊やって、小説を読めるようになったら、いずれはドイツ語かフランス語もやりたいクローバー
哲学を勉強する上では身につけておきたいなと…まぁずっと先のことになるだろうから、長期目標として頭の片隅に流れ星

『はじめから1人で学べる 大人のためのピアノレッスン下巻』

ピアノが全然弾けなくなっているので、基礎からちゃんと学び直すことにしました。
DVD付きなので、独学に便利。
上巻は初心者用だったので、下巻からスタート。ウン十年ブランクがある大人にちょうどよいですニコ
楽しく弾いていますハート
いつか上達して、ショパンをすらすら弾けるようになりたい流れ星


あとはオリンピックのフィギュアを楽しんだり(羽生くん!昌磨くん!)、芳雄さんの毎週のラジオに聴き惚れたり、あっ、至上の印象派展へも行ってきました。また改めて書きたいです。
娘と恒例のバレンタインのチョコ作りもしましたリボン

息子は「ままぁー!」「ねーねぇー!」(お姉ちゃんのこと)などと可愛く呼んでくれるようになりましたハートハート
「ぱぱー!」はまだ言わない、頑として言わない(笑)

きょうだいでけらけらと笑いながら遊んでいる姿が、パンダやライオンなど動物の赤ちゃんたちがじゃれ合って遊んでいるかのようで、とても心がなごみますニコハート

猫を抱いて象と泳ぐ

 

小川洋子 著

文春文庫

 

 

 
 

 

 

 

小川さんの描く閉じた世界が好き。

限られた枠組の中に、どこまでも広いチェスの宇宙が、まだ見ぬ宙が、底知れぬ海が広がっている。

 

文章の隙間から湧き立つ物語。

一文字たりとも流したくない、すべてを大切に受け止めたい。

そして何度でも味わい返したい。 

 

*

 

世間一般の枠の外で生きている人たち。

回送バスの中で猫と暮らすマスター。

地上のチェス倶楽部への入会が許されなかった少年。

人間チェスの駒となる少女。

 

外とは、外であり、中である。

デパートの屋上の檻、狭いバスの中、からくり人形の中、地下のチェス倶楽部、真四角の老人ホーム、真夜中、等等。

狭くて広い海の中。

結果としてそこへ収まることを余儀なくされたとしても、望んで入ったのだとしても、どんなに狭くとも、広い宇宙はあるのだと教えてくれる。

 

老婆令嬢の言葉が好き。

 

「そう、だからチェスを指す人間は余分なことを考える必要などないんです。自分のスタイルを築く、自分の世界観を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好よく見せる。そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。自分より、チェスの宇宙の方がずっと広大なのです。自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスは指せません。自分自身から解放されて、勝ちたいという気持さえも超越して、チェスの宇宙を自由に旅する……。そうできたら、どんなに素晴らしいでしょう」

(P.259)

 

小川さんの文章を読んでいると、閉じていた目の前の大きな窓が開いて、二重のカーテンを押しのけて、澄んだ風が一気に吹いてくるようだ。

言葉のひとつひとつから、物語という名の風が巻き起こる。

それは私へ吹き付ける。

それは停滞しない。

風はどこへ行ったのか? 私の背後に見えない窓がもう一つあって、そこから抜けていったのだ。風は静かに通り過ぎて行く。

どんなに狭い檻の中でも。

 

気に入った物語ほど、読み終えるのが悲しい。終わりを迎えることがせつない。

だから何度でも読み返したい。

何度でもリトル・アリョーヒンたちに逢いたい。