漫画「阿・吽」について やたらと語ってみる
『勝手に漫画大賞!』勝手に漫画大賞!私が昨年、一昨年に出会った漫画の中で1番を挙げるなら、コレ!!漫画が大好きで、あらゆる漫画を読み漁ってきた私。漫画がドラマ化されるも…ameblo.jp勝手に漫画大賞で紹介したおかざき真里先生の漫画「阿・吽」について改めて語ってみようと思う。「阿・吽」は、空海と最澄の二人について書かれた漫画。この漫画に出会う直前に、空海フラグが立ちまくっていたので、広告で「阿・吽」が上がってきたときにすぐに飛びついた。空海と最澄については、中学の歴史の授業で聞いたことはあるだろう。 最澄は天台宗を開き、空海は真言宗を開いた。 共に遣唐使として唐に渡り、日本で仏教を広めた。教科書ではこれぐらいの記述だったはずだ。仏教どころか歴史に興味もなかった私は、この一文に何も心震わすことなく、ただただ流した文章だった。それが、今になって、私の目の前に立体として現れ、心震わせてくれることになるとは。阿・吽(1) (ビッグコミックススペシャル)Amazon(アマゾン)660円読み進めよう、と思ったのは、1巻を無料で読んだのち。この後、全巻買いした。私にしてはとても珍しいことで、大抵は、1巻を読んで気になったら、最終巻を買って、面白かったら、遡って、数巻買うという、変な購入の仕方が主なのだ。でも、この漫画は、無料で読んだ1巻も含めて、一気に全巻購入しようと初めて思えた漫画だった。1・2巻は、最澄と、その時の時代背景がメインなので、少々重い感じもするが、3巻から、空海が空海として誕生していく話に移り、スピード感が増していく。停滞気味の1巻になぜ心を留めさせたのかというと、【1人称「我」を「あ」と発語していたこと】【言葉のエネルギーを大切に扱うシーン】【「犀の角のごとくただひとりゆけ」】漫画の中で描かれていたこれらの点と、今までの私の知識と経験が結ばれ光を放ったことが大きな理由だ。阿・吽(3) (ビッグコミックススペシャル)Amazon(アマゾン)660円さらに、空海を追うことで何かあるんじゃないか、と私が強く思うようになったのは、3巻での、空海の師からのセリフ。 おまえは身体を忘れすぎる。 識(精神)への強すぎる興味 故だろうが、 器としての身体を 置き去りにはできぬよ。 ”戻ってくる”ことが重要なのだ。 言・心・体、 全ての調和がとれて初めて、 お前の知りたいものを 見ることができるだろう。これ!これ!!!!!「意識」と「身体やココロ」との関係についての考察がこの数年ハマっていることで、その中でも、この身体という”器”をどう捉えたら良いのか、いまいち分からないのだ。だからこそ、このことを念頭に置いて、突き詰めた空海についての興味が湧き、空海の世界をもっと知りたくなった。阿・吽 (10) (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)Amazon(アマゾン)224〜2,956円そして、圧巻は、意識へダイブしていくシーンの数々。意識という物質化されていない世界の移り変わりを、「見える世界」として表現したおかざき真里先生。こんな風に描けるおかざき先生は”わかっている”のだ、と思っていたら、”わかった”という感覚を持たないようにしていた、というインタビュー記事を見て、また唸る。あぁ、そうだった。”わかった”は幻想のゴールなのだ。わかったから進むのではなく、わからなくても進んでよいのだ。あくまでも漫画なので、わかりやすい空海と最澄の対比が、フィクションとして描かれている。すべての人を救うのだとその方法を探し求め、学び(インプット)続ける最澄と自分を満たすことにとことん追求し、自分の世界を共有しようと人を巻き込み行動(アウトプット)していく空海阿・吽(13) (ビッグコミックススペシャル)Amazon(アマゾン)660円最澄のセリフによく出てくる2つがある。A「救わなければならない人達がいる」B「すべての人を救う」この二つの認識はどちらが先だろうか。良し悪しを言ってるのではない。Aだと思うからBを現象化させるBだと思うからAを現象化させるそんなことをこの漫画に描かれる最澄を取り巻く一連の流れをみて、思わずにいられなかったのだ。阿・吽(7) (ビッグコミックススペシャル)Amazon(アマゾン)660円空海の「人たらし」の源は純粋な自己への追求なのだと私は感じた。最澄も、純粋に「すべての人は救われるべきだ」と信念を持っている。純粋なそれぞれの信念の元はどこまで掘り下げられるのか。空海の掘り下げた意識(空海が考えるこの宇宙の真理)を具現化したものが、東寺にある「立体曼荼羅」なのだ。(と私は理解している)と書き出したらとまらない漫画「阿・吽」からの世界。私の空海を通した探究は始まったばかりだ。「阿・吽」も読み返しながら進めていこうと思う。