SMART PANEL -88ページ目

BORDER

BORDER

 

HAL FROM APOLLO'69、川村かおり、佐藤奈々子、ヒート・ウェイヴ、GREAT3、The Groovers、Oh!Penelope、DR.STRANGE LOVE、b-flower、プレイグス/bounce records

 佐野元春の曲を、青春の頃にくらっちゃった世代のミュージシャンたちによる佐野元春カヴァー。オー!ペネロープの『情けない週末』、ヒートウェイヴの『君をつれてゆく』が元バージョンにまさるとも劣らずググっとくる。入れ墨入れた後の川村かおりがカワイイパンクで『悲しきレイディオ』。HAL FROM APOLLO'69だけやけに異色な未来叙情。レコード会社のトリビュート商法でなく情熱を感じちゃう真のトリビュート。

 

 

 

モールス

モールス

 

福間未紗/RESPECT RECORD

 ジャケ写はモノクロの顔だったがCDケースにしまう時に、ブックレット内側、襟元の皮膚から背骨のアップが気に入って、表にして挿した。他は耳の穴、へそをマクロ撮影したモノクロページがある。福間宇宙から外界に放たれた電波、記念すべき1枚目のアルバム。『押し花』の詞「君の押し花になりたい、君の心に咲いて、押し押し押しつぶされて、しるしになりたい」。少年ゴコロか少女ゴコロか、恋の底の底の真実を言語化し、歌声でピタッとくるのは、2枚目『君の友だち』で完全証明。負のエネルギーがちょっと入ってるのがたまらなくイイ。福間宇宙が外へ外へ膨張していた時に出会えてよかった。ライブを見れてよかった。私は間に合ったのだ。

 

 

mindgater

mindgater

HAL FROM APOLLO'69/TOSHIBA EMI
 ドラえもんの頭骨…ではない。アートディレクションはFROG 200g GRAPHICS。このCD、一生部屋に飾る。ハルが延々と荒廃した未来の情景を唄う様式美の、一つの頂点。ロンドンレコーディングでのぶん殴りパーカッションとの融合。速い曲は聴いたこともないノイジーなドラムに電子音の際立ったベース。スローな曲は余韻がたっぷり用意された空間音響系ロック。この後年、ハードロックバンド色の強くなってゆくのだが、誰か『mindgater』の遺伝子を受け継いだ、進化系ロックをやってるバンドいませんかね。ただのデジロックじゃない風景の見えるアイソレーション・タイムマシン・ミュージック。

Making Music For Sunday Jet Lag

Making Music For Sunday Jet Lag

 

マーブルトーンズ/MIDI

 アレンジャー、エンンジニア、プロデューサーのユニット。曲つくる人も、演奏する人もいないじゃん!マンションの一室のスタジオにこもりひたすら既存曲をマニピュレート。ビートルズ、スザンヌベガ、スティービーワンダーなどの曲を、ソフトなラウンジ対応に。邪魔な音は一切無くおしゃれに聴き流しやすいBGM。どこかで聞こえてきたとしても「こ、このサウンドは、一体どんなバンドが!?」とはならないタイプのデパート上階テナント飲食街の有線放送的、顔のない音楽。ライナーノートによると名前はケンイシイ『ジェリートーンズ』と掛けたらしいが、音はとくに影響の片鱗は無く別モノ。リスペクトが感じられない引用は隠し通すか辞めておいた方が吉。

セロ弾きのゴーシュ、蜘蛛の糸

セロ弾きのゴーシュ、蜘蛛の糸

岸田今日子、松下修也/音楽の友社
 宮沢賢治と芥川龍之介の文学作品。静かだが、ぐるぐるとした心模様の描かれた2作品を、チェロの演奏とのセッションで読み上げる本作はライブ録音。コンサート大ホールで度々、朗読コンサートを行っている。一度は生で聞いてみたい。あと、ムーミンの声で自分の名前読んでもらいたい。渋谷BUNKAMURAで緒川たまきの出てるお芝居観に行ったときに、販売機のコーヒー飲んでる姿を目撃。現実にいらっしゃるのか、何度か見返してしまうほど向こう側が透けるように透明感のあるお方でした。岸田今日子の朗読はファンが多いけど、ちゃんとした音源で持っている人は少ないのでは?と調べたら『白昼夢』という10枚組CDを発見してゲットしました。

山下達郎単曲全集

山下達郎単曲全集

 

山下達郎/KIDIGITAL MEDIA

 音楽で飛び抜けて人の心をつかむ事ができれば、商業ペースと関係なく納得いくまで音をいじったり、ラジオで秘蔵レコードかけてマニアックな話したり、面白い顔してても、キレイな奥さんと協作したり、イロイロやってもこれといった妬みバッシング無しですよ。ヒットチャートに絡みながら大人の音楽界を体現するヤマタツ。『Let's Dance Baby』から『When You Wish Upon A Star』まで2時間27分2枚組シングル全集。夏全開サーフィン映画の主題歌『The Theme From Big Wave』が聴きたくて購入。一人コーラス重ねワークは冬担当北欧の歌姫より繊細じゃないすか。日本の宝。

 

 

 

普通になりたい

普通になりたい

3LDK/TOSHIBA EMI
 リビング(Vo&G)、ダイニング(Vo&営業)、キッチン(Vo&ペット)の3人組。ぶっちゃけ正体はキャイーンですけど。2曲とそのカラオケ。歌はともかくブックレットに小ネタ満載。3LDKメンバーの生まれてからのヒストリーがウソ満載。スペシャルサンクスのクレジットに浅井企画の矢島、楠野など名前が乗っている。それはギャグじゃないのだろうけど分かる人にはツボ。まさに「メガうま、ラジオバーガー」。歴史的には、谷口宗一の音源ということでそっちで語られ、キャイーンの恥部というクレジットまで至らず。なんでか?その訳はこの数年後、ポケットビスケッツ、ブラックビスケッツで、キャイーンはヒットチャートで大暴れするのだ。

亞 MIRAGE OF THE EAST

亞 MIRAGE OF THE EAST

 

SORMA/PACIFIC MOON

 アンビエント東南アジアシンセ幻想。もうひとつのアルバム『幻 ILLUSION』が怪物の潜む森だとするならば、『亞 MIRAGE OF THE EAST』は人間と共存する森の息吹のようだ。バイオリンでもチェロでもない、擦弦楽器の音。インド女声ボーカルをフューチャーした曲は、音ネタとしてでなく、崇高なる歌モノ。本当にこういうのが歌として広く評価されて欲しい。世界の名立たるシンガーを、インドで出会った無名の少女の録音が打ちまかしてゆく、そんな夢さえ見たくなる完成度。別の話だが、奄美民謡の元ちとせが民謡の心技体でヒットチャートに渋滞しているJ-POPシンガーの上に立った瞬間は、私にとって痛快であった。

 

 

 

BALI

 

 写真が太陽燦々でなく月が出ている意味。ズバリ楽園音色による楽園アンビエント。完全昼寝対応!「ハンモックで寝たいけど部屋が狭くて…」という方、このCDでハンモック気分満喫。しかも、リゾートホテルのエステ受けたあと。スタッフがデカイ葉っぱであおいでくれちゃう。ガムラントリップですわ。寄せ集め的な民族楽曲で無く、一貫して静かなシンセパッド楽園系なので、いつまでもつづく「ふわ~」と浮遊するバックトラックを追尾するとゆるく気持ちの良い風景が変化してゆく。かけっぱなしで寝ても途中で起こされる心配無し。夏の間中は何度でも聴けるリラックスCD。しかも、ジャケットケースにお香がついている。いい香り。

 

 

 

collection of creators TRAVEL 2002

collection of creators TRAVEL 2002

 

石川友美&スパ子、DJ teru、カトック、Yesyesman、タケヤユウヘイ、Ruraloop、Vexation、Daisuke.W、shuntsu、D.Irie、kankanmusa/r2 records

 2000年のコンピレーション。レーベル色も異なる多種多様のテクノアーティストが「夢に描いた未来であり、間近に迫った現代である2002年」をテーマに表現。D.Irieの「EOS」が、和モノ四つ打ちでエキゾチック高純度キラートラック。ノーブルママレーベルは書き下ろし英語詞ガールユニット石川友美&スパ子で参加。曲順で『ロケット』は1曲目に抜擢され、未定だったCDタイトルがTRAVELになる。これは石川友美の曲の完成度の影響でしょ!