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Tiny Screams

Tiny Screams

 

鬼束ちひろ/Victor

 大衆の羨望や批判を一身に集め、爛れた噂もあったアーティストのその後。四半世紀で落ち着き、生活できる規模のコミューンの中で唄っていることを知ると、安息の理想郷のような気がする。大衆の感情の受け皿という、消費される偶像ではなく、歌の好きだった少女として息長く活動すること。デビュー前後に弾き語り録音されたデモテープから新作をつくるなんて、それは表現者の幸福のひとつではないか。ドラマ「トリック」が地上波のコンプライアンスから離れ、配信作品「ガンニバル」の様な呪術的で土俗的な作品として復活するならば、その緊迫感を支える主題歌には、やはり彼女の唯一無二のテーマ曲が不可欠だろう。名曲メドレーのライブ盤は、歌が剥き出し。→

 

 

 

 

Candy

Candy

 

大東まみ/independent*

 早朝のFM「Raise on Saturday」で『Candy』が流れ、心の内側にそっと春風が触れる可憐な歌に心を奪われてオンエアリストを辿った。好きな系統の既聴感があり、何度か耳にするうちにVaundyの楽曲とマッシュアップできる旋律や構造の近さに気づく。調べると二人は一歳差。ひと昔前は知識より印象だけが先走り、作品同士を短絡的に比べるパクリ論争も多かったが、別々の場所で育っても同じ音楽や動画を浴びた世代の若者が似た表現へ向かうコホート効果がある。久々に次の世代という大きなうねりを感じた。二十代なかばのアーティストが共有する、文化的影響が創作に反映された同時性の息づかいを、今は味わい尽くそう。

 

 

 

 

星降る町の小さな風景 - ピアノのための28の小品 -

星降る町の小さな風景 - ピアノのための28の小品 -

 

作曲:轟千尋、ピアノ:三舩優子/ビクターエンタテインメント
 楽譜(全音楽譜出版社)同時発売で、ピアノ練習曲、発表会用の曲。初中級で弾けるやさしい小品というバックボーンがありつつ、ジャケット世界観に惹かれて購入。全編ピアノ1台での演奏。『雪あかり』『そよ吹く風』『忘れられたお人形』『冬の星』『風のゆりかご』『やさしい夢』など絵本チックなタイトルに1分前後のメロディ。長い曲でも2分25秒。28曲37分。バリエーションが豊かにありつつも、破綻する急な展開はなく『星降る町の小さな風景』を巡ってゆく。これ、好きなフレーズの曲目を自分なりにセレクトして、あるいは弾けるレベルに合わせて、思い通りの長さの組曲に再編することができるということかも。

 

 

 

RAPTOR: IkAZuCHi

RAPTOR: IkAZuCHi

 

INUWASI/ロックフィールド
  ラジオ日本のマキタスポーツの番組を聴いてて次の時間だったBiSを知った様に、InterFMの伊織もえの番組の次をやってたINUWASIを知る。ライカ&がるむコンビだった気がする。深夜、沖縄に住みたいみたいなラジオネームの人に、がるむちゃんがなにか激昂していたが、ほぼ値落ちしていた。ん?!今、なんて?「ほたっぴり」て言った?めちゃめちゃカッコいい曲のキメで「ほたっぴり」と言ってる。検索結果なし。オンエアタイトルを調べてCD購入。『World of Unreal』の歌詞「そう信じて hold a belie」これだ!EDM型のラウドロックアイドルでホーダべライの優勝ディクション、それが「ほたっぴり」。

 

 
 

 

 

Love Eating Alien

Love Eating Alien

 

DREAM DOLPHIN/FOA Records

 1996年は、イルカ・スピリチュアル・テクノがジャンルを越え、一つの精神的ムーブメントとして結晶化した年だった。「ガンダムX」が描いたイルカのニュータイプ、ゲーム「Depth」のイルカ体験、ジョン・C・リリー博士のイルカとの交信。ドリームドルフィンは、音色のチルさによりアシッドテクノの雑味を排し、アンビエントな質感と疾走するリズムで、インテリジェンステクノを先駆した。この1996年のCDは、2000年代日本テクノシーンに造詣が深いニューヨーク在住のお嬢さんに所有されていて、20数年後、海の向こうから日本の私へプレゼントして頂いた。日本アンダーグラウンドカルチャーのマスターピース。

 

 

 

 

夢のかけら

夢のかけら

 

冨田麗香/URAWA FLOWER RECORDS

 平成29年のCD。最高の写真が歌詞カードに使われている。持ち帰り寿司京樽シャッター前で路上シンガーが、広い人の輪を作っている。高円寺高架下文化を切り取った尊いスナップだ。車椅子や自転車を留めている人、立ち止まって聴いている十数名の老若男女。歌声が作り出した広い和やかな円。京樽の場所はマクドナルド拡張で路の構造が変わってしまった。あの時代、冨田麗華の歌声こそ高円寺夜の息遣いであり、極上の音楽だった。静かに沁みてくる弾き語りで「今日は疲れたけど、明日はがんばろう」そんな『重ねた時間』があった。彼女は、暗い顔で前を過ぎる男に「聴いてきなよ!」と声を掛けた。歌に救われたのはあの時の僕だ。

 

 

 

さっちゃん

さっちゃん

 

平賀さち枝/Kiti

 2011年のデービューアルバム。当時、曲のタイトル『阿佐ヶ谷の部屋』を見つけて、作風も知らず購入した。「洗いたての茶碗は水色、もう少しだけ君は寝たふりをしていて」という杉並区の小さな風景。ガットギターの弾き語りで、まるでなぎら健壱のおしゃべりの様なフォークソングを溢れ出る文字数で唄っていて、阿佐ヶ谷で部屋を借りていた誰の心にもある、あの頃を永遠に焼き付けているCDだった。歌詞の主人公が僕の側で、君という彼女がそばにいる物語を女声シンガーが唄ったら、もう小説。『高円寺にて』の歌詞「雨が上がるまでマクドナルドの窓際で」ってそれは、高架下再開発前の京樽があった時代のスケッチ。2018年にレコード盤で再発したという。

 

 

 

 

きみになりたい。

きみになりたい。

 

観月ありさ、中谷美紀、吉岡忍、T.V.ジーザス、井上睦都実、三浦理恵子、宮村優子、戸川京子、松本伊代、岩本千春、細川ふみえ、Girl Girl Girl、野本かりあ、深田恭子、他/readymade international
 Pizzicato Five 小西康陽の仕事まとめコンピレーション。唄ってるのはモデルや女優など。それぞれ別の時期に曲提供や企画カバーで制作したのだろう。私は結局、エレクトロでもハードロックでもない渋谷系的な音楽に心酔しなかったので、馴染みが薄いけど、珍しい人が唄っている金脈から辿り着いた。寂しいことを明るく唄う芸風の中で、一生ふたり旅して遊んで暮らす市川実和子『マジック・カーペット・ライド』が夢の多幸感。

 

 
 
 
 
 

 

 

 

 

 

魔法のメロディ

魔法のメロディ

 

さよならポニーテール/ERJ

 2011年に現れたさよポニとは、学校生活の延長にあるファンタジー。女性ボーカル5人のビジュアルは、脱力線画のメンバーイラストのみ。人前に出ず、ライブをしないが、FMラジオではしゃべるネコとシュールなトークをしていた。上質の女子高生センチメンタルが、大人の敏腕プロデューサーによって届けられていた。それば、トップ編集担当のついた瑞々しい天才漫画家のデビューのような。ゆるくかわいいという分類の鮮烈な才能の登場だった…って良い誤解をさせてくれる情報統制バランスの勝利!ブレスを完全ミュートせず、極小音で「すっ」「ふぁ」という呼吸音が残っているのも、実在の教室の子を感じさせるシークレットなディレクションであろう。

 

 

 

 

ユメノツヅキ

ユメノツヅキ

 

ツチヤカレン/IMPERIAL RECORDS

 メタファーではなく直接表現で、空爆で亡くなる人たちの途絶えた夢が歌われる。漫画もドラマも、全て直接セリフで言わないと何も伝わらない、若い世代だという。「やる気がないなら帰れ!」と叱られて「もっとやる気を出して再挑戦」と思わずに、帰る子ら。それでいい。意図を察せよとは責めない。伝わる言葉を使うのが正解。ただ、想像は大切だよ。今日は東部、明日は西部に空爆すると予告して対象を移動させる事は、記録上は爆弾での死者を少なくするが、移動させることで補給を断ち飢餓を作り出している。空爆で直接殺す数字とは別のところでも飢える環境を作り出すという大量虐殺を行っている。直接的な表現の地続きも考えるんだ。

 

 

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