【中古】 Rez-Gamer’s Guide to.../(オムニバス)
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倖田來未/rhythm zone
覇権を取る演歌歌手が絶滅に等しいが、演歌自体はポップスの中で息づいている。バラード『On my way』は編曲を変えれば紛れもない演歌で、心に染みる。演歌歌手がポップスをカバーして「歌うまい」称賛される様に、プロシンガーが演歌を唄えば「歌うまい」。技術は研究され尽くし解説はYouTubeにある。その先、説明のつかない人間性や情念と言われるもの、それが「うまい」でなく「染みる」。『On my way』は2017年ドラマ『真昼の悪魔』の主題歌。原作は1980年遠藤周作が「罪は許されるが、悪は?」がテーマの小説。躊躇なく悪を行う主役、田中麗奈の女医はいきなりステーキを爆食いする現代風アレンジが旨かった。→
ksk、dj newtown、いぬ、CARRE、KUKNACKE、ACIDWHITEHOUSE、quarta330、R-9、d-dog、Gocoup、mirrorball inferno、他/HTC Communications
HTC著漫画「zatsu(((onn!!!」は高校生女子3人、バンド志願とロックギターと勘違いアイドルのチップチューンで音楽と人間関係にケミストリーを起こす物語。主にICチップから繰り出すリズムとホワイトノイズを使ったコンピ。彼女たちが奏でる轟音バンド再現はDJ UltraLight『真摯な少女』だろう。半ばで穴にハマりつつ猛突進するR-9の『生活は戦場』。包括回想のラスト曲『Censored』がジワる。→
DJ-Sister、Gassyoh、Nat_ant、座久拓郎、DJ Souchou、Saluki And Afghan、新城賢一、ACIDWHITEHOUSE、吉田アミ、祇園キタ、他/HTC Communications
漫画「錻力プラチク」サントラ制作で作者ヒタチが音楽妖術師を招集。同人音楽という単語が浸透し始めた頃、ネットレーベルHTCコミュニケーションズ発足と成った。魑魅魍魎が潜む街で、剣士ブリキ、少女コロナ、人造人間ネオが妖怪討伐。ヒーローソング皆無のゴリゴリブレイクビーツ、チップチューン、空間系ノイズ。ノーブルママレコードのDJ-Sister はドラマジャック!100秒で3曲つなぎ祇園キタのキャラ紹介ボイスを超絶MIX。→
Keiichi Sugiyama、mist、Ken Ishii、JOUJOUKA、Coldcut and Tim Bran、ebz、oval/Musicmine
1999年大鳥居セガ本社の仕事をしていた頃、クラブセガ渋谷OPENの黄色い広告に「グルーヴ」を含むキャッチコピーを書いたら、歳上のAM事業担当者に「グルーヴってなに?知らない」とボツにされた。2001年SEGAのプレステ2へのリリースが『Rez』から始まった。デザイン性も高く、斬新な尖ったゲーム内容だったことが誇らしかった。3Dシューティングの攻防が音楽を醸成する。テクノサウンド上でロックオン攻撃音は適度にクオンタイズされ演奏要素となり、紛れもないグルーヴがそこにあった。
LOVE PSYCHEDELICO/ビクターエンタテインメント
モノクロの女性イラストで登場したサイケデリコは、メディア統制されてたの?爆発的ヒットとCMソング攻勢の中、実物はよくわからなかった。高い評価、超新星扱いのインタビューで、NAOKIがKUMIの歌声を聞いた瞬間に組むことを決めたエピソードを「なぜですか?」と質問され「聞けばわかるでしょう」と答えている。誰もが納得、こちらの動きを止めるほどカッコイイ。ライブの聞き所は身体感だ。ちょっと何いってるのか「多すぎ to me」矢継ぎ早に完璧な譜割りだったあの曲に、人間の魅力あふれるフェイクやアオリ、ブレスさえ新鮮。観客の興奮と共にスタイリッシュな歌声に嬉しさが見える瞬間がある。
寺尾紗穂/ミディ
トラブルに合わなくても、オチがなくても「電球を買いに行く話をおもしろく喋れる人はおもしろい人」という伊集院光の名言になぞれば、恋愛がなくても、宣誓がなくても「乗り物からの車窓をうまく歌えるシンガーソングライターはうまい」のだ。聞き手の脳内に風景のある場所をつくってしまう。そうすると、音楽を聞く度に、その場所へ移動あるいは旅ができる。『愛の秘密』は秘密など唄っていない。「悲しいとき泣いて苦しければ怒ってあなたはとてもきれいね」その人の年齢も性別も何も言わず、私の知らない愛の秘密を教えてと、空っぽをさらす。それは、誰かにとっての恋人や赤ん坊、あるいは言葉少なくなった敬老。シンプルで高潔なピアノとフルートによく合う声。
GO-BANG'S/ポニーキャニオン
1989年、テクノロジーの最先端を示す単位が『ため息の16ビット』。この曲ではPanasonicのCM用にジョージ・ルーカスがデザインしたロボット、スパーキーとデュエット。ゴーバンズはテレビ番組、ドラマの主題歌やCMソングに大活躍。ベスト選集が楽譜も付いてるこの箱入りCD。私が勝手にPATi・PATiロックンロール書体と呼んでいる日本語カリグラフィフォントに統一されたアートワークが時代の寵児の証。超絶ポジティブな詞の世界は「のぼり調子80年代サイコー!」を体現するバンドだった。『土曜でいたい』はNHKの若者文化系深夜番組YOUの後番組「土曜倶楽部」で、一般公募された言葉を用い詞曲を作り上げた。→
大森靖子/avex trax
高野幸子さんというはとこが居て、こどもの頃は家族ぐるみでご飯に呼ばれていたけど合わなくなった。私より絵が上手で、カラーコピーしてくれたのを大切に持っている。同人誌で儲けて印刷機を買ったと聞いた。コンビニに並ぶホラー雑誌でプロ漫画家デビューしたらしいけど、親戚の誰にもペンネームを知らせなかったので、後の活躍もどんな作品か読むことは叶わなかった。20年後、私は仕事でさっちゃんの有名な父さんが昔建てたビル・マンションの売買に関り。更に数年たったある日、私の父とはいとこのさっちゃんのお母様にお会いした。「さっちゃんとしゃべらないの?あの子の話は、おもしろいわよ」ずっと独身で居て、ずっと漫画を描いているらしい。→
SKY-HI、Iris、SWANKY DANK、スピラ・スピカ、スダンナユズユリー、PENGUIN RESEARCH/SACRA MUSIC
『ガンダムビルドダイバーズ』はガンプラバトルでなく、アバターでログインするネットゲームになっていた。個人的にネットで繋がり隊で闘う「ガンダムエリアウォーズ」の真っ最中で「プログラム内のバグとか許してんじゃねーよ!運営は早くバグ撲滅しろ!」と現実のゲームを重ねて、初代主人公リクはホームラン級のバカとして低評価だった。しかし、続編『Re:RISE』のとにかく暗い主人公ヒロトが、前作クライマックスの場面で関わっていたストーリーのリンクで渾身の伏線回収。おかげで最終回間近の数話で好評価に大逆転した。→
浅川マキ/Universal Music
寺山修司作詞『ふしあわせという名の猫』でぴったり寄り添う猫とは、女を捨てた男のへの未練や傷ついた記憶のことだと、何年も聴き続けていたが。2021年橋爪ももの『猫です』を聴いて変わった。野良猫が乱暴や放浪の末に、偶然おばあさんに出会い優しさを受け、孤独な猫はお母さんを思い出す。この猫と出会ったおばあさんは、浅川マキが唄った「ふしあわせという名の猫がいるから私は一人ぼっちじゃない」とつぶやいたあの女性なのではないか。辛く孤独だった一人と一匹が、何か通じるものがあって一緒に過ごした。女は猫を撫でながら、猫も自分も同一の存在になり、自分が猫に撫でられ慰められた様な、そんな時間を過ごしたに違いない。→