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火の鳥 エデンの花 オリジナル・サウンドトラック

火の鳥 エデンの花 オリジナル・サウンドトラック

 

村松崇継/Rambling RECORDS

 2025年春東京開催の火の鳥展を見に行ったら、研究者の福岡伸一が「未完の最後の1コマはこんな画になったのでは」と、火の鳥から森羅万象の命が放出するラフ画を提案していた。根拠として、全ての生き物の魂が火の鳥に向かう1コマを引用していた。だが生原稿では、そのコマの集中点部分の鳥はホワイトで消され真っ白な光に修正されている。そこを読み解くと、研究者の発表したラフ画は「いや違うんじゃねぇの」と疑問符。手塚治虫本人が監修していない火の鳥に関しては、他人の要約版として味わうのはアニメ版を通してよく理解している。それでも出版し続け、露出し語り続けないと、名作とて作品に出会う人たちが減っていってしまう。

 

 

 

 

Emotional Engine

 

PSY・S/ソニー・ミュージックレコーズ

 シンセサイザーを使う枠の中で、ファンク、ロック、バラード、ストリングスアレンジなど百科事典の様に積み重ねた歩みのラストシューティングに、直球ど真ん中ストレートなテクノサウンドをやってくれた。ドラムというよりリズムループ。フレーズというよりアルペジエーター。『be with YOU』である。テクノの中でも、クラブ系低音4つ打ちでなく、あくまで歌ものポップスであるサイズの証明。恋の浮遊感にサーキットのスピード感。未来的音像にもボーカル加工無しで合わせてくるチャカの歌声の凄さ。あえて和文の語感を乗せている「感電、幽体離脱、素粒子」、繰り返すPSYCHICまで「超能力使い」と被せるワードチョイス。

 

 

 

チャイニーズブルー

チャイニーズブルー

 

meiyo/Virgin Music
 ドラマ「鉄オタ道子、2万キロ」が辺境駅で「ここどこだよ…」を繰り返した後、西武鉄道タイアップで秩父編があった。観光神社には行かず隣の横瀬駅へ歩き、ただずーっとある場所が目に入る感じにシンクロした。私も横瀬駅まで同じ道を歩いたよ。気になる場所へ鉄道遠征に行く様になったこの数年。千葉埼玉神奈川のダムや献血ルームは行き尽くし、茨城栃木群馬。歴まちカード、マンホールカードもほぼゲット。新たな目的地、まだ誰も注目していない場所を目指すことりっぷ。BANDAIプラモデルのリサイクル回収ボックスの設置場所へ行き、ガンプラのランナーを投ずるショート動画を撮っている。現時点で51箇所訪問済。「それどこだよ…」。

 

 

 

ロングロングハイウェイ

ロングロングハイウェイ

 

浦小雪/SKID ZERO

 誰もがSNSで気持ちを述べる様になって「この意見、政治家の方、見てますか?」とポストするだけで気が済んでしまうのだから、ガス抜き装置にガス吐いて踊る風船だ。「日常の絶景」というテレ東の深夜ドラマが、見惚れる風景として埠頭や砂防を扱い、小旅行の魅力を伝えていた。あまりにも良いドラマだったので、初めてテレビ局のご意見窓口から直接的な高評価を送った。実験的な企画だったのか全3話だったので、絶賛続編を要望した。最終話は秩父の滝沢ダム。バスの本数が少なく、ループ橋を歩いて渡っていたのは、私と同じ行程だった。主題歌『ロングロングハイウェイ』を聴くと、あのループ橋を走り抜けていったツーリングのバイカーたちを思い出す。

 

 

 

サーカス団パノラマ島へ帰る

サーカス団パノラマ島へ帰る

 

筋肉少女帯/トイズファクトリー

 カセットテープの処分を始めた。SONY WALKMANより太いディスカウント屋の遊歩人サイズのプレイヤーをUSBでパソコンに繋ぐと録音できる。90年代の録音「ファンファントゥデイ」で上柳昌彦が休み大槻ケンヂが代打出演。聴取率調査週間トライアスロンウイークの告知で「オーケンと上ちゃんが、リスナーの作ったカレーを家まで食べに行くから、はがきに家までの地図を書いて応募してくれ!」という。そうだ、それくらいのことを深夜ラジオは普通にやっていた。深夜隠れ家での熱狂。リスナーとの信頼関係。私が聴けば懐かしく、誰かにとっては意味の無いカセットテープ。『詩人オウムの世界』は「昔、昔のお話しです」のセリフから始まる。

 

 

 

My Little Lover, Singles

My Little Lover, Singles

 

My Little Lover/トイズファクトリー

 行徳にあった、学生のオケやブラバンばかりを撮影するスタジオでバイトしていて、クラシックに詳しくなった。譜読みの音大生君と片耳インカムで「次、金管から木管に引きながらパン」とやり直しのきかないビデオ収録。ある夏の日、千葉の高校生ブラスバンドの発表会。青春としか形容できない楽しいポップスコンサート。『白いカイト』を演奏していて最高だった。その日のカメラマンたちのチーム、青森出身の二川目さん、実家が肉屋の葉山くん、今何してるのかな。懐かしいヒット曲を聴いて、全力だった事を思い出して、辛くなる年齢が来るなんて、不思議だね。記憶の中で生きていける?懐かしさもまるごと忘れたあとは平穏なのか。

 

 

 

 

 

Pitch Perfect - Soundtrack

Pitch Perfect - Soundtrack

 

Anna Kendrick、The Treblemakers、The Outfit、The Sockapellas、The Barden Bellas、The Footnotes、V.A/Universal

 音楽が直接救いになる映画が好きだ。「ピッチパーフェクト」はアカペラバトルの学園モノ。知らない俳優ばかりなのもGood。組織内リーダーがどう変わってゆくかなど、喧嘩して団結!だけでない群像劇がおもしろく、そこに音楽がある。アカペラの気持ちよさも飛び抜けている。最高のステージのために衝突するところ、素晴らしいパフォーマンスにはライバルも素直に敬意を払うところ、音楽のマジック。一人では出来ない音楽が、どうしようもなく心を突き動かす。

 

 

 

セロファンの空

セロファンの空

 

湯川潮音/‎Pヴァイン

 ラジオの深夜放送で、番組オンエアとは違うCMプロモーションで曲がかかる時間があり、早く番組再開しないかなーと感じる間延びした時間になる。しょうもない曲だなと思うことも度々ある。ただ、2015年『birch』だけは違った。森の中で誰かが誰かを一方的に見ているけど、彼と彼女ではない。湯川潮音は知っていたが、これまでのポップスとはまるで違う寓話の様な神秘性があり気になった。CM枠は1ヶ月で次の曲に交代し、深夜の記憶は塗り替わる。音楽を聴くこと自体少なくなった10年後、そういえば、あの曲は何だったの?ネット配信では聴けず、謎を解こうとCDを購入。森から切り出された木が見た、孤独な木こりへの慈愛だった。圧倒された。

 

 

 

DUO

DUO

 

家入レオ/ビクターエンタテインメント

 小谷美紗子が『JIKU』と『サザンカ』の2曲を提供しているので聴いている。家入レオについてそれまで私が知っていたことといえば、生クリーム大好き。自分へのご褒美として生クリーム満タンの缶スプレーのホイップクリームを直接口の中に向けて噴射する、生クリーム直食いをしている人です。オテンキのノリさんに「せめて一回スプーンに出してから食べてみては?」とたしなめられていた。しかしなんと、あいみょんが『どうせ死ぬなら』のミュージックビデオで生クリームホイップスプレーを口に入れて直食いをやっているではないか!あらまー、先にやられちゃったじゃないの!家入レオはカメラの前でやってないけど、元祖生クリームの人です。

 

 

 

CLARITY

CLARITY

 

PassCode/UNIVERSAL MUSIC

 音楽ビジネスのマネタイズが変わったのは、CDが売れなくなりイベントで収益を得るモデルが浸透した時。CDや配信を買わなくても同じ音源がYouTubeやSpotifyでは聴けてしまうのに、買うことの意味はアーティストに活動費を渡すという直接的な購入動機。それに、演者が不祥事を起こした際に配信停止になるからというなんとも変な理由。「自分がここ一番強く立ち上がりたい時、パスコードが辿り着いた2022年初の武道館ライブのBlu-rayを観るぞ」と購入したままで開封せずに飾っていたら、2年後、期間限定で全部がYouTube公開された。今現在のライブに人を呼び有益を得る為。それが収益化の最適解。